数学教室の浜武しんいちさんにインタビュー

僕が、浜武さんのことを知ったのは、Wikipediaがきっかけでした。

Wikipediaには、「反転授業」という概念がアメリカから輸入される以前の2010年から、反転授業的な取り組みをしていたという記述があり、興味を持ちました。

それで、ぜひ、お話をうかがってみたいと思い、Facebookで浜武さんにメッセージを送って、グループに招待しました。

そして、先日、スカイプでお話をうかがうことができました。

まずは、浜武さんが、これまでどのようなことをされてきたのかというお話からうかがいました。

 

(浜武さん) 昭和60年代は、塾講師をやっていて、多い時は4つの塾を掛け持ちしていました。教科は小中学生全教科、高校物理・化学・地学・数学・英語・現代文。 あまりの忙しさに、教材(問題)、定着手段の共用化を図り、前回の授業内容の中からしか出題しない「小テスト」群を制作、実施。回を増すごとに記述度が上がり、最終的には完全記述式となりました。これは、司法試験の答練を模倣したものです。

 

僕も30代のころは、4つの予備校を掛け持ちしていたので、浜武さんの忙しさがよく分かります。僕も、浜武さんと同じように教材を共有したり、解答プリントの使いまわしの仕組みを作ったりして、授業以外の準備にかかる時間を短くしながら効果を上げる工夫をしていたので、浜武さんの「小テスト群」も、忙しすぎるスケジュールから生まれてきたという話にとても共感しました。

浜武さんのやり方の特徴的なところは、

前回の授業内容の中からしか出題しない「小テスト」群

という部分だと思います。

最初は、授業のノートを修正液で消して小テストを作っていたんだそうです。

これは、

授業を聞いていれば、必ず点数が取れるんだぞ!

という強烈なメッセージを与えていることになります。

これによって、生徒は授業をよく聞くようになるし、授業を聞いて復習すれば、その分だけ点数が取れるので学習意欲もわいてくるのだと思います。

 

浜武さんは、その後、紆余曲折を経て、平成5年に、公民館で数学教室をスタートしました。

 

(浜武さん) 公民館で開いた数学教室には東大志望者から赤点防止まで、浪人生から小学生までが集いました。このすべてに対応するために「生徒が生徒を教える」仕組みが完成。そして「公民館の塾は生徒がおしえるらしい」が評判となり、高校、中学、塾の先生の子息が多く集まりました。そしてその親御さん、卒業生が、数学教室同様、公民館で教えるようになり、先生たちのネットワーク「FCS福岡チャータースクール」に拡大しました。経営形態の独自性が認められ、通産省主催〜当時〜のアントレセミナーで登壇しました。

 

浜武さんの教室では、生徒同士の教えあいがあるのですが、これも、必要に迫られてというところが興味深いです。結果的に、年齢の違う生徒たちが一つの場に集まって教えあい、オランダのイエナプランを思わせるような空間ができているような印象を受けました。

 

ところで、動画講義の利用は、どのようにして始まったのでしょうか?

 

(浜武さん) FCS福岡チャータースクールの仲間だった江口数学教室の江口先生は個別に細かく生徒を教えるために、自分の「分身」として授業をビデオに撮り、公民館(貸し教室)まで自転車でモニターとビデオを持っていき!生徒に見てもらっていた事を実践していましたが、私はモニターが重そうで難渋していた所「You Tube」が普及。これならモニターを運ばなくていい!と云う事で、資格試験の動画を参考に「福岡チャータースクール高等数学部・数学教室版電子教科書」を創刊しました。また、江口先生の紹介でマナビーに参加。花房君との交友関係が始まりました。

 

Youtubeが普及したから、動画をアップしたということなのですが、これは、塾の常識からするとありえないことなんですね。通常、塾は、「講義」は商品であり、その塾の秘伝であるという意識があると思います。それを、無料で公開するというのは、いったいどういうことなのでしょうか?

 

(浜武さん) 私は、司法試験予備校とかのやり方を見ていて、塾業界よりも進んでいると思ったんですよ。彼らは、合格するために必死だし、お金もたくさんかけているので、あっちの業界のほうが先を行っているはずだと思いました。だから、まずは、司法試験予備校のやっているところまで追いつかなくちゃいけないと思ったのです。司法試験予備校では、講義を無料で公開していたので、そういうものかと思ったんですよ。

 

「そういうものかと思った」という発言は、衝撃でした。

講義を無料で公開してしまえるということは、浜武さんの授業の価値は、講義以外のところにあるはずです。動画講義を公開するようになってからの授業形式についてうかがいました。

 

(浜武さん)もともと私にとって動画は、ノートの延長線上にあるんですよ。授業を聞いて、ノートをしっかり理解すれば、確認小テストで点数が取れるというように作っていたのが、「動画を見てくれば、確認小テストで点数が取れる」というように変わっただけなんです。

 

そのようにして、「反転授業形式」が誕生したんですね。でも、教室で講義をやっているときは、必ず全員が講義を受けることになりますが、動画講義になると、講義を見るかどうかは生徒の自主性に任せることになると思うのですが、浜武さんのクラスでは、予習をちゃんとしてくるということなんですよね。生徒が予習してくるために重要なポイントは何なんでしょうか?

 

(浜武さん)まず、講義の論理に飛躍がないということです。それから、動画で話した内容からしかテストに出さないようにする。そうすると、ちゃんと動画を見てくれば点数が取れるので、点数を取れるうれしさを感じるようになるんです。そして、テストを終えれば次のプリント、次のプリントと進むので、よい意味で競争が起こります。生徒が分かったっていっても嘘っぱちなんですよ。だから、しっかりテストで確認して定着させます。プリントは、ちょっとずつ難しくなるように作ってあって、プリントを進めていくと力が付くようになっています。その辺は、公文式をヒントにしました。

 

 

なるほど。そうするとだんだんと教室では授業をやらなくなってきたと思うのですが、浜武さんは教室で何をやっているのですか?

 

(浜武さん)数学教室には、いろんな学力、いろんな学年の生徒がいるので、20人以上を1つの教室に集めて、同時にいくつかの授業を平行して行っています。5つくらいなら並行してやることができます。

 

これは、すごいです。「動画講義」+「小テスト群」を使って、生徒をどんどん伸ばしていく仕組みをつくっているので、並行して進めることが可能なんですね。浜武さん一人で、5人分の役割を果たしているわけです。しかも、すべての生徒が必死で頭を使っているのがすばらしいです。

 

浜武さんの実践は、どれも現場の問題を解決するために生まれたものです。そして、実際に解決してきたという実績があります。

大変参考になりました。

 

浜武さんが主催する「数学教室」はこちら

 

浜武さんは、1月27日の反転授業オンライン勉強会でお話してくださいます。

反転授業オンライン勉強会のお申し込みはこちら

 

 

北九州市立大学の山崎進さんにスカイプインタビューしました

1月、2月の反転授業オンライン勉強会のテーマは、インストラクショナル・デザイン(ID)です。

インストラクショナルデザインとは、「ニーズの評価と分析」「デザイン」「開発」「実装」「導入後の評価」の、5つの手順をサイクルとして、学習が効果的に行われるように設計することです。

動画講義や、アプリなど、様々な教育ツールがありますが、学習を考えるときには、予習、授業、復習などのサイクルや、学期単位のサイクルがあり、全体として学習が効果を上げるように考える必要があります。

「動画講義で予習して、教室でワーク」

といった表面的なことではなく、その背景にある「学習が全体としてどのように効果的に進むのか」ということを考えて、その上で、どのように予習中心の授業を構築するのかということを考えていきたいと思います。

 

1月6日に、2月の勉強会で登壇していただく予定の北九州市立大学の山崎進さんにインタビューさせていただきました。

山崎さんは、「ソフトウェア開発をどうやって学ぶのか」ということを考えられていて、インストラクショナルデザインを元にカリキュラムを設計しています。

一般的な概念は、書籍等で学べると思い、山崎さんが実際にどのような授業をされているのかを詳しくうかがいました。

 

小さな成功の積み重ね

現在の山崎さんの授業ができるまでには、いろいろな実験的な試みがあり、そこでつかんだ手応えを、また、別の実践で試してみるといった繰り返しだったそうです。

(1)プログラミングの経験が乏しい学生(大学院生)にどうやったらソフトウェア開発をイメージさせるのか。

→ 卒業研究とソフトウェア開発とは、「プロジェクト」という点で共通。

→ ソフトウェア開発を、卒業研究に例えて説明して、うまくいった。

→ メタファーを使い、直感的にイメージさせるとうまくいきやすい。

(2)ソフトウェア工学概論(大学院生向け)のレポートで概要と質問を課した。

→ 素朴だが本質を突く質問が多かった。

→ 質問のフォローアップをしたら好評だった。

→ この仕組みを授業の中核に取り入れられないか!

