オンラインワールドカフェを終えて
2015年9月24日に「反転授業の未来を語ろう!オンラインワールドカフェ」を行いました。
1年前に12名でオンラインワールドカフェのテストを行ったことはありましたが、本格的な開催はこれが初めてでした。
オンラインワールドカフェの実践者として有名なエイミー・レンゾーさんに、実際にどのように実践しているのかをスカイプでうかがい、私たちがやってきたオンラインのグループワークの経験と組み合わせて行いました。
エイミーさんは、Maestro ConferenceとGoogle Documentを組み合わせて行っているということでしたが、私たちはWizIQとMoodleを組み合わせて行いました。
Maestro Conferenceは音声チャットだけなのに対してWizIQはビデオチャットとホワイトボードが使えることや、Google Documentへの正体にGmailアカウントが必要であるけどMoodleには制限がなく、さらに、Moodleのほうが多機能なため、より自由な設計ができると思ったからです。
また、Moodleのフォーラム機能を使ってテキストベースで行う非同期の対話と、WizIQのビデオチャットを使って顔を見ながら同じ時間を共有して行う対話とを、いかに組み合わせれば効果が上がるのかということにも注意を払いました。
テキストベースの対話は、思考をゆっくりと深めることに向いていますし、仕事の合間などに参加できるので参加者の負担が少ないです。
一方、顔を見ながらの対話は、思わぬアイディアが出てくる可能性を秘めています。
今回は、ラウンド1をMoodle上で3日間行った後、ラウンド2と3をWizIQのビデオチャットで行うということにしました。
ラウンド1(Moodle上でのフォーラムセッション)
ラウンド1には、28名の方が参加し、自己紹介フォーラムで自己紹介をした後、ラウンド1の問いに取り掛かりました。
4-5名のグループに分け、同じグループ内のテーブルメイトの投稿にコメントをしていき、他のグループの人へのコメントもOKとしました。
ラウンド1の問いは、以下の通りです。
あなたの人生に影響を与えた「学び体験」を教えてください。
3日間で200個ほどの投稿が乱れ飛び、「学び体験」について多くの知見を共有しました。
それを1枚の紙にまとめたのがこれです。
まず「繋がる」というキーワードが出てきました。
ヨガ、マインドフルネス、瞑想などの体験や、モンテッソーリ教育を通して子どもの成長力へ気づく経験などは、生き物としての自分自身と繋がる学び体験なのではないかと思います。
また、「脱皮」というキーワードも多く出てきました。自分と異なる他者と出会い、憧れたり(ロールモデル)、引き出されたり(コーチング)、全否定されたり、カルチャーショックを受けたり・・といった経験を通して、自分の思考のフレームが壊れ、リフレ―ミングされるという経験を上げた人が数多くいました。
異なる他者と協力して創造する「共創」も、重要なキーワードになりました。創造は、そこに加わる人たちに自己肯定感と自信を与えてくれ、その結果、自分自身と深くつながったり、他者との繋がりを認識することができたりしていくのではないかということが浮かび上がってきました。
第2ラウンド(WizIQでのビデオチャットセッション)
第2ラウンドは、WizIQにて行いました。WizIQへ接続できない方が4名ほどいて、今後への課題を残しました。
タイムスケジュールをMoodleに表示し、参加者には、WizIQとMoodleの両方にログインしてもらうようにしました。
WizIQでファシリテーターが、WizIQの使い方とワールドカフェの進行についての簡単な説明を行った後、Breakroom機能を用いて参加者を5つのルームに振り分けていきました。
ラウンド2の問いは、次の通りした。
アクティブに学んだ結果、自分で考えて行動する人が社会に溢れる10年後、社会はどのように変化しているでしょうか?
