新旧パラダイムに橋を架けるオンラインワールドカフェ

反転授業の研究の田原真人です。

私たちは、200年以上前から続く機械論的パラダイムの終焉期に生きています。

機械論的パラダイムに基づいた社会システムは老朽化し、システム自体が問題を作りだしています。国境を越えて相互依存度が高まっている時代には、長期的な行動計画は、役に立たない物を作り出しています。前提条件の変化により、過去の成功事例は役立たなくなり、「お手本」に従って行動できるように設計された教育システムは、変革を迫られています。

教育、行政、企業など、それぞれの分野で、変化をもたらそうとしている方がいますが、旧来のやり方を大きく変容させていくことは、簡単なことではなく、新旧パラダイムの間の分断が生まれることもあります。

しかし、考え方の違いによって分断を起こすのではなく、違いを学び合いのエネルギーに変えることができれば、新旧パラダイムの両側から協力して橋を架けていくこともできるはずです。

様々な知見を持ち寄り、新旧パラダイムに橋を架け、パラダイムシフトへの道筋を探っていくオンラインワールドカフェを開催します。

みなさんの参加をお待ちしています。

参加方法

次の3つの方法を組み合わせ、効率的に集合知を得ることに挑戦します。

・ウェビナーを利用した一方向的な視聴
・FBグループでのテキストベースの対話
・Zoomを使ったWeb会議室でのグループセッション

進め方

(1)ワールドカフェ参加者のFBグループに参加
・自己紹介

(2)2/27 のウェビナーを視聴(録画視聴も可)

・下町壽男さん

・江藤由布さん

・森田明彦さん

・筒井洋一さん

・杉森公一さん

・田原真人

★ラウンド1

FBグループで行っています。

問い
・インスピレーショントークを聞いてどんなことを感じましたか?
・新旧パラダイムの狭間であなたは、どんなことを感じていますか?

(3)2/27-3/4 ワールドカフェ参加者のFBグループ
・ラウンド1のグループ対話(テキストベース)

(4)3/5 のZoomセッションに参加
・ラウンド2
・ラウンド3

(5)ワールドカフェ参加者のFBグループで振り返り
・ハーベスト

日時

3月5日 20:00-22:00 Zoom対話
場所 オンライン
主催者 反転授業の研究プロジェクトチーム
参加費 投げ銭(0円~)
 
途中からでも参加できます。(ウェビナー動画を視聴して、対話に追いついて下さい)
申し込みはこちら

エイミー・レンゾーさんインタビュー(3)

国際的に有名なワールドカフェホストであるエイミー・レンゾーさんにオンラインでインタビューさせていただき、それを記事として連載しています。

インタビューPart 1と2は、こちらから読むことができます。

エイミー・レンゾーさんインタビュー(1)

エイミー・レンゾーさんインタビュー(2)

インタビューをしながら、僕が「反転授業の研究」での活動を通して感じるようになってきた問題意識と、エイミーさんの話とがシンクロしていると感じるようになりました。

社会システムと自然のシステムとの不整合が大きくなってきている中で、その社会システムへ適応していくと、自分の中の内なる自然との乖離が大きくなっていき、そこから生じる矛盾が、様々な問題を引き起こしているのではないかという問題意識を共有しました。

では、どうやって、その不整合を解消し、より調和した状態を回復していくことができるのだろうか?

そのためのカギを握るのが「Beauty(美)への反応」だとエイミーさんは言います。

美に触れたとき、人は、深いものへ触れることができ、自分の中の内なる自然や、他の人との繋がりを見出すことができるのではないでしょうか?

「Beauty(美)への反応」は、どのように社会システムと自然システムとの調和へ繋がっていくのでしょうか?

さらに、お話をうかがってみました。

 

amy-lenzo-last

私たちは、調和して生きることができる

―― 社会の変化は、どのようにして起こるとエイミーさんは、考えていますか?

今、ヨーロッパでは、難民の人たちがたくさん流入してきました。それは、ある意味では、本当にひどいことです。生きていく場所をうばわれたり、恐ろしい目にあうからです。

ただ一方では、このことに対して、人間らしい反応が多くみられています。人々は、その困っている人たちをみて、自分に何ができるのだろうか、と考えて反応しています。
そこにbeautyがあると、私は感じています。

利己的な考えよりも、他の人のことを考えることができるようになるのです。それをみることは、大変すばらしいことだと思います。

―― 先日、友人とシリアからの難民について話していたんです。ヨーロッパの人たちの中には、問題の原因がヨーロッパにあると考え、だから、難民を受け入れるべきだと考えている人たちがいるという話を聞いて、希望があるなと思いました。

狭い範囲で考えている人がいる一方で、システム思考で考えて、遠くの因果関係を見て行動できる人たちがいるということに大きな可能性を感じました。

このように考えることは、生態系的で、自然とのつながりを感じました。

本当にそうだと思います。私たちは、自然と自分たちとを分けて考えたがりますが、実際には、私たちは他の生き物たちとも同様に、自然のなかに生きているのですからね。

人間であることはある意味で、とてもすばらしいことだと思うのですよ。私たちは調和して生きることができるのです。いくつかの文化では、より自然とともに生きていますよね。重要なことは、私たちが、自然の一部であることを忘れないことなのです。

―― 私は、自然農法からたくさんのヒントを得ています。福岡正信さんという有名な自然農法家をご存知でしょうか?

はい。知っています。

―― 彼は、たくさんの種類の種を中に入れた粘土団子を撒くんですね。彼も、どの種が発芽するか知らないのです。でも、Natureが、どの種が発芽するのかを知っているのです。彼は、ただ、たくさんの種類の種を入れるだけなんです。

それは、面白いです。パーマカルチャーと似ていますよね。

―― はい。考え方はとても似ていますよね。違いは、パーマカルチャーは人間がデザインしますけど、福岡さんの場合は、デザイン自体もNatureに任せてしまうことですね。

僕は、少し前に「クラウドに粘土団子を撒こう」というブログ記事を書きました。

→ クラウドに粘土団子を撒こう!ペイフォワードの循環が意識革命を起こす

僕は、どのアイディアが発芽するか分からないですよね。なぜなら、僕たちはシステムの中にいて、システム全体を見渡すことができませんから。だから、僕ができる唯一のことは、粘土団子の中にたくさんのアイディアを詰め込んで大量に撒くことだなって思ったんです。

興味深いですよね。そのときには、どんな結果が出るかは、先に計画しているわけではないのですよね。人がすることは、見る、気がつくということなのです。どうなっているか、気にしてみているだけなのです。それは、一つのアナロジーですよね。たとえば、アイデアがあったとします。私たちは、それをただ置くのです。でも、どのアイデアが芽を出すかは分からないのです。