(3)技術は日進月歩なので、学生に調べる技術を身につけさせたい。

→ 実際の開発で使う資料を使用し、最低限の読み方を教え、資料を調べてプログラミングをする課題を与えた。

→ 資料の読み方について、もっと指導を求める声が多かった。

このような経験を通して、山崎さんの中で、次第に方向性が定まり、現在の授業スタイルになってきたとのことでした。

 

自律的に深く学べる能力の習得を目指す

ソフトウェア開発を学ぶため、山崎さんが考えていることは次のことだそうです。

問題意識
– 技術は日進月歩で,すぐ陳腐化する
– 技術の調べ方を学ばせたい
アプローチ: 自習と発問を中心とした学び
1. 教師が概要をガイドする
2. 学習者が内容を自習する
3. 学習者から問いを発する
4. 教師が調べ方をガイドする
5. 学習者が問いの答えを調べる
6. 学習者が研究成果を発表する

 

山崎さんの講義内容は、ソフトウェア開発ですが、上記の問題意識やアプローチは、反転授業に興味を持っている多くの方と共通のものだと思います。

では、このようなことを実現するために、山崎さんは、どのように授業をデザインしているのでしょうか?それが、MSQRPアプローチです。

 

MSQRPアプローチ

MSQRPとは、下記の頭文字をとって並べたものです。

M : Metaphor   身近なたとえを使って、直感的に理解させる。

S :  Summarization 教科書の要約を宿題として課す。Wikipediaよりも分かりやすい解説を目指す。

Q :  Question 学習者に質問を考えさせることで、深い学びにつなげる。

R : Research 自分が考えた質問についてリサーチする。教師が、リサーチするためのガイドや、必要に応じて参考資料を提示する。

P : Presentation 学習者が研究成果を発表し、教員や他の学習者と議論する。また、その後、議論のまとめと研究成果を解説する記事を書き、理解をさらに深める。

これを見ると、山崎さんが実践を通して得た手応えが、随所にちりばめられているのが分かります。

最初にたとえを使って直感的に理解させることや、質問を生徒が自分で考えることで学ぶこと、そして、その質問に対する答を自分でリサーチすることで、技術の調べ方も学べるようになっているのです。

お話を聞いていると、山崎さんの口からは、「来年は、これを試してみたい!」という話が、何度も出てきました。

山崎さんのように、授業のやり方について仮説を立て、それを検証しながら進めていくと、授業をするのが楽しいだろうなーと思いました。そして、同時に、この授業を受けている学生も、きっと楽しいだろうなと思いました。

ここには、教員と学生の好循環が生まれているように感じました。

 

学生はちゃんと課題をしてくるんですか

山崎さんの授業は、「サイクル」なので、「予習」という言葉を使うのが適切ではない気がして、「課題をしてくるのかどうか」を質問してみました。

山崎さんによると、最初からちゃんとやらせるのは難しく、時間をかけて浸透させるのだそうです。

上記の講義は、大学院生の講義だったので、それまでの経験を通して、山崎さんのやり方が浸透していたため、ほとんどの学生が課題をやってきたそうです。

とても印象的だった、山崎さんの言葉。

「授業に晴れの舞台を作るんです。」

山崎さんは、カリキュラムを考えるときに、最初に、晴れの舞台を設置し、そこで活躍できるためにどんな準備が必要なのかを考えていくそうです。そうすると、学生は、高いモチベーションで準備してくるのだそうです。

まだ、そのような関係性ができていない場合は、どうするのか?

山崎さんの返事は、とても興味深いものでした。

「そのときは、最初に、ワークショップをやってしまうんですよ。反反転授業です。」

最初にワークショップをやると、直感的に全体像がつかめ、さらに、何ができなかったのかも分かるから、これからやるべきことが何かも、学生自身が理解できるのだそうです。

このようにすると、カリキュラムの構造としても、最初に直感的な理解を与え、授業の構造としてもMSQRPアプローチで、最初に直感的な理解を与えることになります。僕の予備校の授業もそうですが、最初に全体像を見せておいて、何をやったらよいのかが分かるとモチベーションが上がりやすいんですよね。

山崎さんの授業設計は、いろいろなことが細部にわたって考えられていて、本当に参考になりました。

 

予習課題に動画は使用するのか?

山崎さんの授業では、予習課題は、

「教科書を要約し、質問を考えてくる」

というもので、補助的に参考資料として動画を紹介することはあっても、基本的には動画を使わずに行っているそうです。

その理由をうかがうと、

「動画は、効率が悪いので、用途によって限定して使いたい。」

という返事が返ってきました。

山崎さんの授業では、予習してくるモチベーションは、「晴れの舞台で活躍するため」で高められているため、予習では、むしろ、要約させたり、質問を考えさせたりといったことで、文献を深く読み込む力を育成することに重きが置かれているのだと思いました。

どんな用途が動画に向いているのか、例を挙げてもらうと、

・式の展開、ソフトウェアの操作方法のように、手順を示すもの。

・道徳教育のように、場面を示して説明するもの

という返事が返ってきて、その後、衝撃的な言葉が。

「目的に応じて、どんなマテリアルが適しているのか研究されていて、フローチャートになっていますよ。」

ええええ。そんなものがあるとは!ぜひ、教えてください!

ということで、熊本大学大学院 社会科学文化研究科 教授システム学専攻の公開講座を教えていただきました。

→ 公開講座はこちら

この中の基盤的教育論の中で扱っていて、無料で受講できるそうです。

この講座を担当されている鈴木克明教授は、日本のインストラクショナルデザインの第一人者で、『授業設計マニュアル』などの本を書かれているのだそうです。

 

 

山崎さんからお話をうかがって、反転授業を考える際に、インストラクショナルデザインの考え方は、非常に有効だと感じました。これをきっかけに、僕も学んでいきたいと思います。

山崎さんからお勧めの本

教育に従事している人が最初にIDを学ぶのに適した本

教育に従事していない人が、最初にIDを学ぶのに適した本

 

※Facebookグループの人数が800名を超えました。どなたでも参加することができます。参加希望の方はこちらからお願いします。

登壇者紹介~中村孝一さん

「反転授業の研究」の田原真人です。

反転授業という言葉が広がったきっかけの1つは、サルマン・カーンがTEDで、

「カーン・アカデミーを反転授業に使ってほしい」

と呼びかけたことだと思います。

カーン・アカデミーをきっかけとして反転授業に興味を持ったという方も、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、日本で同じことをやろうと思えば、言葉の壁があるため、カーン・アカデミーのようなサイトを作る必要があります。

一定水準以上の講義の質と量を揃え、さらに、それを支えるシステムを構築する必要があるため、並大抵のことではありません。

カーン・アカデミーは、現在、ビルゲイツ財団のサポートを受けて運営されていますが、もし同様のサービスを作って講義を無料提供するのであれば、運営コストをどうするかも考えなくてはなりません。

カーン・アカデミーの話を聞いて、「いいなー」と思った人は、日本中にたくさんいると思います。でも、行動した人は、ほとんどいないと思います。

しかし、日本でも、ほんのわずかですが行動した人がいます。

22日にお話してくださる中村孝一さんも、その一人です。

中村さんは、大学生のときに、学習塾やボランティア活動を通して、経済的な理由や、家庭環境、不登校などのために勉強するチャンスが失われている子供たちと関わってきて、その経験を通して、

