オンラインとリアルのネットワークをつなぐ

日常的にFacebookなどを使用していると、ネットの世界がリアルの世界を覆っているような錯覚に陥りそうになります。
 
 
でも、Facebookのユーザー数は、
 
 2100万人 (Source : nikkei, Date : 2013年8月)
 
日本の人口
 
 12700万人(2014年6月)
 
と比較すると、約17%
 
 
日本の83%の人は、Facebookをやっていません。
 
 
Facebookグループ「反転授業の研究」には、たくさんの実践者の方が集まり、活発に情報や意見のやり取りがなされていますが、グループ外にもたくさんの実践者の方がいらっしゃいます。
 
 
グループ外の実践者の方ともつながることができ、交流できるようになったら、実践の輪が広がっていきそうです。
 
 
7月20日からスタートするAL型授業実践スキルアップ講座では、

・Facebookグループで活動している方
・小林先生が全国を回ってリアルの場でつないでる方

が出会うことになると思います。
 
 
新しい出会いが生まれることでしょう。
 
 
今回の講座では、交流が活発になるように、4人程度のグループを作り、1週間ごとにメンバーをシャッフルしていきます。
 
 
小林さんの問いかけをガイドに、グループの力を借りながら、AL型授業に対する理解を深めていきます。
 
 
第1回の講座というのは、まだ、実績がなく、参加しにくいものです。
 
 
その中で参加してくださる方は、意識がとても高く、チャレンジ精神あふれた方ばかりです。
 
 
そこでどんな化学反応が起こるのか、とても楽しみです。
 
 
講座について、何か質問がありましたら、運営の田原真人までお問い合わせください。

7月20日24時で申込受付終了!

「AL型授業実践のためのスキルアップ講座」の詳細はこちら

※20名限定です。

AL型授業スキルアップ講座にお申込みいただいた方の声 part 1

AL型授業を実践する意義の1つは、
 
「自分で学ぶ力をつける」
 
ということだと思います。
 
そして、それは、知識基盤型社会では必須のスキルです。
  
 
AL型授業スキルアップ講座では、第4週で「授業の意義づけ」をテーマに学びあいをします。
  
  
その中で、知識基盤型社会においてAL型授業がどのような役割を果たしていくのかを一緒に考える予定です。
 
 
また、実践を進めていく上で、仲間の存在は不可欠です。
 
これは、本当に、今、実感していることです。
 
 
AL型授業を実践している仲間どうして、お互いにモチベーションを高めあっていけるように、コアチームを作る重要性を感じています。
 
 
すでにお申込みいただいている方の声の一部をご紹介します。

●古山竜司さん

21世紀は教育の革命。Flipped Leaningによって、教育の質が変わってきました。コンテンツができ、LMSによって、学習管理ができる。
でも、一番大切な授業が今までと同じであれば意味がありません。
学習者が能動的にさまざまな課題に取り組み、詰め込み型の教育とは違う、自分で考え自分で行動できる人材の育成を目指しています。
そこで、本講座の案内を頂きました。

私の仕事は、学校ではなく塾ですが、学ぶということでは同じです。
21世紀型の教育を日本から発信することで、子供たちに自信と勇気を与え、世界に羽ばたく人になってほしいと心から思います。 そのためにも自ら学び、自ら行動するというのは私からではないかということでこの講座でいろいろなことを学び、子供たちに還元していきたいと思っています。

わくわくしています。よろしくお願いします。

●小河節生さん

ALを実際にやってはいますが、無手勝流。
いろいろ学んで受講者に喜んでもらいたい。

●加藤浩吉さん

現在、中学1年と高校2年の数学の授業を受け持っています。
自分なりにアクティブラーニングを実践しているつもりですが、まだ手応えを感じていないので、この講座でスキルアップしたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。

7月20日24時で申込終了!
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※20名限定です。

知識基盤型社会で必要なこと

先日、シンガポールに出張してきました。
そこで、二人の友人といっしょに食事をしました。
  
 
一人はコンサルタントで、一人はエンジニア。
 
 
社会のこと、教育のこと、テクノロジーのことなど、しゃべっていたら、あっという間に4時間が過ぎました。
 
 
その中で、エンジニアの友人から出た2つの言葉がとても印象に残りました。
 
 
印象の残った言葉(1)
 
「俺は、自分でベンチマークした結果しか、信じない」

 
 
これは、教えられたことや、情報を鵜呑みにするのではなく、自分で仮説と検証を行って、裏を取っていくということだと思います。
 
 
旧来の学校教育は、誤解を恐れずに言えば、教科書の内容という「正しいこと」を、一方的に教えることが中心だったと思います。
 
 
しかし、知識基盤型社会で生きていくためには、次々と生まれる玉石混合の最新情報を読み解き、自分の創造的な活動に生かしていく力が必要となります。
 
 
そのときに重要となってくるのは、どうやって「正しさ」を、自分で確かめるのかという方法論を持つことだと思います。
 
 
「これが正しい」と教えるのではなく、「こうやれば正しいことが確かめられるよ」という方法論を教えることが、これからは重要になってくると思います。
 
 
そんなことを考えていたときに、先ほどの言葉に出会いました。
 
 

印象の残った言葉(2)
 
「一人だと続けられないので、続けるためにフィードバックを利用している。」

 
 
これも、僕が最近、強く感じていることでした。
 
 
何かを思いついて、やろう!と思い立っても、2-3週間すると、熱が下がってきます。
 
 
でも、そこに仲間とかお客さんとかがいて、フィードバックがあると、モチベーションに薪がくべられて、燃やし続けることができます。
 
 
その仕組みに気づいて、最近は、とにかくグループを作ることにしています。
 
 
Facebookグループとか、「反転授業の森」の研究グループとかは、行動を継続するための駆動力になりえると思います。
 
 
グループからのフィードバックがあるおかげで、以前よりも、はるかに行動が持続するようになりました。
 
 
 
エンジニアとしての卓越したスキルを持ち、得意分野で他の人にはできない開発を行い、集中して仕事をするためにシンガポールに住んでいる友人は、少しだけ「未来」の生活をしています。 

彼は、知識基盤型社会の空気を吸って生活しています。
 
 
その彼から出てきた言葉が、

・自分で正しさを確かめる方法を持つこと
・継続するための仕組みとして仲間を作ること

 
であったことが、とても興味深かったです。

小林昭文さんが作り出す場

小林昭文さんのアクティブラーニングの研修は、多くの場合、小林さんの物理の授業を体験するという形態を取るそうです。
 
 
これは、小林さんの作り出す場を、実際に体験するためだと思います。
 
 
僕は、小林さんの授業を受けたことがないのですが、
 
「物理なんて、やったことがなくて自信がありません」
 
と言っていた先生たちが、夢中になってグループワークをして、物理の問題を解くのだそうです。
 
 
そして、それは、参加した先生にとって「強烈な体験」になるはずです。
 
 
自分は、いったい何を経験したのか?
 
同じことを自分が引き起こせるようになるためには、どうしたらよいのか?

 
 
経験を言語化していく過程で、自分で自分の目標を言語化することができると、そこから力強い行動が生まれていくのではないかと思います。
 
 
そして、それこそが、小林さんの研修の目的なのではないかと思います。
 
 
先日、オンラインで小林さんがコーチになり、アクションラーニングセッションを行いました。
 
 
オンラインとリアルの違いはあると思いますが、はじめて
 
「小林さんが作り出す場」
 
を体験しました。
 
 
 
すごかったです。

課題を提供してくださったGさんからは、驚くほどの長文の振り返りアンケートが届きました。きっと僕がシンガポールで受けた体験と同じような体験をしたのではないかと思います。
 
 
 
「AL型授業実践のためのスキルアップ講座」は、ITの力をうまく利用しながら、オンラインで小林さんが作り出すグループでの学びの場を体験し、振り返りによって行動へつなげていく講座です。
 
 
 
小林さんのアクティブラーニング研修を受けたことがある人は、その衝撃の大きさを、きっとご存じだと思います。
 
 
それを、オンラインでも同様の学びを引き起こすことができれば、地方に住んでいる方や、仕事が忙しくて昼間に参加できない方でも、
 
「生徒の思考を増幅させることができるガイド役」
 
になるスキルを身に付けることができます。
 
 
 
先日のアクションラーニングセッションを体験して、僕は、オンラインでも、それができると確信しました。
 
  
講座がスタートするのが、楽しみになってきました。
 
 
 
「AL型授業実践のためのスキルアップ講座」の詳細はこちら
※20名限定です。定員に達し次第、締め切ります。

質問力をつけるためにどうしたらよいか?

小林昭文さんのアクティブラーニングの授業では、教師が、積極的にグループワークに介入します。
 
 
最初に知ったときは、これが、とても意外でした。
 
 
「生徒が能動的に学ぶ」ことを目指す授業なので、教師は黙って見守るのではないかと思ったのです。
 
 
でも、介入の仕方に大きなヒントがありました。
 
 
たとえば、
 
・分からないところを教師が教える。
・教師が、やることを頻繁に指示する。
 
というような介入をするのであれば、生徒の能動性を阻害することになりかねません。
 
 
しかし、小林さんの介入は、そのようなものではありません。
 
 
「質問をする」
 
 
のです。
 
 
質問によって、生徒に考えさせ、グループを探求活動に誘うのです。
 
 
小林さんは、コーチングやカウンセリングの理論を学び、状況に応じて効果的な質問をするためのスキルを身に付けたのだそうです。
 
 
第1回のオンライン勉強会のときに、僕は、小林さんに質問しました。
 
「アクティブラーニングを実践するために、効果的に質問するスキルが 必要になると思いますが、どうやって身に付けたらよいですか?」
 
小林さんの回答は、
 
「アクションラーニング(質問会議)という、質問と回答だけによっておこなうセッションがあります。これが、とてもよいトレーニングになります。」
 
というものでした。
 
 
それ以来、いつか、アクションラーニングをやってみたいと思っていました。
 
 
それから9カ月が過ぎ、使いやすいWeb会議システムが、次々に登場してきました。
 
 
小林さんから、
 
「これを使えば、オンラインでアクションラーニングができるかもしれませんね。」
 
という提案があり、昨日、初めて実験的にアクションラーニングをオンラインで行いました。
 
 
コーチ役の小林さんと5人のメンバーが、ビデオチャットに登場し、一人が解決したい課題を出し、それをどうやって解決すればよいかを、質問と回答だけによって探求しました。
 
 
「どんな質問をすれば、解決へ進めるのだろうか?」
 
 
というように頭を使うことは、とても新鮮でした。
 
また、他の人の質問の仕方を聞いて、質問の仕方には、いろいろなやり方があるということに気づきました。
 
1時間くらいのセッションだったのですが、とても多くの気づきがありました。
 
 
AL型授業実践のためのスキルアップ講座にも、アクションラーニングのエッセンスが練りこまれています。
 
 
まず、はじめに小林さんのテキスト『教師介入の構造』を読み、背景にある考え方を学びます。
 
 
さらに週に1回、事前課題として提出してもらったレポートを元に、一人一人がビデオチャットに登場してもらい、小林さんや、参加者が質問していきます。
  
  
質問されることで、自分の課題についていろいろな刺激を受け、解決へ向けて思考が整理されていきます。
 
 
同時に、そのセッションの参加者全員が、質問力を高めることができます。
 
 
 
ビデオチャットによるリアルタイムセッションと、Moodleでのフォーラムセッションを組み合わせて、効果的に質問力を高めたり、質問されることによって考えを深めたりしていくことを目指しています。
 
 
このような試みは、小林さんにとっても僕にとってもはじめてのものです。
 
 
やってみないと分からない部分もありますが、昨日のアクションラーニングのオンラインセッションを経験して、大きな希望が見えました。
 
  
オンラインならではの強みというものも、いろいろと出てくると思います。

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※20名限定です

問いが誘う魅力的な探求の世界

気軽に始めたFacebookグループが、ある種の使命感と結びついたきかっけは、僕にとってはワールドカフェとの出会いでした。

 
そのあたりの話は詳しい話はこちらに書いています。

自己紹介~3つのキーワードが揃い「使命感」を感じた
 
 
FBグループの桑子さんのブログでワールドカフェについて知り、
『ワールドカフェをやろう』という本を購入し、
感動して著者の香取一昭さんに「スカイプしてください!」とメールし、
アメリカの有名なワールドカフェホストのAmy Lenzoさんを紹介してもらい、
Amyさんが開講したワールドカフェホストのスキルアップのためのオンライン講座に参加しました。

 

すべてが、何かに導かれるように、どんどん進みました。
 
 
Go to meetingというビデオチャットとMoodleを組み合わせた、8週間のオンラインワークショップで、もちろん全部英語。
 
 
冷や汗をかきながら、ビデオチャットで自己紹介したり、同じグループのロシア人女性とスカイプで相談しながらワールドカフェのデザインをしたりしました。
 
 
Moodleでのセッションは、5-6人でグループを作り、1つのフォーラムを共有し、お互いにコメントをしあい、1週間ごとにグループのメンバーをシャッフルするワールドカフェ形式になっていました。
 
 
そこで、文献を読みながら、「よい問いとは何か」ということを、8週間、考え続けました。
 
 
ワールドカフェホストとしての経験豊富なメンバーのコメントがすごく役立ちました。
 
 
Facebookグループを運営するときにも、「問い」ということに、すごくこだわりました。
 
 
自己紹介を読んで、その人が言いたいけど、遠慮して言っていないことは何かということを想像して、それを引き出すためにはどのように質問すればよいだろうかと考えました。
 
 
また、グループ内には、問いの上手な方が何人もいらっしゃるので、その「問い方」を研究しました。
 
 
うまくいかないときのほうが多かったのですが、ときどき、よい質問ができると、そこから話が広がり、多くの人が参加し、豊かな探求ワールドが生まれます。
 
 
そのようなものをみると、「問い」ってすごいなーと実感し、それを、高い確率で引き起こすためのスキルを身に着けたいと、より一層思うようになりました。
 
 
たぶん、FBグループに参加している人は、

「田原は、質問ばっかりしているな!」

と思ったかもしれませんが、僕にとっては、FBグループは、失敗を繰り返しながら、「問い力」を鍛える場だったのです。
 
 
平行して、オンライン勉強会の登壇者の方へのインタビューを始めました。

ここでも、「問い」が重要な役割を果たしました。

インタビューは、基本的にインタビュアーの問いによって進行します。

その人の一番言いたいこと、一番魅力的なところが表現されるためには、どのように質問すればよいのかというのは、とても難しいです。
 
 
でも、表面に出てきている活動の背後にある考えや、その考えが生まれた背景、未来へのビジョンなどをうかがっていき、相手のことをよく理解できるととても大きな喜びがあります。
 
 
ただ機械的にワークシートを埋めるように質問してもダメで、質問している僕の考えや、興味を持っていることと共感して、化学反応が起こらないと、本当に面白いものが出てこないとも感じています。
 
 
うまく対話ができると、1時間後には、大切な部分をシェアできたという喜びと、考えが整理されたという快感があり、とてもすっきりした気持ちになります。
 
 
ワクワクする探求を誘う問いを発することができるようになるためへの精進の日々は始まったばかりですが、1年間継続してやってきて、向かっている方向は間違っていないと確信しています。

 

AL型授業実践のコアチームを作る

アクティブラーニングのオンライン講座を企画し、メイン講師の小林昭文さんと打ち合わせをしたときに印象的なことがありました。
     
それは、講座の目的です。
 

講座の目的

(1)すでにアクティブラーニング型授業を実践している人の授業の質をさらに向上させる。

(2)アクティブラーニング型授業の意義を深く理解し、職場や地域における改革リーダーとして活動する力をつける。

(3)実践者としてのコアチームを形成し、今後も相互支援を続けるチームを形成する。

 
 
僕の心が大きく動いたのは、(2)と(3)です。
 

小林さんは、アクティブラーニングを普及させることで、教育のあり方を変えていきたいのだということが、この目的から伝わってきました。小林さんには、単に参加者の授業を改善するだけでなく、改革の中心になれるような力をつけてほしいという願いがあるのです。
 
 
実践するだけであれば、形を真似することもできます。しかし、改革の中心としてアウトプットするためには、自分のやっていることの意味や意義を理解し、言語化する必要があります。
 
「私は、●●ということを目指して、AL型授業をやっているんです。」
 
とアウトプットしてくことで、共感の輪が広がる可能性が生まれるのです。
 
 
しかし、周りの反応は、必ずしも好意的なものばかりとは限りません。勇気を持って一歩踏み出した後、継続するためには仲間が必要です。
 
 
オンライン講座の参加メンバーが、仲間となってお互いに支えあうことができれば、行動を継続させることができます。
 
 
これが、目的(3)の相互支援のためのコアチームを形成する意味になると思います。
 
 
この目的を見たとき、これまでやってきた、オンラインワークショップのやり方を変える必要があると感じました。
 
 
これまで行ってきたワークショップでは、スキルアップが目的になっていました。相互交流を行う目的は、TTPS(徹底的にパクって進化する)のためでした。
 
 
しかし、今回の講座では、コアチームを作るために相互交流が本質的に重要だと感じました。
 
 
リアルのワークショップであれば、会場で一緒になり、名刺交換を行い、懇親会でしゃべったりして、「知り合い」になることができます。しかし、オンラインだとこのような相互交流がリアルに比べて希薄になりがちです。
 
 
2つのオンラインワークショップやMIT物理翻訳プロジェクトをやった経験から、ビデオチャットでお互いに顔を見ながら話すことが、相互交流にとても効果があると感じました。相手の表情を見ることで言語外の情報が伝わり、安心して関係性を築きやすくなるようです。
 
 
そのため、今回の講座では、ビデオチャットをできるだけ取り入れることにしました。
 
 
第1週の自己紹介では、事前に自分の実践についてMoodleに投稿してもらい、リアルタイムセッションでは、全員にビデオチャットに登場してもらいます。そして、あらかじめ投稿した自己紹介について、参加者から質問やコメントを受け、回答してもらいます。
 
 
さらに、リアルタイムセッションが終わった後、4-5人のグループをMoodleに作り、相互にコメントしあって交流をさらに深めます。このグループは、毎週、メンバーをシャッフルするワールドカフェ形式にします。
 
 
もし20名のメンバーが、お互いにオープンに交流し、信頼と共感で結ばれたコアチームができたら、ワークショップが終わった後も、それぞれの実践を大きくサポートできると思います。
 
 
このようなビジョンをぜひ実現したいと思います。
 
 
「AL型授業実践のためのスキルアップ講座」の詳細はこちら

情報の自己組織がはどのようにして起こるのか

やりたいことをやるために、意を決して一歩を踏み出し、
行動を継続し、切磋琢磨するために仲間を作る。

 
 
僕が、今やっていることは、この2行に集約されるような気がします。
 
 
では、仲間を作るためにどうしたらよいか?
 
 
いろいろな方法があると思いますが、僕がいつもやっていることは、
 
「徹底的にアウトプットする」
 
ということです。
 
 
ちゃんとした形になってから・・・と考えていたら、「そのとき」は、なかなか訪れません。
 
 
今、アウトプットすることを決めて、それから、何をアウトプットするかを考える。
 
 
そういうスタイルも、必要なこともあると思います。
 
 
アウトプットしているうちに、いろいろなコメントをもらうことができ、考えが整理され、だんだんと形になってきます。
 
 
 
インターネットの世界は、情報が情報を呼ぶ世界です。

一番情報が集まっているところに人が集まってきて、さらに情報を追加していきます。

情報に正のフィードバックがかかるのです。
情報の自己組織化です。

僕は、何もないところに何かを作りたいとき、ひたすらアウトプットし続けていきます。

ある種の「相転移」が起こることを信じて、黙々とアウトプットし続けます。

「相転移」は、社会状況にもよりますので、起こることもあれば、起こらないこともあります。

すぐに起こることもあれば、ずいぶん時間がたってから起こることもあります。

ひたすらアウトプットし続け、「相転移」が起こると、「結晶核」になることができます。

同じようにアウトプットしている人たちが集結して意識の高いコアメンバーができ、その一員になることができます。

FacebookのようなSNSができ、Web会議システムなどで会えるようになり、「相転移」が以前よりもはるかに起こりやすくなりました。

反転授業の活動は、最初は、Facebookグループが小さな「結晶核」でしたが、メンバー数が2000名近くになり、グループ内グループを作る段階になりました。

Facebookグループで、自分の考えやプランをアウトプットし、同じようなビジョンを持っている人とつながってグループを作ることで、ビジョンを実現していってもらえれば、とてもうれしいです。

そのために、グループ内に

「多様性を認め、自由に意見を言える空気」

を、引き続き維持していきたいと思います。

そして、グループ活動の場として、「反転授業の森」を自由に使ってください。

グループ内にグループができるフラクタル構造ができ、小グループと大グループとがお互いに共鳴しあいながら発展していく姿こそ、生態系をイメージして活動している「反転授業の研究」の姿にぴったりだと思います。

AL型授業実践を続けていくために必要なこと

僕が、小林昭文さんのブログを見て、アクティブラーニングに興味を持ち、初めてやってみたのは、2013年の9月です。

アクティブラーニングについて知りたくて、とりあえず小林さんの
ブログや記事を片っ端から読みました。

その中でとても参考になったのがこちらの記事でした。

この記事の中に、小林さんが具体的にどのようにして授業をしているのかが詳しく説明されていました。

小林さんは物理が専門だったため、物理講師の僕にとっては、具体例や、演習に使っている問題の難易度を把握できたのは幸運でした。

まずは、見よう見まねでやってみようと思いました。

記事では、グループワークのときに、次のような2種類の目標を生徒に提示していました。

—*—*—*—

【態度目標】
しゃべる、質問する、説明する、動く、 チームで協力する、チームに貢献する

【内容目標】 理解すること

<用語を理解する>
熱、熱量、熱平衡、熱容量、比熱、熱量の保存

<イメージを描く>
熱(量)が移動して温度が変わることをイメージできるようにする

—*—*—*—

何のために、このような2種類の目標が必要なのかは、分からないまま、とりあえず、まったく同じ態度目標を設定し、波動分野について、同様の内容目標を設定しました。

そして、オンラインで問題演習型のグループワークを行いました。

基礎問題と応用問題の2種類を与え、4つのグループに分かれてグループで相談しながら解いてもらいました。

初めてのグループワークだったので、何が起こるのかが分からず、どきどきしながらの実践でした。

このとき、小林さんや横山さん、そして、勉強会で後にグループワークやキャリア教育について登壇してくださった鈴木映司さん、桑子研さんが見学に来てくださったり、グループワークに加わってくださったりしました。

彼らからのフィードバックがもらえたことで、自分では気づかなかったことに気づくことができました。

そして、何より、「面白い」と言ってもらって、ポジティブな反応をもらえたことが、モチベーションになり、そのあと、アクティブラーニング型の授業を続けていこうという気持ちが高まりました。

今から思うと、やりたい!と思って一歩を踏み出したときに、幸運にも仲間ができて、フィードバックをしてくれたり、エンカレッジしてくれたりしたことが、とても大きなポイントだったと思います。

7月20日からスタートする

「AL型授業実践のためのスキルアップ講座」

は、反転授業やアクティブラーニング型授業に対して一歩を踏み出した人が集まる講座です。

きっと、ここで、実践を継続していくために不可欠な仲間をることができると思います。

今回の講座は、「仲間作り」も重要な要素だと考えていて、そのための工夫も組み込んでいます。

講座の詳しい内容をこちらで確認する↓
http://flipped-class.net/al/

やりたいことを実現するために必要なもの

「反転授業の研究」の田原です。
こんにちは。

 

僕は、本を読んだり、講演を聞いたりして感動し、

「よし、自分もやるぞ!」

と思うことは、よくあります。

 

しかし、そのすべてを行動に移すことができるわけではないし、行動を継続して、何かの形にできるわけではありません。

 

30代半ばに差し掛かったころ、予備校講師の先輩から話をうかがう機会がありました。

その方がおっしゃっていたのは、

「こんなに長く予備校講師をやるとは思わなかった。」

「大学院生のときにアルバイトで初めて、あっという間に60歳になった。」

ということでした。

 

当時は、予備校講師としての仕事が、ある程度、軌道に乗っていたころで、徐々にルーチンワークに入っていたころだったので、その話には、本当にリアリティがありました。そして、ある種の恐怖を感じました。

やりたいと思っていることを先延ばしにすると、いつまでたってもやらないで終わってしまうのではないか。

意識して行動に移していかなければならないのではないか。

そのように決意し、1つ1つを後回しにせずに行動するように決めました。

 

しかし、第一歩を踏み出した後に、それを継続していくことは、別の難しさがありました。

 

始めてみたものの、目に見えた成果が上がらないうちに、モチベーションが下がりやめてしまうことが多いのです。

 

期間を決めて、結果が出ても出なくても3か月は続けるというルールを作ってみたり、いろいろとやってみたのですが、結局、意志の力だけでは、継続率を十分に上げることできず、多くのチャレンジは、尻すぼみで終わってしまいました。

 

やろうと思い、行動に移すだけではダメで、それを継続する仕組みが必要だと感じるようになりました。

 

最近、読んだ本に、ヒントがありました。

『アイディアの99%』という本です。

反転授業の勉強会で登壇してくださった鈴木利和さんが、推薦してくださいました。

 

この本は、

「ほとんどのアイディアは実現されずに消えてしまうのだから、 アイディアだけでなく、アイディア実現力が重要だ」

と主張しており、アイディアを実現するために必要な要素を具体的に説明していました。

 

この本では、

アイディア実現力=発想力+整理力+仲間力+統率力

というフレームワークが紹介されていました。

 

僕がアイディアを実現できなかったのは、仲間力と統率力の部分が欠けていたからだと思いました。

 

また、一方で、反転授業に関する活動では、幸運にも、多くの仲間と出会うことができ、それが、活動を継続するモチベーションにつながっていると思います。

行動を継続し、やりたいことを形にするために「仲間」の存在は不可欠だと思います。

 

「反転授業の研究」は、参加者がやりたいことを形にするために、仲間を募ることのできる場としての役割も果たしたいと思います。

「反転授業の森」の研究グループや、オンライン講座で仲間と出会い、チャンスがあればリアルでも会って関係を深め、一人ではなかなか
できないことを、グループの力を借りてやり遂げていく・・・・。

そのような動きをエンカレッジしていきたいです。

「AL型授業実践のためのスキルアップ講座」の受付開始!

Facebookグループ「反転授業の研究」は、現在は約2000名の方が参加してくださっている大きなグループになりましたが、2013年8月頃は、わずか20名程度しかいない小さなグループでした。

 

動画講義配信をしている人たちで集まり、反転授業をやる場合、教室では何をやったらいいのだろうか?などとオンラインで議論していました。

 

当時は、グループ自体が「種」だったのです。
発芽して、大きく育つためには、様々な条件が必要でした。

 

きっかけは、意外なところからやってきました。

 

2013年の夏に東京出張の予定があり、せっかくだから東京で、誰かとミーティングして、話をうかがいたいと思い、ミーティングの相手を探していたんです。

当時は、反転授業の実践者はとても少なかったので、グループワークの実践者と会いたいと思い、検索していたら、小林昭文さんのブログを見つけました。

授業研究AL&AL

 

このブログに、アクティブラーニングについての考え方や、具体的な実践方法など、僕が知りたかった情報がびっしりと書いてありました。

 

早速、小林さんにメールで連絡を取りました。

 

東京滞在中の予定が合わず、そのときにはお会いできなかったのですが、スカイプでお話しました。
それをきっかけに、自分の実践にアクティブラーニングの要素を入れてみることになりました。

 

オンラインで行ったため、小林さんも見に来てくださり、それをブログで紹介してくださいました。
動画講義作成にノウハウを持っているグループと、アクティブラーニングにノウハウを持っているグループとが、それをきっかけに出会うことになりました。

 

ここで、「種が発芽する条件」が整ったのです。

 

偶然が味方してくれた部分も大きかったです。

 

小林先生のFacebook投稿を見て、横山北斗さんが、僕に、Facebookでメッセージを送ってくださいました。
びっしりスケジュールを詰めていたのですが、1時間ほど空いていたので、喫茶店でお話しすることになりました。

 

横山さんは、仕事を早く切り上げて会いに来てくれました。次に予定されていたミーティング相手が急用でキャンセルになり、横山さんと3時間以上、いろいろな話をすることができました。

 

横山さんは、大学院で教育学を専攻し、学びあいやアクティブラーニングの理論的な部分をよくご存じで、僕が、小林先生のブログを読んで感じていた疑問について的確に回答してくれました。
これが、とても助かりました。

その後、オンラインでの物理の授業のグループワークにも挑戦。

 

小林さん、横山さんをはじめ、Facebookグループに加わってくださったグループワークの実践者の方が見学に来てくださいました。

 

実際にやってみて、アクティブラーニングをもっと学びたいという気持ちが強くなりました。

 

そこで、

「オンラインで勉強会をやりませんか?」

と提案しました。

 

こうして「反転授業オンライン勉強会」がスタートしました。

第1回の登壇者は、

小林昭文さん

横山北斗さん

芝池宗克さん

の3人。

 

ブログやFacebookで告知したところ、なんと100名ほどの人が集まりました。

 

そして、参加してくださった100名の方が、「100名が集まった驚き」を共有しました。
ここで、強力な正のフィードバックがかかり、Facebookグループは口コミでどんどん広がっていきました。

 

当時の感想はこちら

「全国から約100名が集まった!反転授業オンライン勉強会」

 

アクティブラーニングを学びたい人が、オンラインで学べる講座を作りたいという構想が、そのとき生まれました。
しかし、どうやってそれを実現したらよいのかが分かりませんでした。

 

それから9か月が過ぎ、それまでに、動画講義、授業設計のオンライン講座を実施し、様々なノウハウが蓄積してきました。
機が熟したと感じました。

 

7月20日から、4週間完結で、「AL型授業実践のためのスキルアップ講座」を実施します。

メイン講師 小林昭文
サポート  横山北斗
運営    田原真人

でチームを組んで行います。

 

2013年の夏の出会いのときに生まれた構想が、ついに形になりました。
サポートを充実させ、受講者間の交流を活発にするために、20名限定で行います。

詳しくはこちら

プロジェクトが自己組織化されるために必要なもの

「反転授業の研究」の田原です。
こんにちは。

何もないところから自然発生的に構造が産み出されるための仕組み。
それが、「正のフィードバック」です。

ちいさな揺らぎに正のフィードバックがかかり、どんどん増幅されていくことにより、無秩序から秩序が自己組織化されるのです。
これは、生命システムが構造化していく仕組みそのものです。

「反転授業の研究」は、「多様性のある森を育てる」ということをコンセプトにして運営しています。

その心は、グループ内に生まれた種に正のフィードバックをかけて大きく育て、様々な価値を生み出していこうということです。
グループ内には、

・このような課題があります。
・このようなスキルを身につけたいです。

という情報があり、その一方で、

・このような方法で課題解決ができます。
・このようにすればスキルを身につけられます。

という情報を持っている方もいます。

情報が、広く共有され、適切なマッチングがなされることで、問題解決やスキルアップのための一歩が踏み出され、さらに、一緒に高めあっていくためのコアチームが生まれることで、行動を継続することができ、価値を生み出すことができるのではないかと思います。

今、僕が主催者としてやっていることは、

FBグループ内の動きに注意を払い、小さな種を見逃さず、大きく育つための環境を整えることです。

最初の段階では、手作業で正のフィードバックをかけています。

しかし、グループが大きくなるにつれて、正のフィードバックがかかる仕組みを、システムとして内在する必要性を感じてきました。
そのためにできたのが「反転授業の森」です。

ここでは、誰もが「こういうことをやりたい」と手を挙げて、研究グループを立ち上げ、仲間を集めることができます。

すでに、動画講義作成や、授業設計の研究グループが立ち上がり、プロジェクトがスタートしています。

ここは、誰にでも開かれた場です。

ゴールも1つに決まっていません。

核になる人のパッションが、周りの人の共感を集め、グループが生まれ、行動が生まれるという動きが、多くの価値を生み出すのではないかと考えています。

 

第10回反転授業勉強会「生徒が語る反転授業(2)」への感想

6月27日に実施した第10回反転授業オンライン勉強会「生徒が語る反転授業(2)」は、第1部に登壇者の発表を行い、第2部にグループワークを行いました。

勉強会の内容の詳細についてはこちらをご覧ください。

 