ワールドカフェでは、私たちは、入れ物をつくっているのだとよく言います。そして、関係性の土壌を耕すのです。それがワールドカフェで行われていることの一つなんです。relational fieldを耕すことをしているのです。なぜなら、私たちは、いろいろ余計な手出しをする必要がないからです。私たちが準備するのは、場所なのです。そこでは、人がお互いに話をして、反応して、人のいうことを聞きあうのです。お互いに学びあって、興味を持ち合うのです。私たちは、そこに立ち止まり、会話をはじめる場所を用意するのです。違った考えを持っている人たちも、安心して意見が言える場所です。

――以前は、成功するか失敗するかということを気にしていたんです。でも、最近は、結果はNatureによって選ばれているって受け入れられるようになったんです。これは、僕にとってはとてもよいことです。ファシリテーションをしているといろんな予想外の結果が出てきます。今は、すべての結果を受け入れることができて、ただ、場で起こっていることを見ることができるようになりました。僕の予想と結果が異なることはあり、以前は、その結果を拒絶していたこともあって、自分の予想通りになるようにコントロールしようとしたりしていたんですけど、今は、「ほぉ、この種が発芽したか。」みたいに見守ることができるようになりました。これは、僕にとっては大きな変化でした。

それは、とてもよく分かります。

 

新しい関係性を生み出すためのalternativeなやり方

―― 僕は、どうやって「仕事」の概念を変えられるかということを考えています。仕事って、すごく狭い範囲で捉えられていることが多いと思います。最近、仕事について違った種類の経験をしました。昨年、有料のオンライン講座をやったときに、みんなが僕のことを「お金が欲しい」って思っているんじゃないかって気がして、自分が孤立している感覚があったんです。活動を持続可能なものにしていくためにはお金も必要なんですけど、自分にはビジョンや使命感があってやっているんですね。それで、そういう自分の気持ちをオープンにしたんです。「Why」の部分を語ったんです。そしたら、お金を払って申し込んでくれただけじゃなく、オンライン講座の受講生を集めるためのビデオを作ってくれたんです。

それは、すばらしい例ですね。

―― それは、僕にとって「美しい経験」でした。自分にとってすばらしい瞬間というのは、お金を得たときじゃなくて、一緒に仕事を創った仲間にお金を払う瞬間なんです。だから、もっと仕事をコラボレーションによって創って、仲間にもっと「美しいお金」を払いたいんです。

すごくよく分かります。私は、本当に、他の人と一緒に仕事をすることが大好きなんです。私たちがやっていることだと、先生と生徒といった固定化した関係ではないので、互いに学びあい、影響しあうのです。私たちも、グループから学んでいます。同じ立場を共有するエネルギーがあるのです。

私は、alternativeのやり方をしているのです。もちろん、運営していくのに資金は必要です。でも、私がやっていることは、たとえば、お金の分け合い方に幅をつけたり、また、資金が少ない人にでも、その人にやってもらうことで参加できるようにすることです。

あなたがやっているように、人がうまくいくように支援するということはとてもすばらしいですね。

エイミーさんのインタビューを終えて

2年前にエイミーさんがフィールズ大学で行っていたワールドカフェホスティングのオンライン講座に出たことがきっかけで、目の前に新しい世界が広がり、自分自身もオンライン講座を開くことができるようになりました。

オンラインのダイアログについて2年間で考えてきたことを、エイミーさんに直接ぶつけることができ、エイミーさんの考えをうかがったことで、理解をさらに深めることができました。

物理的には遠く離れていても、顔を見て、相手の存在を感じながら話すことで、ハートレベルの対話をすることができます。

ハートレベルの対話の中で「美」に触れる瞬間を生み出すことができれば、対話に加わっている人たちは、意識の深い部分に触れることができ、自分の中の内なる自然ともっと繋がることができるのではないでしょうか。

自分の心をオープンにすれば、異なる文化的背景を持った人たちとの間でも、ハートレベルの対話をすることができ、それが、お互いの意識のキャパシティを大きく拡張し、世界に対する当事者意識を高めていくことにつながると思います。

エイミーさんと話をする中で、人と人との繋がり方や、お金の回り方が変わっていけば、社会における「行動ルール」が変化していき、社会システムが、自然システムと調和する形へ移行していくというイメージを持つことができるようになりました。

今やっていることを、確信を持って進めていこうと、改めて思いました。

 

 

2015年10月にワールドカフェ20周年記念でエイミーさんがゲストファシリテーターとして来日します。

エイミーさんによるワールドカフェを体験するチャンスですので、興味のある方は参加してください。

10月25日には、全国9箇所をつないでワールドカフェを行うそうです。

ワールドカフェ20周年記念イベント

エイミー・レンゾーさんインタビュー(2)

国際的に有名なワールドカフェホストであるエイミー・レンゾーさんにオンラインでインタビューさせていただき、それを記事として連載しています。

インタビューPart 1は、こちらから読むことができます。

エイミー・レンゾーさんインタビュー(1)

エイミーさんとお話しすると、彼女が様々な問題を深く深く考えていることが伝わってきて、それに接することで、自分の思考もそこに引き込まれていくように感じます。

今回は、エイミーさんが書いているブログ Beauty Dialogueのテーマである「Beauty」について、詳しくうかがいました。

amy-lenzo2

Beautyに対するな反応とは何か?

―― Beauty Dialogueの記事を読みました。Amyさんにとって「Bearuty」はとても重要な概念だと思います。僕は、この4年間、何度か「Beautyな経験」をしました。その経験は、僕に大きな力をくれました。「Beautyな経験」を共有した僕の友人たちも同じように力を得て、その結果、僕たちのマインドセットは大きく変化しました。それで、Amyさんに「Beauty」についてどのように考えているのかお聞きしたいと思いました。

私もあなたに賛成です。Beautyは、人間にとってとても重要な経験だと思います。
人によってどう経験するかは違うでしょうが、beautyは本当に重要なファクターです。

あなたが私のブログを呼んでインスパイアされたと言うこと、あなたにとって意味があったと言うことを聞いて、心が動きました。

長い間、私はビジネスウェブサイトを持っておらず、ブログだけを使っていました。
私の、心の中にある「本当に重要なこと」を書くために使っていたのです。

これはビジネスだとか、これは個人的なことだとか、そういう区別は必要ないと思っているんです。人間としてどういう人であるかが、その人にとって一番重要なことなんです。

どうやって世界をとらえるか、というのが、その人自身なのです。

私は、私自身の「カメラレンズ」を通して世界をみています。
私はそれを使って、BeautyやHarmonyをいつも探しているのです。

写真によって、私が美しいと思うものを見せることができます。
他の人たちが美だと思うものではないかもしれない。それは、伝統的な美とは異なるかもしれない。それは、素材とか色とか2つの異なるものが交じり合っているものかもしれない。