「彼らは、学ぶチャンスさえあれば、ちゃんとできるようになるのにもったいない。」

と思ったんだそうです。

ここからの中村さんの行動はすごいです。

プログラミングの勉強を始めてサイトを作り始め、
小学校、中学校向けの講義を一人で作り続け、
たった一人でeboardというサービスを作ってしまったのです。

僕は、てっきり、もともとITエンジニアだったのかと思っていたのですが、外国語(中国語)専攻だったとか。

目標達成への強い思いがあれば、何でもできてしまうんですね。
eboardの動画講義は、白板ソフトを使って作るスクリーンキャストタイプのものです。

いくつかの選択肢の中から、どうしてこのやり方を選んだのか。

また、eboardの特徴の一つである「学習マップ」はどのように作られたのか。

eboardを、学校などでどのように利用してほしいのか。

22日は、eboardの舞台裏と、中村さんの考えを聞くことができる貴重な機会になると思います。

お楽しみに!
eboard

 

●第4回 反転授業オンライン勉強会へのお申し込み

日時 12月22日(日) 22:00-23:30

会場 Web教室システム「WizIQ」

参加費 無料

席に限りはありません。カメラ&マイクなどは必要ありません。

初めて入室される方は、少し時間がかかる可能性がありますので、
余裕を持って入室してください。

こちらからお申し込みください

 

 

●Facebookグループ「反転授業の研究」では、602名のメンバーがアクティブに活動しており、様々なコラボレーションも生まれています。

参加希望の方は、こちらから追加申請してください。

登壇者紹介~横川淳さん

「反転授業の研究」の田原です。

前回に引き続き、第4回 反転授業オンライン勉強会でお話してくださる方を、紹介していきます。

今日、ご紹介するのは、横川淳さんです。

横川さんは、コムタス進学セミナーで高校生の物理・化学を中心に教えていらっしゃる塾講師です。

横川さんと知り合ったのは、確か、1年ほど前に、「数学、理科指導法研究会」というオンライン勉強会をやったことがあって、そのときに、Facebookでつながったのが最初の出会いだったような気がしますが、はっきり覚えていません。いつの間にか、交流するようになっていました。

 

横川さんは、難しい内容を、やさしい言葉で、しかも、興味をひきつけるように説明することに非常に長けていて、横川さんのブログ「カガクのじかん」の記事を読み始めると、続けて、いくつも記事を読み進めてしまいます。

僕は、

「難しいことを、やさしく、面白く書く」

ということは、非常にクリエイティブな活動だと思います。

まさに、教師/講師が創造性を発揮する場だと思います。

僕自身も、難しいことを説明するときに、どうやったら、魅力を失うことなく、やさしく説明するかということに苦心しているので、横川さんの記事のクオリティの高さに感動しました。

横川さんの記事も、決して、ただ単純に簡単な話に落としているわけではないので、記事を読み終わった後の余韻が大きいです。

記事を読んだ後に、「何でかな~」と思わず考えたくなります。

これは、なかなかできることではないです。

 

横川さんのブログを見ると気がつくと思いますが、横川さんは、ビデオ撮影したり、画像を作成したりといったことを日常的にやっています。

その横川さんが、塾での授業に動画講義を取り入れるようになったのは、自然な流れかもしれません。

どんな動画講義を作っているのか、スカイプでお話をうかがいました。

 

あらかじめ、「手元をビデオカメラで撮影している」という話を聞いていたので、僕はてっきり、机の上に紙を置いて、手書きで文字を書きながら、それを上から撮影するというやり方だと思い込んでいました。

そういう動画講義が、海外でよく作られていて、見たことがあったからです。

しかし、横川さんが教えてくれた方法は、全く違うのもでした。

「パソコンにパワーポイントを表示し、それを指差しながら説明する様子を、iPhoneで撮影する」

なんと・・・

それなら、ほとんど機材いらないです。

ノートパソコンを電子黒板として使っているような感じです。

これは、完全に予想を裏切られました。

「どうして、そのようなやり方で動画講義を作り始めたか。」

「教室では、どのようなことをやっているのか。」

僕の質問に、横川さんは、次々と明快な回答をしてくれました。

詳しい話は、勉強会で直接聞いてくださいね。

横川さんの方法は、科目や目的によっては、非常に有効な方法かもしれないと思いました。

 

●第4回 反転授業オンライン勉強会へのお申し込み

日時 12月22日(日) 22:00-23:30

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登壇者紹介~名越幸生さん

「反転授業の研究」の田原です。

予備校講師として、それから、ネット予備校の運営者として10年以上活動してきたのですが、それらの実践を話す機会はほとんどありませんでした。

反転授業に関わるようになり、自分の実践について表現する場を得たことが、最初はとてもうれしかったです。

でも、最近は、いろんな実践者の方のお話をうかがうのが楽しくなってきました。

気がついたら1時間が・・・ということがよくあります。

毎日、試行錯誤を重ねながら積み上げてきた結果、その人がどのようなことを掴み取ったのか・・・そこには、ドラマがあります。感動があります。

話を聞いていると、思わず引き込まれてしまいます。
第4回の勉強会で最初にお話してくださる名越幸生さんとお話したときは、話が弾みすぎて、気がついたら2時間経過・・・。

話が尽きませんでした。
名越先生と僕とは、たくさんの共通点があります。

・教えている科目が物理
・授業でやっている内容を、そのまま動画講義にしている。
・仙台

名越先生の所属している東北学院高校を卒業して、僕が出向していた河合塾仙台校で浪人した生徒もいて、

高校で名越先生の物理を教わり、

予備校で僕に物理を教わった。

という生徒もいます。

東北学院高校の雰囲気が分かるので、名越先生の授業の雰囲気もイメージしやすかったです。

その後、動画講義の話になったんですが、一番印象に残ったのは、

「動画講義を作ったことで、これまでごめんなさいするしかなかった生徒に対応できるようになった。」

という言葉でした。

これは、僕も同じことを経験しているので、非常によく分かります。

僕の場合は、途中から予備校に入ってくる生徒や、中3や高1から物理を始めたい生徒、社会人で学びなおしたい方など、生身の自分だけでは対応できない様々なニーズに対応できるようになりました。

このように共通点が多い名越先生と僕なのですが、決定的に違う点があります。

それは、ネット予備校を運営している僕の目の前には生徒はいませんが、名越先生の目の前には、生徒がいるという点です。

生徒が動画講義を見て勉強している部屋に、名越先生が立っていて、様子を見て回っているわけです。

生徒がどんな風に動画講義で勉強しているのか、じかに見ることができるんです。

そして、声をかけることもできる・・・。

これは、大きな違いです。

僕が考えてこなかった、いろいろなことを教えてもらいました。
名越先生の実践の大きな特徴は、特別なインフラを必要としない点です。

最近は、「反転授業=タブレット端末」というイメージが固定化しつつあります。

そのため、

「自分の学校には、タブレット端末が導入されないから無理だ」

と考えている方もいらっしゃると思います。

「また、仕事が忙しくて、講義を作る時間を作れない。」

という方も多いと思います。

これらの問題を、名越先生のやり方は、簡単に解決してしまいます。

とにかく実践しやすいのです。

これも、大きなメリットだと思います。

 

名越先生の言葉には、実践してきたものに宿る説得力があります。

当日は、動画講義を作りたいけど・・と躊躇している方の心のハードルを、名越先生が下げてくれると思います。

 
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富谷町立東向陽台小学校の佐藤靖泰教諭にスカイプインタビューしました

富谷町立東向陽台小学校の佐藤先生にスカイプでお話をうかがいました。

佐藤先生が反転授業を始めたのは2012年から。これは、僕が知っている限りでは日本で一番最初の取り組みです。

全く前例がない中で、どうして反転授業に取り組まれたのか、佐藤先生にうかがいました。

 

自分を表現するのが下手な子供たちを見て、何とかしなくてはならないと思った。

佐藤先生は、反転授業を導入する何年も前からグループワークを授業に取り入れていました。その理由は、子供たちが自分を表現するのが下手なことに危機感を感じたからということでした。

「これからの社会には、問題解決力が必要だから」といった回答を期待していた僕にとっては、佐藤先生の答は意外でした。佐藤先生は、昔の子供に比べて、今の子供のコミュニケーション力が落ちてきていることを感じていて、子供の様子を見ていて、授業の中で取り組む必要を感じるようになったのだそうです。自分たちで学びあうことを通して、どんな言い方をすれば伝わるか工夫したり、自分以外の考え方があることに気づいたりして、他者意識を自然と獲得していくことが必要だとおっしゃっていました。

ただ、45分の授業では十分に学びあいの時間を取ることができないと思っていたところ、東北学院大学を通して企業のサポートを受け、一人一台のタブレットを生徒に配布できるようになり、反転授業の実施に踏み切ったのだそうです。

「学びあいの時間を確保するためには、どこかを削らなくてはならない」

佐藤先生にとっては、45分の講義の中で削ることができるのが「講義」で、それを実現するためのツールがタブレット端末だったということでした。
また、佐藤先生は、すべての授業を反転授業にしているのではなく、算数の中の1つの単元だけを反転授業にしています。そのため、「学びあいの効果は、その単元に限定されるのではありませんか?」と質問されることが多いそうです。しかし、佐藤先生によると、反転授業を通して学んだ表現力や他者意識は、その単元に限定されることなく、子供たちの生活全体によい影響を与えているのだそうです。

反転授業に必要な教員のスキルとは?