第1部にいただいた感想はこちら

久しぶりの参加でしたが、面白かったです。ありがとうございました。
反転授業とライブの除業はそれぞれ役割があって、そこで何をすべきか予めはっきり定義しておく必要があると思いました。
今日は2部には参加できませんが、次回は是非とも参加したいです。
よろしくお願いします。
今日初めて最初から落ち着いて参加できたと思います
ユーザーの声が聞けたのは良かったです。
予習済みでしたのでだいたいの内容が見えて、今までの中で一番落ち着いてみれたかもしれません。
授業に予習して臨む、という作法を身につけさせるのも先生の仕事だと思ってますが、まさに授業動画が一つの有力な手段の一つになったと思いました。
その上で、予習動画の中身のクォリティー、特に尺について、長い動画でも、短く感じるものを作らなければならない事を痛感しました。
反転授業に参加された高校生、大学生のナマの声がきけて、
それもよい点に偏らず悪い点もしっかり指摘されていて
貴重な機会となりました。
反転授業に取り組み始めたのが今年からということもあり,非常に新鮮な気持ちで発表を聞いていた.
実践例を聞けたことで,今後の研究に関する方向性のヒントをたくさん得ることが出来ました.
生徒の声が聴けてよかったです。
同じような感想を聞けたので
参考になりました学生に動画を作らせて
後輩に見せるという
能動的にかつ強制もかかり
一つの方法としてよかったです
やはり、生徒さんの声が興味を持てました。きちんと意見を出しているのがすごかったです。自分の反省とメタ意見。
大学の事例を伺えて参考になりました。
授業デザインの方法ととくに「ルーブリック」に関心を持ちました。エビデンスをきちんと出していかなければ議論になっていかないと思いますので、ルーブリックは重要です。
自分が登壇者だったので(笑)というか,途中(うちの学生のインタビューが始まったところ)でなぜかローディング中となったまま画面が固まってしまい(汗)再度,入り直しました。このため,二田さんのところが見れずに終わってしまいました。
事前資料に無かった部分が特に興味深く感じました。受講生のインタビューは(多少反転授業などに興味のある生徒というバイアスがかかってはいますが)スマホでの受講率、社会人向けの授業設計との意見が出るなど良いサプライズが豊富でした。
東京国際大学の実践は、かなりデザインされた、学生に効果のあるものだと感じました。コンテンツも興味を引き学習を継続するものだと思います。また、JMOOCへの生徒参加については、やはり予習時間の確保と知らない人との掲示板でのコミュニケーションの難しさがあるのだなぁという感じです。
自分自身は教育関係に直接携わってきたわけではないので、色々と新しいお話を聞くことができて非常に興味深かったです。特に、生徒さんの生の声が聞けたのは貴重な体験でした。(ドコモからEvernoteに出向している立場上)gaccoやEvernoteのシステム的な観点で皆様に貢献ができないかと考えています。掲示板などのシステム側の問題点はまず認識致しました。
東京国際大学の反転授業がとてもシステマチックで素晴らしいと思いました。授業デザインがしっかりされていると感じました。
奈良女子大付属の3人のインタビューを見て感じた事は、自分の考えをしっかり持ち、表現されているなということでした。
高校1年生とは思えない思考力と表現力です。
二田先生の質問も本質的で的確であったと思います。
良い問いが全て、とどこかで聞いた事がありますが、そう感じました。
良い問いを行うためには発問者自身がその内容について深く考え、また相手(生徒)の事を理解していないと出来ないと思います。
動画編集大変だったと思います。お疲れさまでした。
やはり受講している生徒さんの生の声は大変貴重だと思いました。
動画は10分以内、即応性(24時間以内かな?)、双方向のコミュニケーションなどキーになるメッセージが含まれていたように思います。学校では実現できないのですが、一般の人への反転授業のインセンティブに課金システムがあります。お金を払う事でモチベーションを上げる仕組み(高いものがよいわけではなく、必要なときにすっと見ることができるリーズナブルな設定にする事が重要。)が可能ではないかと思っています。掲示板は、用途に合わせて(たぶん管理者が少しコントロールする必要があるのですが、非公開で管理者や講師に向けてのメッセージと公開してシェアするものとを仕分けできるようにできればなぁ~と思います。
高校生の話を聞いて、私が想像していたよりもずっと自由になる時間が少ないことに驚きました。もしこれが共通した状況なのであれば、動画を見るぶん宿題はゼロにする、など時間的な負担が増えすぎないようにしないと、せっかく作成した動画も見られることなく終わってしまう可能性が高いと思いました。

私はこれまで、自分の目指すところは全ての解説的な授業内容を動画にして前もって観てきてもらって、教室では実際に言語を使って何かワークのようなものをする、という形かなと思っていたのですが、もっと、細切れの動画をたくさんにして、カーンアカデミーのようにサイトマップで今自分がどこの解説を聞いているかわかるようにしていった方がいいのではないかと思いました。

これはこれで、作るのはまた大変だと思いますが。
でも、細切れのピンポイントだと、自分が知りたいところのみ見に行けるので、理想に近いと思います。
また、動画を作る時にも、3分ぐらいのものの方が、気軽に作れるのもいいと思います。

(これは、教科によるのかもしれません。私は語学なので、細切れにしやすいというのはあります。
もっと解説に文脈のようなものが必要な教科だと、3分は難しいのかもしれません。)

何かを覚えるための練習でも、教室でみんなでやったほうが楽しいものもあるので、まずは動画で予習させることにこだわらず、教える内容が動画に向いているのかどうか、動画にしたほうが学生にとって勉強しやすいのかと言うことを吟味して、復習用でもいいからかゆいところに手が届くものを作っていきたいと思いました。

あと「サイボウズLive」の存在を知らなかったので、興味深かったです。

 

第2部にいただいた感想はこちら

この2部が始まって、この集まりが刺激的になったと思います。このような「森」を創られた田原先生に感謝します。
もう少し(10分くらい)このコーナーを延ばすと議論が深まるのかな~と思いました。
なにより知らない人、それも、意識のある方との対話が無料で楽しめるのは、なんか申し訳ないくらい、良い月末です。
今回初めて参加させていただきましたが、
いろいろな実践を皆様がされていることを知り、
自分もできることをやってみようと思いました。実践者の中でいろいろなアイデアや便利なツールがどんどん蓄積されているような気がしますので、
それらを書き込めるオンライン上の場があると、
すごく良い集合知となると感じました。今後ともよろしくお願いします。
テキストのみでの参加だったため,回答が遅くやや迷惑をかけたかもしれません.
が,社会人の方から客観的な意見をいただくこともでき,今回のグループワークに参加して良かったと感じています.
直接対話ができるというのはすごくよいです
FBでのコメントも時間差があってもあとで参考になることもあります
直接複数の方と話ができるというのはいいですねOPERAのときの対話が
すごくよかったので参加してみました
楽しかったです 新たな情報を得ることができました
 ビデオで参加できずにすみませんでした。
途中からたとえば第2部からだけというのはなかなかできないので
ビデオと書き込みにしておいて、途中から自分がつなげたらそのままつながるといのもありだと助かります。まったくの家庭の事情からなのですが。
感想では、賢い生徒への影響も大事だが、成績不振の生徒が反転によって成績や学習意欲が上がったという成果がさらに重要ではないかという指摘があった。
また、動画の長さの適切さと、動画のコンテンツとしての面白さや、興味関心を引く度合いをクロスして考えることがこれから必要だという指摘があった。
やはり,チャットで話し合うよりも,ビデオで顔を見ながらの方がしゃべりやすいと感じました。
グループ2では,米国からリアルタイムで参加された方もいらっしゃって,ネットインフラの力を垣間見たってところです。
反転授業の現場の先生にお話が聞けて満足でした。今後も私は反転授業やICT教育を行っている方、関係者にインタビューをしていくので、その良いベースになったのではないかと思っています。私はふだんは北海道の実家に住んでいますが、今日はシュウカツで東京に来ており、ネットカフェゆえにGWにテキストチャットでしか参加できないのがもどかしかったです。次回はぜひビデオで参加したいと思います。
第4ルーム担当でした。一人がビデオ、二人がチャット参加されました。
ビデオでの進行とチャットでの進行が平行しておきているので、こちらからの問いのレスポンスにずれが生じるのでややそこが進行する上で難しかったところです。(何度かやれば慣れてくると思われますが)
議論の時間はあの人数であればあれくらいで十分かなと思いました。
問いはもう一つくらいあってもこなせそうでした。(そこは雑談になってもよいかとも思いましたが・・・) でも4つにわけてルームでちゃんと同時進行できているところは凄いです。田原さんの設計どおりに進んでいるのではないでしょうか。
若干音声が聞こえづらいところがありました。テキストでの参加もスピードは落ちますが確実にやり取りできるので助かりました。
グループリーダーとして参加しました。
最初テキストチャットしか出来ない状態で、テキストチャットで4人で進めていきました。残り15分間でビデオチャットが出来るようになりましたが、テキストチャットに比べ格段にコミュニケーションがとりやすく改めてビデオチャットでのグループワークの効果を感じました。
内容については「反転授業の森」の方へ記載致します。参加していただいた皆様、ありがとうございました。
ここのところWizIQの調子が悪く、よく落ちてしまいます。チャットの書き込みも反応が非常に遅いです。早く、Mac用appがでて欲しいです。複数の人がビデオに参加した場合、音声が途切れ途切れになります。(切れるのではなくおとが極端に小さくなります。─ノイズキャンセラーのせい??)画像は、クォリティが下がってもあまり気にならないのですが、音声が不安定なのは結構ストレスですね。

テキストチャットの方は、記載が結構大変なようです。

なるべく井戸端会議的に、意見交換をしたかったので、皆さんにその旨をお伝えしてやってみました。
みなさんが積極的に発言してくださったので、とても勉強になりましたし何より楽しかったです。
(隣の部屋にいた主人からは「お前ばっかりしゃべってたんじゃないの?笑」と言われてしまいましたが。「イヤホンのせいだよ!」と反論しておきました)ハウリングの問題さえなければ、話し合いの様子をそのままDoceriで録画できるのに・・・。←これができて、共有できたら最強ですよね。詳細は、反転授業の森に投稿いたしましたのでそちらをご覧ください。
今からもう次回が楽しみです。

勉強会の録画動画は、「反転授業の森」で見ることができます

この勉強会の録画動画を、SNS「反転授業の森」で見ることができます。

「反転授業の森」はこちら

 

株式会社ハンテンシャ代表 加藤大さんにインタビュー

2012年にこのブログを細々とはじめたときには、反転授業についての情報はネット上にほとんどありませんでした。

2013年になり、反転授業にフォーカスした情報を頻繁に出す会社が現れました。それが株式会社ファカルタスで、その中心にいたのが加藤大さんでした。

「反転授業」に注目している者同士でお話ししたいと思っていたところ、加藤さんから連絡をいただいて2013年の夏に初めてお会いしてお話ししました。

社会状況や教育の現状に対しての緻密な分析に大きな刺激を受けると同時に、社会をよい方向に変えていこうという気持ちに共感しました。

 

その後、加藤さんは株式会社ハンテンシャを起業され、全力で反転授業の普及に邁進されています。

6月27日(金)の反転授業オンライン勉強会で加藤さんに登壇していただくことになり、今回、改めてインタビューさせていただきました。

 

 加藤さんが大切にしていることは?

 

僕も同じ状況なので分かるのですが、一人で会社を経営すると、頻繁に経営判断に迫られます。どのように判断するかによって、会社と個人の評価が決まってきます。一貫した姿勢で判断を積み重ねていくことで、信頼と評価をしてもらえるようになるということを痛感しています。

 

逆にいえば、価値観の軸をぶらさずに判断していった結果、一人で会社をやることになったということなのかもしれません。加藤さんの行動を読み解く上で、一番カギになりそうなことを、最初にうかがいました。

 

 

加藤さんが仕事をする上で大切にしているのは、どのようなことなのですか?

『人のために生きれば人に必要とされるはず』という楽天的な、社会に対する強い信頼感が私にはあります。おそらく、大学まで続けていたラグビーの影響が大きいと思います。

 

 

反転授業に関わるようになった経緯

 

反転授業が注目されるようになる前は、加藤さんがどのような仕事をされていたのか、そして、どのような理由で反転授業に関わるようになったのですか?

企業向けe-Learningのソリューション営業をやっていました。

当時(2007年ごろ)はコンプライアンス教育やMicrosoft Officeの導入教育など、主にホワイトカラーを対象にしていましたが、まともに受講してくれないんですよね。クライアントの教育担当も『社員全員が受講した』という学習履歴は欲しがるけど、e-Learningの学習効果を実務能力や業績に紐付けて分析する気はなく、そこまで期待されていない状況が嫌でしたね。

そんなとき、e-Learningでパート・アルバイト教育を行っている流通業のクライアントに出会い、『これだ!』と膝を叩きました。

 

どうしてそこに注目したのですか?

チェーンストアは総じて、どの店舗でも同じサービスを提供する『サービスの標準化』を重視します。パート・アルバイトの知識やスキルを標準化できれば、サービス自体の標準化をほぼ達成できるにもかかわらず、標準化を図る効率的な手段がない状況に目を付けたわけです。

e-Learningは受講者を同じゴールに導く目的に適しているため、店舗の受講環境さえ整備できれば、売上や利益に貢献するレベルの教育制度を実現できるはずと考えました。ちょうど業務端末のクラウド化が広がりつつあり、受講環境の整備も以前より容易くなっていたタイミングだったのも、実現を後押ししてくれました。

パート・アルバイトさんが想像以上にまじめに受講する姿には驚きました。特定の商材に関するe-Learningを公開した数日後、受講率の高い店舗からその商材の売上が上がっていくデータを目の当たりにしたとき、教育の威力にゾクゾクしました。

 

なるほど。企業向けのe-Learning開発をやっていた加藤さんが教育事業を始めたきっかけは何だったのですか?

当時勤めていたe-Learningの会社が設立に関わった、『ファカルタス』という大学入学前教育の支援会社に出向したからです。

学校教育に関わるのは初めての経験でした。出向直後、情報収集に努めていたとき、サルマン・カーン氏のTEDのプレゼンンテーションを視聴しました。

このとき『The flipping of the classroomは日本の大学に適した教育制度では?』という印象を抱き、それを検証する過程で、2012年9月、『WIRED』という雑誌のMOOCの記事に出会いました。

MOOCとの対比によって反転授業の特長が明確になり、日本の大学における反転授業の適性に確信を持ちました。

e-Learningで同質化し、教室で異質化する

反転授業のどこが、加藤さんのアンテナにひっかかったんでしょうか?

e-Learningは一定のゴールに効率よく到達させる『同質化』に向いていますが、学校教育は『異質化』も同等以上に重視すべきと考えます。異質化に貢献するe-Learningができないか、自問していたときに反転授業を発見しました。

反転授業とは、予習で『知識の同質化』を図り、授業で『スキルの異質化』を認める『反復作用』であると定義すると、講義のデジタル化やLearning Management Systemの利用、教室に集う意味合いなど、各機能の必然性と機能間の連動性が一層高まります。

ターゲットは最初から大学だったのですか?

大学と比べて高校以下の教育段階はカリキュラムの自由度が低い上、受講者のスマホの個人所有率やインターネット利用率も相当低いため、受講環境の整備にコストが掛かり過ぎますよね。高校以下で反転授業を実現しようとすると、往々にしてトップダウンで意思決定せざるをえないため、現場主導で決断できない機能が増えてしまいがちです。

e-Learning開発に携わり、その長所と短所を知り尽くした加藤さんだからこそ、同質化と異質化をうまく組み合わせて相乗効果を上げることができる可能性を反転授業に見出したのではないかと思います。この見方はとても新鮮でした。

志の高い人のパートナーになりたい

加藤さんは、反転授業のノウハウを持って、大学教員をサポートしていくというスタンスだと思いますが、これから、どのようにして反転授業を広めていこうと考えていらっしゃいますか?

営業効率を優先すれば、トップダウンでセールスするのが有効なのかもしれませんが、志の高い実践者のパートナーになって、ボトムアップ方式で広めていくのが私の好みです。最後の最後にボスキャラと対峙するイメージです(笑)。

共感しあえる人をサポートして、信頼関係を築きながら進めていくというスタンスが、とても加藤さんらしいと思いました。

どこから始めるか?

大学にはいろいろな科目があると思いますが、反転授業を導入する上で向いている科目などはあるのですか?

科目まるごと反転授業に向いていないものは、なかなか思いつきません。反転授業の成否には、クラスの人数や受講環境、教員や学生の資質、テキストの著作権など、科目以外の要因のほうが大きな影響を与えます。

教育の質向上や主体的な学びへの転換を志向する大学が増え、アクティブラーニングを取り入れた授業が増えています。その一環として、初年次教育に『アカデミックスキル』を設置するトレンドがあるため、『アカデミックスキル』の反転授業モデルを構築しようと考えています。入学直後の学生は新しい学び方に敏感ですから、タイミングも最適です。

教員に求められるスキル

アクティブラーニングや反転授業の実践するためには、大学教員にはどのようなスキルが必要とされるのですか?

一方的な講義をしている教室は、教壇に立つ人が特権的な地位を占める空間だと思います。演習型の授業では学生一人ひとりを識別し、学生の主体性を尊重する姿勢が教員に求められます。主体性を引き出す過程において、アクシデントが生じるリスクも高まります。たとえばプレゼンテーション演習の授業で、自分の出番になったら教室から無言で出て行ってしまう学生がいるかもしれません。

リスク含みの動的な空間を仕切るのはすごくパワーを使います。動的な状況にひるまず『走りながら思考できる』能力は実社会でも重宝されますから、教室をあえて動的な空間に変え、学生さんに経験を積ませるチャレンジに高い価値があると信じています。

なるほど。加藤さんは実際に社会にアンテナを張って、時代の動きやトレンドを見て起業しているわけですから説得力がありますね。

大学教員の中には、アクティブラーニングがはじめてという方もいると思いますが、どのようにサポートしているのですか?

ゲストインストラクターとして、私が授業を進行するケースもあります。あるいは、反転授業をテーマにした教職員向けセミナーを『反転授業形式』で実施し、自ら体験してもらう試みもよくやります。

反転授業のこれから

反転授業は、昨年の夏ごろから急に注目されるようになり、いろいろな実践が始まっていますが、加藤さんは反転授業についてどのように考えていますか?

この1年ぐらい、『反転授業は授業設計が最重要』と強調してきましたが、実践すればするほど講義動画の重要性に気づいてきました。講義は伝統的な授業方法であるがゆえ、知識習得を図るノウハウが教員と学生双方に蓄積されているわけで、それをすべて手放すのは惜しいですよね。

『テキストを読んで理解できる学生ばかりなら、そもそも伝統的な講義型授業も不要だったはず』と喝破する先生がいらして、反転授業の本質を見直すきっかけになりました。『講義』の特長を維持しつつ、講義の弱点を補うことができる『動画』の特長を付加すれば、質の高いコアカリキュラムが完成するはずです。

 

講義動画はアクティブラーニングのための単なる準備というわけではなく、講義動画の良さとアクティブラーニングの良さの両方を生かすということでしょうか?

その通りです。『講義動画』と『演習型授業』はどちらも欠くことのできない両輪です。反転授業は欲張りでいろんな要素を巻き込んでいるのに、この両輪のおかげでとてもバランスよく走るのが魅力なんです。講義と演習はもちろん、オンラインとオフライン、自己学習と協働学習、知覚と体験、知識とスキル、さらに同質化と異質化。いろんな切り口で分けても、均衡する力点を見つけやすい構造こそ反転授業の本質だと思います。

僕も10年間、動画講義を使ってきて、動画講義には大きな可能性があると感じています。一方で、昨年からアクティブラーニングについて学ぶようになり、重要性と魅力を感じています。どちらかが重要というわけでなく、この2つをバランスよく組み合わせて相補的に利用するという加藤さんの考えにはとても共感しました。加藤さん、ありがとうございました。

 

第10回反転授業オンライン勉強会

テーマ 「生徒が語る反転授業(2)」

日時 : 6月27日(金) 21:45-23:30

場所 : Web教室 WizIQ

参加費 : 無料

第1部 登壇者の発表 21:45-22:45

「アカデミックスキル習得を目的とした反転授業の実践」

東京国際大学 商学部経営学科教授・博士(工学) 河村 一樹さん

株式会社ハンテンシャ代表取締役 加藤大さん

「JMOOC「日本中世の自由と平等」へ参加した生徒の声」

奈良女子大学附属中等教育学校 二田貴広さん

第2部 オンライングループワーク 22:45-23:30

 

詳しくはこちら

東京国際大学教授 河村一樹さんにインタビュー

6月27日(金)に実施される第10回反転授業オンライン勉強会でお話いただく東京国際大学商学部教授の河村一樹さんにお話をうかがいました。

河村さんは、2013年12月から1年生を対象としたアカデミックスキルの授業に反転授業を導入し、その様子は朝日新聞でも紹介されました。

朝日新聞の記事はこちら

 

勉強会では、反転授業を体験した学生のインタビューやアンケートを紹介していただきますが、それに先立って、どのような経緯で河村さんが反転授業を導入するに至ったのかをうかがいました。

教育を仕事にしようと思った理由

河村さんの専門は情報教育工学です。コンピュータサイエンスをベースにした情報処理教育のカリキュラム編成および教授法の研究、e-Learningを含む教育(学習)支援システムの開発と評価などを行っています。

教育とコンピューターサイエンスの境界領域であるこの分野に進まれたきっかけをうかがいました。

 

河村さん:私は父が中学校の数学教員で、教育へ進むきっかけになったのは、父の影響があると思います。でも、ストレートに教育分野へ進んだのではなく、最初は、コンピューターの会社に就職しました。でも、やはり、教育が好きだと思い、今の仕事へ移りました。

 

お話をうかがって、教育への情熱と、コンピューター会社で培った知識と技術とが、結びつく場が情報教育工学という分野であったのではないかと思いました。

さらに、教育のどこが好きなのか、質問してみました。

 

河村さん:学生との関係性ですね。人間対人間というか、利害損得を超えた関係というか、そういう関係を学生と築くことができるのが一番の魅力です。企業だと、なかなかそういう関係を築くのは難しいです。

父の仕事を見ていて、毎年同じことをやっていて、何が面白いのかなと思っていたんですよ。でも、実際に教育に関わってみると、学生は毎年違っているので、いろいろな学生と関係性が築けるのはすごいことだと思うようになりました。

 

IT技術を教育に利用するというと、効率やデータのことが最初にイメージされますが、河村さんから出てきた言葉が、「人間くさい関係性」の話であったのが、とても印象的でした。

 

河村ゼミの学習サイクルがすごい!

次に、河村さんに研究テーマについてうかがいました。

 

河村さん:以前から、特に講義中心の科目がうまくいっていないと感じていました。黒板に字を書きまくって説明したり、しゃべりまくって説明しても、教員が満足しているだけで学生が効果的に学んでいないと思ったんです。それで、うまくいかないのはやり方が悪いからだと思い、板書をせずにスライドを用いたり、ネット上で情報提供をしてから話をしたりしたらどうかとか、いろいろやってきました。

 

河村さんの研究室では、どのような研究をしているのかと、河村ゼミのホームページをチェックしてみました。

河村ゼミホームページ
http://www.tiu.ac.jp/seminar/kawamurk/kkzemi/

河村ゼミは、1学年10数名、全体で学生が40名ほどもいます。

河村ゼミでは、教材設計を学ぶための非常に合理的なサイクルができ上がっています。

大学2年生になると、大学の授業でインストラクショナルデザイン(ID)を学び、大学3・4年になると、学生の一部に1年生向けの教材開発がテーマとして与えられ、IDを実際に使ってeLearningの教材開発をします。そして、開発された教材の被験者に大学1年生がなります。

つまり、1年生でeLearning教材を体験し、2年生でeLearning教材の理論を学び、3・4年生で実際に教材開発するというサイクルが出来上がっていて、教材設計を多面的に学ぶことができるように考えられています。

学生が多いため、1年生向けの教材開発を担当する4人以外にも、3・4年生には、様々な研究テーマが割り振られています。これだけの人数に研究テーマを与え、指導をするのは大変なことだと思いました。

僕自身は、大学生時代、指導教官が教育に熱心ではなく、教授との関係性が希薄だったので、指導教官が教育に情熱を持っている河村ゼミの学生さんがうらやましくなりました。

反転授業を取り巻く状況

情報教育工学と授業設計(ID)を専門的に学び、長年、研究されてきた河村さんの目に、現在の反転授業に対する加熱ぶりはどのように映っているのか、興味がわいたので、質問しました。

 

河村さん:文部科学省の大学教育に対する方針が大きく変わり、アクティブラーニングを重視するようになってきました。学習評価の仕方の変化や、大学がポータルサイトを持つことが推奨され、大学教育を変えていかなければならないというトレンドになっています。

従来のやり方では何を教えるのかが中心でしたが、いかに学ぶのかというところが中心になってきています。

また、大学全入時代に突入し、ゆとり世代も大学に入ってきて、一部のブランド大学を除けば、今までの授業では学生がついてこないという危機感があります。その中で、反転授業に注目が集まってきていると思います。

 

なるほど。僕も予備校講師としてずっと壇上でパフォーマンスをやる授業をやってきたんですが、1年ほど前からアクティブラーニング型の授業に挑戦し始めて、「ずいぶん違うなー。難しいなー」と思いながらやっているんですよ。大学の教員は、その変化に対応できるんですか?

 

河村さん:ICTを使う必要はないという教員もいますから、なかなか変わるのは難しいですね。トップダウン式にやらないと実現不可能でしょうね。大学がLMSなどのリソースを提供し、ポータルサイトを作り、全教員がやると決めれば、動き始めると思います。FDでアクティブラーニングを体験してもらうプログラムもあります。

 

なるほど。河村さんのゼミでも、アクティブラーニングに取り組んでいるのですか?

 

河村さん:学生の研究で、スマホのクリッカーアプリであるClicaを使った研究があります。

「Clica を用いたアクティブラーニングの試み 」三澤勇太(河村ゼミナール)
http://www.tiu.ac.jp/seminar/kawamurk/kkzemi/

 

Clicaは、第2回の勉強会で鈴木映司さんが地理の授業でのアクティブラーニングに使用していました。

河村さんもおっしゃっていましたが、みんなの前で手を挙げて発言しなくてはならないという状況では出てこないいろいろなレスポンスが出てきます。僕のWizIQを使った講義でもチャットボックスがとても賑やかになり、受講者の考えていることが、これまでよりも分かるようになりました。また、一緒に参加している人が何を感じているのかを共有しやすくなるという効果も感じています。河村ゼミでの研究にも、引き続き注目したいです。

河村ゼミで反転授業を導入したきっかけ

時代の流れや文科省のアクティブラーニング重視の方針など、反転授業を導入するための下地はできていたのだと思いますが、直接的に、河村ゼミで反転授業を導入するきっかけとなったのは、どのようなものだったのですか?

 

河村さん:2013年から、大学の方針で全学部の1年生全員に同じ教科書、同じシラバスで、アカデミックスキルの授業をやることになったんです。どうせやるなら電子化して、学習履歴をとって実証実験できる形でやろうと思いました。それで、研究室の学生とeLearningの教材開発を始め、4月から11月までで開発し、12月にスタートしました。

 

反転授業というと、「動画で予習し、授業でアウトプット」というように、動画を使うイメージが強いですが、河村さんのところでは「eLearningで予習」ということなのですね。

 

河村さん:はい。動画を視聴しただけだと学習履歴が残りませんが、eLearningだと学習履歴がすべてLMS残るので、パワーポイントをベースにした教材とEXCELベースで作成するテストでeLearning教材を作成しました。

 

予習でやる部分と、授業でやる部分との振り分けはどのようになっているのですか?

 

河村さん:アカデミックスキルというのは、ノートテイキング、リーディング、ライティング、プレゼンテーションなどからなります。知識部分はドリルで評価しやすいのですが、スキルの評価をeLearningに取り込めないので、教室で評価するようにしています。知識部分をeLearningであらかじめ学んでおいて、教室でスキルを使ってみるという反転授業になっています。スキルを評価するためには、ルーブリックやポートフォリオなどが重要だと考えています。

[参考:ポートフォリオとルーブリック]

 

学生が予習をやってくるための動機付けは、どのようにしているのですか?

 

河村さん:大学生にとっての一番の動機付けは、「単位を出す」、「成績をつける」ということなので、授業でやったことに対する成績を次の時間に公開しています。また、学生からは、「予習してこなくてもできてしまう内容なら予習しなくなる」という声が上がってきているので、予習してこざるを得ない内容、予習してきた学生が活躍できる内容をを授業でやることも、動機付けとして重要かなと思っています。

 

実際にやってみていかがでしたか?

 

河村さん:生徒の学習状況で目に付いたのは、半数以上がスマホでeLearningをやっているということです。隙間時間を使ってやってきているようでした。PCだと起動して、ブラウザを立ち上げて、IDとpasswordを入力して・・というようにステップが多いじゃないですか。でも、スマホなら紙の教材と同じくらいのステップで作業に取りかかれるので、そっちのほうが手軽でいいみたいなんですよね。

 

学生のほとんどは、PCも持っていると思いますが、PCとスマホの使い分けって、どのようにしているんですか?

 

河村さん:資料を調べたり、レポートを書いたりといったことはスマホじゃできないのでPCでやることにしているようです。彼らなりに使い分けの基準があるようですね。

最後に

河村さんのお話から、河村ゼミのよい雰囲気が伝わってきました。学生としっかり人間関係を築き、学生のリアルな状況を把握しながら実践に取り組んでいる河村ゼミのようなところから、多くの実践者のヒントになるような知見が生まれてくるのかもしれません。

河村ゼミの今後に目が離せません。

 

第10回反転授業オンライン勉強会

テーマ 「生徒が語る反転授業(2)」

日時 : 6月27日(金) 21:45-23:30

場所 : Web教室 WizIQ

参加費 : 無料

第1部 登壇者の発表 21:45-22:45

「アカデミックスキル習得を目的とした反転授業の実践」

東京国際大学 商学部経営学科教授・博士(工学) 河村 一樹さん

株式会社ハンテンシャ代表取締役 加藤大さん

「JMOOC「日本中世の自由と平等」へ参加した生徒の声」

奈良女子大学附属中等教育学校 二田貴広さん

第2部 オンライングループワーク 22:45-23:30

 

詳しくはこちら

 

山口県立萩商工高等学校 松嶋渉さんにインタビュー

第9回反転授業オンライン勉強会「生徒が語る反転授業」で登壇してくださった山口県立萩商工高等学校の松嶋渉さんにお話をうかがいました。

松嶋さんは、オンラインワールドカフェの実験や、「反転授業をやりたい教師のための授業設計入門」にも参加してくださったのですが、これらの新しい試みに参加してくださるときに、「失敗しても挑戦することが大切」と発言してくださったりしていて、それがとても力になりました。

松嶋さん自身も、複数のプロジェクトを抱えていて、新しいことにどんどん挑戦している様子で、そのバイタリティはどこからやってくるのだろうか。そのような考え方の背景はどのようなものなのだろうかということにとても興味がありました。

また、これまで松嶋さんとやり取りをしていて、「教師っぽくないなー」という印象を受けることが数多くありました。まず、ボキャブラリーがあまり教師っぽくありません。「授業の標準化」「マルチタスク」「レッドオーシャン」「PDCAサイクルを回す」など、ビジネス系の単語が当たり前のように飛び出してくるんです。これは、なぜなんだろうかということにも関心がありました。

というわけで、松嶋さんにお話をうかがうのを非常に楽しみにしつつ、今回のインタビューがスタートしました。

教員になったきっかけ

プロフィールを拝見して、松嶋さんは、大学を卒業してすぐに教師になったのではなく、映画関係、教育系出版関係の仕事を経て、29歳にして商業科教員としてのキャリアをスタートしたことを知ったときに、「教師っぽくない」理由がそこにあるのではないかと思いました。そこで、最初に、会社員を辞めて教師になったきっかけからうかがいました。

松嶋:大学生の時には、もともと教師になることを考えていて、教員免許も取ったのですが、映画に興味がわいて教師にならずに就職しました。その後、教育系出版社では、教材のセールスを担当していたんですが、会社のイベントで、中学生を集めて教えるというものがあって、中学生と接しているうちに、「やっぱり教師になって直接教えたい」という気持ちが沸いてきたんです。

会社という組織から学校へ移って、違いを感じることはありますか。

松嶋:ありますね。利益を追求しない団体というものに慣れませんでした。売り上げ、ノルマ、コストといった考えがないので、行動の仕方がぜんぜん違うんです。教育が非営利であるということの重要性とは別に、活動の生産性についてはビジネス的な視点も必要なのではと思っています。

この回答をうかがって、松嶋さんが、なぜ「教師っぽくない」のかが分かりました。松嶋さんは、ビジネス領域で実践されているものの中で、教育現場でも利用できるものは積極的に取り入れていこうと考えているので、それが、いろいろなところから出てきて、「教師っぽくない」という印象を与えるのだと思いました。

キャリア教育について

このような考えをお持ちの松嶋さんが、キャリア教育に関わるのは、必然的なことのように思いました。

萩商工高等学校では、キャリア教育の一環として「萩LOVEハイスクール」というコラボ企画をやっていて、松嶋さんはこの企画に関わっています。これは、高校3年生が課題研究や総合研究の時間を使い、1年間かけて地域活性化に関するWebサイトを作るという企画です。

生徒は4人グループになり、地元の建築や陶芸などにスポットを当てて紹介するWebサイトを作ります。

情報デザイン科で学んでいるWebサイト製作を、より実践的な形で学ぶことができるのと同時に、思ったように表示されないときの問題解決能力や、クライアントである「萩LOVE」の担当者とのやりとり、取材先の建築家や陶芸家の人とのやりとりを通して、大人とのコミュニケーションの仕方も学んでいきます。

松嶋さんからお話をうかがっていて印象的だったのは、

「主体的にやらないと面白くないし、身につかない」

「痛い目を通した成功体験が大切」

「緊張感がないと身につかない」

という言葉が繰り返し出てくることでした。

「萩LOVEハイスクール」は、松嶋さんの考え方を反映し、生徒には主体的に動くことが求められています。

これまで座学中心で勉強してきた生徒は、最初は取り組み方が受身なのですが、締め切りを設定し、細かい指示を与えないでおくと、自分たちで動かないと進まないことに気づき、主体的に行動し始めるのだそうです。

1年間に4回ほど、クライアントの「萩LOVE」の担当者の方を招いて、その前でプレゼンテーションをさせるんですが、締め切りまでにトップページもスライドもできていなくて発表のときに恥をかくグループも出てくるそうです。

でも、松嶋さんは、「お膳立てして成功させるよりも、自分でやって失敗するほうが学びになる」という考えのもと、どんどん失敗を経験させるのだそうです。そして、最初に失敗したグループが、最後によいWebサイトを作るというケースもこれまでにあったとおっしゃっていました。

まさに、「痛い目にあいながら、成功していく」ということを体験させていて、すばらしいと思いました。

また、松嶋さんは、「外部の大人と関わること」が重要だと考えているそうです。「生徒にとっては、親と教師ぐらいしか身の回りにロールモデルがいないので、できるだけ多様な大人を学校に招きいれて、その人の人生について話してもらうことによって、いろいろな生き方があるということを学んで欲しい」とおっしゃっていました。

学習意欲と成長

「萩LOVEハイスクール」があることによって、情報デザイン科で学ぶ内容が実践と結びついてくるので、ふだんの学習意欲を高めることにも非常に役立っているのではないかと思いました。

「萩LOVEハイスクール」をやることで、生徒にどのような変化が生まれるのか、松嶋さんに質問しました。

松嶋:クライアントや取材先にアポイントメントの電話をしたりすることを通して、度胸がついてきますね。もちろん、先方にはあらかじめ、ウチの生徒が電話をするのでよろしくお願いしますということは伝えますが、生徒には、細かいことを教えないんですよ。そうすると、生徒は自分で考えて行動しなくてはならなくなります。大人に対するメールの書き方とかも、意外とすぐに覚えますね。

松嶋:プレゼンテーションも最初は原稿を見ながら小声でぼそぼそと読むだけで下手なんですけど、回を重ねていくと、原稿を見ないで、資料を指しながら説明するようになってきて、成長を感じますね。

プレゼンテーションでは、「萩LOVE」の担当者からダメだしをもらうことが多いそうで、松嶋さんは、それが、教師からダメだしを受けるのとは違った刺激になると考えていて、重要視しているそうです。学校の外の大人が入ることで緊張感が生まれ、その中で失敗しながら行動することが学びにつながるということでした。

アクティブラーニングと反転授業

萩商工は、高校3年生で「萩LOVEハイスクール」があり、実践的にグループワークなどを行いますが、松嶋さんは、1、2年生にも主体的な学びを取り入れたいと思い、3年前からアクティブラーニングをはじめたそうです。

松嶋さんのアクティブラーニングは、予習中心の学習が土台になっていて、生徒はあらかじめテキストを読んでノートにまとめる予習をしてきて、それを前提としたグループワークを教室で行うというやり方で実践されてきたそうです。

家庭学習の習慣が必ずしもついていない生徒に対して予習中心の授業が機能するために、どのような工夫をされていたのか質問してみました。

松嶋:高校1年生の最初、まだ、高校とはどういうところか分かっていないときに、「高校では、予習して授業を受けるんですよ」と話して、そういうものなんだと思ってもらいます。言ってみれば刷り込みですね。そして、うまくいってもいかなくても予習してきてアクティブラーニングするというサイクルを回していき、体にしみこませていきます。結局、予習中心の学習を実践できるかどうかは、授業設計やクラスマネージメントにかかっていると思います。

授業設計やクラスマネージメントがカギというのは、反転授業の実践者が口を揃えて言うことで、同じことを松嶋さんからうかがったことで、確信がさらに深まりました。

次に、反転授業を導入した経緯についてうかがいました。

松嶋:昨年の12月に反転授業のFacebookグループがあることを知り、実践してみようと思いました。完璧に準備してから実践しようとするよりも、不十分でもよいから実践してみてPDCAサイクルを回していったほうがよいと思い、2月に5回の反転授業を行いました。教師だって失敗をすることもあるけど挑戦するという姿を見せるのも大切なことかと思いました。

失敗するかもしれない「危うい場」に生徒を置くだけではなく、自分自身も同じ場に置くことで、社会のあり方や、仕事のあり方というものを背中で伝えるという松嶋さんに、ちょっと感動してしまいました。

松嶋さんが、僕が行っている新しい試みに、すごく共感的に応援してくれるのは、松嶋さん自身がリスクを負って挑戦しているからなんだということがよく分かりました。その姿は、無言のメッセージとして、萩商工の生徒さんたちにビンビンと伝わっているのではないかと思います。

最後に

松嶋さんとお話していて、第8回の勉強会で登壇してくださった教育と探求社の宮地さんから聞いた言葉がよみがえってきました。

「仕事って面白いということを、教えてあげたいんですよ」

一般的に「仕事」という言葉を聞いて、子どもが思い浮かべるのは、もしかしたら、疲れた様子のサラリーマンのような典型的なイメージかもしれません。でも、実際には、たくさんの「面白い仕事」があって、生き生きと働いている人がたくさんいます。そういった「仕事の面白さ」の一端を高校生に体験させることによって、生徒の心に灯がともれば、主体的に学び、行動する大きなきっかけになるのではないかと思いました。

「大人っていいぞ!仕事って面白いぞ!」

ということを身をもって伝えている松嶋さんとお話できて、とても刺激を受けました。

また、松嶋さんがやっている「萩LOVEハイスクール」に大きな可能性を感じました。

萩LOVEハイスクールはこちら

 

 

 

第10回反転授業オンライン勉強会「生徒が語る反転授業(2)」

反転授業の効果を考える上で、実践者の声に耳を傾けることはとても有益です。

反転授業の研究では、このように考えて、毎月、実践者の声を聞いてきました。

しかし、実際に授業を受けている生徒は、どのように感じているのでしょうか?