でも、私にとって、興味深いことは、Beautyに対する人々の反応なんです。
Beautyに反応するということは、精神的な体験なんです。
Beautyへの反応は、私にとって、特別な体験です。

Beautyへの反応に触れると、私は、すべてが止まったような気持ちになります。そして、その瞬間のなかに生きる(be in the moment)のです。感謝を持ちながら。人が、そのような「be in the moment」の感覚を持つときには、とても深いものに触れることができるのです。

私たちは、忙しい生活を送っていて、身の回りのBeautyに気づきません。
立ち止まってみれば、自然界のBeautyや、他の人たちの顔に表れるBeautyに気づきます。
その本質が輝き始めて、美しさが表れているのに気づくでしょう。

 

自然とのつながりとBeautyについて

―― 僕は、長い間、自然から隔てられていると感じてきました。なぜなら、社会システムと生態系システムとが全く異なるからです。生態系の原理がCo-Creationなのに対し、社会システムは一部の人たちが他の人たちを支配しているヒエラルキー社会だからです。僕は、かつて、ヒエラルキー社会に適応していたので、生態系からは遠ざかっていました。ただ、社会システムの中で、生態系のことを勉強していただけでした。

でも、最近になって、生態系と、もう一度、繋がり直している気がしています。

テクノロジーは、人間を自然から遠ざけてきましたが、インターネットのようなテクノロジーは、人をこれまでとは異なる形で繋いできました。インターネットは、ある意味では、生態系的なシステムだと思います。私は、他の人たちを、今までとは違う形で繋ぎなおすことができると考えています。

最近は、自分の心の中にNatureを感じるし、自分が、生命の一部だと感じるんです。

それは、とても興味深い洞察ですね。
私たちは自然から分離できませんよね。なぜなら、私たちが自然だからです。
自然の一部だからです。

土壌で作られた食べ物を食べ、空気を吸います。これらは、すべて自然だからです。
私たちは、自然のシステムの一部なのです。どれほど自然のシステムから隔てられていると感じても、私たちは自然の一部なのです。

そして、私たちはHuman natureを持っていて、それは、自然の中にあるのです。

多くの場合、Human natureとnatureが一緒だということに気づきません。なぜなら、私たちの生活はクレイジーで忙しくて、静かな自然とは違うからです。

でも、それに気づくためには、止まらなければいけません。止まることができたら、BeautyやBeautyへの反応に気づくことができます。

止まることによって、私たちが自然から隔てられているという幻想から目覚めることができます。

Beautyへの反応に触れると、私たちの心の箱が開き、マインドがオープンになり、他のすべてのものとの繋がりに気づきます。

ほんの一瞬かもしれないけれど、覚醒しているように感じて、どれほど他とつながっているかに気づくことができます。

ネイティブ・アメリカンであるナバホ族の人たちは、ロング・ウォークのときにuniverseに祈っていました。

それは、自分が歩くときに、前にも後ろにもBeautyがあるようにと祈っていたのです。

そして、右、左、外側、身体の内側・・というようにいたるところにBeautyがあるようにと祈っていました。

つまり、Beautyに囲まれて人生をおくれるようにと願っていたのです。

彼らは、自然とハーモニーを持ちながら生きることを願ったのです。

自然と生態系では、すべてのものがその一部であり、お互いに関連しています。それは、私たちも同じなのです。私たちは、自然と切り離されてはいけないのです。

ですが、今、私たちの社会システムは、そのことを忘れたヒエラルキー的なシステムを持ち、それは、持続可能性を考えていません。私たちは、どこから来て、これからどこに行くのか、社会のシステムはそのことを考慮にいれていないのです。

システムが今、ほころびをみせています。それは、自然にしろ、社会の問題にしろ、いろいろなところにあらわれています。

私は、何が起こっているのかをみることに強く関心を持っているのです。私は、その全体像をつかむことができるのかわかりませんが、とにかく、それをみたいと思っています。

Beautyレンズを通して、どこに調和があるのか、どこにバランスがあるのか、どこにパターンがあるのかをみて、私は人間としてどう生きるのか、それを考えているのです。

Beautyに囲まれて生きるためには

忙しい日常や、狭くて利己的な世界認識から抜け出して覚醒していくための手がかりが、Beautyなのではないでしょうか。

エイミーさんが言うように、「Beautyへの反応に触れると、私たちの心の箱が開き、マインドがオープンになり、他のすべてのものとの繋がりに気づく」のです。

その結果、お互いが深いレベルで繋がれるようになり、システム全体が良い方向へ進むように考えられるようになり、協力して持続可能な社会を目指していくことが可能になるかもしれません。

そこへ至るキーワードがBeautyなのではないかと思います。

 

ワールドカフェ20周年記念でエイミーさんがゲストファシリテーターとして来日します。

エイミーさんによるワールドカフェを体験するチャンスですので、興味のある方は参加してください。

全国9箇所をつないで行うそうです。

ワールドカフェ20周年記念イベント

 

インタビューPart 3はこちら

オンラインワールドカフェを終えて

world-cafe-online

2015年9月24日に「反転授業の未来を語ろう!オンラインワールドカフェ」を行いました。

1年前に12名でオンラインワールドカフェのテストを行ったことはありましたが、本格的な開催はこれが初めてでした。

オンラインワールドカフェの実践者として有名なエイミー・レンゾーさんに、実際にどのように実践しているのかをスカイプでうかがい、私たちがやってきたオンラインのグループワークの経験と組み合わせて行いました。

エイミーさんは、Maestro ConferenceとGoogle Documentを組み合わせて行っているということでしたが、私たちはWizIQとMoodleを組み合わせて行いました。

Maestro Conferenceは音声チャットだけなのに対してWizIQはビデオチャットとホワイトボードが使えることや、Google Documentへの正体にGmailアカウントが必要であるけどMoodleには制限がなく、さらに、Moodleのほうが多機能なため、より自由な設計ができると思ったからです。

また、Moodleのフォーラム機能を使ってテキストベースで行う非同期の対話と、WizIQのビデオチャットを使って顔を見ながら同じ時間を共有して行う対話とを、いかに組み合わせれば効果が上がるのかということにも注意を払いました。

テキストベースの対話は、思考をゆっくりと深めることに向いていますし、仕事の合間などに参加できるので参加者の負担が少ないです。

一方、顔を見ながらの対話は、思わぬアイディアが出てくる可能性を秘めています。

今回は、ラウンド1をMoodle上で3日間行った後、ラウンド2と3をWizIQのビデオチャットで行うということにしました。

ラウンド1(Moodle上でのフォーラムセッション)