佐藤先生の反転授業がうまくいく理由の1つは、佐藤先生のファシリテーションスキルの高さにあると思い、授業中に具体的にどのようなことをやっているのか聞いてみました。

佐藤先生がやっていることは、活動についてアドバイスすることと、分からない子をサポートすること。

言葉で言ってしまえば簡単ですが、子供の様子を見て、適切なタイミングで適切な声がけをするには、実際には経験が必要なのではないかと思いました。

佐藤先生も、教員研修などで子供の動き方の見方を身につける必要があるが、そのような研修の体制は十分ではないとおっしゃっていました。反転授業を実施するにあたって教師が必要なスキルを身につける場を作っていくことが必要だと感じました。

 

反転授業がうまくいく秘訣は「ノート作り」にあり!

佐藤先生の反転授業は、非常に効果的に機能しているように見えます。その秘訣がどこにあるのかうかがってみました。

まずは、予習についてうかがいました。

佐藤先生の授業では、「ノート作り」に重点が置かれます。生徒は、ノートの作り方を指示されていて、その指示に従って自宅で動画講義を見て、ノートを作ってきます。

「予習をしてくる=ノートを作ってくる」ということになっています。佐藤先生にうかがうと、特定の事情がなければ全員やってくるそうです。佐藤先生にお話をうかがっていてとても印象的だったのは、

「家庭学習と普段の勉強が1つのものにならないかと考えていた」

という言葉でした。反転授業の場合、家庭学習は、翌日の授業で活躍するための勉強なので、家庭学習と翌日の授業とが一体となって1つの勉強になります。佐藤先生は、それを強調するために、

「明日の授業で使うための武器を身につける」

ということを生徒に言っているそうです。

ノート作りを徹底させることには、他にもメリットがあります。

動画講義を見て、分かったことを自分の言葉でまとめるため、自分のオリジナルの考えを表現する経験を積むことになります。これは、表現する喜びにつながり、子供たちは、ノートを作るのが楽しくなってくるのだそうです。

ノート作りは、中学校や高校へ進んでも必要になってくる技術です。将来にわたって役立つ技術を、身につけさせることも狙いの1つだとおっしゃっていました。

2種類の動画講義の比較

佐藤先生は、1年目と2年目とで違ったタイプの動画講義を作成しています。スタジオ撮影動画とスクリーンキャストについて、その長所と短所とを比較していただきました。
1年目は東北学院大学の研究室に設置した電子黒板の前で授業をし、それをビデオで撮影するというやり方で講義を作成しました。

これは、普段の授業と近い感覚のため、講義をする側としては違和感なく撮影できたそうです。

電子黒板にはデジタル教科書を写し、生徒が持っている教科書と同じものを画面に映して説明したそうです。「教科書と同じものを表示して説明する」というのは重要なポイントのような気がするとおっしゃっていました。

また、小学生にとっては、先生の顔が写っていたほうがよいかもしれないとおっしゃっていました。

一方で、撮影機材や、撮影スタッフが必要になるため、動画講義を作成する労力は大きくなるのがデメリットのようです。
2年目はThinkBoardというスクリーンキャストのソフトを使って講義を作成しました。デジタル教科書をWindowsのタブレットPCに入れて背景に表示させ、そこにペンで書き込みながら講義を作成していきました。

はじめは自宅で作成したそうですが、「授業をしている臨場感」が生まれず、言葉のイントネーションがおかしくなってしまったり、テンションがあがらなかったりしたので、教室の教壇で作成することにしたら、うまく作れるようになったそうです。

僕も、自宅でThinkBoardで物理の講義を作るときに、テンションを高めて、教室にいるかのような気持ちになってから講義を作っていたので、佐藤先生のお話にとても共感しました。

スクリーンキャストの場合は、先生の顔は画面に表示されませんが、その分、課題に集中しやすいというメリットがあるのではないかとおっしゃっていました。また、機材などを必要とせず、簡単に作れて、自分で編集できるのも長所だとのことでした。
どちらも動画講義の長さは5分程度で、1単元を説明するとちょうどそのくらいの長さになるとのことでした。

 

教室でタブレットを使う意外なメリット

反転授業においてタブレット端末は、「予習動画を見るためのもの」という位置づけになりがちですが、佐藤先生の授業では、教室での活動にも大活躍しています。

タブレット端末を導入する前は、大きな画用紙やホワイトボードに字を書かせて、作業が終わったら黒板に並べていたそうです。この場合、出来上がったものしか見ることができませんでしたが、タブレットで作業をすると、作業中の画面が電子黒板にリアルタイムで表示されるので、作業の途中が教師も、生徒同士も見えるのだそうです。

これが、実は、非常によい効果を与えていて、他の生徒の思考が見えるので、自分の考えと比較しやすかったり、自分の考えを整理する助けになるのだそうです。この話をうかがって、アクティブラーニングの小林先生が、授業中に「立ち歩き」を奨励しているのを思い出しました。グループワークにおいては、他の人のやり方を見て学ぶというのが非常に重要な要素であるようです。その行動がタブレット端末を使うことによって、「全員の作業を一目でリアルタイムに見ることができる」ようになるため、強力にサポートされているのです。

また、作業が終わったときには、「おわり」と画面に書くように指示しているのだそうです。これは、佐藤先生のほうで終わったかどうかを確認したいという理由ではじめたそうですが、生徒は、他のグループよりもはやく「おわり」と書きたいということで、競って作業を進めるようになり、予想外の効果を上げているということでした。これと全く同じことが、僕のやっている物理ネット予備校のオンライン反転授業でもおこっているので、実践者として同じ気づきを共有できたうれしさがありました。

「他の人の作業を見る」というのは、僕が子供のころには「カンニング」と言われ、奨励されるどころか禁止されていた行為でした。友達がやっているのを見ようとすると、「見るなよー!カンニングだぞー!」と言われ、自分だけで考えてやらなくてはならないという習慣がついてしまっていたように思います。他の人を見て作業をすることで、なぜ力が付くのかという素朴な疑問を佐藤先生にぶつけてみました。

佐藤先生は、「そのときは見たけど、そのおかげで次に自分で解けたらそれでいい。社会では、そうやってお互いに真似しあいながらやっているのが普通。
子供の学びだけが閉じ込められていて、人のを見ちゃいけないというのがおかしい。」とおっしゃっていました。この言葉には、はっとさせられました。

 

親御さんからの理解を得るためにしたこと

1年目が終わったときにとったアンケートでは、親御さんからマイナスの声はほとんどなかったそうです。

タブレット端末は、普段は充電器付き保管庫で保管していて、反転授業を実施するときだけ、自宅に持ち帰ります。その「自宅に持ち帰るスタイル」について、学級だよりや保護者会、家庭訪問などで説明して理解を得るようにしたそうです。

親御さんの意見としては、「タブレットを使うのは当たり前になる時代に先んじてやってくれるのはありがたい」というものが多く、一部、「五感を使うのも大事だからご配慮ください。」「目が悪くなるんじゃないか」「壊すんじゃないか」といった心配の声が聞かれたそうです。