5月に実施した勉強会では、山口県立萩商工高等学校の松嶋渉さんに生徒のインタビュー動画を公開していただき、多くの気づきを得ることができました。

参考リンク

第9回反転授業オンライン勉強会「生徒が語る反転授業」を終えて

第9回反転授業オンライン勉強会「生徒が語る反転授業」参加者の感想(第1部) 

第9回反転授業オンライン勉強会 第2部グループワークの感想 

6月もこのテーマを引き継ぎ、生徒のインタビューやアンケートを中心として反転授業の実態を掘り下げていきたいと思います。

テーマ 「生徒が語る反転授業(2)」

日時 : 6月27日(金) 21:45-23:30

場所 : Web教室 WizIQ

参加費 : 無料

第1部 登壇者の発表 21:45-22:45

「アカデミックスキル習得を目的とした反転授業の実践」

東京国際大学 商学部経営学科教授・博士(工学) 河村 一樹さん

株式会社ハンテンシャ代表取締役 加藤大さん

「JMOOC「日本中世の自由と平等」へ参加した生徒の声」

奈良女子大学附属中等教育学校 二田貴広さん

第2部 オンライングループワーク 22:45-23:30

 

講演者の発表内容は以下の通りです。

アカデミックスキル習得を目的とした反転授業の実践

【プロフィール】

 

河村 一樹(かわむら かずき)

東京国際大学 商学部経営学科教授・博士(工学)。

コンピュータサイエンスをベースにした情報処理教育のカリキュラム編成および教授法の研究,e-Learningを含む教育(学習)支援システムの開発と評価など、情報教育工学を専門とする。所属学会は、情報処理学会,e-Learning教育学会,教育システム情報学会,日本教育工学会,日本情報科教育学会

 

加藤 大(かとう だい)

リクルート ゼクシィ事業部を経て、シニアマーケット専門コンサルティング会社を起業。のちトランスコスモスでWebマーケティング、ライトワークスで企業向けeラーニング事業を企画・開発・販売。ファカルタスにて事業戦略室長を務め、2014年5月、反転授業の導入・運用支援を専門とする、株式会社ハンテンシャを設立。

 

【講演内容(計25分)】

東京国際大学商学部の河村ゼミでは2013年後期から、大学1年生を対象にした「アカデミックスキル習得のための演習」に反転授業を導入しています。

 

[参考リンク]「反転授業」大学でも 動画で予習→教室では実習:朝日新聞デジタル

http://www.asahi.com/articles/ASG117DSPG11ULZU001.html

 

今回の講演では先ず、2013年度に実施した反転授業の詳細を共有します。さらに現在(2014年前期)、反転授業で学習している大学1年生へのインタビュー映像をご覧いただいた上で、授業設計のポイントを教示します。

 

  1. 2013年前期:教材コンテンツの開発,および,2013年後期:大学1年生向け「アカデミックスキル習得のための演習
  2. における反転授業の実践報告(河村、10分)
  3. 2014年度前期:大学1年生へのインタビュー映像(5分)
  4. 2014年度前期:同演習の授業設計のポイント(加藤、10分)

 

JMOOC「日本中世の自由と平等」へ参加した生徒の声

二田貴広(ふただたかひろ)

【プロフィール】

現在、奈良女子大学附属中等教育学校(途中入学なしの中高一貫校)に勤務している二田貴広(ふただたかひろ)です。大学院修了後、秋田県の公立高校の教員を務め、縁あって奈良で教師をしています。教員14年目ぐらいの国語科教員です。

教員となってから、メディア・リテラシーの涵養・育成に関心を持ち、テレビCM分析やマスメディア、アニメ、映画などの表現の分析、テレビCMの制作に取り組んできました。生徒たちが未来を生きるために必要不可欠な能力と思いますし、国語で読解や表現ともリンクするからです。

2012年から、勤務校にipadが順次入り、電子黒板も何台か入れられ、全館wifiが整備されたのにともない、それまでまったくさわったこともなかったタブレットPCとアプリ、ネットワークを利用した学習に取り組みはじめました。ペーパーレス会議システムや、ふせんアプリ、EVERNOTE、デジタル新聞、SNSなどを授業で活用しています。また、海外の記者との交流や日本各地の学校との連携学習にも取り組んでいます。

新たなツールとインターネットが何を可能にし、何を可能にしないのか、それは本当に教育的な意義があるのかエビデンスを出していくことを目指しています。

反転授業では、とくに下記のことについて関心を持っています。

①「予告編動画」が生徒の学習意欲の向上にどう関わるのか

②どんなコンテンツ(動画の内容)が生徒の学習意欲を向上させるのか

③どんなコンテンツ(動画の内容)が生徒の学習を定着させるのか

④僻地の学校での動画コンテンツの学習利用

よろしくお願いいたします。

 

【内容】

奈良女子大学附属中等教育学校の高校2年生6名が、自ら希望して選考に応募し、東京大学 本郷和人教授の「日本中世の自由と平等」の反転授業を受講した。

JMOOCでは、4月からgacco(NTTドコモ)とOUJ MOOC(放送大学)の2つのMOOCsプラットフォームで講義コンテンツを配信しており、gaccoで提供される講座のうちいくつかでは対面授業のプログラムも用意されている。本郷教授の講座はその1つだ。

参加生徒は事前にコースのビデオを視聴し課題に取り組んだり、gaccoの掲示板等で議論を行ったりした。対面授業では、これまでに学んだ内容について、グループディスカッションとディベートをメインとした形で授業が進められた。

4月26日に第1回の対面授業が実施され、その後またオンラインでの講座を受講した生徒たちは、5月10日に第2回の対面授業を受講した。

これらの対面授業は、特別枠で募集された高校生20名の他に、13歳から81歳までの年齢層の約80名の参加者があり、4~5名ずつの18のグループでディスカッションと発表を行った。

本校の参加生徒に、下記のことについて語ってもらおうと考えている。

1,なぜこの講座に興味関心を持ったのか?

2,反転授業という学習形態を受講した率直な感想は?

3,いわゆる従来型の授業との差異、とくに「よさ」と「わるさ」は何か?

4,反転授業という学習形態に将来性はあるか?

5,中学や高校でこの学習形態を取り入れることの是非は?

6,塾や予備校で同じような携帯の授業を受講している場合、それとの差異やそれぞれのコンテンツや学習方法の「よさ」「わるさ」は何か?

生徒たちのインタビュー動画を中心に上記の問いへの率直な答えをみなさまへ紹介して、これからの反転授業を考えていく上での参考になればと考えている。

 

第10回反転授業オンライン勉強会「生徒が語る反転授業(2)」の申し込み

テーマ 「生徒が語る反転授業(2)」

日時 : 6月27日(金) 21:45-23:30

場所 : Web教室 WizIQ

参加費 : 無料

第1部 登壇者の発表 21:45-22:45

第2部 グループワーク 22:45-23:30

第2部では、オンラインでグループディスカッションも行いますので、ビデオチャットの用意をお願いします。ビデオチャットができない場合は、ボイスチャットのみ、テキストチャットでの参加でも大丈夫です。※第1部のみの参加もOKです。

 

お申込みはこちら

第9回反転授業オンライン勉強会 第2部グループワークの感想

5月20日に実施した反転授業オンライン勉強会では、第1部に山口県立萩商工高校の松嶋渉さんに生徒のインタビューを交えて反転授業の実践を報告していただき、第2部では、オンラインのグループワークを行いました。

第2部に参加してくださったのは約20名。

WizIQのBreakroom機能を使い、5つの小グループに分けて、次の3つのテーマについてグループディスカッションを行いました。

(1)自分が生徒なら、どんな反転授業を受けたいか

(2)自分の身近な学習者の現状

(3)「現実を理想に近づけるためにできることは何か

グループディスカッションに参加してくださったみなさんからの感想です。

 

第2部 オンライングループワークへの感想

 

4人グループで、ビデオ、ビデオ、ボイス、テキストの組み合わせでしたが、皆さんと楽しく話することができました。

普段のFB研究会では聞けない、ディープな話や授業の参考になるような話も聞けてとても良かったです。
あっとうい間に時間が過ぎてしましました。

次回もまたこの形式でしてもらえたらと思います。

・ビデオチャットで話すことは楽しかったです!個人的には顔が見えると気持ちが断然違うなと思いました。
・どうしてもノイズが入ることが気になるので、マイクのオンオフは参加者全体で統一ルールで運用した方が良いかなという気もしました(発言するときのみオンにする)
・ホワイトボードの活用に次回はチャレンジしてみたいです
・反転授業を実践されている方とお話する機会を持てて、短い時間でもいろいろ気づきがありました。
テキストとビデオとの併用をどうするかが課題かと思いました。チャットかホワイトボードをもう少し活用できればよかったかと。
私もヘッドセット購入するか検討します。。
グループの方々の通信環境が様々で整えるのに少し手間取った。動画音声の受け答えしながらチャット読んで、機械操作するのは「慣れ」が必要かな。内容のメモは今からまとめます。ありがとうございました。
みなさんそれぞれ異なる状況のお話が聞けて参考になりました。生徒主体で行うスウェーデン方式を自分の授業やクラス経営にも取り入れて行きたいです。アクティブラーニングの実践報告が興味深かったです。
いきなりグループワークを始めると生徒なら沈黙してしまいますが、ファシリテーターが良かったのと、参加者の方が積極的な方々ばかりなので、有意義な話し合いになりました。

4人でしたが、何となくもう少し人数が多くても良いのかなとも感じました。
ただ通信速度の問題もありますが・・・

テキスト参加はちょっと大変そうですね。

Androidでアクセスしていたからか、各部屋に別れられなかったのは残念でしたが、その分、濃い内容でお話しできたので、よかったです。

特に、反転授業を生徒へのエンカレッジの場とするというのはよい気付きでした。ありがとうございます。
そういったことをやってらしている先生はいらっしゃいますが、まだまだ出来ていない先生方もいらっしゃるので、ぜひともそういった取り組みをブラッシュアップしたり、すららのシステム内に取り入れたりすることで、さらに生徒が学びを深めたいと思ってくれるようにしていきたいです。
ありがとうございました!

数学のビデオ授業にて、予習復習が効率よくできるようになり結構予備知識をもって授業に参加してくる生徒さんも増えていると聞きました。また、工学系の大学にて問題解決型の反転授業を始められた取り組みも紹介あり。武雄にて反転に取り組まれている先生のご意見も拝聴できました。具体的な課題を学生、生徒に与えて答えのない問題を考えさせるのに反転授業形式がよいのではという意見は参加者で共有することができました。今夜は、オンラインワールドカフェができそうなイメージが強まりました。
それぞれが抱えている課題の共有とそれらに対する各人の提案,事例を共有することができました.
反転学習を進めていく具体的な課題としては,「話し合いができる仕組みづくり」「動画を見ない」「学習者が納得したい(動画を見たい)と思わせる仕組み」「学習者に必要なところが頭出しできる教材づくり」などがあげられました.
また,それぞれのもつ課題に対して,各人の経験から様々なアイディアが交換され,とても有意義なディスカッションとなりました.
参加方法が3種類あったため,映像,音声,テキストの情報量の差によって,若干の意思疎通の齟齬がありましたが,反対にテキスト入力の人が入力している間に映像利用の人が話を進め...というような,臨機応変な進め方ができたので良かったと思います.今回,この取組がオンラインベースの反転学習を設計する上で,参考になるかもしれないと考えて参加しました.期待した通り,中身はもちろんこの取組自体が大変参考になりました.
ありがとうございました.
オンラインの場合、微妙なタイムラグがあるので、少し会話が被るぐらいのペースで話さないと、参加し辛くなって、聞き役の姿勢になってしまいます。

ROOM1では小山さんがテキストチャットで参加されておられて、多分打ち込みが大変(他の人の話は聴けなかった?)だったと思います。

しかし、松嶋さんの進行が絶妙で、話をする人を順に指名して頂いたので話しやすく、聴きやすかったです。

今回は使わなかったホワイトボードですが、2バイト文字=日本語が直接入力できないのがかなり辛いです。ペンタブレットもなかなかきれいにかけないので、今後の課題というところでしょうか。

苦肉の策の一つが、mindmup共有でして、紐付きでならいろいろ書き込める(イメージやリンクも)という環境にはなります...

 

Room1のグループリーダーを担当してくださった松嶋さんのレポート

3人がビデオチャットで、1人がテキストチャットで会議しました。
1.自己紹介
竹内さんは、神奈川県立の高校の地歴の先生。
横山さんは、キャリア教育のコンサルタント。
koyamaさんは、東京国際大学の学生さんで、英語の教員を目指している。現在スウェーデン在中。
2.生徒としてどんな反転授業を受けたいか(理想)
竹内さん:やる気のわくような、分かる!という実感が持てる動画やプリントがあるといいと思う。ポイントが明確なものがいい。
横山さん:見るだけでなく反応が返ってくるものがいい。家で個人ワークをしてその後グループワークにつなげるような形。
koyamaさん:文法のポイントやストーリーなどを配布して(動画でもプリントでも)全体像をつかませるものがいい。
松嶋:ICTを活用したものがいい。スマホやタブレットで動画を見て、感想や問題を解いてそのまま提出できるような教育用のクローズドなSNSがあるといい。それを授業で先生が発表してグループワークに持っていくような形にし、それもSNS等で共有できるといい。
③学習者の状況等(現実)
竹内さん:偏差値が45から55くらいの教育困難校で、授業等も少し困っている。1クラス30人。毎年240人の生徒が1年間で40人くらい辞めていく。
横山さん:受講者は意識が高くオンラインスキルもあるが、キャリア教育の指導者側にそのスキルがなく、ギャップがある。大学生と社会人が就職のためのつながりをもつように工夫が必要となっている。
koyamaさん:中学校で教育実習した時に学力格差が大きいと感じた。出来ない生徒のために個別にプリントを作って配布した。スウェーデンの教育現場は、生徒中心に設計されていて、先生がそれを支援する感じで行われている。
松嶋:素直で真面目な子が多いが、自分の意見や考えを伝えられない生徒が多い。アクティブラーニングを始めたのもその解消が目的の1つ。
④理想と現実のギャップを埋める改善策
竹内さん:生徒の現状を知る必要がある。自分は授業で毎回感想を書かせているので、それが1つの解決策になると思う。
横山さん:受講者(就活生や社会人)をグループにして企業とマッチングさせていく仕組みを考えている。企業や商工会議所に働きかけているところ。
koyamaさん:時間が切れてしまい聞けず。チャットには打ち込んでいたので履歴が残っているかもしれません。
松嶋:現在行っている授業をグレードアップさせるための仕組みを作っていきたい。
以上がROOM1のディスカッションの概要です。大変面白かったです。次回もファシリテーターをやってみたいと思います。
ありがとうございました。

Room5のグループリーダーの鈴木さんのレポート

第二部  ルーム5(司会 鈴木)  とねさん(公立中国語・自分でサーバー作って配信・)  芝池さん(高校数学)  宮田さん(IT企業) がビデオチャット  ナカイさん(国語講師×2校) チャットのみの参加でした

・生徒だったらどんな授業受けたいか  分からないときが、やる気がなくなる→理解できる授業  人間関係が大切  ひとり一人に合わせてくれる授業 生徒だった頃、公式を暗記する授業だったが「理由」が気になった。

卒業生達が高校に進んでSNSで学びあいをしている 自分の教科と関係ない質問までしてきて、それに解答してあげている!

・今の身近な学習者の状況は  身近な学習者の問題としては 困難校で予習ができない・デジタルの環境がない  いかに「スマホ」で見せるか。

・できることは?    1年以上取り組んでいるが、反転授業には「これ」というパターンはない。 「生徒を分身にする」という話が以前この勉強会で出ていて印象に残っている。  意識付けができていることが大切  自分が分かるところは、動画を見なくて良い。  「反転授業」のかたちはそれぞれの先生が、それぞれでOK ・司会をしていて思ったのは、ファシリテーションと誰がどんな発言をしたのかを追いながら、同時に機械操作の並行作業の難しさ。これは「慣れ」が必要と思いました。

第9回反転授業オンライン勉強会「生徒が語る反転授業」参加者の感想(第1部)

5月20日に実施した反転授業オンライン勉強会では、山口県立萩商工高校の松嶋渉さんに生徒のインタビューを交えて反転授業の実践を報告していただきました。

松嶋さんのPDF資料は、「反転授業の森」で公開しています。

本日は、参加者の皆さんの感想をアップします。

 

第1部 松嶋渉さんの発表への感想

 

遅れての参加でした。
松嶋先生の人柄もあると思いますが、生徒の率直な意見が聞けて良かったです。思った以上にスマホの視聴率が高かったのが参考になりました。
動画の質の良さが思った以上に求められているということが分かり、大変参考になりました。また、通勤時間中に見ることや、PCの立ち上げが面倒くさいなどの理由でiPhone利用者が大多数というところも、画面構成においてとても貴重な意見だと思いました。今後も対象となる生徒さんがメインで使うデバイスは何かということを意識していくことは大切だと思いました。
生徒のビデオに対する要求は高い
スマホで見るのが多い
2分から6~7分の動画
一回聴いても分からないので繰り返し聞く
予習する習慣が着いているので動画もみてくる
「やってみる」
ティーチングは縦の関係
コーチングは横の関係
演習型のALをしている
なるべく多く解かせるための反転コストパフォーマンスを考え完璧を目指さない
生徒同士でというのは難しいのではと思うのですが、そのあたりのコーチングはどのようにされてますか? できるできないははっきりしているので今回のところは
意見を出させるというところはファシリテーション必要
生徒の率直な感想が聞けたので参考になりました。反転授業の動画づくりまでは現在手が回らないのですが、勉強会で頂いたアイデアを日々の授業に取り入れたいと思います。いっぱい失敗して少しずつ改善していきたいと改めて感じました。
生徒の感想を今年は聞いていないので(特に反転授業はまだ実施していないので)、とても参考になりました!

全然自分が想定していなかった観点からのコメントが多く面白かったです。

チャット欄のやり取りも示唆に富んでいました。

AndroidやiPhoneで学習する生徒が多く、またLAN環境もそこまで揃ってないため、画像や音声についての問題指摘はもっともだと感じました。
いかに軽くて、スマホでも、問題ないコンテンツにすべきなのかを痛感しました。
ただ、そんななかで、かなり積極的に生徒が予習をしていること、また生徒同士が教え合うという高度な取り組みも積極的にされているということが非常に驚きました。
先生のファシリテーション力なのでしょうが、ぜひともコツを教えていただきたいです。
生徒さんの生の感想や意見をキチンととっておられる松嶋先生に敬意を評します。過去、正規の学校教育で学生や生徒の立場として意見を聞いてもらうことはまったくありませんでした。ビジネスの世界でいう生産者の論理とかプロダクトアウトの発想では教育が良くなるとは思っていませんでした。こうした生徒からのフィードバックを普及させ社会と生徒の役にたつ教育内容、制度にしていきたいものです。
先生の教材の内容は初めて見させていただきました。私のところの大学の物は、オリジナルにこだわり過ぎで制作に時間がかかります。それに比較して非常にシンプルな内容で新鮮でした。教科書を画面に写すことから著作権にこだわられる理由も今回よくわかりました。
教材も生徒のコメントもとてもリアリティに溢れていて状況やメリット,課題が良く分かりました.
情報提供ありがとうございました.
まず、松嶋さんのチャレンジングな姿勢(生徒に対しても、このような取り組みを皆さんに公開することも含めて)、に敬意をはらいたいと思います。本当の意味での生徒さんたちの生の声を聴いているなと感じましたし、それは、ざっくばらんに話をすることができる関係性ができているということだと思いました。

内容についてですが、生徒の嗜好によるかもしれませんが、満足度は個人に寄って非常にばらつきがあるということを教えられました。全員の満足度を高めるというやり方いいのかどうか一度考える必要性があるように思います。(むしろネットの特性を個々人に対応した個別性を伸ばす要素を見つけていくのもありだなと考えました。)

私がかかわっている塾でも、生徒はほとんどPCは使っていません。FBなどSNSも使わず、もっぱらLINEのようです。

なので、動画はよいとしても、PPTのような文字ベースのプレゼンシートは、あまり馴染まないのかなと感じました。(スマホの場合、画面そのものが小さいですし...)

とはいえ、生徒はみなさん、好奇心を持って取り組んでいるので、要望が高いし、クォリティも要求していることが分かりました。ちょっとしたアニメーションや、独自のキャラクターを登場させてコンテンツに花をそえるとより効果的になるのではないかと思います。

 

第9回反転授業オンライン勉強会「生徒が語る反転授業」を終えて

反転授業については、今までの教育の枠組みを大きく変えていく可能性のある試みなので、賛否両論あり、様々なことが言われています。

このような状況で大切なことは、できるだけ一次情報にあたり、自分の頭で考えるということではないかと思います。

反転授業の一次情報を得るためには、

(1)自分で実践してみる。
(2)反転授業を実践している教師の声を聞く。
(3)反転授業を受けている生徒の声を聞く。 

という方法があります。

ということで、これまで、反転授業の実践者、アクティブラーニングの実践者、動画授業を利用している方などの話を聞いてきました。

Facebookグループの中で、「生徒が語る反転授業」というテーマが提案され、今回、はじめて生徒から見て反転授業とはどのように受け止められているのかをレポートしていただきました。

発表していただいたのは、山口県立萩商工高校の松嶋渉さん。

商業科のビジネス基礎という科目の「売買に関する計算」という単元で5回にわたり反転授業を実践されました。

反転授業というと「iPad」などのタブレット端末が必要なのではないかと思う方が多いと思いますが、松嶋さんは生徒のネット接続状況をあらかじめ調査し、全員が何かしらの方法でネットに接続できる状況にあることから、生徒が自分の端末で予習動画を見るという方法をとっています。

自分の端末で視聴するというのは、海外の実践では主流です。日本では、東向陽台小や近大付属、武雄市などの反転授業の実践がすべてタブレット端末を配布して行うものだったため、「反転授業を実践するためにはタブレット端末が必要」というイメージがついています。でも、松嶋さんのやり方であれば、導入できる高校は多いのではないかと思います。

タブレット端末を配布しないで行う場合、生徒がどのような端末で視聴するのかに興味があったのですが、松嶋さんの報告によると、ほとんどの生徒がスマートフォンで視聴していました。

PCを持っている生徒であっても、わざわざPCを立ち上げるのが面倒だという理由でスマートフォンで視聴していました。

これは、予想以上でした。(詳しい統計資料は、「反転授業の森」で公開します。)

そして生徒から上がってきた感想として

・声が小さい
・字が小さすぎて見にくい
・画質が悪い
・3G接続だと、よく止まるので動画を軽くしてほしい。
・URLやQRコードの書いてあるプリントをなくすとアクセスできないからWebサイトを作ってほしい

といったものがありました。

これを聞いて、今後は、「スマホで見る」ということを前提としたコンテンツ作成をする必要があると痛感しました。

また、参加者の感想で、「Youtubeやニコニコ動画を見て育っている世代は、動画のクオリティに対する要求が高い」という声も上がっていました。それは、僕も強く感じました。

それにしても、「授業動画に画質を求めるのか~」というのは驚きでした。

松嶋先生のお人柄ゆえだと思いますが、生徒は、かなり正直に率直な意見を出していると思いました。そして、厳しい意見を言う一方で、動画を非常によく見てきているというのが印象的でした。30数名のクラスで、動画の視聴回数が200回以上を超えているということですので、2回以上見ている生徒が多数いるということで、よく利用されていると思いました。

・一人で予習するよりも分かりやすく効率の良い勉強ができた

・わからないところを何回も繰り返し再生することができて良かった

・今までは、予習の時に教科書をノートに書き写すだけだったけど、先生の説明を聞いてからノートに書けるので内容を理解して予習できた

というような声も多数あり、これまで一人で予習してきた経験を持っている生徒が、それに比べて分かりやすいという感想を持っているというのがとても参考になりました。

授業の最初に、口頭テストがあり、動画を見てきたかどうかをチェックするということになっているため、外発的動機が与えられているということもありますが、動画を見てくると教室で行う問題演習のときに問題が解けるという喜びが生まれ、内発的動機にも移行しているのではないかと思いました。義務的に動画を見てくるのであれば、1回見て終わりということになりやすいと思います。

また、印象的だった感想として、

「いつもではなく、分かりにくいところだけ動画にしてほしい」

というものがありました。

この感想は、真意がよくわからなかったのですが、印象に強く残りました。

反転授業について実践していない方がよく心配されるのが、「生徒はちゃんと予習をしてくるのか」という点なのですが、実践者にお話を聞くと、たいていの場合、問題になっていないことが多いです。松嶋さんの場合は、3年前からアクティブラーニングを導入していて、反転授業を実践する前から予習中心の学習というものを行っていたそうです。その延長線上に反転授業があるため、生徒は当たり前のように予習してくるという状況だったようです。松嶋さんのクラス運営能力の高さが土台にあり、その上にアクティブラーニングや反転授業が乗っているのだと思いました。

改めて、反転授業の実践には、普段からの生徒との関係性や、授業設計、習慣づけが重要だと感じました。

 

第2部では、はじめてオンライングループワークを行いました。グループワークには20名ほどの方が参加してくださいました。

5つのグループに分かれ、ビデオチャット、ボイスチャット、テキストチャットなどが混じり合った形でグループワークを行いました。

グループで話し合っていただいたのは、

(1)自分が生徒なら、どんな反転授業を受けたいか
(2)自分の身近な学習者の現状
(3)現実を理想に近づけるためにできることは何か

の3つです。

各グループでどんなことが話し合われたのかは、後ほどレポートにまとめていただき、「反転授業の森」でシェアしたいと思います。

各ルームを覗いて回った限りでは、はじめてのオンライングループワークであったのにも関わらず、思ったよりも話が深まっているように見えました。

どんなレポートが上がってくるのか、とても楽しみです。

初めての試みであったため、課題もいくつか見つかりました。それらは、今後の改善点としてポジティブに受け止めていきたいと思います。

第1部で登壇者にプレゼンをしてもらい、第2部でグループワークを行うというやり方は、しばらく続けてみたいと思います。

特別支援教育に動画を利用!日置節子さんにインタビュー

Facebookグループ「反転授業の研究」には、多くの実践者の方がおり、毎日、様々な投稿がされています。

その中で特別支援教育に動画を利用されている日置節子さんの実践を知り、非常に興味を持ったのでインタビューさせていただきました。

日置さんが担当されているのは特別支援学校の小学部4年生。

5人の児童に対して2人の教師がついているそうです。

日置さんは、知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害の児童を担当されています。
インタビューするにあたり、自閉症スペクトラム障害についての基礎知識を知りたいと思い、以下の記事を読みました。

自閉症スペクトラム障害の行動特徴(信州大学教育学部)
よこはま発達クリニック「自閉症について」
ふぁみえーる「知っておきたい発達障害のこと」

ふぁみえーるさんの記事を引用します。

—- 引用ここから —–

1.相互的な対人関係の障害

人に対して、あるいは社会的な面で適切で相互的な関係を築くことが困難です。具体的には、次のような特質として現れます。
・周りの世界に無関心
・目が合いにくい
・他の子と遊ぼうとしない
・興味のあるものを見せたり、持ってくることをしない
2.コミュニケーションの障害

相手との相互的な意思の疎通をはかることが困難です。具体的には、次のような特質として現れます。
・言語の発達に遅れがみられる
・会話がうまくできない(全くしゃべらない、一方的にしゃべりまくる、話がとぶなど)
・オウム返しが多い
・年齢に応じたごっこ遊びが出来ない
3.想像力とそれに基づく行動の障害(こだわり行動)

思考や行動の柔軟性が未熟であり、こだわりが強いという傾向があります。具体的には、次のような特質として現れます。
・興味のパターンが強く決まっており、没頭する(時刻表や統計への興味。ある一定の物、形、色など物事が同じであることに強くこだわる)
・道順や物事の手順など、決まったやり方があり、融通が利かない(儀式行動)
・奇妙な運動のクセがある(手や指をふる、体をくねらせるなど)

—– 引用ここまで ——

このような一般的な知識しか持たない状態でお話をうかがって大丈夫かという不安を感じつつ、インタビューさせていただきました。

まず、日置さんがiPadを導入したきっかけをうかがいました。

「魔法のプロジェクトという発達障害を持つ子供を支援するプロジェクトがありまして、そちらに応募したのがきっかけです。」

魔法のプロジェクトは、東京大学先端科学技術研究センターとソフトバンクグループが、携帯電話・スマートフォン等の情報端末の活用が障害を持つ子どもたちの生活や学習支援に役立つことを目指してスタートしたものだそうです。

魔法のプロジェクト
http://maho-prj.org/

現在は、特別支援教育に関わる80名ほどの教師にモバイル端末が配布され、実践例をシェアしているのだそうです。

そこで、動画を利用している実践に出会い、自分もやってみようということで応募し、2台のiPadの支給を受け、1年前から動画を使った実践に取り組まれているそうです。
具体的にどのようなことに動画を利用しているのかをうかがいました。

「日常生活の動作を自分でできるようになることを目指しています。たとえば、カバンの中のものを出してロッカーにしまうとか、着替えとか、歯磨きとかです。
自閉症傾向のある子は視覚優位のことが多いので、これまではカードを使って説明したりしていたのですが、カードを動きとして理解できないことがありました。
たとえば、歯磨きをするときに、①前歯に歯ブラシをあてているカード、②奥歯に歯ブラシをあてているカード というようになっていて、それを見ながら歯ブラシを歯にあてることができても、「ごしごし磨く」という行為をすることができなかったりするんです。でも、動画を見ながらだとできるので、動画を利用するメリットを感じています。」

「また、『カバンから中身を出してロッカーに入れる』という動作をできるようにするために、iPhoneを片手に持たせて、動画の動作を真似しながらやらせました。
最初はiPadでやらせようとしたんですが、大きさが大きいので、他の子の注意をひきつけてしまうという問題が出たため、私の使わなくなった古いiPhoneを使ってやらせています。
動画を止めたり、再開したりするのも直観的な動作でできるので、自分ですることができます。最後に「よくできました」というマークが出るようにしています。」

 

最後のマークは大事なんですね。

 

「そうですね。できたときのフィードバックはふだんからしっかりかけるようにしています。動画でもフィードバックがかかるようにしています。」
目の前で実際にやって見せるのとの違いはありますか?

