反転授業で予習してこない生徒への対策

先日、物理ネット予備校のオンライン反転授業を実施したときに考えたことです。

あえてアンケートはとりませんでしたが、見学の方もいらっしゃったこともあり、問いかけに対する回答の状況から推測するに、4割くらいの方が予習していない状況だったと思います。

このぐらいの割合で予習してきていない人がいる場合、どのような授業をすればよいか

反転授業をされている先生方は、迷われるのではないかと思います。

「4割の生徒を無視して授業をするわけにはいかない」

「でも、予習してきていない生徒に向けた授業をすると、予習してきた生徒からは不満が出る」

そして、「この授業は、予習してこなくても大丈夫」というように思われてしまったら、今回、予習してきた人も、次回は予習してこなくなり、反転授業は成立しなくなっていきます。

 

実は、反転授業を始めたころは、最初に予習状況をリアルタイムアンケートでとって、予習してこない人が多いときは、もう一度、簡単に授業をやってから演習に入ったりしていました。

授業後のアンケートを読むと、「予習してこない人が多いことにがっかりした」「みんな予習してくるべきだ」「せっかく予習してきたんだから、演習からやってほしかった」など、不満の声が出ていました。

一生懸命やってきた人が報われないという状況は、よくないなーと思いました。

また、授業前の予習状況を、参加者同士でシェアするのも、よい方法ではないと思いました。

それで、アンケートはとらず、予習してきた人が報われる授業をして、「回を重ねるごとに予習してくる人が増えてくる仕組み」を作ろうと考えました。

仕組みを考える上で、インストラクショナルデザインを用いて授業設計をしている山崎進さんの「晴れの舞台を作る」と淺田義和さんの「予習してきてよかったと思える授業」というお話がとても参考になりました。

・山崎進さんのインタビューはこちら

・淺田義和さんのインタビューはこちら

そのために、あくまでも予習を全員がやってきているという前提で授業を行いました。
では、予習をやってきていない人を無視したかというと、そうではありません。

予習してきている人が不満を感じずに、予習してきていない人が、演習の前提知識を得られる方法を考えました。

それが、

「参加者の言葉を使って授業をする」

という方法です。

「この問題を解くときに、最初にやることは何ですか」

「そうですね!よく予習していますね!」

「では、次に何をやればよいですか?」

「そのときに気をつければよいことは、どんなことですか?」

などと、予習動画で話していることを、問いかけて、参加者にチャットボックスに書き込んでもらいます。

予習してきた人は、どんどん書き込むことで、予習内容の確認ができますし、活躍することができます。

予習してきていない人は、ここでのやり取りを通して、演習に必要な基本事項を確認し、演習に入っていくことができます。
このようなやり方をすれば、予習してきていない人は、

「うぁ。みんな、分かってんのか~。まずいなー。」

「次は、予習してきたほうが楽しめるなー。」

などと感じるのではないかと思います。

そして、ライブ講義が終わった後に、予習用の動画を見れば、反転授業とは順番が逆になりますが、

「ライブ講義」+「動画講義」

の組み合わせによって理解が深まるのではないかと思います。

その場合、

予習してきた生徒→反転授業
予習してこなかった生徒→反反転授業

となるわけです。

このような授業に対して、参加者は、「予習して臨んだほうが活躍できて楽しめる」と感じてくれているようで、ライブ講義に3回以上参加している人は、ほぼ全員予習してきています。

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