僕が予想していた「家庭学習の負担が増える」といったことに対する危惧は、実際にはほとんど聞かれなかったようです。家庭学習時間に対するアンケートでは、反転授業実施前に比べて学習時間が1.5倍に増えたそうですが、これは、ポジティブに受け止められているようです。

また、2年間で1台もタブレット端末が壊れていないということにも驚きました。これは、佐藤先生も驚いたとおっしゃっていました。端末の破損を防ぐためにしたことは、高価なものであり、勉強に使う大事なものということを最初に言い聞かせたことと、バッグにキーホルダーをつけてよいことにし、自分のものという意識を高めたことの2つだそうです。それにしても、1台も壊れていないというのは驚きです。

 

実践者の言葉は、ヒントの宝庫

佐藤先生に1時間40分にわたりお話をうかがい、たくさんの「予想外」の言葉をうかがうことができました。

また、他の実践者の方との共通点を見出すことができ、改めて重要なポイントがどこなのかを認識することもできました。

反転授業は、まだまだ始まったばかりです。先頭を切って実践されている佐藤先生の言葉には、たくさんのヒントがちりばめられていると思います。

今回は、それをできるだけそのまま記事にすることを心がけました。

みなさんからのフィードバックをいただけるとうれしいです。

 

■こちらの記事も合わせてお読みください。

2年前から小学生に反転授業!予習率100%の秘密を動画で公開 

 

Facebookグループ「反転授業の研究」では、現在、445名の方が活発に情報交換しています。

ご興味のある方は、こちらから参加申請してください。

第3回反転授業勉強会ゲスト紹介~古山竜司さん

僕が古山さんの存在を知ったきっかけは、Facebookグループ「反転授業の研究」で、アクティブな書き込みをしているのを見たことです。

様々な投稿に対して、次々と的確なコメントを入れていく様子を見て、好奇心が強く、ポジティブな人だな~と思いました。

さらに、非常にコミュニケーションスキルが高く、古山さんは、単に関連事項を書き込むだけじゃなく、コメントからにじみ出てくる相手の「気持ち」を、すばやく読み取って、そこにコメントを返していく、そして、自分の気持ちをそこに入れていくんです。

古山さんがグループに加わったことで、グループの雰囲気がどんどんポジティブになっていきました。

 

古山さんの本業は、ワオ・コーポレーションの算数・数学講師です。

普段は、スタジオ撮影の動画講義を製作しています。

佐賀・武雄市の反転授業用の教材作成をワオ・コーポレーションが請け負うことになり、最前線で教材作成の担当者になったことが、反転授業に関わるきっかけだそうです。

武雄市のプロジェクトは、大きな注目を浴びていて、現場でのプレッシャーは、相当なものだと思います。

さらに、教材作成側と、教師との間にある考え方の違いを調整する必要もあるでしょう。

はじめてのことばかりで、予想外の事態も起こると思います。

そのときに、古山さんの超ポジティブなキャラクターと、コミュニケーションスキルは、きっと難局を乗り切るための大きな力となると思います。

 

武雄市の竹内小学校で、11月21日(木)に、研究授業の発表があります。

古山さんたちが作った教材を使って、反転授業が行われ、それが公開されます。

古山さんは、佐賀から大阪へ戻り、翌日22日(金)の反転授業の勉強会へ大阪からオンラインで参加してくださいます。

勉強会では、21日の研究授業の様子などをレポートしてくださるそうです。

反転授業の最前線で何が行われているのか、ぜひ、耳を傾けてみてください。

 

11月22日(金)19:30から実施します!

反転授業オンライン勉強会(無料)へのお申し込みはこちら

 

■実践されている方、実践を検討されている方、反転授業に興味がある方、ぜひ、つながりましょう。

340名が参加!Facobookグループ「反転授業の研究」はこちら

※グループに参加希望の方は、田原までメッセージ下さい。

 

第3回反転授業勉強会ゲスト紹介~三上博正さん

僕が、三上さんのことを知ったのは、今から9年前の2004年。

物理の講座をネット配信するよい方法を探していて、受講者の一人が「いいものがありますよ」と教えてくれたのがきっかけでした。

紹介された「PCレター大作戦」というブログを見ると、数学のサンプル講義が見れるようになっていました。

とりあえず、サンプル講義をダウンロードして、再生してみると・・・・

 

画面に数学の問題が表示され、同時に講師の声が聞こえてきて、さらに、手書きの文字で書き込みが始まりました。

 

今は、「スクリーンキャストソフト」と言えば、カーンアカデミーやeboardでも使われていて、だんだんと知られてくるようになってきましたが、9年前は、本当に画期的なものだったんです。

「うぉーーーー! これがあれば予備校の講義をそのまま作って配信できるぞ!!!!!」

と興奮したのを、よく覚えています。

 

早速、ブログに書いてあった連絡先にメールを送り、「無料体験はできますか?」と問い合わせしました。

すると、帰ってきたメールには、URLが貼ってあって、それをクリックすると・・・・

「えーー、田原様。 このたびは、お問い合わせありがとうございます。」

「えーー、私は、北海道の片田舎、浦河町というところに住んでおりまして、えーー、札幌から車で・・」

といった感じで、パソコンの画面に手書きで北海道の地図が描かれると同時に、三上さんの声が聞こえ始めました。

これが、僕と三上さんとの付き合いの始まりでした。

北海道の絵が描き終わるころには、このシステムで授業を作っていくことを決め、まだテスト販売中だった製作システムをお願いして購入させてもらいました。

 

三上さんが、口癖のように言っている言葉は、

「リアルの代替でないバーチャルを目指す」

 

本当はリアルがいいんだけど、仕方がないからバーチャルで我慢するというのではなく、バーチャルがリアルを超えていけるようでなくてはならないということを、いつもいつも主張していました。

そして、そのための重要な機能として「2倍速・4倍速再生」を位置づけていました。

 

今だから言いますが、僕は、最初、2倍速・4倍速再生機能に対して否定的でした。

自分の授業を、生徒が2倍速で聞く・・・ということをイメージしたときに、何か嫌だな~と思ったのです。

せっかく、生徒の心に伝わるように間を取りながら語りかけているのに、そういうことが台無しになってしまうような気がしたのです。

でも、

「田原先生、一度でよいですから、2倍速再生。これを、試してみてください。」

と、三上さんから頼まれて、

これは、自分が経験したことのない新しい学びの可能性を秘めているのだから、まずはやってみて、何が起こるのかを見てみようと思い直し、全講義を倍速で見れるように設定しました。

その結果、何が起こったか?

 

今、ほとんどの受講生は、講義を2倍速を使って聞いています。

慣れると、普通の速さで聞こえるそうです。

ネット予備校の受講生たちとオフ会で会ったときは、

「田原先生が、普通の速さで話しているのに違和感を感じる」

という話も出たりしました。

 

三上さんと僕は、それ以来、オンラインでディスカッションを重ねながら、

「倍速再生をどのように使ったら学習効果が上がるのか」

「倍速再生とは、学習にとってどのような意味を持つのか」

といったことを追及してきました。

その結果、三上さんは、ほとんどの人が気づいていない重要なポイントに気づいたそうです。

その研究の成果を、11月22日(金)の反転授業の勉強会では、お話してくださいます。

10年以上「リアルの代替ではないバーチャル」を追求してきた三上さんならでは話を聞けると思います。

 

PCレターは、その後、ThinkBoardという名前に変わり、日本各地の学校や塾で使われ、国境を越えてモンゴルの高校にも導入されています。

富谷町立東向山小学校で反転授業の講義作成ツールとして使われていることから、反転授業の分野でも注目されています。

このような時代がやってくることを願って、北海道の片隅で10年以上も前から開発を進めてきた三上さんの話を、みなさん、ぜひ、楽しみにしてくださいね。

 

11月22日(金)19:30から実施します!

