教室を外に繋いでいくことが簡単にできる時代がやってきた
「反転授業の研究」の田原真人です。
この1ヶ月間で、オンラインコミュニケーションについていくつかの新しい経験をしました。
その経験を通して、確実に自分の意識が変化してきているのを感じています。
オンラインの場創りの可能性は無限だということを、改めて感じています。
今年になって出会ったZoomというビデオチャットは、接続が簡単で、画像や音質もクリアなので、本当に簡単に繋ぐことができます。
テクノロジーの発展により、遠隔地と簡単に繋ぐことができるようになると、ハードの問題は小さくなり、人脈とプロデュース力というソフトの部分が重要になってきますね。
僕の意識を変えたいくつかのチャレンジについて紹介したいと思います。
ホームルームでキャリアについて話しました
立命館守山高校の倉本龍さんから次のようなメッセージをいただきました。
田原さん、10/29(木)10:30-11:30頃って時間ありますか?うちの生徒とディスカッションorぼくらのディスカッションを見せるイベントをできないかと思っています。
学内の成績を上げることに気持ちが向きすぎていて、学ぶことを狭く感じている生徒たちに僕のキャリア形成を紹介することで、いろんな道があるのだということを教えたいということでした。
30分間くらい僕が話した後、福岡から和田美千代さん、大阪から平野貴美枝さんが加わり、倉本さんも加えた4人でディスカッションし、生徒からの質問も受け付けるというイベントでした。
倉本さんがZoomのルームを立て、3人が、オンラインで立命館守山高校の教室を訪問しました。
このイベントの面白いところは、繋がっている4カ所のうちの1つが教室という「場」であるというところです。
個人の場合は、自分から繋がろうという意志がないとオンラインの場に繋がらないですが、「場」に繋いでしまうと、そこにいる人は、本人の意志と関係なく、いきなりオンラインの場に繋がってしまい、オンラインの場を体験してしまうのです。
倉本さんのクラスの生徒さんは、何の準備もなく、それを体験することになりました。
また、このような企画をすぐに実現できるのは、倉本さんがオンラインでアクティブに活動することで遠く離れた人たちと信頼関係を紡いでいるからですね。
この試みの詳しいレポートはこちら → 立命館守山高校でオンライン・キャリア教育
教室などのリアルの場と個人をオンラインで繋ぐ
という組み合わせには、これまでになかった大きな可能性を感じました。
ホーチミンと仙台のカフェ同士を繋いでみました
11月7日、8日でベトナムのホーチミンに行ってきました。
ホーチミン工業大学で反転授業についてのプレゼンをし、その翌日に、「反転授業の研究」でもおなじみの組織コンサルの鈴木利和さんに紹介してもらったコミュニティカフェKarappoを訪れました。
そこは、日本語教師の矢野周平さんと高橋遼が経営しているカフェで、お二人は、日本語を学習するベトナム人と、ベトナム在住の日本人とを繋ぐ場にしたいとおっしゃっていました。
矢野さんは、
教師が場をコントロールするのではなく、そこで交流する人が自然と繋がり、学び合えるような場にしたいから、お店の名前はKarappoなんです。
とおっしゃっていました。「反転授業の研究」で、コミュニティでの学びを経験している僕は、矢野さんの言葉に共感しました。
3人でオンラインの可能性について考えているときに、Karappoと日本のどこかを繋いだらどうだろうかという話になりました。
日本語を学んでいて、いつか日本に行ってみたいと思っているベトナム人にとって、PCの画面が日本に繋がっていて日本語ネイティブスピーカーに学んでいる日本語で話せるのはエキサイティングなことなんじゃないか!
そんなことを話しました。
一方、日本のカフェにとっても、PCの画面の向こう側がベトナムに繋がっているというのは不思議な感覚で、エキサイティングなことなんじゃないか!
