オンライン反転授業の実践例

田原です。

僕は、9年前に物理ネット予備校を立ち上げてから、さまざまな実験的な取り組みをしてきました。

物理ネット予備校では、ThinkBoardで作成した「ホワイトボード+動くペン」形式の講義を配信しています。

受講者は、全講義をダウンロードでき、好きなペースで勉強できるようになっています。

その中で分かってきたことは、次のようなことです。

●受講生は、講義を最初から2倍速で聞き、分かっているところは4倍速で飛ばす。

●動画で繰り返し受講できる場合は、記録のためのノート作成が必要なくなる。(むしろ、記録ノートを作ると学習速度が遅くなる)

●全講義を最初に通してみて、全体像をつかもうとする受講生もいる。(社会人に多い)

2倍速、4倍速再生のメリットは、やってみるまでは分かりませんでした。むしろ、自分の作った講義を倍速再生されることに心理的抵抗感がありました。しかし、ThinkBoardの生みの親の三上さんに、

「田原さん、バーチャルはリアルの代替じゃないんです。リアルじゃできないことがバーチャルにはあるんです!」

と力説され、まずはやってみなくては分からないということで、全講義を倍速で再生できるように設定しました。

その結果、ほぼ全員の受講者が、倍速再生で受講し、それがなくてはならない機能であることを痛感しました。

 

自分の理解度に合わせて再生速度を変えると飽きない

最近気がついた倍速再生のメリットは、「インタラクティブ性」です。

「自分が分かっているところは4倍速で飛ばし、分からないところを2倍速で聞く。」

という行為は、受動的にビデオを見ているのと違い、自分の理解度を確かめながら再生速度を変えているわけなので、「能動的」なんです。これが、講義を聴いているときの頭の活性化につながり、飽きずに講義を見続けられる要因になっているのだと思います。

E-Learningの世界では、「ビデオ講義は15分以内にする」のが常識です。

それ以上だと飽きてしまうからだそうです。

でも、僕の講義は、予備校の授業をベースにしているので、60分以上あります。長いものだと120分です。

E-Learningの常識からすると、「そんな長い講義、とてもじゃないけど聴けないよ」ということになると思います。

でも、受講生から講義が長すぎるという声が届いたことはなく、逆に「何回も繰り返し2倍速で聴きました」という声が届きます。

長い講義を倍速で聴くことで、「ストーリーとして理解できる」というメリットもあるのです。

ですから、E-Learningの世界で常識だとされていることでも、様々な前提条件が違えば、必ずしも成り立たないのではないかと思っています。

 

実践例は気づきの宝庫

このように、世間で言われていることや、頭で考えたことを、実践から得られる知見は、いとも簡単に超えていきます。

ある程度の仮説は立ててはじめますが、やっていみると、それがよい意味で裏切られることが多いです。

オンライン反転授業についても、やってみると、たくさんの気づきがありました。

Web教室で、アウトプット中心のライブ講義をやると、びっくりするくらい盛り上がるんです。

ここでも、「インタラクティブ性」と「学習」の密接な関係が見られます。

学びあいのような効果も見ることができました。

僕の場合は、「反転授業」であるだけでなく、「オンラインワーク」であるという点が、他の実践例と異なる点だと思います。

リアルにはかなわない部分もありますが、逆に、リアルよりも、オンラインのほうが優れているという点も発見することができました。

そこには、まだ解釈しきれない情報がたくさん含まれているので、なるべく、僕の分析や感想ではなく、起こったことをそのままの形でレポートすることにしました。

反転授業や、オンラインワークに興味のある方には、とても刺激的な内容になっていると思います。

また、反転授業を始めたい、オンラインルームを使ってみたい、という方には、すぐに始められるようにどのようなツールを使っているかなど、具体的な情報を記しています。

この実践例レポートの情報に、みなさんがご自信でアイディアを付け加えて、ご自身の教育活動を発展させていっていただければうれしいです。

 


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