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反転授業オンライン勉強会登壇者紹介~桑子研さん

10月30日22時から行われる反転授業オンライン勉強会登壇者紹介の第3弾は、共立女子中学高等学校で物理を教えていらっしゃる桑子研さんです。

はじめて桑子さんのことを知ったのは、桑子さんが2013年8月15日にTwitterで次のことをつぶやいたことがきっかけでした。

——-

@m_tahara 先生しかり、学校でも授業のうまい人、生徒が満足する授業は、みんな反転授業やアクティブラーニングにたどり着く。ぼくもワールドカフェ形式を意識して一昨年からやりはじめていて、後押しされましたな。

——

ツィートへのリンク

僕が授業がうまいかどうかはさておき、反転授業について1年半ほど前から調べてきて、小林先生のブログでアクティブラーニングと出会い、グループワークに関心が向いていたときにこのつぶやきに出会ったのです。僕の目は、一つの単語に釘付けになりました。

ワールドカフェ形式

初めて見る言葉でした。

しかし、反転授業、アクティブラーニングと並列に語られるものだということは文脈で分かりました。早速、

「ワールドカフェ形式に興味ありです。」

と返信すると、

「私がまとめた記事で申し訳ないのですが、こちらが参考になるかと。 細かく的確!岡田斗司夫さんから学ぶ教師が取り入れたいグループワークの7つのルール

という返信が返ってきました。

桑子さんのワールドカフェについての紹介記事は、とても詳しく、具体的で、どんなことをやって、どんなことが起こるのかがイメージできました。

記事の中で紹介されていた岡田斗司夫さんのYoutubeビデオも、World Cafeのイメージをつかむのに非常に役立ちました。

グループワークって、面白いな!と感じて、興味がどんどん膨らみました。

 

それで、桑子さんが記事中で紹介してくださっていた『ワールドカフェをやろう!』という本を早速購入しました。

この本の中に、ワールドカフェの基本哲学が紹介されていました。

1)人々による会話がWeb状につながり合うことにより未来が創造される。

2)魅力的な問い(大切な問い)が、集合的学習を促進する。

3)人間や組織、家族、コミュニティは生命システムである。

4)生命体システムの基本はネットワークである。

5)システムが多様性に富み、創造的な方法で結合されることにより知性が生まれる。

6)我々は必要とされる知恵や資源を集合的に所有している。

 

これらのコンセプトは、大学院で複雑系や自己組織化を研究していた僕にとって、とても馴染み深いもので、この本を読んだときに自分の中で大切な3つのキーワードがつながり、使命感が生まれました。(詳しくはこちら

 

桑子さんとの出会いによって、僕の中で知識に新たな結びつきが生まれ、物語化されてしまったんですね。

 

それをきっかけに、桑子さんのブログを読むようになりました。

この桑子さんのブログが、徹底的に読者視点に立っていて、とても分かりやすく、面白いんです。

この記事を読んでくださっている方が興味を持ちそうな記事をご紹介します。

反転授業の「反転」って何?ALって何がアクティブ?

黒板が電子黒板に![現場主導]今すぐ使えるICT活用法はコレだ!

パートナー方式の教授法は難しくない!取り入れ方マニュアル

 

僕の活動についても記事を書いてくださっています。

世界初!ALLネットの反転授業から。デジタル移民の必要性

「田原の物理」アプリ!微積と生徒目線のバランスにあっぱれ

潜入!全世界から100名を超えた「反転授業オンライン勉強会」での学び

 

桑子さんのブログは、タイトルがとてもキャッチーで、記事もとても読みやすいです。

その理由が知りたくて、先日、スカイプでお話をうかがいました。

お話をしていて強く印象に残ったのは、

「生徒の立場から、自分の授業を考える」

「読者の立場から、記事や書籍を考える」

という考え方を貫かれているということでした。

 

桑子さんが、グループワークに関心を持って、取り組むようになったのは必然的なことのように思いました。

グループワークでは、「講義スキル」ではなく、「ファシリテーションスキル」が必要になります。

その中でも、大切になってくるのは、ワールドカフェの基本哲学の2)に出てくる「問い」です。

 

オンライン勉強会では、桑子さんが試行錯誤の中から得た、「質問のコツ」をお話してくれます。

桑子さんから、あらかじめ、この記事を読んでから参加してくださいというお話がありましたので、オンライン勉強会に参加する方は、必ずこちらの記事を読んでおいて下さい。

 

30日10時~『動いた!授業が動き出す発問の4つのルール』

桑子さんのお話をお楽しみに!

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反転授業オンライン勉強会登壇者紹介~杉山史哲さん

反転授業というキーワードで集まってきてくださっている方を、教育の目的という視点で分類すると、ちょっとおおざっぱ過ぎる分類ですが、

(1)知識や学力の習得をITを使って効率よく行うことを目指す。

(2)旧来の教育の枠組みを変えて、21世紀型スキルの習得を目指す。

というように分けられそうです。

(1)に比べて、(2)は、なじみが薄い人も多いと思います。そこで、問題点を把握するためにも(2)の方々の話をまずうかがいたいと思い、第1回、第2回の勉強会では、グループワークなどを通して21世紀型スキルの習得を目指しているみなさんに登壇していただいています。

(2)の立場をとっているのは、主に公教育に関わっている方が多いです。

営利企業である塾や予備校では、「進学」という明確な結果を求められるケースが多く、そのため、「進学実績」「成績向上」を掲げて集客せざるを得ないからです。

だから、グループワーク、学びあいなどを前面に押し出して塾や予備校を展開していくというのは、現状では難しいんじゃないかと、僕は、勝手に思っていました。進学実績はしっかり出して、それをアピールしつつ、内容を少しずつシフトしていくという戦略が現実的なんじゃないかと思っていたのです。

または、グループワークや学びあいによる学習を進学実績に結び付けていくことでアピールしていくという方法になるのかなと思っていました。

でも、そんな僕の予想を、さわやかに根底から覆す試みが、いくつも生まれているということを最近知りました。

小細工なしで、真正面から理念を掲げて、「日本の教育を根本的に変えましょう!」と宣言して塾をやっているのです。

これは、すごいことです。

そのうちの一つが、大阪・東京にて、学び合い、プロジェクト型学習を中心にした教室を運営している杉山史哲さんです。

 

manabiai school 八尾教室

東京・広尾 21世紀を生きる子どもたちのための新しい教室tabler

 

杉山さんとお話したり、杉山さんの文章を読んだりして感じたのは、

「この人には、1つの選択肢しかないんだ」

ということです。

 

2つのうち、どっちが有利かとか、どっちが利益が出るとか、そういうことじゃなくて、杉山さんにとって教育とは、生徒中心のやり方以外ありえないんだということが、杉山さんの発するすべてのメッセージから伝わってくるのです。

10月30日の反転授業オンライン勉強会では、杉山さんがどのようなことを考えて、塾を経営しているのかというマインド部分のお話をたくさん聞けると思います。

杉山さんからのお願いです。話の内容を深められるように、前提知識を読んでおいてほしいとのことです。

下記の文章とリンク先を勉強会までにチェックしておいて下さい。

——-  杉山さんからのメッセージ ——

次回10月30日にお話させていただくことになりました、株式会社フリードの杉山と申します。本日はじめて参加させていただいたのですが、反転授業の勉強会ということで、この勉強会自体もある程度「反転」させることが出来たらいいな、と感じました。おそらく皆様お仕事や授業準備でお忙しい方が多いと思います。せっかく時間を同期で共有するのですから、非同期で予めできるところは済ませておければ、さらに有意義な勉強会になるんじゃないかと感じました。

さしあたって、自己紹介、「反転授業」に関心をもった経緯、等をここに書き込ませていただき、さらに私がどういったことについて話題提供させていただくことが、一人でも多くの方にとって有意義な時間になるのかについてのリサーチも出来ればいいなと考えています。

宜しくお願いします。

自己紹介いきます。

現在の仕事は、大阪の八尾市でmanabiai schoolという『学び合い』やモンテッソーリ教育の考え方をベースにした教室と、東京の港区でtablerというプロジェクト型学習を中心とした教室を運営する会社を経営しております。
あと、それとは別に、教員志望の学生のためのポータルサイト「教員ステーション」の編集長もしております。

経歴等書くと長くなりそうなので、キーワードだけ羅列します。

ウィネトカプラン
反転授業における「個別学習で系統的な学習を済ませておくことで、集団で協同的な学習をする時間をより確保することができる」という側面は、ウォッシュバーンらの提唱したウィネトカプランの目指した方向と一致しそう。