「ありますね。たとえば『リンゴを描く』という課題があります。丸を描いて、茎を描いて、赤く色を塗るという課題です。これは、教師が実際にやって見せるよりも動画にしたほうが子供が絵を描くことができます。それで、動画を電子黒板に映してやらせています。」

 

それは、興味深いですね。なぜなんでしょうか?

 

「自閉症傾向の子は、どこに注目したらよいのかが分からないことが多いんです。リアルだと情報が多すぎて、関係ないことに注意が向いてしまい混乱するのだと思います。
音声や動きなどの情報を精選して動画を作ると、どこに注目したらよいのかが分かりやすくなるのだと思います。」

「また、動画にすることによって、教師の手が空くので、課題をやっているときにサポートに回れるというメリットもあります。」
モデリングがうまくいくための動画づくりのコツはあるのですか?

「音と映像を単純化することがポイントです。余計なものがあるとそこに注意が行くので、なるべく単純化します。また、動画には、他人がモデルになる、本人がモデルになる、子どもの目線でモデリングする、作業を細かくステップ分けして提示するなどの作成方法があるんですが、動作などの説明などをするときは、他人モデルが分かりやすいようです。」

「ただ、目的によって使い分けています。自閉症傾向の子は初めて行く場所が苦手なので、校外活動などをするときは、あらかじめ動画にとって見せて予習して慣れさせてから行くのですが、 そのときの動画は目線モデルを使っています。」

 

日置さんが反転授業に興味を持ったきっかけは、どのようなことだったんですか?

 

「家庭学習との連携について考えていて、反転授業に出会いました。日常生活を送るのですら大変な労力を払っている家庭があるので、そこにさらに家庭学習という形で負担をかけていいのだろうか
というジレンマがあり、宿題を出すことについて躊躇する気持ちがありました。」

「でも、たとえばリンゴの絵を描く課題などを自宅でやってもらって、次に、お友達がまわりにいる環境でも同じことができるかどうか学校でやってみたりするというやり方なら、家庭にあまり負担をかけずに効果をあげられるんじゃないかと思ったんです。それが、反転授業に興味を持ったきっかけでした。実践はこれからで、今、どんなやり方がよいのか勉強中です。」

 
日置さんのお話には、モバイル端末と動画講義の持ついくつかのポイントがありました。

・動きを説明することが簡単。
・手で持って動画を見ながら、真似して動作をすることができる。
・情報を精選することによって、示したい内容に集中させることができる。
・教師の手が空くのでサポートに回れる。
・教師が動画を作るのが簡単。
・自宅と家庭で同じ動画を使って課題を行うことが可能。

これらのポイントは特別支援教育に限らず、一般的に言えることで、特別支援教育での活動においてより顕著に表れるということなのかと思いました。

障害には様々な種類があり、それをテクノロジーで補完していく工夫にも様々なものがあると思います。

今後も引き続き勉強していきたいと思います。

 

 

 

 

第9回 反転授業オンライン勉強会「生徒が語る反転授業」

「反転授業の研究」の田原です。

Facebookグループで、オンライン勉強会のテーマを募集したところ、一番多かったのが「生徒が語る反転授業」でした。

実際に生徒にリアルタイムセッションに登場してもらうのは難しいと思いますので、ビデオインタビューやアンケートなどで生徒の声を紹介しつつ、皆さんと一緒に考えたいと思います。

 

テーマ 「生徒が語る反転授業」

日時 : 5月20日(火) 22:00-23:30

場所 : Web教室 WizIQ

参加費 : 無料

 

生徒の声を紹介してくださるのは次の方です。

 

松嶋渉(まつしまわたる)さん

(プロフィール)

山口県立萩商工高等学校 情報デザイン科長

大学卒業後、映画関係、教育系出版関係の仕事を経て、29歳にして商業科教員としてのキャリアを歩み始めました。教員として働き始めた2000年頃インターネット博覧会(インパク)というイベントがあり、当時勤務していた学校の生徒とともにWebコンテンツを作って参加して以降、授業や部活動、校務等で情報に関わる仕事をしています。2004年頃にはFlashでのe-ラーニング教材を作成し、授業で活用しました。2006年から2年間教育困難校と呼ばれる学校に勤務し、家庭環境や学習意欲について学ぶ日々を送りました。2008年現在勤務する萩商工高等学校に情報デザイン科が創設すると同時に転勤し、ICTの活用や地域との連携によるキャリア教育に力を入れて取り組みました。2010年には(*1Ustreamを活用した授業公開を行い、2011年からキャリア教育の一環として(*2)「萩LOVEハイスクール」という地域活性化プロジェクトを行っています。*33年前からアクティブラーニングを取り入れた授業を展開しており、その中で予習をどうにか改善できないかと考えていたところ、Facebookグループの「反転授業の研究」を知り、その後生徒のデバイス状況やネット環境を調べ準備し、20142月に5回ほど予習に動画を利用する反転授業を試行しました。生徒の学ぶ力や生きる力を伸ばす方法について試行錯誤する日々です。

 

(内容)

20142月に試行した反転授業についての生徒のアンケートやインタビューをもとに、反転授業について生徒がどのように感じたり考えたりしているのか、またその教育効果(学習意欲の喚起や成績との関連など)についての考察をしていきます。私の2月に行った反転授業は、「予習の手助けとしての動画講義」という位置づけです。普段は自宅に1人で教科書とノートで予習しているところに、先生が動画で教科書の内容を教えて予習を助けるとどうなるのか、ということを試行しました。この反転授業は準備不足とスキル不足で私自身十分に満足できるものではありませんでしたが、生徒は事前に動画を見て予習をしてきており、アンケートにもしっかり答えてくれていました。予習を助けるという目的が果たされたのか、また今後の課題は何か、これから動画講義を行おうとする人のために私の試行の結果が少しでもお役に立てればよいなと考えております。

 

*1 萩商工高校授業公開 → http://www.ustream.tv/recorded/10942935

*2 萩LOVEハイスクールについての資料

LOVE→http://www.hagi-love.com/

LOVEハイスクール紹介PDF→http://www.hagiweb.com/pdf/89.pdf

*3 http://watarumatsu.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html 

 

第9回反転授業オンライン勉強会のお申込みはこちら

 

テーマ 「生徒が語る反転授業」

日時 : 5月20日(火) 22:00-23:30

場所 : Web教室 WizIQ

参加費 : 無料

当日は、オンラインでグループディスカッションも行います。ビデオチャットの用意をお願いします。ビデオチャットができない場合は、ボイスチャットのみ、テキストチャットでの参加でも大丈夫です。

 

お申込みはこちら

 

 

米ローレンスアカデミー高校マーク先生にインタビュー

2ヶ月ほど前、朝日新聞記者で『ルポMOOC革命』の著者である金成隆一さんからメールをいただきました。

メールには、著書の中で登場する米マサチューセッツ州、ローレンスアカデミー高校で数学とコンピューターサイエンスを教えているマーク先生が、日本でも反転授業が広まりつつあることを喜んでおり、「何か力になれることがあれば協力する」とおっしゃってくれているということでした。

マーク先生の連絡先を教えてもらい、インタビューさせていただくことにしました。

マーク先生が実践家として知られるようになったのは、反転授業のノウハウの詳細を自分のブログで公開し始めたことがきっかけでした。

FlippedMind.com

 

最初の授業ですること

たとえば、最初の日に何をするか?

マーク先生は、最初の日がとても重要だと言います。最初の日のあり方が、クラスのトーンを決定するし、この日に反転授業の概念を理解してもらわなければならないからです。

しかし、協働学習をした経験のない生徒も多く、どのようにして学んだらよいか分かりません。

そこで、生徒を3人ずつのグループに分けて、Rush Hourというゲームをやるのだそうです。

Rush Hourとは、このようなゲームです。

 

マークさんがこのゲームを好きな理由は、様々な難易度を設定でき、生徒がこれまでに解いたことのないような問題に出会うことができるからだそうです。

各グループのうち1人がゲームを解くための戦略を紙に書いていき、残りの二人がゲームをやるのだそうです。

そして、多くの問題に対して一般的に使えそうな戦略を見つけていくのだそうです。

マークさんに、Rush Hourをやる理由をうかがったところ2つあるという回答でした。

・数学的な思考を鍛えられる。

・協働作業をしながら一緒に考えることを経験できる。

今まで一方向的に教師に教わってきた生徒は、「学ぶ」=「教師から教わる」という思い込みがあり、それを「学ぶ」=「仲間と協力しながら自ら学ぶ」というように考え方を変えていくのは時間がかかるとおっしゃっていました。

「どうしてマーク先生は、何も教えてくれないの?」

と不平を言われたこともあると言って笑っていました。

 

動画講義を作る労力をどうするか

反転授業を実施するためには動画講義を作る必要があります。

マーク先生は、数学の教師8人で協力して、分担して動画講義を作ることで、それぞれの負担を減らしているのだそうです。

マーク先生が使っているツールは、Screen-O-Maticというスクリーンキャストソフト。

こんな感じの動画を作っています。

 

動画の長さは10分以内にするように心がけていて、できれば5分程度で作ることを目指しているとか。

現在では200本近くの動画がグループ内にストックされていて、お互いに利用しあっているそうです。

 

反転授業の準備は大変

マーク先生は、生徒中心の学習が授業でうまくいくようにいろいろな工夫をされています。

数学の授業では、一緒に問題を解いたり、プレゼンテーションをしたり、お互いに教えあったり、ゲームをしたりします。

だいたい1-2週間前から準備をするのだそうですが、かなりの時間と労力がかかるのだそうです。

普通に教えたほうが楽だと言っていました。

いつもうまくいくわけじゃないけど、いつも生徒中心の学習にすることにこだわっているそうです。

一番重要なのは、生徒の長所と短所を把握して、そこに必要なものをやることだと言っていました。

 

なぜ、生徒中心の学習にこだわるのか?

マーク先生と話したり、ブログ記事を読んだりすると、何度も 「Student-Centered State of Mind」という言葉が出てきます。

ブログのサブタイトルにもなっています。

マーク先生がなぜ生徒中心の考え方にこだわっているのかを質問してみました。

マーク先生の回答は、「協働学習をすると、一緒に学んだり、創造的に考えたりできる。その結果、人生において本質的なスキルを獲得できるんだ」というものでした。

グループの友達に教えることは、一番よい学び方で、難しい問題に協力しながら夢中になっているのを見るといつも驚かされるよとも言っていました。

このようなことが起こるためには、クラスの雰囲気がとても大事で、雰囲気ができると協働学習がどんどん進むということを強調していました。

 

まずは、1科目、1単元からはじめるべき

これから反転授業を始めようという先生に対するマーク先生のアドバイスは、「1科目、1単元から始めよう」ということ。

反転授業を行うためには、準備もスキルも必要になるので、最初から全部を反転させようと考えずに、小さなことからはじめたほうがよいとおっしゃっていました。

動画の作り方にはいろんなやり方があるけれど、一番シンプルなのは、Screen-O-Maticを使ってスクリーンキャストで講義を作ることだというのがマーク先生の意見。動画講義のクオリティを上げることに熱心になって、10分の動画を作るのに1時間もかけてしまったら授業の準備に時間がかかりすぎてしまうので、とにかくクオリティにはこだわらずに気軽に作ることが大切だとおっしゃっていました。

たしかに、Webで公開されているマーク先生たちのグループの授業動画は、手書き中心のシンプルなもの。

でも、教室でのアクティビティが生徒中心にデザインされていて、ワクワクするものであれば、これで十分機能すると思います。

 

デバイスやWifiの状況は?

日本の高校で反転授業をやろうとすると、必ず話題になるのがインターネット接続環境とデバイスの問題。

マーク先生の高校ではどのようになっているのかをうかがいました。

マーク先生が勤務しているローレンスアカデミー高校は、私立高校で1クラス最大16名までの少人数制の教育がなされています。

公立高校に比べて学費が高いこともあり、比較的裕福な家庭の子どもが通っているため、デバイスを持っていない生徒はいないそうです。

高校生がノートパソコンを学校に持っていくのが当たり前で、学校がWifiフリーなのも当たり前。

逆に、「日本は貧しい国じゃないのに、高校生はノートパソコンを買うことができないのですか?」と質問されました。

日本では、高校での勉強にPCを使うことが前提になっていないので、50%くらいの生徒がPCを持っているかもしれないけれど、それは、学習のためではなくホビーのために使っていると答えると、「え??それじゃ、ノートやレポートやプレゼンテーションの資料はどうやって作るの?」とさらなる質問が。

レポートやプレゼンテーションが課されることは少ないし、普段は紙のノートに手書きで書いていると答えました。

経済的な理由で購入できないわけではないのに、高校生がノートパソコンを持っていないということが、全くの想定外だという様子でした。

それで、経済的にあまり恵まれていない公立高校の状況を説明してくれました。そこでは、家庭にインターネット接続がなかったり、ノートパソコンを持っていなかったりする生徒がいるので、学校に貸し出し用のPCがあり、それを借りてレポートを作成したり、放課後、予習動画を見たりしているとのことでした。

反転授業をやる前に、高校生ならノートパソコンを学校に持っていくのが普通で、日常的にネットで検索したり、レポートを作ったり、パワポ資料を作ったり、学校のLMSにアクセスしたり・・・という前提があり、それらの利用方法の1つとして生徒中心の学習をデザインしたい人が反転授業に取り組んでいるのだということが良くわかりました。

 

ノウハウの共有はオンラインで

マーク先生は、同じ学校の実践者仲間とディスカッションするだけでなく、反転授業の実践者によるSNS「Flipped Learning Network」でもノウハウをシェアしているそうです。

僕も、このSNSに入っていますが、実践者による具体的な取り組みや、悩みが共有されていて、多くの実践者の助けになっています。

日本でも、Facebookグループ「反転授業の研究」に1500名以上が集まり、また、5月から新しく反転授業実践のためのSNS「反転授業の森」が立ち上がります。

これからも、情報交換をしながら、一緒に発展していこうと約束してインタビューを終えました。

スカイプでお話をうかがった時間はトータルで1時間半。

熱くなってしゃべりだすと止まらないマーク先生から、生徒中心の学びに対する情熱をひしひしと感じたインタビューでした。

 

 

登壇者紹介 教育と探求社代表 宮地勘司さん

「反転授業の研究」の田原です。

第8回反転授業オンライン勉強会「探求学習と学習意欲」まで、あと1日となりました。

本日、ご紹介するのは、教育と探求社の宮地勘司さんです。
宮地さんにオンラインでお話をうかがいました。

 

宮地さんが教育事業に踏み出したのは、日経新聞社に勤められていたときに、「日経エデュケーションチャレンジ」というイベントを自ら立ち上げたことがきっだったそうです。

このブログラムは、「高校生のための社会&科学スタディ」というキャッチフレーズのもと、社会で活躍している人を呼んで、高校生に授業をするというものです。

ここで、高校生がすばらしい質問をしたり、大人が元気になったり、相互に触れ合うことによって理解が進んでいくことを経験し、教育事業に大きな可能性を感じたのだそうです。

その後、さらに多くの高校生にこのような学びを届けるために、最初は、社内事業として教育事業を立ち上げることを目指したのですが、制約が大きいため、教育と探求社を起業し、高校生と現実社会とを結びつけるプログラム作りをはじめたのだそうです。

 

宮地さんが、安定した職を捨ててまで追い求めた教育事業の可能性とは何だったのか。

非常に興味が沸きました。

そこで、教育と探求社が、現在行っている「クエストエデュケーション」について、詳しくうかがいました。
「クエストエデュケーション」とは学校単位で導入するプログラムです。

総合学習の時間や、現代社会、国語など、通常授業のうちの24コマを使って一年を通して行われます。その最終発表の場が「クエストカップ」という全国大会です。

大会の概要を教育と探求社のホームページから引用します。

教育と探求社

— ここから引用 —-

全国の中学生・高校生が、学校の授業の中で、実在の企業や人物を題材に、 「生きる力」を学ぶ「クエストエデュケーションプログラム」。
その1年間の取り組みの成果を発表する「クエストカップ2014 全国大会」が、 今年度も開催されます。

審査の対象は以下の3つの部門。
実在の企業から出されたミッションに応える「企業プレゼンテーション」部門。
夢を実現した先人たちのストーリーを追う「人物ドキュメンタリー」部門。
自分の過去と、未来の履歴書を執筆する「自分史」部門。
全国の応募作品の中から選出された代表が、各部門のグランプリを目指して創造性豊かなプレゼンテーションを繰り広げます。

— 引用ここまで —-

企業プレゼンテーション部門では、最初にアニメーションで「あなたが主役。先生はファシリテーター」であることが告げられ、生徒は自分で能動的に動くことが求められるそうです。

1学期は企業のインターンとして、「町に出てスカパーを探せ」など、企業から動画で与えられた指示に従いフィールドワークやアンケート調査などを行います。2学期になると、企業からミッションが与えられ、ブレインストーミングやロジカルシンキングを行いながら、企業からのミッションに対する回答を作成していきます。

そして、3学期に実施される「クエストカップ」で、実際に企業に向けてプレゼンテーションを行います。

千点を超える作品のなかから予選を見事勝ち抜いたチームが、大学キャンパスを借りて行われる本大会でプレゼンを行い、グランプリを目指します。

ここには、生徒のやる気を刺激する仕掛けが何重にも張り巡らされています。
・常に行動を求められること。

・チームで行うということ。

・クエストカップという晴れの舞台が設定されていること。

・自分たちが社会を変えられるという実感を持つこと。

・身近な先輩が活躍する姿を見て、自分もそうなりたいと思うということ。
これらの仕掛けは、既成の教育理論を越えて、現場の試行錯誤から臨床的に時間をかけて練られてきたものなんだそうです。

 

また、クエストエデュケーションは、教師にとっても貴重な学びの機会になるそうです。

クエストエデュケーションで教師に求められるのはファシリテーター。

答えを持たずに教壇に立つ恐怖を乗り越えることで学びの可能性を知るとともに、それまでには見られなかった生徒の新たな可能性に出会い、感動するそうです。

この体験の後、それまでは一斉授業だったのが、生徒中心のグループワークに変える先生も現れているそうです。

 

クエストエデュケーションでは、教育と探求社のスタッフが授業を行うのではなく、必ず先生に授業をやってもらうのだそうです。

その理由を、宮地さんにうかがいました。
宮地さん:外部からスタッフが入ると、そのときは楽しいけれど、プログラムが終わったら何も残らないんです。だから、学校からもお金をいただいて、
先生には予算を通してもらって、しっかりコミットしてもらって、一緒にやるようにしています。
この話をうかがって、宮地さんの考えていることを、一つ深いレベルで理解できた気がしました。

僕は、「反転授業の研究」の活動を通して、学習者中心の学びに関心がある教師のためのスキルアップの場をオンラインに作りたいと思っています。

その先には、個人レベルで実践が広がっていくことによって、教育のあり方にインパクトを与えたいという希望があります。

宮地さんは、クエストエデュケーションというプログラムを携えて学校現場に入っていき、地道に、そして、着実に教育のあり方に変化をもたらしています。

その方向性に共感すると同時に、方法論の見事さに感銘を受けました。

4月23日(水)22時からの勉強会で、宮地さんのお話をうかがうのが楽しみです。
反転授業オンライン勉強会への申し込みはこちら

登壇者紹介 奈良女子大学附属中学・高校教諭 二田貴広さん

「反転授業の研究」の田原です。

本日は、4月23日に実施する反転授業オンライン勉強会でお話してくださる奈良女子大学附属中学・高校教諭の二田貴広さんをご紹介します。

 

二田さんのことをはじめて知ったのは約半年前。Facebookグループで「動画の種類」について調べていたときでした。

次のような質問をグループに投稿しました。

「動画講義を扱っている方に質問です。 次のうちのどのタイプの動画を作成していますか? (下記以外のタイプの動画を作成している場合は、項目を追加してください)」

僕のほうで最初に用意していた選択肢は以下のものでした。

・スクリーンキャストで作成タイプ(15分以下)

・スクリーンキャストで作成タイプ(15分以上)

・授業をそのまま撮影するタイプ

・授業をスタジオなどで撮影するタイプ

・資料動画

この選択肢に、二田さんが、「予告編」という項目を追加したのです。

「予告編って何だ??」

と思い、二田さんに質問したところ、次のような返事とともに動画を見せてくださいました。

—  引用ここから —-

奈良女子大附属の二田貴広です。
田原さんから「予告編って何?」と問われましたので、恥ずかしながらこちらに載せます。著作権などすべてクリアしたものです。
小学校教材の「ごんぎつね」と「おにたのぼうし」を中学高校で再読しようという授業をしようとしています。文学とは何かというアポリアについて考えるためです。
まぁ、授業自体はうまくいくかはわかりませんが、映画のように予告編を見たら生徒の授業への意欲が上がるのでは?という、とある先生の問いかけによって試みてみようと作ったものです。

—- 引用ここまで —-

予告編動画はムービーメーカーで作成されており、授業でやる内容を説明していました。効果音などが使われていて、授業で課題に取り組むのが楽しみになるような仕掛けがされていました。

このような動画の使い方については、全く考えたこともなかったので、とても新鮮でした。

これをきっかけに、二田さんの取り組みについて興味をもちました。

二田さんは、ednityという教育用SNSも授業に導入されています。SNSを導入した理由を質問したところ、

「たくさんの他の人の意見に触れて、それを取り入れながら自分の意見を書くということが、これからは重要です。」

というような返事が返ってきました。

自分の意見を表現したいけど、うまく表現しきれないときに、他の人の言葉を借りることによって表現するというのは、社会人になって必要になる能力だと思います。教室での学びでは、他の人の書いたものを大量に読むことは難しいですが、SNSというツールがそれを可能にしているところが非常に興味深いと思いました。

現在、二田さんは、予習動画を「予告編」と「講義動画」にした場合の比較、SNSを使った場合と使わなかった場合などの比較をしながら、反転授業に取り組んでいらっしゃいます。

二田さんの取り組みは、動画の作り方が、どのように学習意欲に影響してくるのかを考える上でのヒントになると思います。

反転授業オンライン勉強会で二田さんのお話をうかがうのが楽しみです。

 

4/23 第8回反転授業オンライン勉強会への申し込みはこちら

 

登壇者紹介 探求学舎代表 寳槻泰伸さん

Facebookグループ「反転授業の研究」は、2012年12月にスタートしました。

最初のころは、メンバー数が20名程度で、動画配信をしているメンバーを中心に小規模でオンライン勉強会をしていました。

状況が変わったのは、2013年の8月。

日本でもグループワークや探求型学習に取り組んでいる人たちが、実はたくさんいるということに気づき、そこにアクセスすることにしたのです。

アクティブラーニングの実践&普及をされている小林昭文さんとの交流がはじまったのをきっかけに、次々とアクティブラーニングや探求型学習の実践者とつながりました。

探求学舎の寳槻泰伸さんのことを知ったのも、ちょうどそのころでした。

探求学舎のHPはこちら

 

僕が、そのときに感じたことは、「探求学習で生徒を集められるのか?」ということでした。

僕自身、受験生を対象としたネット予備校を運営していて、受験対策と理想の教育とのバランスをどこで取るのかということをずっと試行錯誤してきているので、受験を前面に出さず、「探究学習」を前面に出している運営方針に、とてもすがすがしい印象を受けた一方で、それでやっていけるのか知りたいと思ったのです。

早速、Facebookで次のような質問を率直にぶつけてみました。

「僕のところでは、「田原の物理」という講義で集客していますが、「対話式の授業」という塾の運営方針で集客できるものなのでしょうか。10/30のオンライン勉強会でも取り扱いたいテーマなのですが、それが可能なら、可能性が大きく広がるなーと思っています。」

それに対して返って来た寳槻さんの返事がこれでした。

— ここから引用 —-

「対話式の授業」で集客を行っているというよりは、「テストのためでなく人生のための学び」「探究心を触発する学び」というコンセプトで集客しています。ともかく詰込みでも個別でも良いから成績を上げて欲しい!という保護者ではなく、勉強の面白さを知ってほしい、自分から進んで学ぶようになってほしい、そういう期待をもった保護者からの問い合わせがほとんどです。相手が目先の結果よりもまずはプロセスを重視しようという価値観なので、必然的に「対話式の授業」というコンセプトも受け入れられていくという感触です。

ただやはり学習塾なので、結果が問われていることも事実です。まだ開校して1年半なので、塾生の保護者も、遠くからながめている保護者も、それでどこまで結果に結びつくのかということを見ている状況だと思います。

多くの塾が「成績向上」「志望校合格」をうたっている中で、路線の違う塾を作りたいと思って上記のコンセプトでやっていますが、たどり着くべきはやはり「プロセスと結果の両立」であり、生徒も保護者もそれを期待しています。

1年半やって思うこととしては、明確な学習への価値観をもった保護者が少なからずいるということと、彼らは既存のうたい文句ややり方に飽きていたり、共感していないということです。

大手の学習塾や学校は面を相手にしなければなりません(マジョリティの価値観に沿わなければならない)が、個人塾やベンチャーは点を相手に独自のコンセプト・手法を築いていくことが役割で、そうして実ったものが市場全体に良い影響を与えることができたらいいな、と考えています。

—- 引用ここまで —-

寳槻さんからお話をうかがったり、探求学舎のHPを拝見したりするうちに分かったのは、寳槻さんが市場として「探究学習」を捉えているのではなく、強い信念があって、その信念に基づいた教育をやりたくて塾を始めたということです。

それは、一方通行の授業や機械的な勉強が嫌いだった寳槻さんの少し変わった学習経験が大きな影響を与えていると思います。

塾長の探求学舎設立ストーリー

高校の勉強がつまらないという理由で中退し、NHKスペシャルや映画を見て、自分のワクワクする気持ちを大事に勉強した結果、京都大学へ合格することができたという寳槻さんの成功体験が、

勉強の面白さを知り、自ら学ぶようになることが大切

という信念を生み出したのではないかと思います。

探求学舎で行われている「探求学習」の動画を見ると、生徒がとても生き生きと勉強していて感動的です。

 

2014年4月に寳槻さんと直接お会いする機会がありました。

そこで、「自ら学ぶようになるために重要な要素は何か?」と質問してみました。

返って来た言葉は、「知的感動体験を与えることが大切」ということでした。

さらに、「子どもは、自分が何に感動するのか知らないので、子どもに聞いても仕方がない。大人が、その子どもに合ったものを探してきて与える必要がある」ともおっしゃっていました。

さらに、ロールモデルや仲間の重要性についても力説していました。

探求学習では、歴史上の人物に焦点を与えることが多いそうです。過去に偉大な仕事をした人について調べることで、それをロールモデルになり、さらにグループで学ぶことで意欲が高まっていくという効果があるのではないかと思いました。

 

寳槻さんたちが、最近取り組んでいるのが、tanQ Cinemaという動画。これは、「学習意欲を高めるための動画」なのだそうです。

NHKスペシャルなど、大量の動画を見て、好奇心に火をつけてきた寳槻さんには、どんな動画を作ったらワクワクするのかが分かるのだそうです。

科学史を取り入れた説明や、動画ならではのアニメーション表現によって数学や物理を説明する動画は、物理講師の僕から見ても、とてもワクワクするものです。

反転授業の実践者の多くは、動画で学習意欲を高めるのではなく、グループワークで学習意欲を高めてきました。

それに対して、寳槻さんは、グループで探求学習を行うのと同時に、動画で学習意欲を高めることにも積極的に取り組んでいます。

知的感動体験を通して学習意欲に火をつけていくことにこだわっている寳槻さんが、第8回反転授業オンライン勉強会「探求学習と学習意欲」でどんな話をしてくださるのか楽しみです。

(追)寳槻さんは、現在、STORY.JPに執筆中です。

「強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話」

4/23 第8回反転授業オンライン勉強会への申し込みはこちら

第8回反転授業オンライン勉強会「探究学習と学習意欲」

こんにちは。「反転授業の研究」を主催しています田原真人です。

第8回 反転授業オンライン勉強会の日程が決まりましたので、お知らせします。

テーマ「探究学習と学習意欲」

4月23日(水)22:00-23:30

反転授業に興味のある皆さんの多くは、教室を生徒が能動的に学ぶ場として使いたいと思っているのではないでしょうか。

そのときに、大きなポイントになるのが、どのようにして学習意欲を引き出すのかということです。生徒をワクワクさせて、好奇心に火をつけてしまえば、生徒は能動的に自分で学んでいくからです。

生徒をワクワクさせることに対して、直接的、間接的にテクノロジーを利用する試みがなされています。

・好奇心を刺激するような動画コンテンツを見せる。
・ネットワークで遠隔地と結び、対戦しながら勉強する。
・海外の生徒とオンラインでグループになって協働作業する。
・知識の伝達を動画にして、アクティブラーニングでワクワクさせる。

また、「魅力的な問い」も、生徒の能動的な学びを誘う上で重要な役割を果たすと思います。

問いをきっかけにして始まる探究学習こそ、能動的な学習の代表例ではないかと思います。

いったいどのようにすれば、生徒の能動的な学びをデザインできるのか?