ラウンド1には、28名の方が参加し、自己紹介フォーラムで自己紹介をした後、ラウンド1の問いに取り掛かりました。

4-5名のグループに分け、同じグループ内のテーブルメイトの投稿にコメントをしていき、他のグループの人へのコメントもOKとしました。

ラウンド1の問いは、以下の通りです。

あなたの人生に影響を与えた「学び体験」を教えてください。

3日間で200個ほどの投稿が乱れ飛び、「学び体験」について多くの知見を共有しました。

それを1枚の紙にまとめたのがこれです。

round01

まず「繋がる」というキーワードが出てきました。

ヨガ、マインドフルネス、瞑想などの体験や、モンテッソーリ教育を通して子どもの成長力へ気づく経験などは、生き物としての自分自身と繋がる学び体験なのではないかと思います。

また、「脱皮」というキーワードも多く出てきました。自分と異なる他者と出会い、憧れたり(ロールモデル)、引き出されたり(コーチング)、全否定されたり、カルチャーショックを受けたり・・といった経験を通して、自分の思考のフレームが壊れ、リフレ―ミングされるという経験を上げた人が数多くいました。

異なる他者と協力して創造する「共創」も、重要なキーワードになりました。創造は、そこに加わる人たちに自己肯定感と自信を与えてくれ、その結果、自分自身と深くつながったり、他者との繋がりを認識することができたりしていくのではないかということが浮かび上がってきました。

第2ラウンド(WizIQでのビデオチャットセッション)

第2ラウンドは、WizIQにて行いました。WizIQへ接続できない方が4名ほどいて、今後への課題を残しました。

タイムスケジュールをMoodleに表示し、参加者には、WizIQとMoodleの両方にログインしてもらうようにしました。

WizIQでファシリテーターが、WizIQの使い方とワールドカフェの進行についての簡単な説明を行った後、Breakroom機能を用いて参加者を5つのルームに振り分けていきました。

breakroom

ラウンド2の問いは、次の通りした。

アクティブに学んだ結果、自分で考えて行動する人が社会に溢れる10年後、社会はどのように変化しているでしょうか?

テーブルの1つからは、

「社会というのは、国内じゃなくて、グローバル社会じゃないか?」

という声が出てきました。

また、学校や企業という組織の枠組を超えて、インターネットを通して個人と個人が直接つながっていくグループができ、一人の人間が、いくつものグループに重複して所属する現象が起こるのではないかという声も出てきました。

学校の学びに比べて、社会での学びは自由だが、10年後は学校の学びが社会での自由な学びに近づいていくはずだという声もありました。

国籍、地域、年齢、性別を超えて集まった気の合う仲間が集うことによって新しい文明が生まれるという壮大なイメージも浮かんできました。

テーブルトークのあと、10分ほど時間を取り、気づいたことをMoodleのフォーラムに書き込んでもらって共有しました。

全体でのシェアが簡単にできるところが、リアルのワールドカフェにはない、オンラインのメリットだと感じました。

ラウンド2の声を拾って1枚の紙にまとめました。

round02

ラウンド3(WizIQでのビデオチャットセッション)

ラウンド2の気づきをMoodleに書き込んでもらっている間に、ファシリテーターは、テーブルメンバーのシャッフルを行いました。

ファシリテーターが作業をする間は、参加者にとっては待ち時間になるので、その時間にMoodleへの書き込みをしてもらうように工夫しました。

第3ラウンドでは、最初にラウンド2で話したことを共有してもらってから、第3ラウンドの問いについて考えてもらいました。

第3ラウンドの問いは以下の通りです。

自分自身がアクティブに学ぶことによって、周りにアクティブな学びを促してきたあなたの人生は、10年後、どの様に輝いていますか?

テーブルからは、オンラインで繋がることによって学びをお互いに促しあう状況が生まれ加速しているという声が出ていました。

学校、企業、起業家などが、組織の枠を超えて個人で繋がって共創し、学び合う未来というものが浮かび上がってきました。

10年後崩壊するものとしては、国民皆保険や大企業のような生活を保障してくれるようなシステムが挙げられ、その代りに信頼関係で結ばれたネットワークにリスクを分散するようになるのかもしれません。

1枚の絵にまとめてみると、10年後の「生きる力」というものがどんなものなのか見えてきたような気がします。

round03

ハーベスト(Moodleのフォーラムに書き込み)

ビデオセッションを終え、各自でMoodleに2つのことを書きこんでいただきました。

(1)自分の創りたい未来のために、どのような行動をしたいですか?

(2)オンラインワールドカフェに参加した感想は?

参加者で書き込みを共有し、相互にコメントし合いました。

参加者の方の感想をいくつか紹介します。

地方に住んでいる私でも、こんなに色々な方と一緒に「会う」ことができるオンラインのすごさを改めて感じました。私にとってはちょっとテーマが大きかったので、もっともっと時間が欲しかったです。また、2回目、3回目があったらぜひ参加したいと思います。

ワールドカフェをオンラインで体験。なんて素晴らしい取り組みでしょう。
2つのワールドにお邪魔させてもらいました。全く違う発想も出てきました。
普段お付き合いすることのない地域、職業、年齢の方と話をすることで視野が広がりました。

オンラインだけでは味わえないMOODLE
MOODLEだけでは味わえないオンライン

2つのものをブレンドすることで新しいものができる。たのしかったです

オンライン環境の違う中で、不具合もたくさんあったかと思いますが、色んな方とオンラインでこうして対話できるというチャレンジにわくわくしています。

リアルな場でも、場のあり方によっては話したいのに話せない人がいるのは同じであると思うので、オンラインという環境の中で、どういう「場」を作っていけばいいのか、

また2回3回と続けていく中で見えてくるものがあるのでは、と自分の中でのfunが見つかったような気がします。話している人、ホワイトボードやチャットで書く人、色んな可能性があって楽しみです!

田原さん、参加された皆様、いい体験をありがとうございました!また次回!