・イエナプラン/ドルトンプラン

日本イエナプラン教育協会
ドルトンプランの教育
イエナプランやドルトンプランの理念や方法論は、反転授業における協同的学習を進める上で参考になりそう。

『学び合い』
「一人も見捨てない」という理念のもと、教師の役割は「目標の設定」「環境の整備」「評価」とし、『全員が出来るようになること』をこどもたち集団に課す考え方及び方法。協同的学習の場のデザインを行う際に方法論として参考になりそう。また、突き詰めると、「なぜ反転させるのか」という原理的なところを考える上でのヒントにもなるかと思います。

ホールシステムアプローチ
企業など、ある目標を共有する組織の会議や、多様な人たちが存在するまちづくりといったようなフィールドに至るまで、とにかく「複数の人」が集まった時に集団をどのような思想・考え方によってデザインすると場が活性化し場の価値が最大化するか、に関する考え方/手法。※「ワールドカフェ」もこの「ホールシステムアプローチ」に括られることがあります。
組織開発やファシリテーションといった分野の概念ですが、原理的には『学び合い』と共通するところが多くあります。これも「反転授業」の場をデザインする時に参考になりそう。


これらの教育思想・教育手法と「反転授業」という方法論は相性がよく、また、「なぜ反転させるのか」「反転させて、どのような授業をしたいのか」「反転した授業によって、こどもたち(学習者たち)にどういった力を身につけさせたいか」ということについて考える際のヒントというか、手がかりになるかと思います。

Intelの考える未来の学校デモ映像



反転授業が前提になってるような感じがしますね。

学習「内容」も、物理等の基礎的な知識を前提に、「みんなで橋を架ける」といったようなものになっています。
反転させるとこんな授業が可能になるよ!とIntelは提言しているのかもしれません。

※ちなみにIntelは21世紀型スキルを提唱する団体のスポンサーになっていたり、カーンアカデミーを国際的に支援していたりします。日本法人においても、イノベーション事業部という部署が、21世紀型スキル育成のための支援をCSR的に行っているようです。

——  杉山さんのメッセージここまで ——

日本中に薄く分散している「生徒中心の教育を塾でやりたい」という方に、杉山さんの話を聞いて、きっとモチベーションがあがると思います。

また、プロジェクト型学習というものが目指しているものについても、きっと理解が深まると思います。

杉山さんのお話をお楽しみに!

 

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反転授業オンライン勉強会登壇者紹介~鈴木映司さん

このブログにも何度か書いていますが、「反転授業」と言っても、いろんな種類があります。

(1)アクティブラーニングや学びあいといったグループワークを中心に据え、その時間を確保するために知識の習得を予習にする。(高校など)

(2)MOOCsなどを予習動画に課し、ディスカッションやプレゼンテーション中心の学習をする。(大学など)

(3)知識の効率的な習得のため、スモールステップのE-Learning教材で個別に学び、分からなかったところを重点的に教師がサポートする。(学習支援NPO、補習塾など)

(4)予備校講師などが動画講義(60分程度)を配信し、その後、演習中心の授業を行ったり、分からないところを重点的に解説したりする。(進学塾、予備校など)

 

僕自身は、(4)のパターンの反転授業に興味を持って実践を始めました。ブログを作り、Facebookグループを作る中で、たくさんの方に出会い、反転授業のさまざまなあり方に気づくことができました。

その中でも、(1)の方たちから受けた衝撃は非常に大きかったです。

僕は、予備校講師として働いてきたこともあり、それまで教育を「学問の習得」という枠組みでしか捉えていませんでした。

21世紀型スキルの習得、キャリア教育といった視点を教えていただいたことが、教育というもののあり方を、根底から考え直していくきっかけになりました。

 

10月31日のオンライン勉強会で最初にお話してくださるのは、静岡県立韮山高等学校で地理を教えていらっしゃる鈴木映司先生です。

第1回の勉強会でお話してくださった小林先生のFacebookページのwallでのやり取りをきっかけに、メッセージをやりとりするようになり、鈴木先生の活動を知りました。

お話をうかがい、

公立高校という制約がある中で、これだけのことができるんだ!

と驚きました。

 

たとえば….

小さいホワイトボードを8つ用意して、グループワークをやったり、

生徒が持っているスマホにアプリをインストールしてもらい、それを「クリッカー」と呼ばれるアンケート集約端末として使ったり、

フィンランドと教室をスカイプでつないだり、

プリントにQRコードを貼り付けて、Webコンテンツを教材として使ったり、

 

アイディア次第で、授業がこんなにエキサイティングになるのかと驚きました。

公立高校で教えていて、タブレット端末の導入なんていつになるか分からないから反転授業なんて無理・・・と考えていた方も、鈴木先生のお話をうかがうと、いろいろなヒントを得られると思います。

 

でも、一番すごいなと思ったのは、そのような授業をなぜやっているのかというマインドの部分です。

オンライン勉強会でお話いただくことになったことをきっかけに、鈴木先生はブログを始められました。

そこに、アクティブラーニングをやるようになった理由や、キャリア教育との関連を記事に書いてアップされています。

このブログが熱い!

鈴木先生のお話の土台になる部分なので、ぜひ、勉強会の前までに目を通しておいて下さい。

ちなみに、簡単に斜め読みできるような内容ではありません。

書き手に気合が入っているので、読み手にも気合が必要です。

鈴木先生のブログ
「授業でキャリア教育」のブログ

 

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反転授業オンライン勉強会:登壇者紹介~芝池宗克さん

反転授業オンライン勉強会の第3弾です。

全国に先駆けて、生徒全員にiPadを配布して反転授業を実施している近大付属高校の芝池宗克先生に、実践例を率直にお話していただけることになりました。

昨夜、オンラインではじめてお話しました。

芝池先生のブログ「反転授業研究会」には、よく目を通していたので、どんな方なんだろうなと想像していました。芝池先生も僕のブログのことをご存知で、「いつかどこかで会うことになるんじゃないかと思っていた」とおっしゃっていました。

オンライン勉強会のリハーサルも兼ねて、WizIQのルームに招待して、そこでお話しました。

 

芝池先生とお話して、一番強く感じたのは、「信念を持って取り組んでいらっしゃる方だな!」ということでした。

芝池先生が反転授業を導入するに至った経緯をうかがうと、3年前から協働学習に取り組むようになり、協働学習の時間をもっと確保するために反転授業を導入することにしたとのことでした。

芝池先生にとっては、「協働学習」こそが重要なもので、その効果を最大化する可能性を秘めたものとして反転授業があるということでした。

 

3年前に協働学習を導入したときに、周りから理解されずに苦労した話は、話をうかがっていて、状況がありありとイメージできました。他の人と全く違うことをやるというのは、風当りもきっと強かったのではないかと思います。その中で、「協働学習が生徒には必要だ」という信念を貫いてきたというお話に、感動してしまいました。

その頃は、「反転授業」なんて言葉が注目されて、今のようになるなんて、全く想像もできない状況だったと思います。

芝池先生は、独自に試行錯誤されているので、お話をうかがって、目からうろこのことがたくさんありました。

具体的には、オンライン勉強会で芝池先生がお話くださると思うので、ここには書きませんが、僕がなるほど!と思ったのは、

・全員が予習した状態で授業を行うための工夫

・グループワークが潤滑に進むための土台作り

・ジグソー法の利用

でした。

 

1つ1つのやり方をうかがっていると、失敗を重ねながら、長年かけて改善してきたという「時間の重み」を感じました。

芝池先生の実践例は、反転授業に取り組んでいる方、取り組もうと思っている方に非常に参考になるのと同時に、勇気付けるものになると思います。

 

■10月7日のオンライン勉強会では、反転授業やアクティブラーニングを実践されている先生(合計3人)が、実践例を紹介してくださいます。

オンライン反転授業はこちら

 

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反転授業オンライン勉強会:登壇者紹介~横山北斗さん

インターネットは、人と人とをつなげることのできるツールです。

Facebookができてから、その力がさらに強まったように思います。

反転授業を実践されている先生は、全国に散らばっています。それぞれが、現場で、失敗を重ねながら試行錯誤していると思います。その試行錯誤のありのままを共有することができれば、お互いに参考になる部分があって、改善のスピードが上がるんじゃないかと思っています。

人と人とをつなぐためにはどうしたらよいか?