3人の実践者の方にお話をうかがいたいと思います。

 

二田貴広さん

(プロフィール)

現在、奈良女子大学附属中等教育学校(途中入学なしの中高一貫校)に勤務している二田貴広(ふただたかひろ)です。大学院修了後、秋田県の公立高校の教員を務め、縁あって奈良で教師をしています。教員14年目ぐらいの国語科教員です。  教員となってから、メディア・リテラシーの涵養・育成に関心を持ち、テレビCM分析やマスメディア、アニメ、映画などの表現の分析、テレビCMの制作に取り組んできました。生徒たちが未来を生きるために必要不可欠な能力と思いますし、国語で読解や表現ともリンクするからです。  2012年から、勤務校にipadが順次入り、電子黒板も何台か入れられ、全館wifiが整備されたのにともない、それまでまったくさわったこともなかったタブレットPCとアプリ、ネットワークを利用した学習に取り組みはじめました。ペーパーレス会議システムや、ふせんアプリ、EVERNOTE、デジタル新聞、SNSなどを授業で活用しています。また、海外の記者との交流や日本各地の学校との連携学習にも取り組んでいます。  新たなツールとインターネットが何を可能にし、何を可能にしないのか、それは本当に教育的な意義があるのかエビデンスを出していくことを目指しています。

 

(内容)

私は、反転授業と「学習意欲」について話します。  反転授業には「学習意欲の高まり」について2つの異なった効果を持つ可能性があると考えています。  1つは、「自分が学んだことが教室で生かされる、生かすことができる、受容される」ことへの喜びから喚起されるものです。これは、実際に「 」内を体験することがあって、次には「 」内が起きることが期待されて、というように「期待」に変容するからこそ「学習意欲の向上」につながると考えています。  2つめは、「学ぶ内容(コンテンツ)への期待感の高まり」です。たとえば、昨年度、わたしは『ごんぎつね』と『おにたのぼうし』の授業の「予告動画」を作り、学校外で視聴させて課題をSNSに投稿させました。「学校での学びへの期待」を高めることで学習意欲を高めようとしたものです。  上記のとくに2つ目について、予告動画や生徒の投稿内容、授業での様子、他の方法を用いたクラスとの比較を提示しつつ、みなさんともに「学習意欲」について考えたいと思います。

 二田さんの紹介記事はこちら

宝槻泰伸さん

(プロフィール)
東京都三鷹市を拠点に学習塾(探究学舎ー小中高対象ー2年前に開校して現在生徒約110人)を運営しています、宝槻と申します。
高校生の頃、「勉強しかするな!」と当然のごとくに言い切る県立の高校に愛想を尽かし退学したのがきっかけで教育に関心を持つ様になりました。大検を取得して京都大学に進学し、在学中は塾や学生団体等を通じて教育にかかわっていました。弟2人も大検で京大に進学したので、この経験は何かのお役に立てるかもと思い込み、卒業後すぐに起業。当初は私立高校に対する出前授業(出張授業)を行なっていました。以降、紆余曲折色々とあった後、現在の学習塾事業に腰を据えて取組んでいます。塾では「つまらない勉強はやめにしよう」と挑戦的なメッセージをチラシでうたいつつ、一風変わった方針で運営に取組んでいます。数学は数学史・科学史と共に教える、英語は名文の音読・暗唱トレーニング、小学生から高校1年生までは探究学習に積極的に取組ませる、という内容です。数学の研究成果は【tanQ Cinema】という名前でYoutubeに公開を始めました。生徒が受験のために仕方なく学ぶのではなく、ワクワクしながら勉強に取組む事ができる様に「学び方を変える」ことを目指しています。

(内容)
生徒の学習意欲を引き出すには様々なアプローチや考え方があり、万能の方法も方程式もないというのが自論ですが、その中でも最近手応えを感じ始めている「数学史・科学史を使った数学」と「探究学習」という学習塾での取組みについてお話しさせて頂きます。数学・理科・社会(特に歴史)という学問に対して小学生から高校生までの年代の生徒がどのようにして興味関心をもつ様になるのか。自分のアイデアを取組みをお話した上で、みなさんの考え方やアイデアを教えて頂けたら嬉しいです。
また、「一流大学○名合格!」「成績アップ!」といったマーケティングではない、別のコンセプトで教育サービスを市場に届ける方法についてもお話しさせて頂きます。学校も塾も進学実績が問われる様になってから随分時間も経過していますが、従来の教育手法やコンセプトに飽きていたり・批判的なユーザーは何を求めているのか。新しい教育を形にするにはマジョリティーを相手にせず、イノベーターを引きつける戦略が重要です。特に学習塾にかかわっていらっしゃる方と意見交換ができたら嬉しいです。

 寳槻さんの紹介記事はこちら

宮地勘司さん

(プロフィール)

株式会社 教育と探求社 代表取締役社長

1963年、長崎県出身。1988年、立教大学社会学部卒業。同年、日本経済新聞社入社。自らの起案により日本経済新聞社初の社内ベンチャーとして「教育開発室」(現在の教育事業本部)を起こす。2004年、日本経済新聞社を退社し、株式会社 教育と探求社を創設。代表に就任。中学生・高校生が、実在の企業や人物を題材に“生きる力”を学ぶ学習プログラム「クエストエデュケーション」を開発。年間約1万人の中高生が、学校の授業の中で同プログラムを学んでいる。また、社会人向けのキャリア研修「ビジョンクエスト プログラム」を実施。研修実績は、企業人、NPOリーダー、国家公務員、エグゼクティブ層まで多岐にわたる。かわさき起業家大賞受賞、経済産業省キャリア教育アワード入選。法政大学キャリアデザイン学部で講師を務める。著書に「これからの「教育」の話をしよう」(学校広報ソーシャルメディア活用勉強会・共著)

 

(内容)

「学習意欲を賦活する探求学習」 今年で10年目を迎える「クエストエデュケーション」。 学校の授業の中で先生が指導する、キャリア教育のプログラムです。 年間、20~80コマの時間を掛けて、正規の授業の中で学びます。

常に、生徒が主役という思想で設計されたプログラムですから、 随所に自発性を涵養する仕掛けが施されています。

いわゆる今注目を集めている反転授業という枠組みに入るかどうかは わかりませんが、学び手が主役、授業は創発型で、という部分の思想は、替わらないと思っています。

今回は、プログラムの概要と実績、生徒たちの探求を可能にする 仕掛けについて語ります。

【クエストカップ全国大会】 http://www.questcup.jp/ *過去の映像も見れます。

【ニュース23】 http://youtu.be/wnQKwcXssP8

宮地さんの紹介記事はこちら

 

第8回 反転授業オンライン勉強会 「探究学習と学習意欲」

日時 4月23日(水) 22:00-23:30

会場 Web教室システム「WizIQ」

参加費 無料

席に限りはありません。カメラ&マイクなどは必要ありません。

初めて入室される方は、少し時間がかかる可能性がありますので、余裕を持って入室してください。

お申し込みはこちら

「反転授業」は子どもの「教育を受ける権利」を脅かすのか?

尾木ママの「反転授業批判」について という記事を書いたので、他に尾木さんの意見についてどのようなことが言われているのかを検索してみたら、次の記事を見つけました。

弁護士ドットコムの

尾木ママが批判する武雄市の「反転授業」 子どもの「教育を受ける権利」は大丈夫?

という記事です。

教育を受ける権利とは、公教育においてはすべての生徒が十分な学習機会を得る権利があるという意味だと思います。

それを踏まえて、南山弁護士は次のように述べています。

—- ここから引用 —-

「公立の小学校は、多種多様な家庭環境・意欲・学力の生徒が集まる公教育の場ですから、なかには自宅予習をこなすのが難しい生徒もいます。また、今回の武雄市のケースでは市が無償でiPadを配るようですが、自宅学習用の端末の費用が家庭の負担になる場合は、端末を持つことができない児童も出てくる可能性もあります。

もし、教室での授業において、そうした児童への配慮が一切なされなければ、児童は応用的な授業に全くついていけず、結果的に学びの機会を奪われることになりかねません。

つまり、反転授業を取り入れるのであれば、予習していない児童にも配慮した授業の進め方、教室外予習の支援による家庭の負担軽減、魅力的でわかりやすい自宅予習用コンテンツと端末の提供、といった創意工夫が必要となります」

小学校における公教育という観点からすれば、様々な事情で「予習できない児童」の存在を無視するわけにはいかないだろう。

—- 引用ここまで —-

ネット接続環境が整っていない、端末がそろわないという問題は、別のテーマになりますので、「多種多様な家庭環境、意欲、学力の生徒が集まる公教育の場」で、どのようにすれば、すべての生徒の学習効果を上げていくことができるのかということを考えてみたいと思います。

南山弁護士の発言を読んで気になった点があります。

それは、現状の分析がなされていないという点です。

一斉授業が中心の現状における課題を分析し、その解決策に「反転授業」がなり得るのかどうか。

一斉授業中心の現状と、反転授業を導入したケースとを比較して、どちらが多くの生徒の学習を助けられるのか。

そのような比較をせずに、反転授業の問題点を論じても、問題点が明確にならないのではないかと思います。

 

僕自身は、中学、高校、予備校などで一斉型授業を15年間やってきました。授業を面白くして、効果を上げるためにいろいろな工夫をしてきましたし、成果も上げてきました。

しかし、「多種多様な家庭環境、意欲、学力の生徒が集まる公教育の場」で一斉型授業をするのは難しいと感じています。

この場合、教師はどこに照準を合わせて授業をやらなくてはならなくなるのかと考えると、おそらく、平均よりやや下のレベルに合わせて授業を行うことになるケースが多いと思います。

その結果、一斉型授業のペースと理解の速さがちょうど一致している少数の生徒以外には、効果的な学びが起こらないことになります。

半数以上の生徒にとっては「遅すぎて飽きてしまう」授業であり、何人かの生徒にとっては「速すぎて理解できない」授業になります。

このデメリットを補うために、反転授業などの非一斉型授業をミックスしていくことが考えられているのです。

一斉型授業、非一斉型授業のメリットとデメリットについては、福島毅さんのどんぐり教員セミナーが参考になります。

また、現状で、かなりの割合の生徒が授業から落ちこぼれているという報告があります。(分かりやすい資料が見つかれば、後で引用します)

現在、すでに学びの機会を失っている生徒がたくさんいるのです。

「物理的な意味で教室にいる」という点では、学びの機会を得ているように思えるかもしれませんが、授業がすっかり意味不明なものになってしまった生徒にとって、それは、学びの機会を得ているといえるでしょうか。

この問題を解決するために、とても重要な視点があります。

それが、キャロルの時間モデルです。

心理学者のジョン・B・キャロルは、以下のように述べています。

「すべての学習者は、その人にとって必要とされる時間をかければ、すべての学習課題を達成できる」

キャロルは、学習における生徒の個人差は、到達できる難易度の差ではなく、学び終えるのに必要な時間の差であると考えたのです。

キャロルの時間モデルに基づくと、一斉授業という制度が、

  ・授業時間内に学び終えることができる生徒=学力が高い生徒

  ・学び終えるのに時間がかかる生徒=学力が低い生徒

という差異を生み出している可能性があります。

しかし、これまでは学力が低いと見なされていた生徒であっても、十分な学習時間を与えることができれば、学習課題を達成できるかもしれません。

それを可能にするのが、何回でも繰り返し見て、理解できるまで反復することができる動画講義などの独学可能教材なのです。
現在の一斉講義型の学習は、「学習時間」を均等にすることによって、「学習効果」に差異を生み出してきました。

しかし、発想を逆転して、「学習時間」「学習方法」などを多様化すれば、「学習効果」を均等にすることが可能なのです。

どちらのほうが、多くの生徒に学習機会を与える方法だと言えるでしょうか?

反転授業は始まったばかりで、導入や実施に多くの課題があります。

しかし、現在の一斉講義型の学習にも、上記のような課題があるのです。

その課題を解決するためのヒントがある以上、具体的な実施方法を試行錯誤しながら改善し、多くの生徒に本当の意味で学習機会を与えられるような方法を見つけたいと思っています。

 

ID/ISD にはとても感謝していて,一人でも多くの教師に広げたい-山崎進さん

「反転授業の研究」の田原です。

もうすぐオンライン講座「反転授業をやりたい教師のための授業設計入門」が開講します。

僕は、教育に20年ほど関わってきたのにも関わらず、インストラクショナルデザイン(ID)の存在を全く知りませんでした。

ずっと自己流で授業改善をしてきました。

昨年、Facebookグループでのやり取りを通してIDのことを知り、『授業設計マニュアル』や『教材設計マニュアル』を読みました。

そこには、授業をどのように改善していったらよいか、独学可能な教材をどのように作成したらよいかが、具体的な方法論として示されていて、10年前にこの本を読んでいたら、今の授業は全く違ったものになっていただろうと思いました。

それほど大きなインパクトがありました。

反転授業をやるようになって、生徒中心の学習を引き起こすためには、今までのやり方、考え方だけでは不十分で、様々な仕掛けを考える必要があります。

そのときに、どのようにして考えていけばよいのかというガイドラインにIDはとても役立つように感じています。

そして、IDの有効性を感じれば感じるほど、

「こんなに役立つのだから、IDを、もっと広めたほうがよいのではないか!」

という気持ちが強まってきました。

IDという道具を手にすることによって、多くの教師が、効果的に授業改善に取り組めると思うからです。

オンライン講座の講師陣の一人、北九州市立大学の山崎進さんも、IDによって劇的に授業を改善することができた一人です。

 

ID/ISD にはとても感謝していて,一人でも多くの教師に広げたい-山崎進さん

ID / ISD に基づいて授業づくりをしたおかげで,平凡な教師だった私,山崎は人気教師と言っても過言ではないくらいになれました。

講師紹介にあたり,私の体験を離したいと思います。

大学教師になりたての私は,授業が上手とは言えない感じでした。教壇に立って90分の講義で熱弁を振るうものの,力みすぎてヘトヘトになるし,それでも学生はわかってくれないし,なかなか散々でした。

その後,札幌の某シンポジウムに参加した時に,何となく教育の分科会を覗いたところ出会ったのが,熊本大学の鈴木克明先生の講演でした。これがとても面白い。講演が終わった後,鈴木先生に「何から勉強したら良いでしょうか?」と伺った答えが,かの教材設計マニュアルです。

教材設計マニュアルに書かれた ID / ISD の教えは至ってシンプルで,しかしながら理にかなって納得感があります。平凡な私でもこれをバイブルにしたらわかりやすい授業ができるのではないかと期待が膨らみました。

教材設計マニュアルを一読して気に入り,さっそく直後に開講せねばならなかった授業の教材を教材設計マニュアルに基づいて,講義無しの自習可能な教材のみの授業にするという暴挙をやってしまいました。

学生たちは戸惑ったものの,けっこう多くの学生が支持してくれて,とても良い手応えを感じたものです。

それから無我夢中でいろいろ試行錯誤していくうちに,いつの間にか人気教師になったと自慢して過言ではない程度に学生からの支持を得るようになりました。

これは元は平凡だった私が自己流でやっていたのではけっして到達できなかった領域だと思います。

教育を一生の仕事にしようという誓いもしました。

そういうわけで,ID/ISD にはとても感謝していて,一人でも多くの教師に広げたいという思いがあります。

 

 

申し込み締め切りまであと6日!

「反転授業をやりたい教師のための授業設計入門」の申し込みはこちら

 

尾木ママの「反転授業批判」について

「反転授業の研究」の田原真人です。

反転授業の是非については、いろいろな方がいろいろな意見を出しています。

僕自身は、教育にITを利用すれば、教育実践の可能性が広がり、これまで解決できなかった課題を解決できるのではないかと期待しています。

最初からすばらしい実践が生まれるというのは難しいので、リスクを管理しながら、仮説と検証をくりかえし、その結果をシェアして発展していくとよいのではないかと思い、実践例を共有できる場の構築に取り組んでいます。

また、実践者の方にインタビューを行い、現場で生み出される知恵を共有するためのメディアになろうともしています。

そのような活動の中で感じることは、現段階では、「現場で生み出される知恵」のほうが、理論よりも先に行っているなということです。

そのため、反転授業に対する批判を読むときには、それが、現場の実情に即しているのかどうかということをポイントとして読むようにしています。

 

少し前に、尾木ママがブログで反転授業についてコメントをしたことが話題になりました。

Facebookグループ内でも紹介され、ディスカッションになりました。

尾木ママの記事はこちら→ 小学生の「反転授業」は間違いです!

 

反転授業を小学生に実施することができるのかどうかという意見は、これまでにもありました。

その多くは、「家庭学習が身についていない小学生が、予習してくるなんて無理じゃないのか」というものでした。

実際、eboardの中村さんの報告などでも、動画の魅力によって予習させるという方法は難しいという話でした。

→ 小学生に反転授業は可能か?実践例から学ぶ

一方、富谷町立東向陽台小学校の佐藤先生の授業では、小学5年生の児童がほぼ100%予習してくるという報告もありました。

→ 富谷町立東向陽台小学校の佐藤靖泰教諭にスカイプインタビューしました

これらから、映像だけで学習意欲を高めるのは難しいが、きちんと授業設計をして、「教室でのグループワークで活躍するために、動画を見て準備してくる」という形で誘導すれば、十分に機能するということが分かりました。

反転授業に対する否定的な意見をもとに、実践例を検討して、成功するための方向性を見つけることができたという点で、とてもポジティブな経験でした。

 

さて、今回、教育評論家の尾木ママこと、尾木直樹さんの記事についても、その意見を検討して、反転授業の理解を深めるための刺激として使わせていただきたいと思います。

タイトルを見ると、「無理だ」ではなく、「間違いだ」と書いてありますので、新たな視点からの批判だと思います。

そこで、何が間違いだとおっしゃっているのかを、ブログ記事から読み取ってみたいと思います。

尾木さんが批判しているのは、あきらかに佐賀県武雄市の取り組みについてです。

上記の記事だけでは、尾木さんの論点が分からなかったので、2014/3/13の次の記事を読むと、もう少し詳しく載っていました。

→ 学校と家庭の役割、予習と復習の特性の「反転」?

 

太字が尾木さんのコメントです。

 

・本当に効果あるのか国立の小学校か一部の小学校で実験してからというのが普通ではないでしょうか!?

武雄市では、武内小学校や山内東小学校で実験してから、全体に導入することになりました。検証が十分かどうかは分かりませんが、尾木さんがおっしゃっているような手順を踏んでの導入になっています。

 

・学校で先生から学び、友達の発表聞いたりしたことを定着させる復習、家庭学習の中に、実は次の予習のヒント・予習効果が潜んでいるのです

・だから、復習をしっかりやれば、学校での新しい学習がよく分かるように教科書は出来ているのです!!

・学校の教師ならこんなこと常識のはず

復習をすれば、それが、次の学習の予習効果を含むという意見で、確かにそのような効果はありそうです。

 

・タブレットを子どもたちが使うのはいいのですが、家で予習するツールとして使うためというのは、無茶苦茶ではないでしょうか?

なぜ、無茶苦茶なのかがよく分かりませんでした。これは、今後、補足していただける機会を待ちたいと思います。

 

尾木さんの記事を読んでいて、もしかしたら、尾木さんは、理科と算数の全時間で反転授業を実施するというように誤解されている可能性があると思いました。

実際には、教師や生徒の負担を考えて、単元を限定しての導入になるはずです。東向陽台小学校の佐藤先生の実践でも、算数の比例反比例の単元だけに反転授業を導入していました。

尾木さんが指摘されている「旧来の教育のよさ」を維持しつつ、一部の単元に対して、新しい試みを行うという取り組みをし、実際に教育効果を測定して比較することができれば、教育業界全体にとって有意義なことなのではないでしょうか。

また、東向陽台小学校の佐藤先生によると、一部の単元に反転授業を導入したことで、他の単元や科目への取り組みやコミュニケーションの取り方に変化が見られるようになったそうです。

同様のことが、武雄市でも起こるのかどうか注目です。

 

この件について、実際に武雄に入り、教師とディスカッションしながら教材を作っている古山竜司さんに話をうかがいました。

—–  古山さんの話 —–

TBSの報道、そして尾木ママのブログにより反転授業って結局何なの?みたいなものが曖昧になってきたので補足しておきます。

反転授業がいい、悪いという議論には私は興味がありません。先生方が必要だと思うものを使える環境にすることが、私のミッションです。

あくまで私の私見ですので、武雄市、ワオは関係ありません。

武雄市は市内全11小学校で、5月から反転授業を実施。
対象学年は3年〜6年の算数と理科
すべての授業を反転にするわけではなく、
各単元から2〜3コマ反転学習として実施。
イメージとしては、各科目週に1回、そして月に4回くらいです。
ですので、算数と理科なので、週に2回、月に8回くらいでしょうか。
動画の時間は5分〜10分

タブレットを長時間すると視力の影響があるんじゃないかと考えられる人もいると思います。ですが、これだと一日長くて10分程度の動画ですので、それほど問題はないと思います。

次に教材についてですが、これは塾や出版社に丸投げをしているわけではなく、
基本的には先生方の教案を元に動画をつくりこんでいくという共同作業です。
もちろん、完成するまでに先生方のチェックが入ります。

これまでの公開授業(11月、1月)では、子供たちの反応としては、

動画が分かりやすかった。
家で動画をみて学校にきて復習できるので楽しい。
など肯定的な意見です。

先生方も、子供たちが事前にどれくらい理解しているのかを把握しながら指導できるので役に立つなどの意見を頂きました。
一方で、やはりしんどい子にはタブレットの動画は難しいという意見もありました。

そして、反転授業の目的が小学校〜大学ではかなり異なるということです。
反転授業というと家で予習してきて、しておかないと授業についていけないというようなイメージがあるかと思います。

しかし、武雄では、予習をしてきた上で、分からなかったところや難しかったところを話し合いや学び合いで解決していく!というところに力をおいています。

動画をつくるときにはもちろんどんな生徒でも分かるように非常に丁寧につくります。ですが、そのときに、分からなかった子がいたとしても、その習熟度はチェックすることができ、理解度に応じて授業を組み立てることができます。

こればかりはやってみないと分からない部分もあります。生徒にとっても先生方にとっても初めての試みです。いろいろな問題がでてくるかもしれません。

でも、反転授業をすることによって、私は研究授業での子供たちのキラキラした目が忘れられません。すごいなぁ。ITの力で子供たちがどんどん発言し、いろいろな物事を考える力がつけばいいのになと思うのです。

反転授業じゃないと力はつけられないの?というとそうではないでしょう。しかし、この授業スタイルを使うことによって、子供たちの学力や教員の養成につながるのであれば積極的に利用していくといいと思います。

私は、反転授業を利用すれば、生徒も先生もハッピーになると思うのでコンテンツを一生懸命つくっています。

—– ここまで——

 

現場は、常に進化しています。

僕は、その現場の声を抽出して広める拡声器の役割をしたいと思っています。

その中から、お互いに参照しあって改善する流れが出てくればいいなと思っています。

 

 

 

登壇者紹介 福嶋史さん

第7回反転授業オンライン勉強会「対話と集合知、学習する組織」で3番目にお話くださるのは、クマヒラセキュリティ財団の福嶋史さんです。

クマヒラセキュリティ財団は、ピーター・センゲの『学習する組織』のワークショップを開催したり、いじめをなくすためにオランダで開発され成果を上げている「ピースフルスクール」というプログラムを日本に導入するなど、独自の活動をされています。

福嶋さんに、今の仕事をするようになったきっかけをうかがいました。

 

かなりさかのぼってしまうのですが、中学生のときに、女子特有の仲間はずれになったことがあって悩んでいたときに、大学生のボランティアのお姉さんから、環境が変われば、自分の状況も変わるというアドバイスをもらったんです。

高校生になったときに、お姉さんの行っていた通りに、環境が変わったことで自分が変わるという経験をしたので、その自分の経験を、いじめられたり、不登校になったりしている人に役立てようと思ってボランティアをはじめました。

大学生になってからも同じボランティアをやっていたんですが、アクションを起した結果、非行に走ったり、自殺に至ったりしなかったとしても、義務教育をきちんと受けていないことが多いので、進学できないとか、ニートになってしまったり、フリーターになってしまったりするので、自分のやっていることが、対処療法でしかないと痛感しました。

そんなときにTeach for JapanというNPOに出会い、ここであれば、ニートやフリーターになる前にケアができるんじゃないかなと思って、NPOで活動を始めました。

 

福嶋さんのお話をうかがって、自分のことでいっぱいいっぱいだった自分の学生時代と比較してしまいました。また、活動をする中で、問題意識が深まった結果として教育の問題にたどり着いたということに、とても説得力がありました。

Teach for Japanの活動内容について質問しました。

 

Teach for JapanというNPOは、家庭環境など、子どもにはどうしようもないことが理由で生じている教育格差を、学習支援を通して減らすことを目指しています。自己肯定感を上げたり、学習意欲を高めたりすることで、学力を向上させ、自分の選択肢を自分で広げられるような子どもを一人でも多く増やそうという活動をしています。

 

Teach for Japanのミッションについては分かりました。具体的には、どのような活動をされているのですか?

 

学生だったころは、学生教師に申し込んで、面接を受けて通ると、学生教師としてトレーニングを受け、実際に生活保護の子どもや、被災地から東京に非難してきた子どもなど、困難を抱えていた子どもに学習支援を行っていました。

私が担当していた葛飾区では、ケースワーカーさんと協力して、児童館などで授業を行っていました。

 

プロフィールを拝見すると、その後、外資系のIT関連のコンサルに就職したとありますが、このときは、どのようなことを考えていらっしゃったのですか?

 

今の上司である熊平が、Teach for Japanの理事をやっていて、私が学生教師に申し込んだときに研修を担当していたんです。スタッフとして活動するようになってからは、一緒に研修を作ったり、学習する組織のことを教えてもらったりして、とても影響を受けました。

それで、熊平から、将来、教育の仕事をするにしても、最初から財団やNPOに入るのではなく、一度、企業に入って、いろんな世界を見てからのほうがいいんじゃないかとアドバイスをもらいました。

これまで、教育に関することばかりをやってきて、好きなことばかりをやっていたなーと思っていたので、それ以外のことをやったほうがいいんじゃないかと思い、外資系の厳しいとウワサのコンサル会社に入りました。

 

一般企業に就職したことがない僕が言うのもなんですが、外資系のコンサル会社は、厳しかったのではないですか?

 

想像していた以上に大変でした。私が苦手なことの1つがパソコンの作業だったんですが、お客さんのためにきちんとやらないといけないというプレッシャーがあり、それなのにできないということで、精神的につらかったです。

でも、会社の方や、お客さんにとてもめぐまれて、少しずつですが仕事もできるようになり、よい経験をさせていただきました。

 

外資系のコンサルで働いた経験が、今の活動に役立っているところはありますか?

 

学生のころよりも、かなり細かくなりました。学生のときは、何も考えずに勢いでやっていたのですが、今は、データでどう見るか、インパクトがどうか、デリバリーをどうするか、効果は?リスクは?などを考えられるようになったので、これは、社会に出たからかもしれないと思います。

 

その外資系コンサルから、クマヒラセキュリティ財団に移ったきっかけは、どのようなことだったのですか?

 

社会人になって1年ほどたったときに、熊平に呼び出されて、ご飯を食べに行ったら、

「史ちゃん、いよいよピースフルスクールを本格的にやろうと思っているのよ。あなたにとってもやりがいのある素晴らしい仕事になると思うわ。」

と言われました。ようやく仕事を覚えてきたところだったので、いろいろ悩んだのですが、2-3年後に教育の世界に戻りたいと思っても、そのときに戻れるかどうかは分からないし、このタイミングを大切にしようと思って移ることにしました。

 

僕は、クマヒラセキュリティ財団というのは、何十人もいる大組織だと勝手に思い込んでいたんですが、お話をうかがうと、熊平さんと福嶋さんの他に3人の事務の方がいるだけなのだそうです。

この状況で、福嶋さんを誘ったということは、熊平さんからの信頼が相当に厚いのではないかと思いました。そのことについてうかがってみると、

 

熊平がやりたかったピースフルスクールの展開などと、私がやりたかったことが一致していた。

 

という返事が返ってきました。社会人1年目の年代には、まだまだ自分探しをしている人が多いと思います。でも、高校生のときから自分のやりたいことを明確にして、行動を積み重ねてきた福嶋さんにとっては、すでに自分のやるべきことというのが明確にあったので、「やりたいことと一致している」ということが言えたのではないかと思いました。

 

最後に、ピースフルスクールについてうかがいました。

 

いじめを解決したいと思っている方は日本にもたくさんいると思うんですが、日本では、対処療法的なものが多くて、トータルで考えて子どもを育てるというところにいたっていないんです。

オランダのプログラムは、子どもたちが自発的に安心安全なコミュニティーを作るためにどうしたらよいかを学習するもので、成果も上がっています。

こういう環境ならいじめも起きないし、安心安全な環境だと、何かにおびえたりして、自発的、主体的な学びができないということにもならないんだと気づきました。

それで、ピースフルスクールを広めたいと思って活動しています。

ピースフルスクールプログラム

 

 

福嶋さんからは、信念に基づいて行動している人が発している「強さ」を感じました。

いじめの問題からスタートして、それを解決するために教育に関わるようになり、さらに、根本的な解決を目指して、組織教育へ問題意識が次々と深化していったのだということがインタビューを通して、すごく納得できました。

そのとき、そのときで、自分と向き合って真剣に問題に取り組んできた方なのだという印象を強く受けました。

 

福嶋さんは、「学習する組織のリーダーになろう」というテーマで、3月26日の反転授業オンライン勉強会でお話してくださいます。

反転授業オンライン勉強会の申し込みはこちら

 

 

 

登壇者紹介 鈴木利和さん

第7回 反転授業オンライン勉強会「対話と集合知、学習する組織」の2番目の登壇者は、組織コンサルタントの鈴木利和さんです。

鈴木さんのことは、Facebookグループ内での書き込みで知りました。

鈴木さんが取り組まれている、参加型のフラットな組織を作り、学びあいながら価値創造していくという考えは、かつて、複雑系の科学や自己組織化するシステムの解明にエネルギーのすべてを注いでいた僕にとって大きくうなづけるものでした。

それで、早速、スカイプでお話をうかがいました。

僕が鈴木さんに聞きたかったのは、Facebookグループにどのように運営したら集合知が生まれやすくなるのかということでした。

鈴木さんの回答は、

「学会みたいな組織にするといいんですよ」

「学会では、引用論文の数で民主的に論文の良し悪しが評価されるし、それぞれが仮説を立てて、みんなで検証していくじゃないですか。そういう仕組みがあるといいんですよ。」

グループでの学びあいの中から、実践例が自然に浮かび上がってくるための評価基準みたいなものは、どうするとよいのかと聞くと、

「直感に基づいたほうがいいです。適当にやったほうがいいんですよ。」

という返事でした。

そのときは、鈴木さんの言っていることが、正直言ってよく分からなかったのですが、鈴木さんのやっていることに大きなヒントがあると思い、活動をウォッチするようになりました。

鈴木さんの言っていたことの意味が少し分かったような気がしたのは、「TTPSとは何か」というブログ記事を読んだときでした。

TTPSとは何か

 

ちなみに、TTPSというのは、

T 徹底

T 的に

P パクって

S 進化する

の略だそうです。鈴木さんがかつて勤めていたリクルートでは、事例を参考にすることを「TTPSする」と呼ぶのだそうです。

日本で教育を受けていると、人のアイディアを参考にするのは、「カンニング!」と言われたりして、ネガティブな印象がありますが、それを、「TTPSする」というように、ちょっとユーモアのある表現に変えることで、急にポジティブな気持ちになるように感じました。

先日、実施した「神アプリExplain Everythingで超簡単に作る動画講義の作り方」というオンライン講座で、早速、TTPSのことを紹介したところ、学びあいが促進されて、

「TTPSまではいきませんでしたが、TTPくらいまではいけました!」

(進化するところまではできませんでしたが、真似をするところまではできました)

などと、早速、みんなでその言葉を使いながら、楽しく、一緒に進化することができました。うまく場が機能すると、すごい勢いで学びが進むということを実感することができました。

前出のブログ記事を見ると、次のように書いてあります。

「目指すところは、セムラーやトゥーワンのような、最小限の管理機構で自律自働の参加型で民主的な集合天才の組織を事例を使ったFlipped Learningで実現することです。」

このあたりに、鈴木さんの考え方が表れているように思いました。

今回、勉強会での登壇をお願いすることになり、改めて、現在の問題意識をうかがってみました。

「勉強について自分が問題だと思っているのは、生徒が自分で考えないということなんです。自分で問いを発して、問いに基づいて仮説を立てて、こういうやり方で検証できるということを学校で習わないので、いつまでたっても、知識を暗記し、A=Bであるという対応関係をやっている。こういうことを変えたいんです。」

「このときに、フラットな関係というのが大切。権威がいるとその意見を聞いてしまうんだけど、フラットな関係で権威がいないと、『えー本当?』となって、自分で調べてみようということが起こるんです。だから、その可能性に期待しているんです」

「フラットな関係という前提がないと、集合天才はおきないんです。」

この回答をうかがって、鈴木さんがなぜ反転授業に興味を持つようになったのかがよく分かりました。

現在の教育システムには、先生という権威がいることによって、自分で考えない生徒を量産してきたという側面があります。

講義を動画にすると、それは教材となり、権威から距離をとりやすくなります。さらに、フラットな関係に基づいたグループワークを教室で行うことで、自分で考え、仮説を立て、検証していく学問をする姿勢を学ぶチャンスが生まれます。

鈴木さんの感じている問題を解決する可能性が、反転授業にはあるのです。

ブログ記事にもあるように、鈴木さんはTTPS研究会というグループで、「集合天才」に到達するための事例の共有をされています。そこで、どうやったら「集合天才」に到達できるのか、そのための具体的な方法論があるのかどうかをうかがいました。

「『集合天才というものもあると言われています。』程度の仮説を出して、いっしょに検証しようという人を募集します!みたいな感じがいいと思います。」

「創発的な世界というのは、なるときもあるし、ならないかもしれないというものです。運営者に意図があると、意図が邪魔をしておきないとことがあります。だから、創発させようと思っていやるんだけど、思ったようにはならず、でも、違ったところに起きているみたいなことになるんです。」

僕も、かつて「創発システム」というものに取り組んでいたので、鈴木さんの言うことは、とてもよく分かります。

最初から、意図していたものが生み出されたのであれば、それは、創発じゃないじゃないか!という議論を、いやと言うほどしました。

鈴木さんの話は続きます。

「もう1つは、集合天才があるかどうかは分からないけど、あると希望になるということです。」

「もし、集合天才がないとすれば、ほとんどの人にとっては生きていて無駄ですみたいなことになる。でも、組み合わせによってギフトがありますということなら希望がある。」

鈴木さんの話をうかがうと、集合天才の存在を信じるということは、民主主義の可能性を信じるということと等価なのだと思いました。

そして、集合天才の存在証明をするためには、フラットな組織において生み出される集合天才が、一人の天才に率いられたピラミッド型の組織よりも優れた成果を生み出していくことが重要なのではないかと思いました。

最後に、集合天才を生み出すために、個々のメンバーに必要なことは何かという質問を投げかけてみました。

それに対する鈴木さんの答は、ちょっと意外なものでした。

「極論を言えば、祈りみたいなものですね。」

「『力に満ちてそこにいる』ということが大切なんです。」

「その場のエネルギーが閾値を越えないと沸騰しないんです。だから、分かんないけど信じれるという気持ちで参加するということが大切なんです。」

話をうかがっているうちに、だんだんと感覚的に納得できる感じになってきました。

鈴木さんと話をしていると、一定の間隔で、「刺さる言葉」というのが、鈴木さんの口から飛び出してきます。

きっと、3月26日の反転授業オンライン勉強会でも、そのような言葉を聞くことができると思います。

 

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登壇者紹介 福島毅さん

第7回反転授業オンライン勉強会で最初にお話してくださるのは福島毅さんです。

福島さんは、Facebookグループが大きくなり始めた昨年の9月ころから参加してくださっています。グループ全体のことをいつも考えてくださっていて、いつも助けてもらっています。

Facebookグループにも、頻繁に投稿してくださるので、福島さんのことをご存知の方も多いと思いますが、改めて、福島さんがどのようなことを考え、どのような活動をされているのかをうかがいました。

福島さんは、地球物理を専門に学ばれた後、一般企業に就職した後、教師に転職し、その後、長年にわたり、地学と情報を教えてこられたそうです。

その中で感じたことが、

「生徒にアウトプットさせなくてはいけない」

「いかに生徒をまきこむか」

ということだったそうです。

また、生徒指導を担当することも多かったことから、対話やコーチングの重要性を感じるようになり、セミナーに通ったりして、それらを学ぶようになったそうです。

学校でも責任ある立場にあった福島さんが、なぜ、教師を辞めて、Link and Createという会社を起業し、新しい活動を始めたのか?