テーブルの1つからは、
「社会というのは、国内じゃなくて、グローバル社会じゃないか?」
という声が出てきました。
また、学校や企業という組織の枠組を超えて、インターネットを通して個人と個人が直接つながっていくグループができ、一人の人間が、いくつものグループに重複して所属する現象が起こるのではないかという声も出てきました。
学校の学びに比べて、社会での学びは自由だが、10年後は学校の学びが社会での自由な学びに近づいていくはずだという声もありました。
国籍、地域、年齢、性別を超えて集まった気の合う仲間が集うことによって新しい文明が生まれるという壮大なイメージも浮かんできました。
テーブルトークのあと、10分ほど時間を取り、気づいたことをMoodleのフォーラムに書き込んでもらって共有しました。
全体でのシェアが簡単にできるところが、リアルのワールドカフェにはない、オンラインのメリットだと感じました。
ラウンド2の声を拾って1枚の紙にまとめました。
ラウンド3(WizIQでのビデオチャットセッション)
ラウンド2の気づきをMoodleに書き込んでもらっている間に、ファシリテーターは、テーブルメンバーのシャッフルを行いました。
ファシリテーターが作業をする間は、参加者にとっては待ち時間になるので、その時間にMoodleへの書き込みをしてもらうように工夫しました。
第3ラウンドでは、最初にラウンド2で話したことを共有してもらってから、第3ラウンドの問いについて考えてもらいました。
第3ラウンドの問いは以下の通りです。
自分自身がアクティブに学ぶことによって、周りにアクティブな学びを促してきたあなたの人生は、10年後、どの様に輝いていますか?
テーブルからは、オンラインで繋がることによって学びをお互いに促しあう状況が生まれ加速しているという声が出ていました。
学校、企業、起業家などが、組織の枠を超えて個人で繋がって共創し、学び合う未来というものが浮かび上がってきました。
10年後崩壊するものとしては、国民皆保険や大企業のような生活を保障してくれるようなシステムが挙げられ、その代りに信頼関係で結ばれたネットワークにリスクを分散するようになるのかもしれません。
1枚の絵にまとめてみると、10年後の「生きる力」というものがどんなものなのか見えてきたような気がします。
ハーベスト(Moodleのフォーラムに書き込み)
ビデオセッションを終え、各自でMoodleに2つのことを書きこんでいただきました。
(1)自分の創りたい未来のために、どのような行動をしたいですか?
(2)オンラインワールドカフェに参加した感想は?
参加者で書き込みを共有し、相互にコメントし合いました。
参加者の方の感想をいくつか紹介します。
地方に住んでいる私でも、こんなに色々な方と一緒に「会う」ことができるオンラインのすごさを改めて感じました。私にとってはちょっとテーマが大きかったので、もっともっと時間が欲しかったです。また、2回目、3回目があったらぜひ参加したいと思います。
ワールドカフェをオンラインで体験。なんて素晴らしい取り組みでしょう。
2つのワールドにお邪魔させてもらいました。全く違う発想も出てきました。
普段お付き合いすることのない地域、職業、年齢の方と話をすることで視野が広がりました。オンラインだけでは味わえないMOODLE
MOODLEだけでは味わえないオンライン2つのものをブレンドすることで新しいものができる。たのしかったです
オンライン環境の違う中で、不具合もたくさんあったかと思いますが、色んな方とオンラインでこうして対話できるというチャレンジにわくわくしています。
リアルな場でも、場のあり方によっては話したいのに話せない人がいるのは同じであると思うので、オンラインという環境の中で、どういう「場」を作っていけばいいのか、
また2回3回と続けていく中で見えてくるものがあるのでは、と自分の中でのfunが見つかったような気がします。話している人、ホワイトボードやチャットで書く人、色んな可能性があって楽しみです!
田原さん、参加された皆様、いい体験をありがとうございました!また次回!