画面にも出られず、チャットも書き込めず、モタモタ。おいてけぼりの生徒の気持ちが味わえたのは良かった。収穫。

聞いているだけでも収穫多いということもわかった。

ワールドカフェは3回目。収穫のスキルが分かってきたような。

オンラインの中にこんな世界が広がっていて仲間がいるということの嬉しさ頼もしさ。まさにパラダイム転換起こっています。田原さんはじめ皆様になんとお礼をもうしあげてよいやら。本当にありがとうございます。たくさんエネルギーいただいています。

やはり、文字とは違う臨場感があります。また、短い時間でしたので、ほどよい緊張感もありました。

始めは、「?」でしたが、最後は、「もう終わっちゃうの?」という気持ちでした。

途中、チャットボックスの存在をわすれてしまってすみません。

1人だけの思考では出てこない発想が、ほかの方といっしょに話すことによって引き出され、新しい回路が開かれていくような感じですね。そして、それを糧に、また次のステージに進んでいける気がしました。

また、ほかの方の取り組みなどを伺うことで、自分自身の行動も促されると思います。

Moodleとオンラインの組み合わせも、それぞれいいですね。

ただ、お話をしていただけですが、楽しく学ぶことができたと感じています。

ありがとうございました。

有意義ではあったが、不完全燃焼とラウンドによっては尻切れトンボになった感は否めない。でも、今回の縁で、反転授業の研究のグループ内で会うときっと距離は縮まっているはず。

この高揚感は、リアルタイムでのやり取りでしか味わえないと感じました。しかも抜群のタイミングで、エネルギーをもらいました。ちょうどここ2、3日の間に新しい共創に踏み出したばかりでした。moodleの書き込みの効果も高いと思いました。他のテーブルの方とも話がしたかったですね~。今回、仕事を高速で終わらせ、飲み方も断って参加しましたが、本当に良かったです。次回はもっとうまくやれると思います。また、どうぞよろしくお願いします。

オンラインでなければワールドカフェというものに参加できなかったので、新たな試みをして下さった田原さんに心から感謝しています。貴重な経験になりました。

一方でオンラインはどうしても機器による障害により、会話や進行が寸断される難しさも感じました。それでも、それを遥かに超える可能性を感じたので、きっと経験を積んでいけばリアルを超えた新しい世界が出来ていくのだろうな、と思いました。

自分が知らない知識や考え方に触れることができました。やはり人と交わることは大事だと思いました。

みなさん熱いですね。ちょっと打ち解けるのに時間がかかってしまいましたが、打ち解けたら多分徹夜でしょうね。溝上さんがリーダーしてくれるとタガをくくっていたので、アイスブレークとか自分で考えておかなかったのは反省。

反転授業とかAL学習の予備知識とか経験により議論の内容が変わってくるので、テーマをいくつか作って参加者がどのテーマに行くか選べるといいのかもしれませんね。

幹事さんを変えて定期的にやりたいですね。

オンラインの良いところは、どこにいてもつながることができること。

この点をもっと活用して集合知結成ですね!

短時間でしたが、ワールドカフェになっている感覚はありました。
話す順番、ホワイトボードは、戸惑いがあって、全く同じとはなりませんが、時間に対する情報量は、素早く密になるように思うので、使い勝手は感じます。
(即席のルームマスターになってしまって、実は緊張しっぱなしでした。)

今回は、オンラインワールドカフェへの最初のチャレンジということで、いくつかの課題が出ましたが、回を重ねていくにつれて改善できそうだという見通しも持つことができました。

フォーラムを使ってテキストベースでやり取りすることと、ビデオチャットで化学反応を起こしていくことの両方をうまくブレンドすることで、どちらか一方よりも効果を上げられるのではないかと感じました。このあたりは、普段、反転授業に取り組んでいる実践者としての勘が役に立っていると思います。

これまで、オンラインにフラットなコミュニティを作り、対話を通して共通ビジョンを作っていこうとするときにネックになるのが、「オンラインの対話」でした。Facebookグループなどでのテキストベースのやり取りだけでは、関係性の質を高めていくのに不十分だと感じていたのです。

今回、オンラインワールドカフェをやってみて手ごたえを感じたことで、オンラインコミュニティ運営のための有効なツールを手に入れることができたと感じています。
 
オンラインコミュニティを作る→テキストベースとビデオチャットを組み合わせた対話の場を創る→共通ビジョンを作り共創する

という流れを確立できれば、あちこちでクリエイティブな活動が生まれるかもしれません。

今後、ワールドカフェに限らず、様々な対話セッションをオンラインで行うことや、GoToMeetingやZoomなどのビデオチャットを利用した対話セッションなどにも取り組んでいきたいと思います。

今回のオンラインワールドカフェは、ワールドカフェ20周年記念イベントとして世界中で実施されているImpact Cafeにエントリーしています。

10月25日には、日本の9カ所でワールドカフェが同時開催されますので、ワールドカフェに興味を持った方は、ぜひ、情報をチェックしてください。

ワールドカフェ20周年記念イベント

エイミー・レンゾーさんインタビュー(1)

アクティブラーニングや反転授業を行うときに大切なのは、教師が安心安全の場をつくり、生徒が自分の考えていることを自由に発言することができるようにすることだと思います。

それによって多様な考えが場に溢れ、各自が自分とは異なる考え方や物の見方に触れることができ、多面的な理解が可能になるのです。

そして、そのような理解を可能にしてくれた仲間をかけがえのないものだと感じて、協力できるようになるのです。

僕がこのことに気づくきっかけとなったのは、ワールドカフェとの出会いでした。

2年ほど前、多様性を創造性にどのように結びつけたらいいのかを考えていてワールドカフェという手法に出会ったのです。

『ワールドカフェをやろう!』という本を読み、感動して著者の香取一昭さんに長いメールを送りました。

そして、香取さんとスカイプをさせていただくことになりました。

香取さんからお話をうかがって、本では理解できていなかったことを理解することができました。

さらに、ワールドカフェの国際的なオンラインコミュニティの運営者であるエイミー・レンゾーさんを紹介してくれました。

エイミーさんが実施したフィールズ大学の8週間のオンライン講座を受けたことで、僕がオンラインのファシリテーションをすることができるようになりました。

「反転授業の研究」が主催する数々のオンラインイベントは、すべてここから始まったのです。

10月にワールドカフェ20周年イベントがあると言うことを知り、2年ぶりにエイミーさんに連絡を取り、このインタビューが実現しました。

様々な部分で共鳴し、話が長くなりましたので、数回に分けて紹介します。

 

オンラインの対話に興味を持った理由

amy-lenzo7

―― エイミーさんは、オンラインコミュニティの運営や、オンラインワールドカフェ、ワールドカフェホスティングのオンライン講座など、オンラインでのコミュニケーションに関わる活動を数多くされていますよね。

僕も、オンラインコミュニケーションに大きな可能性を感じていて、いろんな対話イベントやオンライン講座を開いています。

エイミーさんは、オンラインコミュニケーションのどこに可能性を感じていますか?

