教師がファシリテーションを学ぶ意味

田原です。教師がファシリテーションを学ぶ意味について、自分の経験をもとに考えてみました。

私は、茨城県日立市という工場労働者が多くを占めるという環境で育ちました。中学校になると細かい校則がたくさんあり、それを守るように厳しい指導がされていました。一方で、部活内での上下関係や暴力、教師による体罰なども日常的で、ルールを守るということを、体に染み込まされたような感覚があります。
 
このような教育を受けると、「ルールを逸脱することを恐れる」「まず、ルールを参照して動く」という思考パターンが育ちやすいと思います。優等生であるほど、その傾向が強くなると思います。
 
40歳を超え、311を経験し、上から降ってくるルールについて批判的に検討し、必要であればルールを変えていくために行動を起こすことが必要だと感じるようになりました。
 
社会人として、自分の頭で考え、意見を表明し、行動しようとしたときに、自分が受けてきた教育、そこで刷り込まれた感情パターンが行動を妨げることに気づきました。
 
意見を表明することは、ときには周りとの違いを明確にすることにつながり、感情的な対立を生み出します。そのときに、その対立をどのように解消したらよいのか分からないため、対立が生まれるのを避け、行動を躊躇するという状況がありました。
 
考えてみれば、これまでは、その場のルール、または、暗黙のルールに従って行動してきたので、それらに反する行動をすることに抵抗感があり、また、ルールを根拠に批判されるような気がしたのです。そして、そのような形で対立した場合、どのように解消すればよいのかが分からないため、その恐れを解決することが難しかったのです。
 
そんなとき、ワールドカフェや対話と出会い、考えの違いを、対立ではなく、生成や創造に結び付けていく方法があることを知りました。
 
それらの方法を学び、ときには失敗をしながら、多くの人と対話を重ねていくことで、対立することに対する恐れが減り、プロジェクトを組んで創造的な仕事に取り組めるようになってきました。
 
今では、国境を超えたプロジェクトも行っています。
 
オープンマインドになることが、少しずつできるようになり、自分が自由であるという感覚を持つことができるようになってきました。
 
実際にプロジェクト型の仕事をするようになり、教育現場で言われている21世紀型スキルの必要性を、肌で感じることができました。
 
この経験を通し、10代、20代のうちに対話のスキルを身に付けることの重要性をヒシヒシと感じています。
 
私が、反転授業やアクティブラーニングに感じている可能性の1つは、生徒が、対立を恐れずに自分の意見を表現できるようになる点です。そのためには、安心安全の場を教師が作り、対立が起こったときに、それを対象化し、お互いが争うべき敵ではなく、対立の理由を探求して学びあう仲間になるという経験をさせる必要があると思います。
 
そのような経験を通して、生徒は、対立することを恐れる必要がないことを学び、対立を相手と協力して解決できた経験により自己効力感を増し、学ぶ意欲を強めていくのではないかと思います。
 
これは、共通のルールが存在しないグローバルな活動において、将来、非常に役立つ力になるはずです。
 
生徒に効果的に対話力をつけるためには、まず、教師自身が対話力を磨くこと、そして、生徒が対話力をつけることを支援する方法を学ぶことが重要だと思います。
 
つまり、ファシリテーションのスキルが必要になります。
 
反転授業に1年半前から関わってきて、様々な思考の断片が少しずつつながり、クリアになってきました。
 
多くの皆さんと、対話とファシリテーションについて、学びあいたいです。
 
皆さんの参加を心よりお待ちしています。
 
 
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