それは、東日本大震災がきっかけだったのだそうです。

原発、東電、政府の対応・・・などを見ていて、「いち教師をやっている場合じゃない」と考えたとおっしゃっていました。

そして、学校という枠組みを超え、ワークショップなどの活動を通してメッセージを発信し始めました。

僕が、最近興味を持って勉強しているワールドカフェやOSTなどのホールシステムアプローチについても、福島さんは以前から実践されていて、ワールド・カフェ・コミュニティ・ジャパン(WCJ) 共同代表の大川恒さんとの共同でワールドカフェやOSTのワークショップも開催されています。

僕が、今、やりたいことを、何年も前から実践されていらっしゃるので、福島さんの存在が大変心強いです。

 

福島さんが、メッセージを伝えたい相手は、ずばり、「教師」です。

多くの教師と問題意識を共有し、いっしょに教育を良くしていくことのできる仲間を作り、渦を広げていきたいという思いが、福島さんから伝わってきます。

僕が、反転授業のグループを通して福島さんと知り合ったのは、この時期です。

社会を良くしようと考え、本気で行動する福島さんと接するうちに、だんだんと影響を受け、僕の行動も変わってきたように感じています。

 

その福島さんが、今年になって満を持して始めたのが「どんぐり教員セミナー」です。

お話をうかがうと300本の動画を作る予定だとか。

これだけの質と量がそろえば、教員セミナーのカーンアカデミーといえるものになるのではないかと思います。

福島さんは、この動画セミナーを作るために、高価な電子黒板を備えたスタジオを用意しました。

ここからも、福島さんの本気が伝わってきます。

早速、すごいペースで動画配信がスタートしました。

まずは、最初の動画を見てください。

1回の動画は、5分程度と短くまとめられているので、隙間時間を使ってスマホで見ることができるようになっています。

オンライン勉強会までに、反転授業の話まで進む予定だとのこと。

どんぐり教員セミナーを見てくることが、オンライン勉強会の「予習」になっていますので、3月26日までに見ておいてくださいね。

 

福島さんは、学習する組織で提唱されているシステム思考や、独自に考えられた異星人思考法などを駆使して、複雑に絡み合った社会の問題点を浮かび上がらせて、どこにどのように働きかければ効果が上がるのかを見つけていく方法論をお持ちです。

福島さんには、そのような方法論を通して、いろいろなものが見えているのではないかと思います。

動画セミナーは、「教育とは、そもそも何なのか」というところから話が始まり、非常に説得力があります。思考の枠組みがはっきりして頭が整理されます。

2つ目以降の動画は、こちらの再生リストからご覧下さい。

どんぐり教員セミナー再生リスト

 

 

第7回 反転授業オンライン勉強会の申し込みはこちら

 

第7回 反転授業オンライン勉強会「対話と集合知、学習する組織」

こんにちは。「反転授業の研究」を主催しています田原真人です。

第7回 反転授業オンライン勉強会の日程が決まりましたので、お知らせします。

テーマ「対話と集合知、学習する組織」

3月26日(水)22:00-23:30

現在の社会構造について考えると、工業化社会から知識基盤型社会へのシフトしつつあると言われています。それに伴い、組織のあり方が、ピラミッド型からフラットなアメーバ型へシフトしていく傾向があります。

アメーバ型組織では、リーダーが意思決定を独占的に行うのではなく、各メンバーが協力して集合知を創り出して行くスキルが重要になります。

そのような社会に適応するために、学校教育でも「21世紀型スキル」を育成する取り組みが始まっています。

21世紀型スキルの育成を教科教育の中で行いたいという理由で、アクティブラーニングを授業に取り入れている先生方がいらっしゃいます。さらに、グループワークの時間を確保するために授業部分を宿題にして授業外に出すと「反転授業」になります。

これが、反転授業と21世紀型スキルの関係性です。

しかし、予備校で働いてきた私自身も含め、反転授業に現在関わっているみなさんの多くは、旧来型の組織に所属し、21世紀型スキルに必ずしも親しんでいないのではないかと思います。

そのような状況の中、「多様性のある森を育てる」を合言葉に、Facebookグループ「反転授業の研究」を立ち上げました。

ここに様々な属性の方が集まり、活発な対話をすることによって、オンライン上に集合知を発生させようと考えたのです。

そして、また、このFBグループは、私たち自身が、「どのようにすれば集合知を発生させることができるのか」という課題に一緒に取り組む場でもあります。

FBグループの対話を通して、個々がどのように振舞えば、集合知に近づくことができるのかを学び合い、その体験を、それぞれの現場にフィードバックしていくという循環を作り出せたらと思っています。

これが、今回のテーマを、「対話と集合知、学習する組織」とした理由です。

 

登壇者紹介

福島毅さん「学ぶことのそもそも論とこれからの方向性」

(プロフィール)

ワークショップデザイナー、Link and Create 代表、一般社団法人 子供の成長を環境を考える会理事、日本橋学館大学非常勤講師、柏まちなかカレッジ 副学長、NOBフューチャーセンターディレクター・特任スタッフ、カードリーディングマスター、気象予報士・防災士。

ブログ”教育のとびら”、”異星人思考法”、”日本と世界の新しい提案”主宰。

大学・大学院で地球物理学(特に地震学)を専攻。

日立製作所で2年間システムエンジニアをした後、千葉県立高校教諭として23年間勤務。

そののち、2013年4月より独立し、教員研修や学校改革など教育系の仕事や各種ワークショップのデザインや実践などを行っている。

高校教諭時代は、行徳高校情報コースの立ち上げや行徳地震前兆観測プロジェクト、東葛高校リベラルアーツプログラムなどを主導した。

現在は、複雑化する社会の問題解決や持続可能な地球にするためのデザイン、これからの人間のありようや成長などに興味を持ち、これらに関するワークショップやプライベートセッション(カウンセリング、コーチング)なども行っている。2014年2月より、”どんぐり教員セミナー”の動画をYou tubeで配信。スマホで見られる無料5分動画の制作に力を入れている。

趣味はスピリチュアルな探求やカードリーディング・クリスタルボウル演奏など。

著書に、「イントラネット100のアイデア(正高社)2000年」「教科「情報」実習へのフライト(日本文教出版社)2001年」

ブログサイト 教育のとびら

動画     どんぐり教員セミナー

著者のサイト  Link and Create

 

(内容)

テーマ1「学びを全体設計から考える」

そもそも学ぶ目的や意義は何なのでしょうか? ”教育”という言葉は、そのニュアンスから教えるツールや方法論から入りがちなのですが、そもそも何を目的とするかを押さえておき共通認識とする必要があります。そうしないと知らず知らずに全く違った目的地をめざし、「ゆとりか学力か?」という不毛のイシューからやり直したりシーソーのような議論が数年ごとに起きるのです。まさに学びの全体性・設計を俯瞰する時期に来ていると思います。こうしたことについて前半で議論したいと思います。

 

テーマ2「教師のファシリテーション能力開発」

反転授業については、予習動画やICT活用の話題が先行して話題になっていますが、やがて肝となってくるのは、生身の生徒が集まっている教室という場で、教員がどんな授業展開をするのかということ。授業設計の技術やファシリテーション能力が問われてくると思っています。後半では、授業に対話を持ち込む上での注意点や今後の課題について皆さんと議論したいと思っています。

福島さんのインタビューはこちら(予習課題あり)

 

 

鈴木利和さん「学習チームをいかにつくるか」

(プロフィール )
組織コンサルタント
合資会社ベルノート
Global Proactive Partners(ベトナム法人)
一般社団法人 地域エネルギー創発ネット

ニックネーム :ありえる(ありえないをありえるに)
ミッション :メンバーの目がやりがいで輝いている、『全員が主体性を発揮する創造的なチームのネットワークづくり』

ここに至るプロセスは、中村さんのeboard応援のプロセスで書かせていただきました。 →こちら

大学のボート部時代の経験が決定的で、それ以来、ずっと取組み続けています。
大学のボート部で経験した意図しない結果から、環境のデザインがうまくいくと、誰も強制することなく(リーダーがいなくても)主体性を発揮するようになるという体験をしました。
その体験を再現するために、リクルートに入社。
コーチングの事業化のために東京に転勤してきた際に、組織研究の研究員になり、大学院に進学したところで、田坂先生の複雑系の組織論に加えて、知識創造の方法論の紺野先生に出会う。
ここで、JICAのプログラムづくりに関わることで、個人・組織・地域・国に共通する「お金」による支配-従属関係があることに気づく。自ら価値創造しなければ、お金に支配されることになる。
やりたいことで、人の役に立ち、生活が成り立ち、世の中に影響を与えるネットワークをつくると人生が終わる日まで愉快に過ごしてゆけるのに、ピラミッド組織に雇用されて給与所得者になることで、孤立して消費者になってしまっているのではないか?

では、どこからとりかかるのか?
多くの個人が所属している組織を変えよう。プロジェクトでチームで価値創造するメソッドを学び、働いている人が幸せな会社を増やそう。その人達が学校教育に関わってゆく道をつけようと考え、その手段として反転授業に期待しています。
ちょうど、3月15日~21日にかけて、自分のやりたいことを明確にし、仲間と出会ってチームを
つくる場の発掘と相互連携の旅をしています。
http://www.machienergy.net/

(内容)

プレ
事例を参考にしながら、
所属している対象の場が創造的になるような<学習チーム>をつくる環境デザイン、役割(ロール)・ツール・ルールの「仮説」を考える。

オン
事前にいただいた「仮説」にコメントをさせていただく形で進めます。

アフター
実際に組織で実践しようという方でfacebookグループをつくって、実践報告をしあい学び合いながら進めてゆきましょう。

この環境のデザインというのは、ある種のゲームバランスのようなものです。
人の幸福感は、人間の基本的な欲求である「関係性」「有能感」「自律性」の充足度と相関が高いと言われています。ロール・ツール・ルールを工夫して、「関係性」「有能感」「自律性」が充足されれば、金銭的報酬などの外発的な動機づけをしなくても、自律自転するようになります。

国の政策や企業の制度設計など、変数が増えて複雑にはなりますが、基本的には似たようなものだと思います。

私のボート部での体験にはこのような変数がありました。

共通の目的・価値観、目標がある。
外部に競争相手がいる。
参加者が自らの意志で参加している。
※小チームに分かれる。
※チームはどのように取り組むのかは自分たちで決められる。
うまくいっていることをフィードバックする数値がある。
※記録をつける。
※定期的に数値の測定がされる。
※月に一度は事例にまとめて共有する。

ロール
※チームメンバー
保健体育センター(測定者)
製薬会社(プロテインの実験者)

ツール
プロテイン、記録ノート

ルール ※小チームに分かれる。
※チームはどのように取り組むのかは自分たちで決められる。
※記録をつける。
※定期的に数値の測定がされる。
※月に一度は事例にまとめて共有する。

「自律性」チームはどのように取り組むのかは自分たちで決められる。
「有能感」自分たちの仮説があたって、数値があがってゆくこと
「関係性」小チーム内での密な人間関係、自分の貢献が見えやすい

結果をして語らしめる形式で、この3つが相互に補完しあい、高めあってゆきます。

今日の社会の問題は、内発的動機を無視して、利益を目的化し、効率化重視でピラミッド組織による強制と抑圧と金銭的動機づけにより、人間疎外が起きているところにあるのではないかと考えています。ピラミッドで優位を得た人間は、状況を固定化しようとし、劣位の人間は、さらに弱いものを叩きます。相互にストレスフルで、解消するための娯楽にますます時間とお金を必要とする悪循環がおきているのではないでしょうか?

鈴木さんのインタビューはこちら

予習課題はこちら

課題の提出はこちら

福嶋史さん「学習する組織のリーダーになろう!」

(プロフィール)

一般財団法人クマヒラセキュリティ財団、未来教育会議 実行委員、わかりやすいプロジェクト(国会事故調編)事務局

1987年生まれ、早稲田大学教育学部卒業。

高校生の頃から、いじめや不登校の問題解決に取り組む。

大学在学中はNPO法人Learning for All、Teach For Japanにて様々な困難を抱える子どもと向き合い、学習支援に従事する。また教師のリーダーシップ育成のため研修開発にも携わる。

大学卒業後、民間企業に就職するが、日本の子ども達に21世紀を幸せに生きる力を届けたいという思いから、2013年6月にクマヒラセキュリティ財団に転職。

現在、オランダで開発されたシチズンシップ教育ピースフルスクールプログラム、『学習する組織』に基づくリーダーシッププログラムを展開している。

 

ピースフルスクールプログラム:http://peacefulschool.kumahira.org/

未来教育会議:http://miraikk.jp/

わかりやすいプロジェクト(国会事故調編):http://naiic.net/

 

(内容)

テーマ1「メンタルモデルを理解し、世界を広げよう!」

テーマ2「リフレクションを通して、真の学習者になろう!」

福嶋さんのインタビューはこちら

 

第7回 反転授業オンライン勉強会「対話と集合知、学習する組織」

日時 3月26日(水) 22:00-23:30

会場 Web教室システム「WizIQ」

参加費 無料

席に限りはありません。カメラ&マイクなどは必要ありません。

初めて入室される方は、少し時間がかかる可能性がありますので、余裕を持って入室してください。

お申し込みはこちら

反転授業で予習してこない生徒への対策

先日、物理ネット予備校のオンライン反転授業を実施したときに考えたことです。

あえてアンケートはとりませんでしたが、見学の方もいらっしゃったこともあり、問いかけに対する回答の状況から推測するに、4割くらいの方が予習していない状況だったと思います。

このぐらいの割合で予習してきていない人がいる場合、どのような授業をすればよいか

反転授業をされている先生方は、迷われるのではないかと思います。

「4割の生徒を無視して授業をするわけにはいかない」

「でも、予習してきていない生徒に向けた授業をすると、予習してきた生徒からは不満が出る」

そして、「この授業は、予習してこなくても大丈夫」というように思われてしまったら、今回、予習してきた人も、次回は予習してこなくなり、反転授業は成立しなくなっていきます。

 

実は、反転授業を始めたころは、最初に予習状況をリアルタイムアンケートでとって、予習してこない人が多いときは、もう一度、簡単に授業をやってから演習に入ったりしていました。

授業後のアンケートを読むと、「予習してこない人が多いことにがっかりした」「みんな予習してくるべきだ」「せっかく予習してきたんだから、演習からやってほしかった」など、不満の声が出ていました。

一生懸命やってきた人が報われないという状況は、よくないなーと思いました。

また、授業前の予習状況を、参加者同士でシェアするのも、よい方法ではないと思いました。

それで、アンケートはとらず、予習してきた人が報われる授業をして、「回を重ねるごとに予習してくる人が増えてくる仕組み」を作ろうと考えました。

仕組みを考える上で、インストラクショナルデザインを用いて授業設計をしている山崎進さんの「晴れの舞台を作る」と淺田義和さんの「予習してきてよかったと思える授業」というお話がとても参考になりました。

・山崎進さんのインタビューはこちら

・淺田義和さんのインタビューはこちら

そのために、あくまでも予習を全員がやってきているという前提で授業を行いました。
では、予習をやってきていない人を無視したかというと、そうではありません。

予習してきている人が不満を感じずに、予習してきていない人が、演習の前提知識を得られる方法を考えました。

それが、

「参加者の言葉を使って授業をする」

という方法です。

「この問題を解くときに、最初にやることは何ですか」

「そうですね!よく予習していますね!」

「では、次に何をやればよいですか?」

「そのときに気をつければよいことは、どんなことですか?」

などと、予習動画で話していることを、問いかけて、参加者にチャットボックスに書き込んでもらいます。

予習してきた人は、どんどん書き込むことで、予習内容の確認ができますし、活躍することができます。

予習してきていない人は、ここでのやり取りを通して、演習に必要な基本事項を確認し、演習に入っていくことができます。
このようなやり方をすれば、予習してきていない人は、

「うぁ。みんな、分かってんのか~。まずいなー。」

「次は、予習してきたほうが楽しめるなー。」

などと感じるのではないかと思います。

そして、ライブ講義が終わった後に、予習用の動画を見れば、反転授業とは順番が逆になりますが、

「ライブ講義」+「動画講義」

の組み合わせによって理解が深まるのではないかと思います。

その場合、

予習してきた生徒→反転授業
予習してこなかった生徒→反反転授業

となるわけです。

このような授業に対して、参加者は、「予習して臨んだほうが活躍できて楽しめる」と感じてくれているようで、ライブ講義に3回以上参加している人は、ほぼ全員予習してきています。

教育効果測定のプロ、堤宇一さんにインタビュー

インストラクショナルデザイン(ID)を用いて授業設計をするときの最重要点は、ゴールを明確に決めることです。ゴール到達への道筋を組み立てることがIDです。教育効果測定は、そのゴールに到達したことを客観的に判断するための方法論です。具体的にはデータを収集して評価を行います。ですからIDと教育効果測定は車の両輪の関係です。

そこで、教育効果測定のスペシャリストであり、『はじめての教育効果測定』『教育効果測定の実践』の著者である堤宇一さんにお話をうかがいました。

 

堤さんが、教育効果測定に関わることになったきっかけは?

 

(堤さん)もともとは、産業人を対象とした研修会社におりました。教育営業や通信教育のコンテンツの開発のマネージャーをやっていたんです。

 

あるとき、大手流通会社用に工夫を凝らした通信教育コンテンツを開発しました。受講者からの反応も良く、流通会社の人材開発担当者からも評価をいただき、教育効果も高かったと思います。しかし、その部署の部長が人事異動し、後任の新部長の一言で通信教育コースの継続が中止されました。その一言とは、「俺は通信教育が好きじゃないんだよね」でした。

 

これは、ちゃんと成果を証明しなくてはならないと強烈に感じました。キチンと効果を保証できる通信教育の開発技術を身に付けなくては駄目だと感じ、色々と探し回りました。そのようなときに、米島さんと出会い、CRI(Criterion Referenced Instruction)を勉強しはじめました。

 

学んだCRIを用いてコンテンツを作ろうと思ったら、通信教育事業部からアセスメント事業部(人の性格や能力を測定する部署)へと異動になったんです。

 

今まではコンテンツの作り方を勉強してきたけど、アセスメント事業部に来たんだから、測るということをやったらどうですかと言われて、教育効果を測るということをはじめたんです。

 

(田原)それは、いつごろですか?

 

(堤さん)1999年ですね。世の中がコンピュータの2000年問題で騒いでいたころです。当時は、教育効果を測定するなんていうことは、誰もやっていなかったし、世間一般には測れるものという考えが無かったです。

 

東京の八重洲ブックセンターで、当時の上司がジャック・フィリップス博士(教育効果測定の第一人者)の書籍(原書)を偶然見つけ、数名でこれを翻訳し、出版しました。その翻訳本を持って、ジャック・フィリップス博士に会いに渡米しました。ここから私の教育効果測定人生が動き出しました。

 

(田原)教育会社から日立総合経営研修所に移ったのは?どういう理由だったのですか?

 

(堤さん)ジャック・フィリップス博士とのネットワークを作り、また、日本に招いたりしました。教育会社で教育効果測定の事業化をプランニングしました。事業化計画は、最初、経営陣も乗る気でスタートしました。しかし段々と雲行きが怪しくなってきました。

 

パンドラの箱を開けることに恐れをなしたと言いますか、自分たちが提供している研修や通信教育が測定によって効果がないということになったらどうするだという話になったんですね。

 

総論は賛成なんだけど、各論になると反対する人が出てきて、教育効果測定の事業化は中止ということになったんです。

 

教育効果測定を諦める事が出来ず。現在私が勤務している日立総合経営研修所の当時の社長(定年退職後、個人で経営コンサルタントをやられています)に相談したんです。そうしたら、研修の品質管理をしないといけないと思っている。よかったら、うちに来るかとお誘いを受けたんです。

 

それで、2005年に日立総合経営研修所に移りました。

 

2003年頃より、教育会社で教育効果測定の事業化のために、専門家(コンサルタント、大学教授など)の方々と研究会を立ち上げ、活動をすすめていました。その中の数名の方から、せっかくここまでやったんだからNPOとして存続しようと提案され、そのことを日立総合経営研修所の社長にNPOを続けてもいいんだったら転職したいと相談してみたら、OKをいただいたんです。これが、転職とNPOを主宰するようになった経緯です。

 

それで、今は、サラリーマンとNPOの2足のわらじで行っているんです。

 

教育効果測定をする上で大切なことは何ですか?

 

(堤さん)教育をしていると効果を測りたくなるのが人情だと思うんです。私は企業のフィールドでやっているので研修が教育行為になります。教育効果測定が上手くできない最大の原因は、期待する効果を定義せず研修をスタートしてしまうことです。

 

私が講師を務める教育効果測定セミナーでは、効果を表す現象をグループで話し合っていただく演習を行います。そうすると、

 

・研修を受けてよかった

・資格が取れる

・スキルが身につく

・コーチングで部下のモチベーションが上がった

・売り上げ上がった

 

などといろいろな効果を示す現象が出てきます。

 

例を挙げて説明しますね。

研修が盛り上がるとか、議論が活発に行われるという現象を教育の効果だと思っている人材育成担当者もいます。教育は盛り上がることが目的ではありませんので、勘違いしている人が、少なくありません。この例は、研修の効果を明確にしていない典型ですね。

 

別の観点からもう一つ。

人材育成部署が「受講者がとても満足していました」と事業長や経営層に報告します。すると、「そんなのは効果ではないと報告された側が怒るわけです。経営者は、効果として業績上がることを望んでいたんですね。人材育成部門は「受講満足」を効果として研修を実施し、経営者は業績向上を期待して研修に投資をしたんです。それぞれはキチンと効果を定義しているんですが、組織全体として、今回対象になっている研修の効果を定義していなかったという事例です。

 

教育効果測定をするのであれば、最初に、何が効果なのかを明確にしなければなりません。

 

教育効果には、どのような種類があるのですか?

 

カートパトリックの教育効果のフレームワークというものがあります。世界で最も有名な効果を定義するモデルです。

 

レベルを1-4に分けます。

1 参加者が受けてよかった(研修の満足)

2 知識やスキルを狙い通り習得したか(ラーニング)

3 学んだことを実際に使っているのか、行動が変わっているか(行動変容)

4 組織業績に貢献したか‐売り上げ、CSが上がる、コストが下がる、リードタイムの短縮など(成果)

 

ID語られるテストは、通常、レベル2を意味しています。

学校や塾では、レベル3以上を求めることは少ないかもしれませんが、企業ではレベル3-4を求める傾向が強いです。

 

(田原)反転授業では21世紀型スキルも目標に入ってきます。コミュニケーションスキルやリーダーシップなどをどうやって測定するのかで困っている先生もいます。

 

問題演習で応用力をつけるということだけでなく、他の生徒とコミュニケーションを取るということや、他者性の獲得などもテーマになっています。

 

 

(堤さん)なるほど。数学の授業で数学の内容だけでなく、コミュニケーション能力なども伸ばしていこうというということになっているんですね。

 

本来、数学を学ぶというのは、狭義の意味では計算力を高めたり、公式を理解する事でしょうし、広義の意味では論理的思考力を強化することになると思います。それらと少し遠い関係のコミュニケーションやリーダーシップについても、数学の授業で身に付けさせようということですね。

 

授業というよりも、ワークショップみたいな学習方法になってくるんでしょうかね。

 

(田原)コミュニケーションやリーダーシップが学習目標になっているときは、ワークショップ型になる場合もあると思います。

 

(堤さん)IDは、教育工学として素晴らしい理論だと思います。けど万能ではありません。IDは体系化された知識を身につけさせる場合では非常に効きます。一方、一度決めたことは最後まで投げずにやり遂げる意志力とか、教室でたった一人になっても、いじめは断固反対を貫く勇気といった態度を強化する学習には強くない。苦手なジャンルといっても良いと思います。

態度強化の方法として、最近では、ゲーミフィケーションなどが活用されています。

シリアスゲームは、まさにその好例です。

 

※シリアスゲーム(Serious game)とは、エンターテインメント性のみを目的とせず、教育・医療用途(学習要素、体験、関心度醸成・喚起など)といった社会問題の解決を主目的とするコンピュータゲーム(エレメカも含まれる[1])のジャンルである。(出典:ウィキペディア)

 

ゲームの持つ強みは、競争させたり、成長を実感させたり、賞賛したりして、参加者を飽きさせない仕掛けです。また、参加者はゲームの主人公となり、その世界に没入し感情移入しやすいため、心に対して訴えかける力が特に強いです。企業では、ビジネスゲーム(模擬会社経営ゲーム)や飛行機の操縦シミュレーションなどにゲーム理論が活用されています。

 

ビジネスゲームは会社経営をリアルに再現し、学習者に会社経営の要諦を学ばせるツールです。ゲームの中で、うまく業績が出せこないと、工場を売却して雇用している200名の従業員の首を切って会社を存続させるわけです。ゲームだけど、自分の経営ミスが原因で解雇するという経験は、すごくいやな気持ちになる。IDで論理的に財務諸表の読み方や意思決定の仕方を学ぶより、ズンと心に響きます。経営者の責任の重さを痛感し、態度の強化につながりやすいのです。

 

IDは数学を数学のまま教えるのであれば、うまく適応するのだろうけど、数学を学ぶのを通してリーダーシップを学ぶという場合には、ゴールを再設定しなくてはならないです。再設定しないままで反転授業を取り入れても、反転授業の何を効果として測定していいのか分からないですよね。この当たりが効果測定をしたいけど一体どうすればよいのと感じる原因かもしれません。

 

 

学校と個人とでは評価の単位が違う

 

(堤さん)企業では、個人が一人で頑張ろうが、チームで頑張ろうが、他人のふんどしで相撲を取っていても、成果が出ればいいんです。プロセスよりも成果に重みが強いんです。

 

でも、学校はグループ全体で成果を上げても、最終的には、個人評価につなげないといけない。それもある分布に当てはめた評価にしなければならない。

 

協働の産物を関係者全員が納得できるように矛盾なく個人評価を行うことなんてできるんでしょうか。

 

協働とは、あるときは田原さんがリーダーで、別の場面では田原さんがフォロワーになるというようにダイナミックなものだと思うんです。動的に変化していく相互作用を精密に見極め個人評価を実施することは無理だと思います。

 

企業にもよる。同じ車の会社でも、セールスしているところなら個人にフォーカスできるけど、作っているところだと、タイヤのつけ方などにフォーカスしてもしょうがない。

 

(田原)なるほど。教育現場でも個人にフォーカスした評価だけでは限界があるかもしれませんね。

 

 他人の意見を取り入れる方法について

 

 

(田原)企業で重要視されている能力を、学校の中で重要視されていないのが問題だと考えている方もいらっしゃいます。

 

人のふんどしで相撲を取るというようなことを、できるようになって欲しいということだと思います。

 

たとえば、SNSに自分の意見を書き込んで、お互いに参照しながら、意見をさらに書いていくという国語の授業をされている先生がいます。そこでは、多くの人の意見を取り入れて、自分の意見をよくすることに取り組んでいるんですよ。

 

(堤さん)企業のシーンで解釈すると会議が、他人の意見を取り入れる場に相当すると思います。

 

だめな企業の場合

・議題がないままに会議がスタート。

・抽象的な話をする。

・組織内ポジションが高い人の一言で、結論が決まる。

 

一方、ちゃんとしている企業では、

・会議の発起人が、「こういうことで困っているから意見を下さい」と目的を明確にしてスタート

・参加者は平等な立場で参加

・発起人は、意見の採択を自由にできる権限を有するが、同時に採択した理由、しなかった理由を説明する義務も有する

 

ここで、目的に沿って取捨選択していくのが大切なんです。

言いたいことは、他人のふんどしを借りる側が、明確な目的や判断基準(軸)持っていないとダメということです。それらがない人は、色々な意見に迷うだけで、結局決められません。

 

(田原)会社だと、会議のルール作りがあって、メンバーにはどのような役割を会議で果たすべきかということが研修などで徹底されて、その元で会議が行われるのですか?

 

(堤さん)うまくいっている会社ではそうなっています。

 

会議にも種類があります。

・意志決定のための会議

・問題解決やアイディア収集のための会議

・情報伝達のための会議

 

会議にあわせて誰を呼ぶかも、開く人の権限として与えられています。

 

(田原)僕のように会社に就職したことがなくて、教育の現場で実践ベースでやっていると、そういうのに疎いんですよ。グループワークについても、見よう見まねでなんとなくグループでやってみよう!ということになっているので、IDとか教育効果とかを勉強して改善したいと思っています。企業には会議やグループワークのノウハウが蓄積されているのだから、教育現場でもそこからヒントを得られたらいいのではないかと思いました。

 

教育効果という分野は、注目されているのですか?

 

(田原)反転授業のFacebookグループをはじめて、最初はネットで講座配信している人たちでディスカッションしていて、その後、アクティブラーニングをやっている先生方と出あったんですよ。

それで、アクティブラーニングをテーマにオンライン勉強会をやったら100名くらいが集まって、みんなびっくりしたんですよ。アクティブラーニングをやっている人がこんなにたくさんいることに。

リアルの世界では、周りにやっている人がいなくて孤独を感じていた人も多かったみたいなんです。ネットを通してどんどんつながっていきました。

 

(堤さん)教育効果測定も同じですね。企業の人材育成の中でも、IDとか教育効果測定をやろうとしている人は、完全にマイノリティなんですよ。

 

私自身2000年くらいからどうにかしたいと思って教育効果測定に取り組みだしたんですが、最初は変わり者扱いでしたよ。

 

それが、今では、研修はやりっぱなしではダメ、効果を測定すべきであるという流れに様変わりです。時代の移り変わりを感じます。

 

NPO活動に参加くださる方々の多くは、自分の所属企業には仲間がいない状況です。NPOに参加して、自分がやっていることの正しさや意味を確認したり、ノウハウ交換したりして現場に戻っていくという状態です。反転授業のグループのお話と同じですね。

 

反転授業グループは、ネットだから場所を問わずに多くの方々が集まれますけど、私の場合はリアルな場ですから、勉強会への参加人数は20~30名です。反転授業のFacebookグループと根っ子は同じです。

 

(田原)リアルの世界では、数パーセントに過ぎない少数派の人が集まるには密度が低すぎるから、そういう人で集まって突破口を作るのには、ネットで集まるのが効果があると思うんですよ。今回、グループにIDや教育効果測定をされていた教育工学の方たちが合流して、3つの大きなグループ間での学びあいが始まったのだと思います。これから、どんな化学反応が起こるのか楽しみです。

 

今日はありがとうございました。

 

※Facebookグループの人数が1000名を超えました。どなたでも参加することができます。参加希望の方はこちらからお願いします。

※2月26日に実施される第6回反転授業オンライン勉強会で、堤さんがお話してくださいます。

無料申し込みはこちらから

無料で使えるLMS「edulio」のCEO、松野広志さんにインタビュー

反転授業を実践する場合、動画をどのようにして受講者に配布するのかという問題が出てきます。

簡単に行うのであれば、Youtubeに限定公開でアップし、URLを受講者に配布するということで実現できます。

Basic認証などをかけたホームページにYoutubeの動画を張っておけば、複数の動画を順番に見て学ぶこともできます。

しかし、このやり方だと、授業の数、受講者の数が増えてくると、会員管理の手間が増えてきます。このような場合に、LMS(Learning Management System)が必要になってきます。

実際、僕の運営する物理ネット予備校では、会員数が200名を超えたあたりから、LMSの導入を真剣に考えるようになり、2011年にシステム会社のサポートを受けながらMoodleというオープンソースのLMSを導入し、大幅にカスタマイズして使用しています。

2011年当時は、LMSの選択肢は少なかったですが、現在は、いろいろなサービスが出てきました。その中の1つであるedulioを提供している株式会社マイデスク社長の松野広志さんにお話をうかがいました。

ナガセでの経験がeLearningの可能性に目を向けるきっかけに

はじめに、松野さんが教育事業に取り組むきっかけについてうかがいました。

松野さんは、大学を卒業後、東進グループの母体である株式会社ナガセに入社。そのときの経験が教育事業に取り組むきっかけになったのだそうです。

松野さんが当時、東進ハイスクール長野校で目にしたのは、

「ブースに来て、倍速再生でDVD講義を見て、さっさと帰る受験生たち」

その学習効率の高さに驚き、同時に、これが、これからの勉強の主流になってくるはずだと感じたのだそうです。

2000年頃のナガセは、直営の東進ハイスクールを減らし、フランチャイズの東進衛星予備校を増やしていました。

そこには、

有名講師の動画講義+現場でサポートするフランチャイズの塾長

という組み合わせがありました。

これは、反転授業にもつながる組み合わせです。この組み合わせの有効性が、2000年当時に、ナガセにおいて強く認識されていたというのは非常に興味深いです。

そこで、どんな塾長だとうまくいきやすかったのかということを質問してみました。

すると、面白い回答が返って来ました。

「自分で科目を教えられる塾長よりも、むしろ教えることのできない塾長のほうがうまくいく場合が多いと本部から聞いています。」

え??? それは、なぜですか?

