2年前から小学生に反転授業!予習率100%の秘密を動画で公開

佐賀・武雄市で小・中学校にタブレット端末を配布して反転授業を行うことが発表されて以来、反転授業について様々な意見が聞かれるようになりました。

その中でも、よく見かけるのが、

「生徒が予習してこないんじゃないか」

という意見です。

反転授業は、生徒が予習をしてくることが前提なので、予習率が低いと授業が成り立たなくなるのです。

・モチベーションが低い場合
・家庭学習の習慣がついていない場合

について、予習率を上げることは難しいのではないかというのは、もっともな意見であるように思います。

そして、その文脈で、

「小学生に動画講義で予習させるのは無理なのではないか」

という意見も、Twitterなどで数多く見かけました。

さらに、実際に小学校に半年間入って状況を見てきたeboardの中村さんのレポートによると、

—–
これは体験的なことですが、現場に行くと子どもの学習意欲は総じて低く、さらに意欲・学力にばらつきがあります。残念ながら宿題で動画を課しても、動画の質に関わらず見てこないと思います(半沢直樹を見てこいでも、実際難しいと思います)。反転授業を大阪で実施されている私立高校でも(偏差値は悪くないです)、半数見ればいいほうというのが現状だそうです。

—–

とあり、反転授業の実施には大きな困難が伴うという印象を受けました。

 

高校数学の反転授業で予習率100%を達成している方法

実際に反転授業を行っている事例から、「予習問題」をどのように解決しているのかを学びたいと思い、近畿大学付属高校の芝池先生に第1回反転授業オンライン勉強会で予習についてうかがいました。芝池先生は、前倒しで予習ノートを作らせ、演習中心のグループ学習をしているときにノートをチェックするという方法で、予習率100%を達成されていました。

芝池先生は、動画コンテンツの質は高いに越したことはないが、そんなに重要なポイントではないとおっしゃっていました。

それよりも、クラス運営、教師と生徒との関係性の中で、必ず予習してくるという学習姿勢を作っていくということが重要だということでした。

まとめると、芝池先生の実践例において予習率を高めるためのポイントは、

・ノート作りを中心に据える
・教師と生徒との信頼関係の中で学習姿勢を整える

の2点にあるように感じました。

しかし、これは、高校生だからできることなのかもしれない?

小学生でも、予習率100%を達成できるのだろうか?

当然、このような疑問を感じる方もいらっしゃると思います。

 

小学6年生への反転授業で予習率100%を達成した方法

この疑問に答えるための大きなヒントになるのが、小学生に向けてすでに2年間、反転授業を実践されている富谷町立東向陽台小学校の佐藤先生の実践例です。

この度、佐藤先生の授業の様子を録画したビデオがはじめて公開されました。

まずは、ビデオを御覧下さい。


佐藤先生が講義収録に使っているのは、マイクロソフトのSurface ProにWindows 8を搭載したもので、そこにThinkBoardというスクリーンキャストソフトをインストールして製作しています。

1年目は、講義を動画で撮影したものを使っていたとのことで、今後、動画講義とスクリーンキャストの比較も出てくると思います。

佐藤先生の授業でも、芝池先生の例と同じように「ノート作り」を重要視しています。

授業は必ず「予習ノートの確認」から始まります。

「ノートの左ページには予習してきた内容や感想、右ページには今日の授業の内容をまとめる」というように、ノートの作り方も決まっており、ノート作りを授業の中心に据えて学習を進めていきます。

授業では、「予習内容に関する発問」があり、できたかどうかを挙手させるなど、いたるところに予習を促す工夫がされています。

ビデオの中では、グループ学習は、3人組で行われており、グループで話し合った結果をタブレットに書き込み、プロジェクター型の電子黒板でリアルタイムで共有されます。

リアルタイムで共有されることで、他のグループの考えもヒントにすることができます。これは、小林先生のアクティブラーニングで行っている「立ち歩き」と同じような効果があるのではないかと思いました。

佐藤先生は、反転授業を導入する以前から、学び合いなどのグループ授業に関心があり、実践されていましたが、45分の授業ではグループワークや個別指導に割ける時間が十分に取れなかったそうです。

反転授業を導入したことで、個別にサポートする時間が取れるようになったということがビデオの中でも触れられていました。

グループワークの後は、意見発表、意見交換で、佐藤先生の

「どうしてこうなったのか、みんなに分かるように説明してください」

という指示により、生徒が考えを説明します。

このような時間も、反転授業によって生み出されたものだと思います。

ノートの左側の予習ページの最後と、ノートの右側の授業ページの最後には、分からなかったことや感想を書きます。

このような「振り返り」の作業を行うことで、理解度の定着、疑問点の明確化が起こるのではないかと思います。

 

小学生でも、高校生でも、予習率を高めるための工夫は共通?

佐藤先生の授業の様子を動画で見て、小学生と高校生との違いがあるのにもかかわらず、芝池先生の実践例との共通点を強く感じました。

・ノート作りを中心に据える
・教師と生徒との信頼関係の中で学習姿勢を整える

という2点は、佐藤先生の授業でも重要なポイントで、これらが徹底されるように授業が工夫されているようでした。

すでに2年間の実績がある佐藤先生の反転授業の実践は、今後、小学校で反転授業を実践される先生方の大きなヒントになるものだと思います。
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