学外の人がどのように授業に関わるのか2 —見学者という役割—
田原です。こんにちは。
2014年の12月に、京都精華大学の筒井洋一さんの授業「情報メディア論」を見学してきました。
見学者が、授業に加わっても良いということだったので、ぜひ参加したいと思い、学生のグループの中に加わりました。
そのときのレポートはこちら
筒井さんの授業には、いろんな人が参加していて、小さな社会のようになっているのが特徴的でした。
教員と学生という2者の構造が崩れたことで、関係性が緩んで、いろんな動きが生まれる可能性が出てきます。
見学者として参加した僕も、せっかくだから、何かしらの形でここに貢献しようという気持ちで参加しました。
このような授業を続けたら、どんなことが起こるのか。
筒井さんの報告がとても楽しみです。
筒井さんからのメッセージです。
【2月勉強会に向けて講師からみなさんへ4.】
学外の人がどのように授業に関わるのか2 —見学者という役割—
3.でお伝えしたように、授業協力者(Creative Team:略称CT)という授業の外部者が入ってくることですべてが変わってきました。CTとは、15週間、教員と一緒に授業を創る学外ボランティアのことですが、彼らを中心に授業が動くことで、これまでの授業という常識が崩壊したのです。実は、CT以外の外部者として、見学者がいます。本日は、その話をします。
私が、CTの活躍を見てもらいたくて、授業に見学にぜひお越しくださいという呼びかけをしたら、実にたくさんの方が見学に来て頂きました。のべ見学者は2013年前期95名、後期65名、2014名前期70名、後期120名でした。一つの授業に、しかも無名の大学の、無名の教員が実施する授業にこれだけ多くの見学者が来て頂けるのです。そもそも大学の授業に見学者がいること自体が珍しいのに、その中でもこの授業には多くの方がお見えになるという事実は、驚くばかりです。
ただ、見学者というと、教室の後ろから学生の動きを見ているオブザーバー的な役割をすると思われがちです。しかし、この授業では、オブザーバーと言うよりも、学生の同伴者か、参加者という位置づけです。
学生がチームに分かれた時には、チームに入って学生に対してファシリテーターを務めることもあるし、場合によれば、学生と一緒になってプロジェクトに取り組むこともあります。つまり、単なるオブザーバーではなく、学生のサポーター的な役割を担っているため、見学者という本来の役割から見学者が逸脱してきました。
見学者なかには、大学教員、大学職員、研修講師、キャリアカウンセラー、高校教員など対人コミュニケーションの専門家が多いため、学生との向き合いに精通し、グループワークやリフレクションの経験が豊富です。こういった専門家が見学に来られるわけですから、単なるオブザーバーにしておくのはもったいない。しかも、大講義だと教員の目の届かない学習者もいますので、個別の学生をフォローしてもらうのはとてもありがたいです。
更に、頻繁に来て頂ける見学者はさらにありがたいです。2013年前期の授業では、3名の見学者が15週中10週来て頂きました。2014年度には、ほぼ毎回来て頂いた前高校教員もおられます。しかし、このような例は特に目新しいわけではありません。学生やCTと深く接点を持つ中で、頻繁に来て頂ける見学者が増えてきました。
見学者がオブザーバー的な役割から、学びの同伴者へと役割が変化してきたこと。それは、学習者にとっては、当初、見学者=見知らぬ人であったことから、見学者=学生の知り合いとなり、やがて見学者の取り組んでいる学外プロジェクトに学生が関わるようになりました。
授業を外に開いた結果、そこから学生が外に広がっていくようになりました。授業と社会との接点を広げて、境界を越えていくこと。そこにこそ授業の学びの意味があると思っています。
2月17日勉強会では、こうした実践について話していきたいと思います。
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