「売上げ上位の衛生予備校の塾長は、教えたことがない人が多かったそうです。生徒はカリスマ講師の授業を受けに来ているのに、教えられる人は自分で教えようとしてしまう。すると、そこがボトルネックになってしまって生徒数の上限が決まってしまうんです。一方、教えたことのない人は、本部の言うとおりに教材の力を信じてやるんで、うまくいくんですよ。」

なるほど。

「ナガセの社長が、社員やフランチャイズの前で話すことがあるんですけど、そのときに、『せっかく予備校に来てくれているんだから、とにかく生徒を褒めなさい』と言っていました。」

この話を聞いたときに、思わず、ポンと膝をたたきたくなるような気持ちになりました。

ナガセが躍進した秘密の1つを見たような気がしました。

一流講師の動画講義を倍速再生で見る受験生。彼らをほめてモチベーションを上げるフランチャイズの塾長

これが、ナガセが見つけた形だったのか・・・・。

僕の経験でも、動画講義だけでは勉強が続けられない人がたくさん出てきます。

でも、encourageしてくれる人が身近にいると、勉強が続けられるようになるのです。

「身近でengourageしてくれる人」の重要性は、いろいろな人が言及しています。

スガタ・ミトラ氏の自己学習環境 SOLE でも、「Webを使った探求型の学習+スカイプでengourageしてくれるボランティア」が必要条件として入ってきます。 eboardの中村さんのビジョンにも、「eboard+はげましてくれるおばちゃん」で学びの環境を作ろうという話が出てきました。

ナガセも「身近でengourageしてくれる人」の重要性に着目していたという話は、とても興味深かったです。 松野さんの話は、さらに続きました。

「だから、今、eLearningのモチベーションの問題とか、孤独感とか、いろいろ言われているじゃないですか?そういうのを聞くと、一瞬、すでに議論しつくされたことのように感じてしまうんですよ。でも、よく聞いてみると、少し違うんですよ。古くて新しいというか。今は、Webが使われているから面白い。だから、一瞬、「わかっているよ、そんなこと」と思いそうになるのを自制して、いやいや、ちゃんと聞こうと思うようにしているんですよ。」

これは、ナガセで当時のeLearningの最先端を見てきた松野さんの実感なのだと思います。

現在は、ナガセで議論されてきたようなことに、Webというツールが加わり、らせんを描いて1ピッチ上の位置に来ているのではないかと思います。

当時、課題となっていたことを明確にして、それをWebで何かできないのかと考えていくようなことも有効かもしれないと思いました。

松野さんは、ナガセを退社後、IT会社に転職し法人の人事システムや給与システムの開発に関わり、その後、株式会社マイディスクを起業し、教育系のWebサービスを始めました。

教育系のサービスを始めたベースにあったのは、ナガセでの経験から得た、「いずれ、これが当たり前の時代が来る」という確信だったそうです。

edulioの特徴

edulioのHPに行くと、

「無料で使えるオンラインスクールシステム」

という文字が真っ先に目に入ります。

いったいどんなビジネスモデルになっているんだ???

ということが気になり、その疑問を率直にぶつけてみました。

(松野さん)edulioは、無料プランと有料プランとがあり、無料プランには広告が入りますが、有料プランには広告が入らないなどの違いがあります。

その他、無料プランには、HDディスクの容量が1GBまで、ユーザー数が100名までという制限や、一斉メール配信、一括データ更新、サポートなどに違いがあります。サーバーへの負荷が大きくなるものについては、有料にしています。

有料プランも、僕の感覚では、この機能でこの価格は安いと思うんですが、いかがですか?

(松野さん)新しい技術に挑戦することで、もっと安くできると思っています。値段を下げるだけでなく、同じ値段のままでも質を上げていくことで、より多くの付加価値を提供できることになると思います。

なるほど。これは、どういった人がターゲットになっているのですか?

(松野さん)edulioは、ITリテラシーが低くても使えるシステムを目指しています。ターゲットは、ITに自信がないけどオンラインスクールをやりたい人ということになります。

そのために、eラーニングの標準規格であるSCORMに準拠するのをやめています。SCORMに準拠しようとすると、Flashで作らなければならないなどの制約が出てきて、作りたいシステムが作りにくいので、準拠するのをやめました。

edulioでは、会員管理ができて、ビデオなどをUPできて、テストが作れて、進捗が見れてということで、基本的な機能が揃っていますよね。ビデオの形式はmp4ですか?

(松野さん)はい。mp4ですね。違う形式のファイルをUPしてeduliioのサーバーが変換することもできます。でも、実際には、そういう使い方をしている人はほとんどいなくて、PCで変換してからアップしている人が多いです。そのほかにYoutube連携などもできます。

どんな方たちがサービスを使っていますか?

(松野さん)大学のゼミとか、資格試験系とか、会社の研修とか、いろいろです。大学のゼミとかだと、広告が入っても問題ないので、Youtube連携をうまく利用して、無料プランのまま使っていたりしますね。

あとは、研修会社とかでも、本当に肝心なところの動画だけシステム内に入れて、あとは、YoutubeにUPされている外部のコンテンツを利用しながら運営しているところもあります。

なるほど。これからの教員や講師は、授業力よりも、学習を設計する力が重要になってくるといわれていますが、まさに、そういうことが行われているんですね。世界中に、本当に様々なコンテンツが無料で溢れているので、それらを学習者に合わせて配置して、学びの場を創って、学習者のモチベーションを上げていくことで、それで簡単にオンラインスクールを作ることも可能なわけですね。

テストシステムもありますが、これは、どのような使い方をされているんですか?

(松野さん)面白い使い方をしている方がいて、資格試験対策をしている方なんですが、同じ時間に時間を決めてテストをやるんです。そうすると、リアルタイムで各問題ごとの正答率が分かりますから、テストが終わってからオンライン解説をするときに、全員正解の問題は飛ばして、正答率が悪かったものを中心に解説していくから、効率の良い解説授業ができるんです。

edulioは、今後、どのように進化していく予定ですか?

(松野さん)コミュニケーションツールが重要だと思っています。講師と生徒、生徒と生徒のコミュニケーションが取れるような仕組みを入れていきたいと思います。

最後に、ちょっと意地悪な質問をしてみました。

オンラインスクールを運営している経験からすると、オンラインスクールで収益を上げていくための重要度としては、マーケティングや集客が7割で、講座やインフラが3割というイメージを持っているのですが、いかがですか?

(松野さん)それは、本当にその通りなんですよ。コンテンツだけアップしても運営はうまくいかないので、集客に力を入れる必要があると思います。だからこそ、システム部分にはできるだけ簡単にしてパワーを使わずに、集客にパワーを使えるようにしてもらいたいです。

edulioは、無料プランでも実用に耐えるレベルで使えるし、インターフェースが分かりやすく、直感的で簡単に使えます。

アプリやスクリーンキャストソフトで講義をつくって、Youtubeに限定公開でアップして、そのリンクをedulioに貼ってコースを作り、内容に合わせたテストを作っていくというやり方なら、ITが苦手な人でも簡単に講座配信ができるシステムだと思いました。

インタビューに回答してくださった松野さん、ありがとうございました。

無料のオンラインスクールシステム-エデュリオ

動画分身で、個別の効果を集団でも起こす

「反転授業の研究」の田原です。

先日配信した「『教材設計マニュアル』から得た気づき」という記事の中で、数学教室の浜武さんについて触れました。

記事はこちら

本日、第5回反転授業オンライン勉強会で登壇いただいた数学教室の浜武さんからコメントをいただきました。

このコメントが、1つの記事といってもいいほどの内容だったので、こちらでシェアしたいと思います。

—– ここから引用 ——

田原先生。お褒めの言葉を頂戴し身が引き締まります。
最近、新年会ラッシュと私大入試、生徒募集が重なり、なかなか、コメントについていけませんでした。

田原先生との対話から「分身」と云う言葉が自然に想起され、20年以上やってきた自分の事を的確に表現していただいた事に「自分の事はわからないものだなぁ」と思ってしまいました(ありがとうございます)。

さて、今回登壇させていただきました「第5回反転授業オンライン勉強会」では時間の関係もあり、なかなか、言葉にできなかった事、説明が足りない事もあったようです。

今回の動画作成勉強会も本来なら、私こそが参加すべきなのですが、なかなか、時間が取れず、難しそうです。

しかしながら、最も動画授業により効果を実感している立場もあり、この普及を進める意味で私のやっている事を補足し「こんなに動画を撮る事はいい事だ」を説明させていただきたいと思います。

下記は昨日の私の授業日誌です。
https://www.facebook.com/fcs9981/posts/693487344005901:0

FBにこのように視聴するための動画の指示をいつもリンクしてます。

ケースとして「わかってるのかな?」「難しかったのかな」と云う子には復習の意を込めて貼ります(田原先生のおっしゃられる心の痛い想いは教壇に立てば同じです)。

もうひとつのケースとして、事前に見てくるように、と、予習指示になっているケースです。

すべての生徒が見るとは限りませんが(朝課外が7:40からあり、授業は21:00なので明日の始業まで12時間を切っている!)、動画を見てきた子は説明が簡略化され、持参した学校の参考書の演習に「イン」できるのです(You Tubeなので、ある生徒は通学時間中に勉強していると聞きました。生徒の時間に「侵入」してますね)。

「反転授業確認テスト」はいつ?、と思われるでしょう。

化学(ベンゼン環マップ–ここに原油がある。ここからできる限りの石油製品を作りたい。詳述せよ)や地学(固溶体から岩石への分化)、生物の知識系は「反転授業確認テスト」は絶大な力を発揮しますが、数学、計算系化学、物理については「反転授業確認テスト」を行っても白紙である事があり、事前視聴だけで「学力」や「結果」を導きだすのが困難な子が多数いるのです。

そこで、計算系は「自力で解く事」を優先させます。

先の教室でも、みんな鉛筆を止める事なくがしがし問題を100分間連続で解き続けていて、テストは滅多にしません(数学的帰納法や中学数学から高校数学への移行期の子には「反転授業確認テスト」は有効)。

勿論、このような状態にするためには、問題の指定(設計)を慎重にしないと、止まってしまいます。

個別指導塾が繁盛しているのは、予備校、塾の授業設計についていけない→個別、と云う図式になっているでしょう。

数学教室は「動画分身」を利用して、個別に近い事を、集団で実現する事が可能になります。

数学教室は無学年制なのはそのレンジが広いからでこれも動画があるから可能になっている訳です。

「動画がない時代は?」それは生徒を分身に仕立てたのです(続く)。

—— ここまで ——-

浜武さん、本当にありがとうございます。

>数学教室は「動画分身」を利用して、個別に近い事を、集団で実現する事が可能になります。

この部分に、浜武さんの授業ノウハウが集約しているように思います。

最後に書いてある(続く)が気になります。
楽しみです!

 

6回シリーズの無料動画セミナーもご覧下さい。
動画講義=分身の術について語っています。
http://flipped-class.net/wp/?p=570

一度作った動画講義はずっと働き続ける

「反転授業の研究」の田原です。

これまでご紹介してきた動画講義作成講座ですが、本日(2/6)が申し込みの最終日となります。

学校教育に動画講義を使いたいということで申し込んでいただいた方、自分の運営する塾などで動画講義を利用したいという方

などが多いです。

海外から参加してくださっている方も数人いらっしゃいます。

参加者の方と一緒に、「動画講義=自分の分身」で何ができるのか、一緒に探究していきたいと思います。

動画講義を大量に作っていこうと思っている方は、その前に、何が効果的な方法なのかをぜひ学んでください。

メイン講師の古山竜司さんは、武雄市の反転授業用の動画講義や、スタジオ型の動画講義など、動画講義作成について経験がとても抱負です。

武雄市では、学校の先生とディスカッションを重ねながら、動画講義を作成していて、反転授業に使うためにはどのような動画講義が有効かということを、おそらく日本で一番詳しくご存知の方だと思います。

運営の田原は、9年前から動画講義作成をしています。
自分でオンライン予備校を運営していますので、動画講義を、授業に使うだけでなく、集客やイベントなど、様々なものに使っています。
このように、長年かけて試行錯誤をした末にたどり着いたノウハウを、受講者のみなさんにお伝えいたします。

それらのノウハウを身につけると・・

・生徒がおもわず引き込まれてしまうような動画講義を作成することができるようになったり、

・反転授業用として適切な内容の動画講義を作れるようになったり、

・動画講義を、自分の代わりに24時間休まずに生徒を集めてきてくれる営業担当として使う方法を身につけたり、

いろいろなことができるようになります。

これらは、これから動画講義を大量に作ろうとしている方にとって、とても大きなサポートになると思います。

動画講義を作るのには時間がかかります。

せっかく時間をかけるのなら、効果が最大になるやり方をマスターしてから、作って欲しいです。

この講座の特徴は、あらかじめ用意して提供するものだけでなく、フォーラムセッションを通して、あなたにとって重要なスキルを一緒に探究していくところです。

数学の講義と、語学の講義と、地理の講義とでは、おのずと作りたいことが変わってくると思います。

また、対象年齢によっても変わってきますよね。

受講者の方にも、それぞれ、いろいろなアイディアがあると思います。

僕たちが提供するノウハウを土台にして、受講者の方のアイディアをどうやったら形にできるのか、いっしょに考えていきます。

また、アイディアを出し合って、さらによいアイディアになるように発展させていきます。

アイディアが豊富な桑子研さんと横川淳さんとがフォーラムセッションに加わり、4人の講師陣が、アイディアの発展をサポートします。

1ヶ月間かけて、この講座をやり終えたら、明確なプランとスキルを手にすることができます。

そしたら、ぜひ、自分の分身である動画講義を大量生産してください。

それらは、あなたの分身として、あなたの講義の効果を何百倍にも増幅し、効果的に働いてくれるでしょう。

僕は、90分の動画を100個以上作りました。

それらを作るのは大変でしたが、5年前から、新しい動画をほとんど作っていません。

僕の代わりに100個の動画講義が、生徒のPCにダウンロードされ、本人が分かるまで何回でも繰り返し説明しています。

毎年、500名ほどの受講生が学んでいますが、Q&Aを担当して下さっているパートナーの浅井さんと二人で回しています。

生講義を減らし、動画講義を増やしたことで、自分が自由に使える時間を増やすことができ、創造的な仕事をする時間を作ることができました。

今では、ノートPCとネット回線があれば、世界中のどこでも仕事ができるようになりました。

動画講義は、一度作ってしまえば、何年間も使い続けることができます。

だからこそ、これから作っていこうという方は、ぜひ、効果的な作り方をマスターしてください。

そのようにして作った動画講義は、何年間も効力を発揮し、あなたの分身として活動を支えてくれると思います。

動画講義作成講座へお申し込みいただいた方のコメントの一部をご紹介します。

●佐藤正憲さん

オンライン勉強会で “できたらいいなぁ” と言ってたことが現実になり、勉強したいと思っていた側として本当に良い機会をいただけました。

参加させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

●小西尚之さん

理学療法士の国家試験に臨む学生に対して、特に苦手意識の高い生理学と解剖学の基礎知識を学んでもらうための動画講義を作りたいと
考えております。

この講座を申し込んだ翌日にiPad airを購入しました。

よろしくお願い致します。

●鈴木久さん

定年後3年目を迎えた中学理科教師です。田原先生には、自分のブログを紹介していただいたことと、田原の物理の受講から始まりずっとお世話になっています。反転授業を実施できるかどうかは別として動画講義は活用して発信していきたいと思います。なお、目の前の東京での別の会議の準備のため、まだ、ソフトもペンも購入していませんが、何とか参加して自由に作品を作って活用できるようになりたいです。
よろしくお願いします。

●大森美紀さん

参加目的は「学習効果の高い動画作成を効率的に体得する」ためです。
効果が低い形だけの動画や 、非効率的な操作方法による大量生産は避けたいと以前から危機感を感じていました。

●前田 浩之さん

可能性にワクワクしますね。とりあえず走りだすことにしました。 とても楽しみです。

●藤本かおるさん

春からの授業で反転授業を取り入れてみようと思っています。
PC用のソフトは知り合いのベンダーさんから提供受けたのですが、 先日とあるところでiPadで動画授業を作っている動画を見まして、 宝の持ち腐れ気味のiPadで作ってみたい!と思いました。よろしくお願いします。

●友井秀勝さん

ベトナムで日本語教師をしています。
学習者中心の授業を考えていますが、正直に言うと、具体的に、動 画を使って、どのような授業をしたらいいか、はっきりとはイメージがつかめていません。でも、必ず将来必要になることはわかっているので、受講を希望します。

この講座の真の価値はアプリの操作方法ではなく、それをサンプルに効率的かつ質の高い教材を学び考える実践の場、「なんとなく出来る」レベルを
脱却する絶好のチャンスではと期待しています。
動画講義作成講座への申し込みは、本日までです。

お申し込みはこちらから

6回シリーズの無料動画セミナーもご覧下さい。
動画講義=分身の術について語っています。
動画セミナーはこちら

 

 

(追伸)

動画講義作成講座の参加者の中で、塾の運営者がたくさんいらっしゃるので、

特典3「無料動画で効果的に生徒を集める方法」

の内容を予定よりもパワーアップすることにしました。
Webの世界では、情報を発信しないと存在していることになりません。

すべてが情報で形作られているのです。

ですから、自分の分身として、

・Webサイト
・ブログ
・動画講義

などを作ります。そして、それらは、継続して自分の代わりに働いてくれ、

検索エンジンから、自分の講座に興味のある人を連れてきて、
その人に、自分の講座の特徴を説明し、
実際に無料体験講座を受講させ、
よくある質問に回答する

といったことを、すべて代行してくれます。

今、僕の生活を支えてくれているのは、

50個のWebサイトやブログ
100個の動画講義

です。

特典では、動画講義の部分だけを話そうと思っていたのですが、

「50個のWebサイトやブログ」

の部分についても話そうと思います。

なぜ、50個も作っているのか?

その理由を説明します。

将来、講座をWebで配信したいと考えている方には、視界が大きく開け、目の前に道が見えるような話になると思います。

 

動画講義作成講座への申し込みは、本日までです。

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『教材設計マニュアル』から得た気づき

「反転授業の研究」の田原です。

今、インストラクショナルデザインを学ぶために『教材設計マニュアル』を読んでいます。

第3章を読んでいて、ある言葉に出会いました。

その瞬間、これまで頭の中に漂っていたいくつかのピースが結びつき、
目からうろこが何枚も落ちました。

その言葉とは、心理学者のジョン・B・キャロルの言葉で、

「すべての学習者は、その人にとって必要とされる時間をかければ、すべての学習課題を達成できる」

というものです。

多くの場合、生まれつき能力の差によってできる子とできない子がいるから、学校で成績に差がつくと考えられていると思います。

しかし、キャロルは、これを否定して、次のように述べます。

「能力差があるということは、学習できることの限界レベルが違うということではない。みんな学ぶことはできる。しかし、そのために必要な時間が一人一人違うのだ。時間をかければできる。それなのに、みんな同じ授業を受けて、同じ時間しか与えられなければ成績に差がつく。それは、それぞれの子どもにとって十分な学習時間が与えられていないからに他ならない。」

これを読んで、Khan Academyが目指しているものが腑に落ちました。

Khan Academyは、練習問題をクリアするまでにどれだけ時間をかけても良いシステムになっています。

自分のペースで、何回でも繰り返せるわけです。
eboard物語の中村さんの話の意味が、よく理解できるようになりました。

中村さんが言っていた

「時間をかければできるようになる」

「それなのに、そのチャンスがないばかりに学べないのはもったいない」

という言葉の意味が、キャロルを通して深いところに入ってきました。

キャロルの考えに基づくと、

「理解の速さの異なる生徒集団に、どうやって十分な学習時間を与えるのか」

という問いを立てることができると思います。

前回の勉強会でお話くださった数学教室の浜武さんは、この問いに対して、ある種の解を提示していたと思います。

浜武さんは、2つの意味で「分身」を作ることによって解決していました。

1つ目の意味は、「動画講義」という分身です。

講義部分を動画にすることで、浜武さんの体が空くわけです。

空いた体で何をするかというと、生徒の理解の速度に合わせて小テストをやらせるわけです。

理解の速い生徒はどんどん進み、遅い生徒は分かるまで繰り返す。

どの生徒にとっても、適切な速度で学ぶことができる仕組みだと思いました。

2つ目の意味は、「生徒」という分身です。

動画講義だけでは理解できない生徒を、別の生徒が教えます。

浜武さんの知識が、動画講義にコピーされ、そこから、理解の速い生徒の頭にコピーされ、さらに、理解の遅い生徒の頭に
コピーされていくのです。

このような仕組みを作ると、分身の術によって、教師の力が何倍にも増大し、これまでにはできなかったことができるようになります。

工夫次第で、いろんな解決方法が生み出されると思います。

 

僕は、中学・高校で数学の非常勤講師として教えた経験が5年間。
予備校で物理や数学を教えた経験が15年間ありますが、その中で、どうしても対応できずに見捨ててきてしまった生徒たちがいます。
そのうちの何人かは、今でも、顔と名前を覚えています。

とても苦い思い出です。

授業をされている先生方も、同じような経験はありませんか?
そのときは、限られた時間でやらなくちゃならないのだから仕方がないと自分に言い聞かせて、あきらめました。
教育にITを利用し、何かしらの問題解決できるのなら、まず最初に、あの見捨ててきた生徒たちを何とかしたいです。

第4回の勉強会で、名越さんが、

「これまでにごめんなさいしてきてしまった生徒たちに対して、動画講義を使えば対応できるかもしれない」

とおっしゃっていました。

僕は、この言葉にとても共感します。

 

「動画講義」や「学びあい」を使えば、理解のスピードが異なる生徒に対して、対応できるかもしれないのです。

ここには、大きな可能性があると思います。

 

eboardの中村さんが、なぜ、動画講義を作り始めたのか。

浜武さんが、なぜ、授業をビデオで取り始めたのか。

僕たちが、なぜ、今回、動画講義作成講座をやるのか。

うまく伝える言葉が見つからずにもどかしい思いをしていたのですが、『教材設計マニュアル』を読んで、ようやくその言葉を見つけられた気がします。

理解速度が異なる生徒集団に、一人で対応するのは難しいのです。

でも、「自分の分身=動画講義」を作って、パワーを増大させれば、

それぞれの生徒に十分な学習時間を与えられるです。

見捨てざるを得なかった生徒を、サポートできるかもしれないのです。
動画講義作成講座への申し込みは、本日(2/6)までです。

お申し込みはこちらから

6回シリーズの無料動画セミナーもご覧下さい。
動画講義=分身の術について語っています。
動画セミナーはこちら

締め切りまであと2日!ワークショップ型のオンライン講座

「反転授業の研究」の田原です。

昨年、ワールドカフェの運営について、理論的な背景からしっかり学びたくて、アメリカの某大学が運営するオンライン講座に申し込みました。

ワールドカフェのファシリテーション技術を向上させるという内容を、どうやってオンラインで伝えるのか?

講座内容だけでなく、講座の運営方法にもとても興味があったのです。

開講期間は2ヶ月間で、受講料は約7万円。

講座内容の勉強と、運営方法の両方が学べるのであれば安いものだと思いました。

申し込みをすると、Moodleのアカウントが発行され、Moodleにログインできるようになりました。

そこから、ワールドカフェについての電子書籍や動画などのマテリアルがダウンロードでき、開講までの間にそれらを読んだり、見たりしておくようにとの指示がありました。

講座開始日に、Gotomeetingというビデオミーティングソフトを使い、参加者がオンラインで集まりました。

一人ずつビデオをONにして、英語で自己紹介をしました。
(僕もやりましたよ~。日本人は僕だけでした。)

そこで、講座の進め方についての説明があり、講座がスタートしました。

36名が6つのグループに分けられ、Table 1 – Table 6という名前がついたフォーラムが立ち上がりました。

毎週、運営側から宿題が出され、それに対する自分の回答を、フォーラムに書き込んでいきました。

そして、同じフォーラムに振り分けられたメンバーが、お互いに、コメントをしあいました。

同じグループの他の人の回答、別のグループの人たちの回答、相互に飛び交うコメント・・・

これらが、本当に勉強になりました。

本を読んだだけでは分からなかった雰囲気、文脈が、それらから伝わってきました。

最初の4週間は、文献の読み込みにあてられ、後半の4週間は、実践的な内容になってきました。

モデルケースが宿題で示され、それを題材としたワールドカフェのデザインを各自が作って提出し、お互いにコメントしあいました。

さらに、それらのアイディアを混ぜあわせ、グループでディスカッションして、
1つのアイディアにまとめました。

僕も、企業コンサルをやっているロシア人女性とペアになり、スカイプでディスカッションをして、ワールドカフェのデザインをしました。

8週間かけて、オンラインでかなり充実した学びをすることができました。

8週間の中で、ビデオチャットセッションが4回あり、運営者の方に質問したり、運営者の方が専門家の方を連れてきて話をしてもらったり、リアルタイムのセッションと、非同期のフォーラムセッションとがうまく使い分けられていました。

オンライン講座といても、Lecture動画をダウンロードして、それを使って学ぶのではなく、このようなワークショップ型のオンライン講座に、大きな可能性を感じました。

 

動画講義で何ができるのか

反転授業のFBグループで、動画講義の作り方についてのニーズが高まってきたときに、単に動画講義作成のマニュアルを作っても仕方がないと思いました。

もっと深い学びができるのではないかと思ったのです。

そこで、ワールドカフェのオンライン講座の運営方法をヒントに、ワークショップ型の講座を作りました。

1ヶ月間で学んでいただきたいことは、「動画講義で何ができるのか」です。

「作り方」ではなく、「何ができるのか」です。

単純に動画講義を作るだけなら、半日あれば、それなりのものが作れます。

それはそれで、もちろん手厚くサポートしますが、

むしろ重要なのは、

・どんな動画講義を作るのか
・どのように動画講義を使うのか

というアイディアの部分です。

そして、それらのアイディアを、どうやって実際に実現するのかというスキルの部分が後からやってきます。

僕は、動画講義=自分の分身 というイメージを持っています。

もし、分身を無限個作れるとしたら、どんな問題解決ができるのか?

皆さんは、今までに、そんなことを考えたことがありますか?

クラスの一部の生徒だけが必要な授業・・・

教室で行う授業では、その生徒たちだけのために全体の時間を犠牲にして授業をすることはできません。

でも、動画講義をYoutubeにUPしておいて、

「君たち3人は、この動画講義を見ておきなさい」

とすることで、3人の生徒を救うことができたりするわけです。

これは、ほんの一例で、「動画講義=自分の分身」を作ることによって解決できることは、本当にたくさんあります。

「動画講義=自分の分身」を使ってどんなことができるのか、みんなでブレインストーミングしてみたら、おもしろいと思いませんか?

たぶん、いろんなアイディアが出てくると思います。

他の人のアイディアにインスパイアされて、さらにアイディアが出てくることでしょう。

それらのワークを通して、

「自分の気がつかなかった授業改善の可能性」

を見つけることができたら、すばらしいと思いませんか?

すでに、様々な属性の方が申し込んでくださっていますので、僕がこれまでに考えてこなかったようなアイディアもきっと生まれてくるのではないかと期待しています。

僕が、9年間でやってきた、ありとあらゆる動画講義の使い方も、出し惜しみせずに、フォーラムに書いていきます。

学習塾や、将来、オンラインで講座配信をしたいと思っている方は、特典として配布する動画講義を使ったWebマーケティングの話が特に役立つと思います。

動画講義の製作ツールとしては、初期費用をかけずに学べるように、iPadアプリ「Explain Evrything」を指定していますが、ここで学ぶことは、

「動画講義で何ができるのか」

ということなので、他のツールを使って動画講義を作る場合にも役立ちます。

Moodleの準備は、すでに完了しました。

moodle

申し込みいただいた方は、今、プロフィール編集をして、準備を整えているところです。

海外から申し込んでくださっている方もいらっしゃいます。

申し込みの締め切りは、2月6日(あと2日)ですが、定員の50名を超えた場合は、その前に締め切ることになりますので、受講希望の方は、お早めにお申し込みください。

お申し込みはこちらから
http://flipped-class.net/dogakogi/

6回シリーズの無料動画セミナーもご覧下さい。
http://flipped-class.net/wp/?p=570

無料動画セミナー(6)「アイディアを形にする」

「反転授業の研究」の田原です。

みなさんは、アイディアを出すときにどのようなことをしますか?

僕が運営している物理ネット予備校は、最初は、本当に手作りで運営していたので、会員数が200名を超えたあたりから、アカウントやパスワードの管理などが、大変になってきて、会員システムを導入することにしたんです。

3年ほど前は、LMSなどの情報も少なく、ITコンサルの方に質問しにいったりして情報を集め、結局、Moodleをベースにして開発することにしました。

当時、Moodleは、日本では導入事例が少なかったのですが、海外では多くの導入事例があったので、将来を見据えてMoodleを選びました。

たまたま相談しに行ったシステム会社にカナダ人のエンジニアがいて、Moodleに詳しかったということも決め手になりました。

まずは、今、手作業でやっていることをオートメーション化したいというのが、緊急の課題でした。

・会員の管理
・購入講座ごとの受講設定
・受講期限の設定
・更新手続き

などの機能が必要でした。

最初は、この程度のアイディアだったのです。

エンジニアと相談して、Moodleではどんなことができるのかを説明してもらい、自分でもMoodleをインストールして、いろいろといじってみました。

そうやって手を動かしているうちに、いろんなアイディアが沸いてきました。

・Wikiを利用して何かできないか?
・講座のダウンロードページにQ&Aを関連付ければいいんじゃないか?
・ポイント制にして、モチベーションをあげたい

これらは、実際にシステムに触ってみたからこそ、生まれたアイディアでした。

そして、さらに、エンジニアとディスカッションしました。

そこで生まれたアイディアは、

「受講生が自分で『田原式の解答』をWikiにUPし、市販の問題集の『田原式解答集』を自ら作っていく」

というものでした。これは、phys-wikiと名づけられ、現在、市販の多くの問題集の解答が網羅されています。

アイディアというのは、実際に手を動かしたり、ディスカッションしたりする中で、よいものへ発展していくものなのだなーと実感した経験でした。

動画講義作成についても、同様のことがいえるのではないかと思います。

最初の段階では、

「普段やっている講義を動画にする」

ということだけであっても、実際に講義を作ってみると、手を動かすことによって、いろんなアイディアが生まれ、さらに、他の人との交流の中で、それらが、どんどん発展していくと思います。

そして、発展したアイディアを、実際に実現するためにスキルを身につけていくようにすれば、本当に自分にとって役立つスキルが身につくと思います。

このような「本当に役立つスキル」は、一方向的な講義では身につけることが難しいです。

それぞれの状況、課題が違うし、目指しているものも違うからです。

では、どうしたらよいのか?

僕の出した答はこれです。

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無料動画セミナー(5)「創造力は「苦肉の策」から生まれる」

以前、「制約がないと創造力が生まれない」ということに気づき、あらゆる制約を自分に課してアートを製作している芸術家のTED動画を見たことがあります。

この芸術家は、点描画を書いていたのですが、指が震えるようになってしまい、点描画が描けなくなってしまったのです。

しかし、それを制約として受け入れて、「震える手で絵を描く」という製作をはじめました。

そして、「制約があるからこそアイディアが生まれる」ということに気づき、その後、自分からどんどん制約を作って、様々なアートを作り出していきました。

動画講義製作にも、同じように様々な制約があります。

・予算的な制約
・時間的な制約
・機材の制約

そういった制約の中で、ある種の限界が決まってきます。

しかし、面白いことに、その制約の中で工夫してやっていると、最初は限界だと思われていたところを突破できることがあるのです。

動画講義の実践をされている方に話をうかがうと、そういった「限界」を、「苦肉の策」によって突破したという話を聞くことが多いです。

僕は、そのような話を聞くことが大好きです。

それまでの固定観念を打ち破られ、整理されていた情報の再構成を迫られるようなことに出会うことが好きなのです。

スクリーンキャスト型の動画作成には、様々な作り方がありますが、手書き文字を何で描くのかというところで、クオリティに差が出てきます。

(1)タブレット端末にスタイラスペンで書く

(2)ペンタブレットをPCに接続して書く

(3)Windowsのタブレットに書く

(4)液晶タブレットに書く

・武雄市の反転授業用の動画を作っている古山さんは、Explain Everything+iPadの組み合わせで講義を作られています。←(1)のパターン

・僕は、長年、ThinkBoard+Wacomのペンタブレットの組み合わせで動画講義を作っています。←(2)のパターン

・反転授業の事例で有名な富谷町立東向陽台小学校の佐藤先生は、ThinkBoard+Windowsタブレットの組み合わせで講義を作っています。←(3)のパターン

・ハイクオリティの動画講義を作り続けている下島健太さんは、スクリーンキャストソフト+液晶タブレットで講義を作っているとのことです。←(4)のパターン

これらをコストパフォーマンスという点から比べてみたいと思います。

iPadの場合、ペンを感知する感度や精度がやや低いです。そのため、慣れないときれいに字が書けなかったりします。ただ、安価(アプリ代300円、スタイラスペン800-2000円程度)で簡単に作ることができます。さらに、1クリックでYoutubeのアップできるなど、手軽さが魅力です。

ペンタブレットの場合は、手の位置とカーソルの位置との間に距離がある点が、最初は使いにくいと感じる人もいるかもしれません。ただ、人間は慣れるので、僕の場合、それらは今では意識に上りません。ペンタブレットは4万円くらいのA4サイズのものを使っています。(B5サイズのもっと安価のものもあります)

Windowsタブレットの場合、画面に表示させている場所に書き込むことができ、iPadに比べれば感度、精度が高いです。ただ、ノートPCなので価格も約10万円程度はします。動画講義作成だけでなく、ノートPCとしても使用するということであれば、よい選択かもしれません。ただ、手が画面に触れると認識されてしまうため、手が触れないように気をつけて書くなど、コツが必要だそうです。

液晶タブレットは、ペン先しか感知しないため、紙に書いているのと同じ感覚で文字が書け、現在あるものの中では、最もクオリティが高いようです。価格は約8万円ほどで、これから、大量に動画講義を作成していくことが決まっているのであれば、よい選択肢になると思います。

このように見ていくと、クオリティの高い動画講義にこだわるのであれば、それなりにコストをかけなくてはならないということが分かります。

しかし、こういった常識を覆す「苦肉の策」も、実践者の中からは生まれてきています。

武雄市の反転授業の動画講義を作っている古山さんに与えられた制約、それは、

「iPadアプリExplain Everythingを使って、プロ仕様の動画講義を作ること」

一番安い機材で、プロ仕様の講義を作るのは、並大抵のことではありません。

しかし、そのような追い込まれた状況でこそ、人間は創造力を発揮します。

アプリの機能の使い方を工夫して、あっと驚くようなクオリティの動画講義を作っています。

どんな講義を作っているのか?