 

それは、とても意味のある質問ね。

私はカルフォルニアにいるのに、あなたを、こんなに近くに感じられるわよね。

ワールドカフェの原理は、多様性が大事だということです。

だから、異なる立場の人と会話をすることは意味があります。

オンラインコミュニケーションによって、みんなが、お互いの声を聞くことができて、国境を越えて、飛行機の燃料も使わずに、お金も使わずに自宅にいて、簡単に同じ空間を過ごすことができます。

多くの人は、他の国の人と話すために、その国に行かなければならないと思うけど、実際には会話することができるし、それだけじゃなくて、オンラインで深いつながりを作ることができます。

私は、いろいろなオンラインの試みをホストしてきました。

ワールドカフェとか、トレーニング、セレモニーなどをしてきました。

セレモニーでは、何かを讃えるということもできます。

オンラインイベントをホストするときには、自分が学んでいることに驚きます。

オンラインの活動を始めてから今まで学んできたのは、対面で話すのと同じように、オンラインでも心の交流ができるということです。

それは、大きなギフトだと思いました。

それで、オンラインホスティングに興味を持ち始め、オンラインホスティングのスキルも伸ばしてきました。

オンラインでは、注意を向けること、集中すること、決定することなどが大事だと思っています。

その目標に注意を向けるならば、あなたは、やりたいことを何でもできる。場をファシリテートして、他の人たちのリアリティとつながることができる。

インターネットは、リアルじゃなくて頭の中だけだと思っている人もいるけれど、それは間違いです。

もちろん頭だけでもつながることもできるけど、ハートレベルで交流することもできるんです。

 

オンラインでもハートレベルで交流できる

―― オンラインでハートレベルの交流をすることができるというのは、とても大きなキーワードだと思います。

産業革命後、テクノロジーは人間を自然から遠ざけてきたと思うんです。でも、インターネットは、人間を自然に戻していく可能性があるテクノロジーだと思います。

実際、オンラインのハートレベルの交流によって、僕のマインドセットは大きく変わってしまい、2年前とはほとんど別人のようです。

エイミーさんも、インターネットは、マインドセットを変えることのできるものだと思いますか?

私も、同じことを経験しました。

ワールドカフェは、それと同じ方法で私たちのマインドセットを変えています。

なぜなら、私たちは他の考え方にさらされるからです。

もちろん、論文や新聞記事でも、他の人の考えに触れることができます。

でも、もっと深いレベルで話をしたときに大きな変化が起こります。

 

アラブの春の後、私は、オンラインワールドカフェをホストしました。

1つの小グループには、イスラエル人の若い男性とシリア人の若い男性がいました。

わざと同じグループに入れたんです。

シリア人の男性は、はじめ、自分の生活について話しませんでした。

彼は、イスラエル人は恐ろしくて心無い人たちだと教わってきたのです。

彼のコミュニティはイスラエルと悪い関係だったのです。

でも、話をして、お互いに質問に答えた後は、彼はこう言いました。

「あなたを兄弟のように感じる。あなたの言葉は、自分の言葉のように感じる。」

「私はあなたの言葉の中に心を感じることができる。」

そう言って、彼は泣き始めました。

私は、そのストーリーをハーベストのときに全体にシェアしました。

そうすると、他のみんなも大きく心を動かされました。

私たちは、とても深いレベルで心を動かされて考えが変化しました。

それは、対面でのワールドカフェで起こることと同じことでした。

もし心がオープンになって、他の人の声を聞くことができれば、他の人の考え方に触れることができるのです。

それは、人の心を変えます。

 

オンラインで他の人の考えに触れる方法はたくさんあります。

SNSやブログもそうですね。

私たちは、大量のものの見方にさらされています。

もし、好奇心を持って会話を始めたら、何が起こるでしょうか?

ワールドカフェでは、安心安全の場を創って、お互いに注意深く話を聞くようにします。

お互いにリスペクトします。

お互いの違いをリスペクトします。

オンラインの会話でそのような態度を取ることができるようになると、全く違った種類の経験をするようになります。

意識の範囲が大きく広がって、自分自身や他の人々を理解するキャパシティが大きくなります。

だから、インターネットは人々の意識を変化させると思います。

私たちは選択肢を持っていると思います。

人類は自分たちの未来を決めることができると思います。

 

教師の役割は「教えること」から「ガイド」へと変化する

―― 自分たちで決めるのが大事だということについて、最近、面白いことがありました。

僕がやっている物理のオンライン講座で学びあいの夏期講習をやったんです。

僕のビデオ講義を見て、チームで問題を解いていくというものでした。

第1週は、教える側に回っている人たちがグループをリードしていました。

第2週になると、質問をする側がリーダーシップを取るようになりました。

本質的な質問が出てきて、みんながそれに引きつけられたのです。

第3週になると、面白いことが起こりました。パワフルクエスチョンをするために、彼らはビデオを見ることを止めてしまったのです。

それはすごい!!

あなたと話す前に、次のフィールド大学でやるワールドカフェのラーニングプログラムについて作業をしていたんです。

Moodleとzoomを使います。zoomだとグループ全体を一度に見れるんです。

私は、あなたが今言っていることを考えていたんです。ピアラーニングです。

私は先生だけど、「教える人」じゃなくて「ガイド」なんです。

環境を作って、他の人を招待します。

そして、学ぶプロセスをはじめます。

招待された人が自分で学び始めて、他の人たちと学び合うんです。

だから、あなたの取り組みは、すごくいいと思います。

―― 実は、 その後、彼らにMoodleのコースとWizIQのアカウントを開放しました。今は、彼らだけでやっています。(笑)

パーフェクト!

amy-lenzo6

 

エイミーさんと話をしてみて感じたこと

エイミーさんと話しているときに感じていたのは安心感でした。

この人なら、自分の気持ちを話しても、理解してくれるという安心感が、僕の心を開きました。

ファシリテーターの持つ理解の幅、意識のキャパシティが、相手の心を開かせていくのだということに気づきました。

エイミーさん自身が、心をオープンにして、他の人の考えを受け入れてきたことによって、「意識の範囲が大きく広がって、自分自身や他の人々を理解するキャパシティが大きくなる」という経験を積み重ねてきたんだということが、お話してみてよく分かりました。

エイミーさんがやっているようなオンラインワールドカフェを、僕(田原)がホストになり、9月24日に実施します。

「反転授業が創る未来を語ろう!オンラインワールドカフェ」

※申し込み締め切り 9/20

 

ワールドカフェ20周年記念でエイミーさんがゲストファシリテーターとして来日します。

エイミーさんによるワールドカフェを体験するチャンスですので、興味のある方は参加してください。

全国9箇所をつないで行うそうです。

ワールドカフェ20周年記念イベント

 

インタビュー記事は、Part2へ続きます。

→ エイミー・レンゾーさんインタビュー(2)

反転授業が創る未来を語ろう!オンラインワールドカフェ(9/24)

world-cafe-online

「反転授業の研究」の田原真人です。

みなさんは、ワールドカフェってご存知ですか?