画面にも出られず、チャットも書き込めず、モタモタ。おいてけぼりの生徒の気持ちが味わえたのは良かった。収穫。
聞いているだけでも収穫多いということもわかった。
ワールドカフェは3回目。収穫のスキルが分かってきたような。
オンラインの中にこんな世界が広がっていて仲間がいるということの嬉しさ頼もしさ。まさにパラダイム転換起こっています。田原さんはじめ皆様になんとお礼をもうしあげてよいやら。本当にありがとうございます。たくさんエネルギーいただいています。
やはり、文字とは違う臨場感があります。また、短い時間でしたので、ほどよい緊張感もありました。
始めは、「?」でしたが、最後は、「もう終わっちゃうの?」という気持ちでした。
途中、チャットボックスの存在をわすれてしまってすみません。
1人だけの思考では出てこない発想が、ほかの方といっしょに話すことによって引き出され、新しい回路が開かれていくような感じですね。そして、それを糧に、また次のステージに進んでいける気がしました。
また、ほかの方の取り組みなどを伺うことで、自分自身の行動も促されると思います。
Moodleとオンラインの組み合わせも、それぞれいいですね。
ただ、お話をしていただけですが、楽しく学ぶことができたと感じています。
ありがとうございました。
有意義ではあったが、不完全燃焼とラウンドによっては尻切れトンボになった感は否めない。でも、今回の縁で、反転授業の研究のグループ内で会うときっと距離は縮まっているはず。
この高揚感は、リアルタイムでのやり取りでしか味わえないと感じました。しかも抜群のタイミングで、エネルギーをもらいました。ちょうどここ2、3日の間に新しい共創に踏み出したばかりでした。moodleの書き込みの効果も高いと思いました。他のテーブルの方とも話がしたかったですね~。今回、仕事を高速で終わらせ、飲み方も断って参加しましたが、本当に良かったです。次回はもっとうまくやれると思います。また、どうぞよろしくお願いします。
オンラインでなければワールドカフェというものに参加できなかったので、新たな試みをして下さった田原さんに心から感謝しています。貴重な経験になりました。
一方でオンラインはどうしても機器による障害により、会話や進行が寸断される難しさも感じました。それでも、それを遥かに超える可能性を感じたので、きっと経験を積んでいけばリアルを超えた新しい世界が出来ていくのだろうな、と思いました。
自分が知らない知識や考え方に触れることができました。やはり人と交わることは大事だと思いました。
みなさん熱いですね。ちょっと打ち解けるのに時間がかかってしまいましたが、打ち解けたら多分徹夜でしょうね。溝上さんがリーダーしてくれるとタガをくくっていたので、アイスブレークとか自分で考えておかなかったのは反省。
反転授業とかAL学習の予備知識とか経験により議論の内容が変わってくるので、テーマをいくつか作って参加者がどのテーマに行くか選べるといいのかもしれませんね。
幹事さんを変えて定期的にやりたいですね。
オンラインの良いところは、どこにいてもつながることができること。
この点をもっと活用して集合知結成ですね!
短時間でしたが、ワールドカフェになっている感覚はありました。
話す順番、ホワイトボードは、戸惑いがあって、全く同じとはなりませんが、時間に対する情報量は、素早く密になるように思うので、使い勝手は感じます。
(即席のルームマスターになってしまって、実は緊張しっぱなしでした。)
今回は、オンラインワールドカフェへの最初のチャレンジということで、いくつかの課題が出ましたが、回を重ねていくにつれて改善できそうだという見通しも持つことができました。
フォーラムを使ってテキストベースでやり取りすることと、ビデオチャットで化学反応を起こしていくことの両方をうまくブレンドすることで、どちらか一方よりも効果を上げられるのではないかと感じました。このあたりは、普段、反転授業に取り組んでいる実践者としての勘が役に立っていると思います。
これまで、オンラインにフラットなコミュニティを作り、対話を通して共通ビジョンを作っていこうとするときにネックになるのが、「オンラインの対話」でした。Facebookグループなどでのテキストベースのやり取りだけでは、関係性の質を高めていくのに不十分だと感じていたのです。
今回、オンラインワールドカフェをやってみて手ごたえを感じたことで、オンラインコミュニティ運営のための有効なツールを手に入れることができたと感じています。
オンラインコミュニティを作る→テキストベースとビデオチャットを組み合わせた対話の場を創る→共通ビジョンを作り共創する
という流れを確立できれば、あちこちでクリエイティブな活動が生まれるかもしれません。
今後、ワールドカフェに限らず、様々な対話セッションをオンラインで行うことや、GoToMeetingやZoomなどのビデオチャットを利用した対話セッションなどにも取り組んでいきたいと思います。
今回のオンラインワールドカフェは、ワールドカフェ20周年記念イベントとして世界中で実施されているImpact Cafeにエントリーしています。
10月25日には、日本の9カ所でワールドカフェが同時開催されますので、ワールドカフェに興味を持った方は、ぜひ、情報をチェックしてください。
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