教室での支配者から「動画講義+学習環境の整備」へのパラダイムシフト
前の記事で、現状では、塾こそ「反転授業」を取り入れるのに適しているのではないかと書きました。
その背景にあるのは、10年以上の予備校講師としての経験です。
5年くらい経つと、授業の改善サイクルがある程度飽和し、授業自体が、毎年、同じことの繰り返しになってくるのです。
それなら、自分の講義を動画化してしまおうと考えたのが、9年前に物理ネット予備校をスタートしたきっかけの一つでした。
当事、僕は、「生講義」というものに非常にこだわりを持っていて、生徒の心をつかみながら、講義をすることがとても好きでした。
また、自分の生講義についてもある程度の自信がありました。
しかし、実際に動画化してみると、生徒は、僕の講義を等速と2倍速とを組み合わせながら、繰り返し繰り返し聴いていて、1回しか聞けない講義よりも、そっちのほうが効果が高いようなのです。
「オフ会であった受講生からも、「いつも2倍速で聴いているので、等速の先生には違和感があります!」
なんて言われたりしました。
教室で一人だけ自由にしゃべる権利を与えられ、教室の空気を支配するのはある種の快感があります。
でも、それを手放してみると、動画講義でも同じくらい、いや、実はそれ以上の効果を生み出すことが分かりました。
Khan Academyのサルマン・カーン氏も、スカイプで直接教えるよりも、Youtubeの動画のほうがありがたがられたという話をTed動画で話していましたが、その話は、僕にとっては、本当に実感を伴ってよく分かります。
時間の空いた僕は、生徒にとって学習がよりよく進むための環境づくりに時間を作れるようになりました。
このような仕組みを作ったことで、たった一人で、3つのネット予備校を運営し、合計600人以上の受講生を抱えても、それほど忙しくならずにすごすことができ、さらに、受講生の学習効果も十分に上げられるようになったのです。
実際、僕は、1年間に2冊のペースで本を執筆していますが、おそらく通常の運営方法で、講義もサポートもしていたら、とっくの昔に生活がパンクしてしまい、本を執筆するどころではなかったと思います。
動画講義+学習環境を整える
という体制をとり、教育を合理化したことによって、すべてが可能になりました。
最近、僕がはじめたのは、再びリアルタイムを導入することです。
ただし、旧来のように、授業で知識を与えるためにリアルタイム講義をするのではありません。
動画講義で知識を与えておいて、反転授業形式で、しかもオンラインでリアルタイムの講義をするというのが、今年の僕の新しい取り組みです。
明日(8月11日)、そのオンラインのライブ講義がありますので、反転授業に興味のある方は、ぜひ、のぞきにきてください。
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