僕が、ワールドカフェに出会ったのは、2年前のことです。

オンラインコミュニティの中に集合知を発生させる方法を探していたときに、香取一昭さん著の『ワールドカフェをやろう!』という本に出会い、自分が求めていたものはこれだと思いました。

そして、エイミー・レンゾーさんのワールドカフェホスティングの講座を受講し、理論的背景を学びました。

リラックスした空間の中で繰り広げられる「カフェ的な会話」は、創造性に満ちています。そこに「パワフルな問い」を投げかけ、文脈という土手を作っていくことで、力強い流れを生み出していくことが可能になります。各自の頭に浮かんだことをテーブルクロスに描いていき、最後にそれをシェアすることで、様々な気づきや、意味のつながりを得ることができます。

ワールドカフェは、集合知にアクセスできる優れた方法なのです。

オンラインワールドカフェ

「反転授業の研究」は、オンラインコミュニティです。

メンバーは、国内外に散らばっており、実際に集まることができる機会は限られています。

そこで、オンラインでワールドカフェをやる方法を探し、何度か実験的な開催を行っていました。

WizIQやGoToMeetingなどのWeb会議システムや、Moodleと呼ばれるLMSを使ったオンラインイベント、オンラインワークショップを何度も行う中で、オンラインでワールドカフェをどのように実現できるのかが見えてきました。

さらに、実際にオンラインワールドカフェを実践しているエイミー・レンゾーさんから運営方法についてのヒントをいただき、オンラインでの開催のイメージが固まりました。

10月25日にワールドカフェ20周年記念イベントが日本で開催されることになり、僕にワールドカフェへの道を開いてくれた香取一昭さんが実行委員長、ワールドカフェホスティングを教えてくれたエイミー・レンゾーさんがゲストファシリテーターとして来日するということで、ずっとやりたかったオンラインワールドカフェの開催を決め、Impact Cafeにエントリーすることにしました。

今回、開催するMoodleとWizIQとを組み合わせたオンラインワールドカフェは、世界初の試みになると思います。

反転授業が創る未来を語ろう

今、教育界では、反転授業やアクティブラーニングが大きな話題になっています。

社会の構造変化に伴い、教育にも大きな変化が生まれています。

その中で、一番大事なのは、僕たちがどんな未来を創りたいのか。そのために教育はどのような役割を果たせるのかということを、自分自身の根っこの想いから語っていき、お互いに耳を傾け、行動していくことではないでしょうか。

オンラインルームに集まり、ホワイトボードに好きなことを書きこみながら、自分の根っこの想いや、教育の持つ可能性、僕たちが作りたい未来について語り合いませんか?

ワールドカフェやオンラインイベントが初めての方も大丈夫です。

はじめての人が安心して参加できるための工夫をいっぱいしています。

教師以外の方も、ぜひ、参加して下さい。あなたの視点を必要としています。

自由なカフェ的空間の中で、参加者の皆さんの想いが溢れて、それがつながったときに、素敵な未来が見えてくるはずです。

進め方

フォーラムセッション(9/21-23 Moodle上で行います)

ラウンド1

問い:あなたの人生の中で心に残っている「アクティブに学んだ経験」を教えてください。

→ Moodleのラウンド1の自分の名前が書いてあるテーブルの返信で投稿してください。

→ 同じテーブル内のメンバーの投稿にコメントしてください。

→ 他のテーブルのメンバーの投稿にコメントしてもOKです。

 

ビデオチャットセッション(9/24 20:00-23:00 WizIQで行います)

9月24日 21:00になりましたら、WizIQに入室していただきます。


※セッションの開始は、21:30からです。

21:30-21:45 ファシリテーターの挨拶&説明

21:45-22:10 ラウンド2

問い:アクティブに学んだ結果、自分で考えて行動する人が社会に溢れる10年後、社会はどのように変化しているでしょうか?

→ ファシリテーターが、みなさんをテーブルに振り分けます。

→ テーブルマスターは、メンバーのカメラ・マイク・ペンをアクティブにしてください。

→ 最初に簡単に自己紹介してください。

→ 問いについて会話してください。

→ きづいたことは、ホワイトボードかチャットに書き留めてください。

→ 22:05になったら、テーブルマスターはMoodleに(1)ホワイトボードのスクリーンショット (2)チャットログ をアップロードしてください。

→ メンバーは、Moodleのラウンド2のところに、気づきを2-3行で書いて下さい。

22:15-22:40 ラウンド3

問い:自分自身がアクティブに学ぶことによって、周りにアクティブな学びを促してきたあなたの人生は、10年後、どの様に輝いていますか?

→ ファシリテーターが、みなさんを、別のテーブルに振り分けます。

→ テーブルマスターは、メンバーのカメラ・マイク・ペンをアクティブにしてください。

→ 最初に簡単に自己紹介してください。

→ ラウンド2で話したことについて、テーブルマスターが簡単に説明してください。

→ 各テーブルで話したことの中で、印象に残ったことを最初に話してください。

→ 問いについて会話してください。

→ きづいたことは、ホワイトボードかチャットに書き留めてください。

→ 22:35になったら、テーブルマスターはMoodleに(1)ホワイトボードのスクリーンショット (2)チャットログ をアップロードしてください。

→ メンバーは、Moodleのラウンド3のところに、気づきを2-3行で書いて下さい。

22:45-23:00 ハーベスト

→ 全員、WizIQのメインルームに集まります。

→ Moodleの他のテーブルを見渡してください。

自分の創りたい未来のために、どのような行動をしたいですか?Moodleの「ハーベスト」のところに書き込んでください。

→ 同じテーブルの人にコメントしてください。(翌日でもOK)

→ 他のテーブルの人にコメントしてもOK。(翌日でもOK)

日時 9月24日(木) 21:30-23:00  (21:00 open)

※事前に接続テストの日を設けます。

申し込み締め切り 9月20日(日)

参加費 無料

参加資格 このテーマに興味を持っているすべての方

用意するもの PC、または、タブレット端末(iPadなど)

※PCの場合は、ヘッドセットとWebカメラをご用意ください。PCの内蔵マイクを使用するときは、ハウリング防止のためにイヤフォンをご用意ください。

定員 30名

参加方法 お申込みいただいた方へ、メールでお知らせします。

お申込みはこちら

シンガポールでの強烈体験により「ガイド役」とは何かを知った

行動変容が起こるための条件は、どのようなものでしょうか?
 
