佐賀・武雄市が「反転授業」用にタブレット端末を配布することについての分析

佐賀県武雄市で、小中学生全員に1台ずつ配るタブレット端末で「反転授業」に取り組む方針を決めたという記事が朝日新聞デジタルに出ていました。

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まずは、新しい試みがスタートしたことを評価したいと思います。

ここで考えたいのは、

反転授業にiPadなどのタブレット端末は必要なのか

ということです。

結論から言えば、「反転授業による教育効果」という点から見れば、必ずしもタブレット端末は必要ないと思います。

今の時代、自宅にインターネットに接続できる端末(PC、タブレット、スマホなど)を持っていない人のほうが少ないですから、基本的には自分のものを使うことにして、持っていない人には安価な端末を購入してもらうという方法にすれば、導入コストが下がります。

小学生の場合、そもそも親のサポートが期待されているわけですから、親のPCを使って、親子で予習動画を見るということで事足りると思います。

グループワークを中心に据えたいということであれば、予習は動画でなくてもよいかもしれません。

アメリカで行われている「LTD=Learning Through Discussion」という手法は、本を読んでくることが前提で、それをベースにしてディスカッションするものです。ここでは、動画ではなく本、または、資料が予習のための素材です。動画に比べて口当たりは悪いですが、それによって鍛えられる部分もあります。

また、アクティブラーニングの小林先生などがやられているように、プロジェクターを使い、最初の10分くらいで知識の説明をして、その後、グループワークにするという方法もあります。この場合、生徒の予習状況が揃っていないという状況を避けることができるというメリットもあります。

タブレット端末のメリットは、実は、自宅に持ち帰れるということではなく、学校にいるときに一人一台端末があるということにあるのだと思います。

自宅で使うということであれば、自宅のPCなどの端末を使えばよいわけですから。

学校にいるときに一人一台端末があるということはどういうメリットがあるかというと、個人の学習状況を確実に記録してデータ化できるということだと思います。

自宅で予習するように指示しても、やってこない人がいたりして、学習状況と推移を把握するためのきちんとしたデータが取りにくいです。

しかし、学校の教室で全員がタブレット端末を持っていて、授業の最後に教師が小テストを課したり、振り返りとしてアンケートを書かせたりすれば、確実にデータを蓄積することができます。

ただ、データの蓄積を目指すのであれば、スマホ端末のようなものを教室に常備しておいて、ユーザーIDでログインし、授業中はClickerなどとして使いつつ、最後のデータ取得を行い、授業が終わったら学校に戻すということでも事足りるのかもしれません。この場合、コストはかなり下がると思います。

佐賀・武雄市では、15年春までに小学生と中学生の全員にタブレットを配布するそうです。

4200台のタブレット端末から上がってくる学習データをデータベース分析して、教材開発やカリキュラム改善などにつなげていくという視点で見て、はじめて「タブレット端末」の導入という話のポイントが見えてくるのではないかと思います。

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