こちらで公開しています。

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無料動画セミナー(4)「動画講義のいろいろな使い方」

反転授業について学んでいくと、いろんなキーワードが出てきます。

・動画講義
・グループワーク
・ファシリテーションスキル
・インストラクショナル・デザイン
・LMS

いろんなキーワードが出てきて、どこから手をつけたらよいか分からなくなってくるかたもいらっしゃると思います。

でも、一気にやるのは、難しいです。

ちょっとだけやってみて、試してみて、自分なりの手応えを得て、はじめて本格的な行動に移すことができるんじゃないかと思います。

たとえば、僕は、今、オンライン反転授業で、ほとんどの説明を受講者に任せてしまっていますが、最初はそんなこと怖くてできませんでした。

受講者は、僕の話を聞きたくて集まっていると思っていたので、僕が説明する責任があると思っていたし、受講者に説明されるとどんなことになるのか、半信半疑だったからです。

それで、最初は、「5分だけ」、試しに受講者からの説明に、他の受講者に回答してもらうことを試してみました。

そのときの受講者の反応を見て、「これは、いける」と思い、どんどん受講者中心の授業の方向へ重心を移していったのです。

このように、まずは、ちょっとだけ試してみて、その経験を元に、何ができるのか考えるということが、とても役立つのではないかと思います。

今回、無料動画セミナーでお伝えしているのは、

「まずは、一番簡単な方法で動画講義を作ってみましょう。」

「そうすると、作る前には得られなかった発想が出てきますよ。」

「動画講義というのは、反転授業に使うだけじゃなく、いろんな使い道があるんですよ。」

「あなたの状況に合った、動画講義の効果的な使い方が、きっとありますよ」

というようなことです。

「(4)いろいろな動画講義の使い方」では、僕が、センター試験が行われた夜に日本一早く解説動画を作ってアップした理由も説明しています。

これは、ちょっとしゃべるかどうか迷いました。

この方法が広がると、自分の首を絞めるからです。

ちょっと(じゃなくて、かなり)、口が滑っています。

それほど、強力な集客方法です。(Webで集客したい方は必見です)

これまでUPした4つの動画講義を見ると、それだけでも、すでにいろいろなアイディアが沸いてくると思います。

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無料動画セミナー(3)「生徒の時間軸に侵入するための分身の術」

田原です。

僕が作った動画セミナー(2)「動画講義で自分の分身を作る」を見て、横川淳さんが、動画を作ってくれました。

同じ「分身」という言葉を使っていますが、捉えている角度が違います。

僕の場合は、自分の労働力を何倍にも増幅させるというイメージなのですが、横川さんの場合は、生徒の学習効果に焦点を当てています。

ぜひ、2つの動画を見比べてみてください。

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無料動画セミナー(2)「動画講義で自分の分身を作る」

予備校講師として5年くらいが過ぎたときに感じたのは、

「毎年、同じ講義の繰り返しだなー」

ということでした。

生徒は変わっていくけど、自分の講義は同じ。

だんだん講義が固まってきて、このテーマの時には、このギャク、この笑い・・・という流れまで固定化してきて、自分の中でちょっと停滞感を感じていました。

予備校でも、だんだんと責任ある立場になってきて、コマ数も増え、仙台、水戸、いわき、千葉、静岡を移動しながら、朝から夜まで講義をやり続ける中で考えたのは、

「時間を消費型ではなく蓄積型の仕事に使わなくてはいけない」

ということでした。

そこで、ネット予備校を自分で立ち上げて、仕事を終えて、自宅に帰ってから、深夜にコタツで動画講義を作り始めました。

生講義は、その場で消滅してしまいますが、動画講義は僕の分身としてこの世に生み出され、僕が休んでいるときでも僕の代わりに講義をし続けてくれます。

たった一人でネット予備校を運営していた僕は、どんどん分身を増やしていきました。

予備校でやっていた講義のすべてを動画講義化したころには、ネット予備校の収益があがり始め、だんだんとリアルの講義を減らしていくことができるようになりました。

生身の僕の代わりに、僕の分身が働いてくれるようになったので、生身のほうは、余った時間で別のことができるようになって来ました。

本を執筆したり、大学受験以外の講義を作ったり、LMSを開発したり・・・

これらは、僕の分身が働いてくれるようになって、時間が生まれたからできたことです。

動画講義という分身の働きによって、生身の僕の労力が減ったのにも関わらず、生徒にとっての学習効果はむしろ増したのです。

その結果、リアルの講義はだんだんと減っていき、3年前にゼロになりました。
そして、時間と空間の制約がゼロになりました。

これは、僕の意識に大きな変化をもたらしました。

人間は、そのときの自分にとって不可能なことには思考が向かわない傾向があると思います。

どうせ無理なことについては、考えても仕方がないからです。

しかし、状況が変わって、可能性が生まれると、それに刺激されて、急に頭が動き始めます。

時間と空間の制約の中で仕事をしていたときには考えもしなかったことを、制約がなくなった瞬間から考えるようになりました。

今は、ネット予備校の数も3つに増殖しましたが、その運営はセミオートマチックに回っていて、そこで生まれた時間を、反転授業の研究に費やしています。

反転授業のオンライン勉強会の活動も、その延長線上に生まれたものです。

昨夜、「動画講義=分身」ということについて、いろいろ考えて、動画セミナー第2弾を作りました。

動画講義を作る意味について、一緒に考えるきっかけになればうれしいです。

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無料動画セミナー(1)「動画講義の分類」

6回シリーズで動画講義についての無料動画セミナーを公開します。

第1回目は、「動画種類の分類」です。

今は、いろいろな方法で動画講義を作ることができます。

だから、いざ、動画講義を作ってみようというときに、どの方法がよいか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか?

そこで、7種類の動画講義の作り方を紹介し、それぞれのメリット・デメリットを説明します。

この分類を見ると、自分に合った作り方を見つけることができると思います。

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第5回反転授業オンライン勉強会を振り返って

1月27日に実施した第5回反転授業オンライン勉強会には、多数の方が参加してくださいました。

今回のテーマは「授業デザイン」。

公教育や塾の現場にいらっしゃる方からすると、インストラクショナルデザインやLMSといった話題はなじみが薄い話で、盛り上がるかどうか心配していたのですが、この勉強会は、「多様性のある森を育てる」ということをポリシーにしていますので、積極的に他の分野の方と情報交換をし、学べるところは部分的であっても取り入れていこうということで、実施いたしました。

以下は、参加された方のコメントです。

勉強会で分かったこと

コースデザインを作ることの有用性と、逆にその難しさ、奥の深さ、です。
どうやら自分はあまり「授業」や「教育」の設計を意識しないままに日々過ごしているらしいことが分かりました。最初の段階でテストを作るというのは、今後の活動のヒントになるなと思いました。また、浜武さん的な意味合いの「分身」もいいなと思うようになりました。これも今後の活動に活かしていきたいです。
反転授業のイメージがわいてきました。今後導入していこうと思っています。もっと実践例を勉強したいです。
・LMSとして、井上さんのサービスをぜひ使ってみたいです。・米島さんと浜武さんのお話は、自分の考えや授業と同じ方向(の先の方)にあるなと感じました。
とても参考になりました。
LMSの変遷や現状について
ISDの概要と構造について
入口→出口
目標→テスト作成→教材(授業)作りなど
動画作成のポイント→シンプルにすること(情報の与えすぎに注意)
eboradのクラウドファウディングがピンチなので情報の拡散と出資する必要がある
本日は、ありがとうございました。
初めての参加で、かつ仕事があり途中からの参加だったのですが、今までで一番わかりやすいISDの授業だったように感じます。
普段から、対象のニーズを掴んでからと思い事前アンケートはしていたのですが、もう少し課題分析に力を入れないといけないことがわかりました。ぜひ、スライドをシェアしていただけたらと思います。
井上さん
Moodleを使ったLMSについて。いろいろと参考になる図書やURLを教えていただきありがとうございます。まだまだ知識不足なんですが、このMoodleを使えば自分のやりたいことが一気にできるような気がしています。もう少し勉強して、またFBグループで質問させてもらいたいです。米島さん
先生という職業は、毎回の授業をどうするかということばかりに目が行き、ISDという考えは頭では分かっているけどなかなか実践できていないのが本音ではないでしょうか。一年間のカリキュラムを分析し、まずゴールを決める。そしてテストをつくる(これ重要)。そこから授業設計をしていくという考え方はデザインとしてはとてもいいことだと思います。浜武さん
反転授業が日本に入ってくる前から反転授業をしていたことが凄いですし、生徒が先生になるということをやっておられるときいて凄いなと思いました。自習の時間が一番大切で、自習ばかりさせる塾って最高の褒め言葉だと思います。そういう塾が増えれば、もっともっと日本の教育も良くなっていくんじゃないのかなと思いました。
教育の深み。とくにISD。
タスク分析やゴール分析
・井上さんのLMSのお話
オンライン教育プラットフォームの実践に必要な要素がうまくまとめられており、頭の整理になりました。Moodleの可能な利用規模の話などは改めて参考になりました。・米島さんのISDの実践的プロセス
人材研修での実績があるISDのお話はためになりました。特に分析フェースが興味深く、参考になりました。
23開発ステップは圧巻です。共有いただいた後じっくり拝見したいと思います。・浜武さんの公民館での実践例
結果的に反転授業的になったエピソード、興味深かったです。
授業は設計だけでなく、現場での気づきによる柔軟な対応変更も重要、と専門家(大学の名誉教授)に伺ったことがあります。その1例と思います。・eboardのお話し
説得力ありました。サイトを今一度確認したいと思います。
イベント、大阪開催なのに参加できないのが残念です。
・Moodleの位置づけと利用の可能性。
・仰るように、ISDの用語を別の分野に置き換えても十分応用できる。
・人間は自分の都合の良いように覚える傾向があるので、発音などまちがいに気がつかないで覚えるなら、授業の復習に重点を置いたほうがいいと考えていたが、考え直すきっかけになった。
・ちょっとした工夫で本当に偉大な効果が生まれる。授業のあとに板書をメールで送ったりしていたが、先に見せればいいと気がついた。
・日本の教育格差の問題
・Moodle等を利用するにはプログラミングの知識が必要だということ
(全くその知識がなく、しかも少人数対象の私は、当面Youtube利用となりそうです)
・授業の目標は、測定可能な具体的なものにするということ
(例えば、「前期終了までに道案内ができるようにする」とか)
・授業のプランをした時点で、テストも作成するということ
(そして、そのテストで満点をとれるような授業をする)
・授業をプランするにあたって、リサーチ(前もっての分析)が必要なことと、事後の振り返りおよび授業内容へのフィードバックが不可欠であること
(分析し、プランし、実行して、評価を行い、反省点を次に活かす、というサークル)
・暗記ものや法則などの学習は、動画で事前に自宅でやってくると授業が楽しく受けられる可能性が広がること
(授業で暗記をするのは不毛。授業では、知識を活用する練習を。)
まず自分ができることとすぐにはできないことがもっとクリアになった。「できること」の中で、他の教師と力を合わせた方がいいことが何かと、どうやって進めるかについて「考える必要」があることがわかり、

「できないこと」の中で、自分でできるようになることが必要/望む/時間がとれるのか、それともできる人の助けを得ることが必要なのかということを、「整理する必要」があることがわかり、

それらを動かしていくには、自分自身がもっと勉強しなくちゃいけないことがあるという新しい世界の存在がわかって、

ドキドキ、ワクワクしました。

オンライン学習の現在の様子を知ることができました。
目標の立て方。動画の中身からテストを作るということ。moodleなどは自分にとりかなり敷居が髙いということ。無料でできないと
米島博司さんのISDがとても勉強になりました。
教育・研修は一生涯何かしら向上心目的があれば受ける機会が続くであろうと思います。この「反転授業」での取り組みの積み重ねは、「教育をデザインする」意味でとても大きな情報交流をもたらします。「分身をつくる」ってユニークな表現ですが、田原さんと登壇者とコメントの共鳴性がとても楽しく感じられました。
ISDが一部の人達だけではなく、世の中に広がっているという事。
「カーン・アカデミー」などに代表される教育の動画サービスが、これまでカバーできなかった人々に学びの機会を与えているという話は以前から聞いていましたが、無料で動画を観られるからかなぐらいの認識でしかありませんでした。今回、テクノロジーが新しい手法を可能にしているということを知り、目から鱗が落ちる思いです。
Variety of LMS systems
SORMのリサーチInterestはTime/Performance (どれだけ時間をかければよいか)に対してカーンAcademyのMastery learningのリサーチがある。
ISDの手法では目的とMeasurementが一致していることが重要である。大変よい復習になりました。

 

課題だと感じたこと

特にありません。トラブルも想定の範囲でスムーズに解決していたと思います。
生徒にどうやって、動画を見るインセンティブを与えるか。
PCをいじっていると、ついネットサーフィンしたくなる誘惑をどう意識付けするか。
浜武しんいち先生の内容を聞いて、動画を自分でとることを考えてみたいと思います。学校がサポートしてくれるといいのですが。
引き続き勉強と実践をしていく次第です。
がんばります。
自信の授業の目標設定
ISDやIDについての理解
LMSについての知識不足・実践不足
浜武さんの取り組みには、感銘を受けました。
そして、こんなにも多くの子どもたちが授業についていけない現状があること、貧困層がいることに驚きを感じました。都道府県や国レベルから予算を取って事業が展開できると、あるいは、どこか大学の先生と共同し研究ベースで展開できると、こういう取り組みを知ってもらうきっかけにもなって良いのかなとも感じました。どちらにせよ、この取り組みが活発になることを願います。
今回のシステムデザインの話は一個人(例えば学校の一教師や塾の一講師)ではなかなか取り組むのが難しいのではないかと思いました。やはりチームを組んでできると、お互いの得意なところや苦手なところをカバーしあってよりよいものができるのではないかと感じています。それを企業が自治体が取り組めばきっと変わって行くと思います。今日学んだことをいち早く取り入れて行きたいと思いました。
タスク分析やゴール分析は
教育コンテンツの設計だけでなくて、
自分自身の行動のあり方にも応用できると感じた。
漠然と、解決策っぽいものをやっていたので、
これからは、原因の切り分けをしっかり行い、パフォーマンスを行っていくこと。
しっかりとしたゴール設定を行った上でパフォーマンスやサブゴールを決めること。
この2点を心に刻み、実行していく。教材に引きずられて、ゴール設定があいまいになってしまっていたら、
せっかく良いパフォーマンスでも、ゴールの到達点が最大ではないと気づいた。
すでに,興味関心のある人にとっては一般的になりつつあるISDや反転授業について,せっかく非専門家を対象にした良い活動がなされているので,これをどのように展開させていくかが課題だと感じました.
・まず自分の所属している機関でMoodleを使ってオンラインコースをスタートさせたいが、videoの数を考えると道のりが長くなりそうだ。また、著作権は機関に所属することになるのだろうか。
今まで、はじめて習う語学だから、何を教えてもOKだと思って、日常使いそうな事柄中心に気楽に授業を計画していましたが、一度、1年間でできるようになってほしい事柄を洗い出して、本格的に計画する必要があることに気がつきました。春休みの2か月で、なんとか計画と、1か月分(4回)の動画ぐらいまで仕上げなければならないので、今読んでいるIDの本(授業設計マニュアル)をはやく読み終えて、とりかかろうと思います。
私の課題は、「行き当たりばったりをやめて、計画に沿って実行していくこと」です。
井上さんのお話から>日本と世界の日本語教育はどのように繋がっていくのかイメージを明確に持てていないこと。日本語学習者が母国で受ける学習が変化している以上、日本語教育界も変化せざるを得ない。そのイメージを共有し協力するのは急務だと感じました。米島さんのお話から>勤務先の教師を研修する立場、及び企業からの委託で行う日本語研修を担当する立場から、人のパフォーマンス(求められる教授能力や日本語能力)をもっと多様な側面から分析しないといけないと感じました。直感や経験で行ってきた部分も多かったのではないかという気がしています。
日本の教育の最大の欠点は、多様性の欠如だと常々思っています。
オンライン学習もこれからは選択肢の一つとしてどんどん広げていくべきだと思いますが、日本の教育行政というところは「変化」を嫌うところですので、そこが問題です。「教え方」の資料一つとっても、欧米と日本では100対1くらいの情報格差があります。
IDSについてもう少し知りたいです。
eboardがREADYFORで 苦戦なのが意外です。
「反転授業の研究」登録会員数からすればすぐ目的学を達成できるはずなのに、何かこの勉強会から、もっと外へ情報を発信する人がいないとだめですね。(でも必ず2月11日には叶うと信じていますが)
やり方もあるのでしょうが、動画作成やプラットフォームの理解など、個人で実践していくには反転授業のハードルは中々高そうだなと感じました。
Logisticsですが、画面がよこになるーなどのコメントは管理者だけがみえるようになればよいと思いました。

 

勉強会への感想

イーボードさんを応援したい。
自分の問題意識、または直面している問題にかなりダイレクトにぶつかるものでした。明日からの行動をすぐ変化させられると思います。
初めて参加させてもらいました。管理職から紹介を受け、参加したのですが、今後の勉強会などの案内はどこかにアップされているのでしょうか?
今回も非常にためになるお話でした。
上質な刺激とエネルギーをもらいました。
講師の先生方、運営の田原先生、本当にありがとうございました。
初めての参加でしたが、大変中身の濃い良い勉強会でした。
私自身もこういう勉強会が主催できるように頑張っていきたいと思いました。
ありがとうございました。
貴重な機会に参加させていただき、ありがとうございました。
この勉強会のシステム自体にも興味を持ちました。
また次回も、参加させていただければと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
いつも楽しく参加させていただいています。次回も楽しみです。
初めて参加させていただいたのですが、大変興味深かったです。
少し難しい単語や内容が出てきていたので、
これから勉強して、キャッチアップしていきたいです。
特に教育設計あたりを学びたいと思います。
今回の勉強会はISDがメインということでしたが,反転教育の動向や自然発生型反転教育の事例を伺うことができて,参考になる内容でした.
課題となりがちなシステムの導入や動画の作製についても,ハードルを下げる活動がなされている情報は,今後の活動で活かせると感じました.
初めての参加で、非常に興味深く視聴させていていただきました。
英語学習の研究をしており、授業実践について疎いところもありますが、今後読むべき本や知っておくべきキーワードについて学ぶことができました。
またこのようなイベントに参加させていただければと存じます。
最後の「多様性のある森を育てる」の内容、大変感銘をうけました。
箇条書きの4項目全て賛同します。
21世紀前半のこれからの社会に望ましい思想だと思います。余談:
Facebookで拝見した
複雑系や生物物理を勉強した経験から、「カオスの縁で創造性が最大になる」
の発想は「なるほど!」と同じ物理系出身者として興味深かったです(笑)今後も楽しみにしています。
よろしくお願い致します。
・はじめての参加で、わくわくドキドキしていた。
・講義を聴きながら、チャットを書き込んだり、読んだりするのは難しい。講義の後にしばらくチャットを読み返してみたが、聞きながらでないと意味が取りにくい。
・浜武さんには、職人技を感じた。お話そのものが本質的で明快。
・目から鱗。
・今までの勉強会を逃したのが残念。挽回したいです。
・機会をいただき、ありがとうございました。田原先生のお声とお顔がマッチした瞬間でもありました。これからもよろしくお願いします。
色々な事例をわかりやすく説明していただき、全体像を把握するのに役立ちました。たくさんの方が参加されているのを見て、日本の教育を良くするために方法を模索されている方が各地にいらっしゃるという事実に力づけられました。
いつも、企画や運営にご自分の貴重な時間を割いてくださっている田原さんに感謝です。
勉強会での内容についていくのには情報や知見の差があると困難であることがありますが、FBや田原さんのまとめブログのお陰で、なんとかついていくことができた様な気がします。(実際ついていけてるかどうかはさておき)コメント欄の内容にもpptの内容にも目を通しつつ、お話に引き込まれてしまうと、自分が書き込みすることがなかなかできず、すみませんでした。これは慣れもあるのでしょうか…。ともかく初めてのオンライン勉強会は楽しかったです。自宅で直接お話が伺えるっていいですね。貴重な機会を設定してくださって、本当にありがとうございました。
ビジョンを持って取り組まれている方がこんなにいることに勇気づけられました。
個人的にはテンションが上がったのは前回でした。今後受講者の興味の違いが広がるのではないでしょうか。評価といったフィードバックまでデジタルで欲しい大規模システムを視野に入れている人。とりあえず、手軽に始めたい人。おおざっぱに二手に分ける必要はあるように感じました。たとえば、偶数回はmoodleなどのシステム構築について。奇数回は反転ワークシートを含めたお手軽派についてなど。評価などはどちらにも役に立つとは思います。
「反転授業の研究」の田原様
いつも有能な方々をゲストに呼び無料で勉強会を運営下さり
本当に有難うございます。
あと、田原様 ささやかな事ですが、
ファシリテーションスキルでの「探求型学習」は、現在日本語での翻訳は「探求」が多いですが、inquiry based learning、いずれ「探究型学習」の訳が主流になっていくと思います。図書館界も教育界の動向をを見据え常に勉強し続けていきます。
どうぞ今後ともよろしくお世話になります。
途中退席してしまったので、最後まで拝聴できず残念でした。
次回も機会を作って参加させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
講義の内容ももちろんですが、チャットでの意見も非常に勉強になりました。
少し難しい話になったときに、分かりやすい例えをあげてくれたり、話に関連した資料をしてくれたり、浜武先生がお話をされていたような、ユーザー同士が教えあうという関係性があるように思いました。
第一回目でしたが、大変参考になりました。
Instructional designで修士をとっていらい、日本でもその方法論をK-12教師に伝え広めているアプローチは大変感激いたしました。英語教育のサブチームで他国の学習者も交えて、英語で勉強会でできればとてもエキサイティングだと思いました。
今後ともよろしくお願い致します。

次回の勉強会のお知らせ

次回の勉強会は、2月26日(水)22:00-23:30で行います。

テーマは、「IDによる授業設計の実践と教育効果測定」です。

詳しくはこちら

 

 

●Facebookグループ「反転授業の研究」では、995名のメンバーがアクティブに活動しており、様々なコラボレーションも生まれています。

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第6回 反転授業オンライン勉強会

2月の反転授業オンライン勉強会の日程が決まりました。

テーマ「IDによる授業設計の実践と教育効果測定」

2月26日(水)22:00-23:30

第5回の勉強会では、米島博司さんにIDの概要をお話していただきました。

第6回では、それを実際に授業に適用した場合にどのようになるのか、実践されている山崎進さんと淺田義和さんにお話いただこうと思います。

また、IDで授業設計をした場合、ゴールに到達したかどうかをどのようにして確かめるのかが問題になりますが、その分野の専門家である堤宇一さんにお話をうかがいます。

今回は、大学や企業研究における実践報告が中心になると思いますが、公教育や塾などの方にとっても、発想を広げることができるチャンスになると思います。

登壇者紹介

 山崎進さん「IDに基づく学習目標の立て方の実際と反転授業への応用」

(プロフィール)

北九州市立大学にてプログラミングを教えています 山崎 進 です. 教材設計マニュアルを入り口としてインストラクショナル・デザイン (ID) の実践を始めました.また独学でファシリテーションについても学びました.その結果,自習教材による講義を最小限にした演習中心の授業づくりや,ワークショップを取り入れた授業づくりに取り組んでいます.もちろん反転授業を取り入れた授業づくりも始めています.

(内容)

反転授業で,そもそも授業を反転させるのは何のためでしょうか? ・限られた授業時間を有効活用したい ・講義より演習の方が教育効果が高い ・そこで授業の場では応用演習を行う ・基礎は自習教材を用いて予習させる

つまり【反転授業では自習教材の存在が大前提】 →自習教材の作り方と言えば「教材設計マニュアル」

そこで教材設計マニュアルを手本とした授業作りの事例を紹介します。 私は教材設計マニュアルを手本として講義に頼らない演習中心の授業をしてきました。 その実践を通してインストラクショナルデザイン(ID)を学んでいくことになります。 最終的には反転授業とその先の世界にたどり着くのですが,その道のりを示しましょう。

山崎さんのインタビュー記事はこちら

 

淺田義和さん「医療教育におけるID実践事例」

(プロフィール)

東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻博士課程修了後、自治医科大学のメディカルシミュレーションセンターに勤務(現在に至る)。この頃の研究テーマは医療安全、ヒューマンエラー。 シミュレーションセンターでは、マネキン等を利用した医療者のシミュレーション教育に関して、その運用サポートや教育の改善・評価などに取り組む。この中で「いかにシミュレーション教育を効果的・効率的・魅力的に運用していくか」という点からISD(Instructional Systems Design)に惹かれ、熊本大学大学院教授システム学専攻の門を叩く。教育に興味を持ち始めたのはここから。 現在はシミュレーション教育の運営に加え、医学部を中心に、授業に対するeラーニングやeポートフォリオの導入についても携わっており、moodle等のシステム運用やFDを通じて、反転授業形式の教育実践にも取り組みはじめている。

大学院時代から興味を持ったマインドマップやワールドカフェなどの手法を授業に取り入れるなどの活動も行っている。著書に「ストレスフリーで効率アップ! EVERNOTEを便利に使う48の技(共著、技術評論社、2013年)」。

(内容)
IDを用いた授業・研修の実践例として、2つの事例をそれぞれ理論的な背景紹介と合わせてご紹介します。医学部と看護師教育と、どちらも医療系の実践例となりますが、ID的な部分に重点を置いて解説していきたいと思います。また、どちらの事例も反転授業的な要素を含んでいますので、その点においても参考にしていただければ幸いです。

テーマ1:医学部学生に対するID授業
2013年度より医学部の1年生に対して行っているIDの授業(選択科目)を題材に、学習意欲を高めるための方略としてARCSモデルの紹介と実践例をお話します。※ARCS:Attention, Relevance, Confidence, Satisfaction

テーマ2:看護師の多重課題
看護師に対して行っている多重課題(大部屋で複数の患者さんに対して優先順位を考えてタスクを処理する必要がある状態)シミュレーション研修を題材として、教育・研修を改善していくサイクルであるADDIEモデルの紹介と実践例をお話します。※ADDIE:Analysis, Design, Development, Implementation, Evaluation

淺田さんのインタビュー記事はこちら

 

堤宇一さん「反転授業を通じ、どんな能力を強化したいのか‐企業内教育の立場から考える」

(プロフィール)

2011年3月、熊本大学大学院 社会文化科学研究科 教授システム学専攻修了 (株)日本能率協会マネジメントセンターにて、教育企画営業、通信教育講座の開発マネージャーなどを経て、2000年より「教育効果測定」の研究を開始。また、教育効果測定での米国の第一人者であるJack Phillips博士が主宰するROI Network(後にASTDとの事業提携によりASTD ROI Networkに名称改名)にて、アドバイザリーコミッティボードを2001年1月より2004年12月まで2期(4年)勤める。現在、(株)日立総合経営研修所 開発・コンサルティンググループ 部長代理として、研修開発ならびに品質管理を進めながら、教育効果測定や人材育成に関する講演、セミナー講師、コンサルタントおよびリサーチャーとしても活動。 2006年に「特定非営利活動法人人材育成マネジメント研究会」を設立し、現在、副理事を勤める。 主な著書:はじめての教育効果測定(編著)日科技連出版社 2007年、教育効果測定の実践(編著)日科技連出版社 2012年など

(内容)

2/10に田原さんと学校現場に反転授業が導入されつつある背景を確認し合いました。それを受けて、今回のオンライン勉強会では、企業内教育を実践する立場から考えてみたいと思います。ご紹介内容を2つに分けてお話しさせていただきます。

前半部分では、IDと教育効果測定との関係性を企業の人材育成業務の視点からお話しします。そして、教育効果とは何か、教育効果測定で最もコアの部分に絞り、お話しさせていただきます。後半部分は、企業人材に求められる能力についてご紹介します。その上で、そのような能力を企業では、どのように開発しようとしているのかをご紹介します。そして、それら能力の評価方法について、ゴルフとラグビーをメタファーにして考えていきたいと思います。反転授業が対象とする能力開発を考えるための参考になれば幸いです。

<前半>

・研修開発・運営業務プロセス「HRDサイクルモデル」

・教育効果の定義と測定の目的

<後半>

・企業人材に求められる2つの能力

・各能力の開発方法

・ゴルフ型教育とラグビー型教育から見える役割や情報の位置づけの違い

・各能力の評価方法

堤さんのインタビュー記事はこちら

第6回反転授業オンライン勉強会

日時 2月26日(水) 22:00-23:30

会場 Web教室システム「WizIQ」

参加費 無料

席に限りはありません。カメラ&マイクなどは必要ありません。

初めて入室される方は、少し時間がかかる可能性がありますので、余裕を持って入室してください。

こちらからお申し込みください

 

 

●Facebookグループ「反転授業の研究」では、995名のメンバーがアクティブに活動しており、様々なコラボレーションも生まれています。

参加希望の方は、こちらから追加申請してください。

反転授業コンサルを始めました

「反転授業の研究」の田原です。

Facebookグループの様子を見ていると、

「反転授業に興味を持ち始めたところで、これから勉強したい」

「今やっていることに役立ちそうなので、情報をこれから集めたい」

「いろんな情報があるので、何からはじめたらよいか分からない」

といった方々がたくさんいらっしゃいます。

そのような方たちを対象に、反転授業コンサルをオンラインで行いたいと思います。

月に1-2回のペースで実施します。

 

感想をいただきました

オーストラリアで日本語教室を運営されている大森美紀さんから感想をいただきました。

—- ここから引用 —–

田原先生によるコンサル開始のお知らせを反転授業の研究内の記事で拝見した際、胸の躍る思いがしました。
オーバーに思われるかもしれませんが、それには理由があります。

私はオーストラリアのシドニーやメルボルンといった都市部とは対岸の西部に住み、学校組織に属していないこともあり、反転授業の展開方法や動画作成における技術的な問題を、気軽に相談出来る人が身近に一人もいない状況でした。

教員や ITエンジニアの友人ではなく「反転授業」に「ツーといえばカー状態」で、私の疑問にピンポイントで答えてくれる人を求めていました。
しかしそのような方を周りに見つけることの難しさは、どなたでも容易にご理解いただけることと思います。

的確な知識と実績を持ち、効率的かつ効果的なアドバイスを期待するのであれば、日本国内では田原先生が第一人者であることは周知です。
しかしインターネットによりどれほどの距離も問題としない現代といえど、研究会の一員であることを理由にしてもなお、先生に個人的な相談をするのはためらわれていたのです。

そんななかで見つけたのが、先生ご本人によるコンサルというフィード上のお知らせでした。

まずはClassdo内の田原先生のページから面会日時の希望を出し、承諾の返信が届きました。

カメラの動作設定に少々つまづき、冷や汗が出てしまう瞬間もありましたが(ですので少し早めの設定がおすすめです)入室が完了しました。Classdo といえば語学レッスンの印象が私のなかでは先行していましたが、右手上に先生のカメラ画像、その下にチャットボックス、左手には大きなメモパッドが3種あり、コンサルテーションとしても最適な環境だと思いました。時間内は基本的に会話中心でしたが、URL の送信や、先生が手順を手書きでご説明くださったりなどの視覚的な補助により、次から次へと話は進みました。

セッション前にまとめておいた相談内容は「こんな内容でお時間をいただいていいのか」というレベルでしたが、先生が私のビジョンについて質問を投げかけてくださったり、またその先に続くアドバイスのなかで、私一人では思いも寄らなかったアイデアや方向性が見え始めたのを実感しました。
一人で悩んでいるとどうしても袋小路になり行き詰まることが多いのですが、先生がこともなげに「そうしたことが現在直面している問題なら、実は簡単に解決できますよ」とおっしゃっることが幾度となくあり、風穴が通る思いを何度もしました。

ややせっかちな性格の私には、上述の通り「ツーといえばカー」で「ピンポイントなアドバイス」をいただけた今回の経験に大変満足しています。
停滞していた原因が解決され、またその先の新たな課題もいただきました。

どれほどIT が進化しようともヒューマン・パワーに勝るものはないと私は常日頃思っているのですが、田原先生のコンサルはまさにIT でつまづいていた私を助け支援してくださいました。

心強いサポーターを得て、今とても嬉しく思います。また明日から前進し続けます。

大森美紀

反転授業コンサルの申し込み方法

日時 : 申し込みの際に希望の日時(複数)を書いていただきます。時間は基本的に22:00-22:45 (最大延長23:00まで)

場所 : ClassDo (1対1でビデオチャット&オンラインホワイトボード共有ができるシステムです)

コンサル料 : 20USD (約3000円) (予約確定後、ClassDoで20クレジットを購入してください)

内容 : まず、クライアントの方のお話を詳しくお聞きします。その上で、どのような解決方法があるのかいっしょに考えていきます。必要に応じて適切な方を紹介することもあります。

お申し込み : 下記の入力フォームからお申し込みください

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