僕は、このことについてきちんと勉強をしたことがないのですが、経験上、感じているのは、
 
 
強い体験+振り返りによる体験の言語化
 
 
なのではないかと思います。
 
 
僕が、「質問力をつけたい」と思って精進を始めるきっかけになったのは、シンガポールでのある経験でした。
 
 
 
Linkdinのワールドカフェコミュニティを主催しているAmy Lenzoさんのオンライン講座に参加したことがきっかけて、AmyさんとFacebookでつながりました。
 
 
シンガポール出張のときに、誰かワールドカフェホストの人と会って話を聞きたいと思い、Amyさんに紹介してくれるようにお願いしたところ、Samantha Tanさんという方を紹介してくださいました。
 
 
Samanthaさんは、国際的に有名なワールドカフェホストの一人で、主にボストンに住んでいるのでいるのですが、そのときは、ちょうど、シンガポールに戻ってきているとのことでした。
 
●Samanthaさんは、この方です。


 
 
早速、Facebookで紹介してもらい、連絡を取ったところ、
 
「では、家に来てください。家族と一緒にランチしましょう」
 
と誘って下さり、緊張しながらお宅を訪問しました。
 
 
すごい豪邸でした。
 
 
円卓にごちそうが並んでいました。
 
創発的な組織を作るコンサルのアメリカ人のハズバンドと、
世界を旅行してまわるのが趣味のSamantaさんのお母さん
Samantaさんの弟さんたちといっしょに円卓に座り、ランチをいただきました。
 
 
食事のときは、隣に座っていた組織コンサルのハズバンドと、自己組織化が起こる条件に付いて話をしました。
 
 
食事が終わり、リビングでSamanthaさんと二人で、コーヒーを飲みながらお話ししました。
 
 
お互いに、今、自分のやっていることや考えていることを話しているうちに、価値観に共通点があることが分かり、気持ちがリラックスしてきました。
 
Samanthaさんが醸し出している雰囲気が、僕をリラックスさせてくれたのだと思います。
  
  
話の中で、僕の発言
 
「日本の教育には、創造性を伸ばす部分が少ない」
 
に対し、Samanthaさんが、
 
「でも、日本のアニメはとてもクリエイティブでしょ。それは、どうしてなの?」
 
というように、次々と質問をしてきました。
 
その質問は、すぐに答えられるようなものは少なく、脳みそを総動員して考えないと答を出せないようなものがほとんどで、すごく頭と心を使っているという感覚がありました。

質問に答えていくたびに、思考が深まっていくような感覚がありました。
  
 
気がついたら2時間が過ぎていました。
 
 
対話の中で到達した結論は、僕自身にとってすごく納得できるものでした。
 
 
Samanthaさんに導かれて探求の旅に出て、目的を果たして帰ってきたような、心地よい疲れがありました。
 
 
帰りの飛行機の中で、Samanthaさんとの対話について振り返りました。
 
 
自分一人では、あの結論には到達できなかったし、あの納得感も得られなかったであろうと思いました。

Samanthaさんが、熱心に「私は知りたいの!」という光線を出して質問してくれたので、それに何とか答えようと脳みそをフル回転させ、1つ回答すると、それをさらに掘り下げるような質問が来て、またそれに回答し・・・という感じで、導かれるように自分で結論を見つけることができました。
 
 
結論は、教えてもらったのではなく、「自分で見つけた!」という実感がありました。
 
 
 
反転授業では、教師は「壇上の賢者から、ガイド役へ」と役割が変わると言われています。
 
 
この体験をするまでは、「ガイド役」というものに、どういう可能性があるのか気づいていませんでした。
 
 
しかし、この体験をしてから、高いスキルを持ったガイド役が、どれだけものすごい効果を生み出すことができるのだということが分かりました。
 
 
「ガイド役」という言葉を口に出したとき、心に浮かぶ映像が大きく変化しました。
 
 
「自分もSamanthaさんのように、相手の思考を増幅させることができる触媒の役割を果たせるようになりたい。」

強烈な体験が、このように言語化されたことが、僕の行動が変化する始まりになりました。

ワールドカフェと反転授業

反転授業のノウハウは、大きく分けて2つになると思います。

・E-Learning教材の作成ノウハウ

・グループワークのノウハウ

グループワークのノウハウとしては、次のものが参考になると考えています。

・アクティブラーニング

・ワールドカフェ

・ホールシステムアプローチ

アクティブラーニングが教育現場で使われる手法なのに対し、ワールドカフェやホールシステムアプローチは会社や組織などで使われる手法です。

今回は、ワールドカフェについて書いてみたいと思います。

以下の書籍を参考にし、著者の香取一昭さんにスカイプでお話をうかがいました。

 

 

ワールドカフェとは何か? World Cafe.netから引用します。

—- ここから引用 —

「知識や知恵は、機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考えに基づいた話し合いの手法です。

□本物のカフェのようにリラックスした雰囲気の中で、テーマに集中した対話を行います。

□自分の意見を否定されず、尊重されるという安全な場で、相手の意見を聞き、つながりを意識しながら自分の意見を伝えることにより生まれる場の一体感を味わえます。

□メンバーの組み合わせを変えながら、4~5人単位の小グループで話し合いを続けることにより、あたかも参加者全員が話し合っているような効果が得られます。

□参加者数は12人から、1,000人以上でも実施可能です。

—- ここまで —-

具体的には、次のような手順で行います。

・模造紙などを貼ったテーブルを用意し、グループに分かれてテーマに沿った自由な会話をします。

・模造紙には、会話に関係することを自由に落書きしていきます。

・決められた時間が来たら、一人(テーブルホスト)を残して、他のグループへ移動しメンバーチェンジします。

・新しいグループでは、最初にテーブルホストが落書きを見ながら、どのような話がされたかを簡単に説明します。

・各メンバーの話や、テーブルの落書きから連想されるアイディアに受粉するように話を続けていきます。

・決められた時間が来たら、一人(テーブルホスト)を残して、再度、他のグループへ移動しメンバーチェンジし、同じことを繰り返します。

・数ラウンドやったあと、元のグループに戻り、再び1ラウンド会話します。

・全体セッションを行い、気づきを共有します。

 

とても印象的だったのは、ワールドカフェをやることで、個人と組織のベクトルが一致して一体感が生まれるということでした。

書籍を読んだり、お話をうかがったりする前は、会話の創造性という部分に興味があったのですが、実際にやられている話をうかがうと、個人間の関係性がよくなり、組織のあり方が変化するということが中心で、組織に整体治療や漢方治療を施すようなイメージに近いと感じました。

企業研修などだけでなく、「運動会を成功させるためには」というようなテーマで、学校のクラスでワールドカフェを行っても面白いかもしれません。

 

今回、ワールドカフェの本を読んで得た気づきは、グループワーク自体にグループの関係性をよくしていく効果があるのかもしれないということでした。

反転授業を導入し、頻繁にグループワークをするようになると、クラスのさまざまなメンバーと会話する機会が増えてくると思います。そのことが、クラスの一体感を生み出したり、関係性の向上につながったりするのではないかと思いました。

実際にグループワークを導入されている先生方に、このことは聞いてみたいと思います。