そのためには、まず、自分が情報を大量に出すこと。そして、その情報にアクセスしてくれた方とコミュニケーションをとることです。

これは、9年前からインターネットを使って仕事をしてきた中で学んだことです。

 

東京に出張した日のことです。その日はミーティングが4つありました。朝食ミーティングからスタートし、午前中にもう1つ、午後にもう一つ、夕食を食べながら最後のミーティングというハードスケジュールでした。

昼食を食べならがスマホをチェックすると、長いメッセージが入っていました。

それが、横山北斗先生との交流の始まりでした。

小林先生が僕について書いてくださった記事をFaceBookで見かけて、僕のFacebookの投稿をたどっていったら、僕がこのブログ「反転授業の研究」を書いていることに気づき、驚いてメールを送ってくださったということでした。

横山先生は、反転授業のための動画を作成するときに、このブログの記事を参考にしてくださったそうです。

 

「ちょうど東京に来ているので、もしよかったらお会いしませんか?」

とお返事し、夕食ミーティングの前に空いていた1時間に、コーヒーショップでお話しすることにしました。

 

そこで、横山先生が教育の道に入るまでの経緯、アクティブラーニングをどうやって実践しているか、実践の背景として考えていることは何か、といったことをたくさん教えていただきました。

・予習プリントや、最初の解説で、あえて詳しく説明せずに、グループワークで発見してもらう。

・解答プリントを配布して、グループワークを行う。

といった話は、非常に刺激的でした。これについては、オンライン勉強会で詳しい話を聞けると思います。

 

また、小林先生の実践例に登場する「セッティング」「立ち歩き」などが、どのような意味を持っているのかを解説してもらいました。

これが、僕にとって、とても役に立ちました。

その後に物理ネット予備校で行ったオンラインのグループワークでは、小林先生のやり方をベースにして構成したのですが、横山先生が、小林先生のやり方の背景を教えてくださったので、意図を理解することができ、応用させることもできたのです。

 

オンラインのグループワークには、横山先生も見学に来てくださり、コメントを送ってくださいました。許可を得て引用します。

—- ここから引用 —-

物理をあまり学んでないもので、すっかり生徒気分で参加できました。

日頃こういう立場の経験ができないので非常に貴重な経験でした。 ありがとうございます。

授業の中で分かっていく過程や、分からない不安さ、追いて行かれそうな焦り、難しそうな問題を見た時の恐怖(大げさですが)、確信が持てないことをグループで共有する躊躇い、しかし例えお互い に確信が持てないとしても同じように考えている人がいることの安心感などを久しぶりに味わうことができました。

読書などで新しいことを学んでいく過程とはやはり違って、良くも 悪くもライブならではのドキドキ感がありますね。 改めて、本当にとても貴重な体験をさせていただきました。 今後の授業で生徒の感情を感じ取るのに間違いなく活かせると思います。

—- 引用ここまで —

 

横山先生は、アクティブラーニングや反転授業をやりたくて教師になったとのことでした。

2年目の途中から満を持してアクティブラーニングをはじめ、手応えを感じて、3年目の今年は、最初からアクティブラーニングと反転授業に取り組んでいるとのことです。

横山先生の2013年の実践はこちらにまとめられています。

横山先生のブログ→アクティブラーニング&反転授業はじめました

 

横山先生は、ほんとうに様々なことを考えて実践されているので、「これは、何のためにそうしているのですか?」という質問を、オンライン勉強会ではどんどん投げかけていきたいと思います。

 

コーヒーショップで1時間だけ話す予定だったのですが、夕食ミーティングが急にキャンセルになり、そのまま話し続けました。

僕もすっかり気持ちが盛り上がって、時間を忘れて話していたら、気がつくと3時間が過ぎていました。

その日をきっかけに、横山先生とはFacebookなどで情報交換をさせていただいています。

 

インターネットは人と人とをつなぐ力があります。

10月7日の反転授業オンライン勉強会も、そのようなつながりがうまれるきっかけになればうれしいです。

 

■10月7日のオンライン勉強会では、横山先生の他、反転授業やアクティブラーニングを実践されている先生(合計3人)が、実践例を紹介してくださいます。

オンライン反転授業はこちら

 

■実践されている方、実践を検討されている方、ぜひ、つながりましょう。

Facobookグループ「反転授業の研究」はこちら

※グループに参加希望の方は、田原までメッセージ下さい。

 

 

 

 

反転授業オンライン勉強会:登壇者紹介~小林昭文さん

反転授業のオンライン勉強会まであと3日となりました。

申し込みの際のコメントを拝見すると、とても楽しみにしてくださっている様子で、僕もワクワクしてきました。

今日から、オンライン勉強会で実践例をお話しいただける方の紹介をしていきたいと思います。

 

今日、ご紹介するのは、アクティブラーニングの実践と普及をされている小林昭文さんです。

 

僕が、反転授業について勉強をはじめたときは、アメリカの情報をもとに考えていたんです。英語の文献を読んだり、アメリカの反転授業をやっている教師のSNSに入ったりして、アメリカでの実践例を調べました。

アメリカの実践例を調べたときに、e-Learningの部分はすんなり理解できました。

僕自身も、e-Learningの教材作成を9年間やってきているし、そこで使っているものも、なじみのあるものが多かったからです。

しかし、一方で、教室でのアクティビティの部分は、なかなか理解できませんでした。

教師の役割が、「壇上の賢人(sage on the stage)」から「学習者に寄り添う導き手(guide on the side)」になると言われても、具体的に何をやればよいかピンとこなかったのです。

アメリカの実践例では、頻繁に「グループワーク」という言葉が出てきます。インターナショナスクールでやっている授業の様子を聞いても、「グループワーク」という言葉が頻繁に出てきます。

いったいグループワークとは、どういうものなのか?

それを、日本でやることは可能なのか?

グループワークにその秘密が隠されているのではないかと思いました。

それで、いろいろ調べているときに、アクティブラーニングというグループワークを実践し、現在は、普及活動をされている小林さんのブログに出会ったのです。

 

小林昭文さんのブログ → 授業研究AL&AL

 

このブログを発見したときは、とても興奮しました。

小林さんは、高校で物理の授業を7年前からグループワーク中心に切り替えて行っていたそうです。

日本に7年も前からグループワークを実践されている先生がいたということに感動しました。そして、ブログ記事を過去まで遡って読みました。

どうしても小林さんからお話をうかがいたくなって、メールを送りました。

小林さんは、昨年、高校の教諭を定年退職し、現在、アクティブラーニングの普及のために日本全国を飛び回っていらっしゃるので、スカイプでお話しました。

それ以来、小林さんとコミュニケーションをとらせていただくようになり、いろいろと教えてもらっています。

 

僕が運営しているフィズヨビでは、先月、はじめてオンラインでグループワークを行ったのですが、そこでは、小林さんの授業のやり方を参考にしました。同じ物理の授業ということもあり、まずは、同じようにやってみて、どのようなことが起こるのか見てみたかったのです。

結果は、参加者がびっくりするほどアクティブに動き、多くの発見がありました。

小林さんのやり方には、グループワークがうまくいくためのノウハウが凝縮されているのだというこということを実感しました。

小林さんもその授業を見学してくださって、ブログに感想を書いてくださいました。

オンライン授業を見学しました

 

 

実際にグループワークをやってみて、アメリカでやっている反転授業というのは、まずベースにグループワークがあり、グループワークに使える時間を十分にとるために「講義部分」をe-Learningで置き換えて授業外にやらせるという発想なのだということが腑に落ちました。

日本で反転授業をやろうとしている先生には、小林さんのアクティブラーニングの方法論がとても役に立つと思います。

オンライン勉強会で小林さんがどのような話をしてくださるのか、僕が一番楽しみにしているかもしれません。

 

■10月7日のオンライン勉強会では、小林先生をはじめ、反転授業やアクティブラーニングを実践されている先生が、実践例を紹介してくださいます。

オンライン反転授業はこちら

 

■実践されている方、実践を検討されている方、ぜひ、つながりましょう。

Facobookグループ「反転授業の研究」はこちら

※グループに参加希望の方は、田原までメッセージ下さい。