登壇者紹介 探求学舎代表 寳槻泰伸さん

Facebookグループ「反転授業の研究」は、2012年12月にスタートしました。

最初のころは、メンバー数が20名程度で、動画配信をしているメンバーを中心に小規模でオンライン勉強会をしていました。

状況が変わったのは、2013年の8月。

日本でもグループワークや探求型学習に取り組んでいる人たちが、実はたくさんいるということに気づき、そこにアクセスすることにしたのです。

アクティブラーニングの実践&普及をされている小林昭文さんとの交流がはじまったのをきっかけに、次々とアクティブラーニングや探求型学習の実践者とつながりました。

探求学舎の寳槻泰伸さんのことを知ったのも、ちょうどそのころでした。

探求学舎のHPはこちら

 

僕が、そのときに感じたことは、「探求学習で生徒を集められるのか?」ということでした。

僕自身、受験生を対象としたネット予備校を運営していて、受験対策と理想の教育とのバランスをどこで取るのかということをずっと試行錯誤してきているので、受験を前面に出さず、「探究学習」を前面に出している運営方針に、とてもすがすがしい印象を受けた一方で、それでやっていけるのか知りたいと思ったのです。

早速、Facebookで次のような質問を率直にぶつけてみました。

「僕のところでは、「田原の物理」という講義で集客していますが、「対話式の授業」という塾の運営方針で集客できるものなのでしょうか。10/30のオンライン勉強会でも取り扱いたいテーマなのですが、それが可能なら、可能性が大きく広がるなーと思っています。」

それに対して返って来た寳槻さんの返事がこれでした。

— ここから引用 —-

「対話式の授業」で集客を行っているというよりは、「テストのためでなく人生のための学び」「探究心を触発する学び」というコンセプトで集客しています。ともかく詰込みでも個別でも良いから成績を上げて欲しい!という保護者ではなく、勉強の面白さを知ってほしい、自分から進んで学ぶようになってほしい、そういう期待をもった保護者からの問い合わせがほとんどです。相手が目先の結果よりもまずはプロセスを重視しようという価値観なので、必然的に「対話式の授業」というコンセプトも受け入れられていくという感触です。

ただやはり学習塾なので、結果が問われていることも事実です。まだ開校して1年半なので、塾生の保護者も、遠くからながめている保護者も、それでどこまで結果に結びつくのかということを見ている状況だと思います。

多くの塾が「成績向上」「志望校合格」をうたっている中で、路線の違う塾を作りたいと思って上記のコンセプトでやっていますが、たどり着くべきはやはり「プロセスと結果の両立」であり、生徒も保護者もそれを期待しています。

1年半やって思うこととしては、明確な学習への価値観をもった保護者が少なからずいるということと、彼らは既存のうたい文句ややり方に飽きていたり、共感していないということです。

大手の学習塾や学校は面を相手にしなければなりません(マジョリティの価値観に沿わなければならない)が、個人塾やベンチャーは点を相手に独自のコンセプト・手法を築いていくことが役割で、そうして実ったものが市場全体に良い影響を与えることができたらいいな、と考えています。

—- 引用ここまで —-

寳槻さんからお話をうかがったり、探求学舎のHPを拝見したりするうちに分かったのは、寳槻さんが市場として「探究学習」を捉えているのではなく、強い信念があって、その信念に基づいた教育をやりたくて塾を始めたということです。

それは、一方通行の授業や機械的な勉強が嫌いだった寳槻さんの少し変わった学習経験が大きな影響を与えていると思います。

塾長の探求学舎設立ストーリー

高校の勉強がつまらないという理由で中退し、NHKスペシャルや映画を見て、自分のワクワクする気持ちを大事に勉強した結果、京都大学へ合格することができたという寳槻さんの成功体験が、

勉強の面白さを知り、自ら学ぶようになることが大切

という信念を生み出したのではないかと思います。

探求学舎で行われている「探求学習」の動画を見ると、生徒がとても生き生きと勉強していて感動的です。

 

2014年4月に寳槻さんと直接お会いする機会がありました。

そこで、「自ら学ぶようになるために重要な要素は何か?」と質問してみました。

返って来た言葉は、「知的感動体験を与えることが大切」ということでした。

さらに、「子どもは、自分が何に感動するのか知らないので、子どもに聞いても仕方がない。大人が、その子どもに合ったものを探してきて与える必要がある」ともおっしゃっていました。

さらに、ロールモデルや仲間の重要性についても力説していました。

探求学習では、歴史上の人物に焦点を与えることが多いそうです。過去に偉大な仕事をした人について調べることで、それをロールモデルになり、さらにグループで学ぶことで意欲が高まっていくという効果があるのではないかと思いました。

 

寳槻さんたちが、最近取り組んでいるのが、tanQ Cinemaという動画。これは、「学習意欲を高めるための動画」なのだそうです。

NHKスペシャルなど、大量の動画を見て、好奇心に火をつけてきた寳槻さんには、どんな動画を作ったらワクワクするのかが分かるのだそうです。

科学史を取り入れた説明や、動画ならではのアニメーション表現によって数学や物理を説明する動画は、物理講師の僕から見ても、とてもワクワクするものです。

反転授業の実践者の多くは、動画で学習意欲を高めるのではなく、グループワークで学習意欲を高めてきました。

それに対して、寳槻さんは、グループで探求学習を行うのと同時に、動画で学習意欲を高めることにも積極的に取り組んでいます。

知的感動体験を通して学習意欲に火をつけていくことにこだわっている寳槻さんが、第8回反転授業オンライン勉強会「探求学習と学習意欲」でどんな話をしてくださるのか楽しみです。

(追)寳槻さんは、現在、STORY.JPに執筆中です。

「強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話」

4/23 第8回反転授業オンライン勉強会への申し込みはこちら

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