そう思ったら、早速試してみたくなりました。
仙台にあるコミュニティカフェSawa’s Cafeの店主、佐藤さわさんに声をかけ、6日間連続でカフェとカフェを繋いでみました。
これは、予想以上に、予想外のことがたくさん起こりました。
初日には、「なんだかSawa’s Cafeに行かなくちゃいけない気がする」と感じたお客さんがSawa’s Cafeにやってきたところ、ホーチミンに繋がっていてびっくり!そのお客さんの亡くなったお母さんはベトナム人で、お墓がホーチミンにあるのだとか。ベトナム語で画面の向こうのベトナムに話しかけていました。
Sawa’s Cafeでやっていたライアーという楽器の演奏を、ホーチミンのお客さんが聴いたり・・
日本語を勉強しているベトナム人のHaさんが、勉強したばかりの日本語でSawa’s Cafeのお客さんに話しかけたり・・
話を聞きつけたベトナム雑貨のお店も繋がってきて3ヶ所の場が繋がって話したり・・
育休中の人が繋がってきて、Sawa’s Cafeでやっている育児イベントに加わったり・・
いろんなことが起こりました。
入院中の妹を誘って、オンラインカフェに行きたい!という声もありました。
カフェに行けない人がオンラインカフェなら行けるという可能性もあるんだ!と視界が広がる思いでした。
僕も何回か繋げてみましたが、そのときは、Karappoにオーストラリア人のお客さんが来ていて、その方と英語で話しました。
歯の治療がオーストラリアは高いから、ホーチミンに来て治療しているんですよ。
骨折したりすると、痛みを我慢して、飛行機に乗って、ホーチミンに行く人もいるんですよ。
という話を聞いて、「へぇーー」と思いました。
そんな経験が、自宅からできてしまうってすごいことですよね。
ルームのURLは、Green Bird Cafeという国際交流のオンライングループで公開していたので、個人もあちこちから繋がってきました。
カフェを画面に大きく出しながら、オンラインで繋がっている友達と雑談していると、友だちを誘ってカフェに行って話しているような錯覚に陥りました。
今回は、
リアルの場×リアルの場×個人
を繋ぎました。
オンラインで個人同士をつなぐと、オンラインコミュニケーションに慣れている1%の人しか参加しないんですが、普通ならオンラインの場に参加しないような人がカフェを訪れると、そこに画面があり、異国に繋がっているということで、いきなりオンラインコミュニケーションに突入してしまうわけです。
普通の人をオンラインの場に誘うことが、リアルの場同士をオンラインで繋ぐと可能になるんですね。
この企画も、ホーチミンと仙台という離れた場所に住む店主を、共感ベースで繋ぐことができたところからスタートしました。
オンラインで遠く離れた人たちの心が繋がり、それぞれが持つリアルの場を繋げていくことで、場を訪れる人にエキサイティングな経験をもたらしていく、そしてその経験をもたらしてくれる場という価値をお互いが生み出していく。
ホーチミンではホーチミンであることは価値がないし、仙台では仙台であることは価値がないけれど、ホーチミンでは仙台は珍しいし、仙台ではホーチミンは珍しいから価値がある。
遠隔地を繋ぐことで、双方に価値が生まれ、違いが学び合いのエネルギーを生み出しています。
この試みの詳しいレポートはこちら→ シンクロしている遠隔地を繋ぐことで双方に価値を生み出す
教室を簡単に外に繋げる時代に教師は何を考える?
これらの試みを通して、
教室を簡単に外に繋げる時代がやってきた
ということを実感しました。
Zoomを使えば、本当に簡単に繋ぐことができます。
ですから、技術的な問題は、これから5年間のうちにほぼ消えていくことは確実だと思います。
だから、
・どこと繋ぐのか(教師のネットワーク力)
・何のために繋ぐのか(教師の企画力)
が重要になってくると思います。
教師自身が、オンラインで関係性を紡いでいくことによって、国内、国外の学びの友と繋がっていくことができ、その学びの友がオーガナイズしている場へ自分の教室を繋いでいくことが可能になります。
繋ぐことが可能になったとき、どのように場を創り、何を生み出すのでしょうか?
いよいよファシリテーションの力が問われる時代がやってきます。
まずは、オンラインのコミュニケーションを体験してみてください。
体験することで、様々なアイディアが湧いてくるようになると思います。
オンライン講座「ファシリテーション&コーチング講座」の申し込みは、11月17日まで。
・ファシリテーション&コーチングの基礎技術を学ぶことができ
・オンラインの場創りを体験することができ
・たくさんの学びの友を作ることができる
それができる唯一の講座です。
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