動画を作ると人生が変わる(7)~ドラマが起これば未来がやってくる

反転授業の研究の田原真人です。

10年前に動画を作り始めたことで、人生がどのように変わってきたのかを連載しています。

動画を作ると人生が変わる(1)~自分の分身ができた
動画を作ると人生が変わる(2)~理解速度にシンクロさせる
動画を作ると人生が変わる(3)~学習環境を整える人になった
動画を作ると人生が変わる(4)~動かすと理解できる
動画を作ると人生が変わる(5)~コミュニケーションを改善する
動画を作ると人生が変わる(6)~多様性が学びに繋がる仕組み

動画を作りはじめると、生身の自分の存在意義が問われてきます。

自分のやっていたことの多くは、動画で置き換えられる。いや、むしろ、動画にしたほうがよかったりするという状況の中で、生身の自分がやるべきことは何なのかという問いが自然と生まれてくるのです。

「教師の仕事の中で、動画に代替されないことは何なのか?」

動画を作ることは、この本質的な問いを生み出すトリガーになります。

この問いが、あなたを別の次元へと連れて行ってくれます。

動画を作ると人生が変わるのです。

意識を向けると世界が広がっていく

僕は、最近、「意識をどこに向けるか」ということが大事だと考えるようになりました。

意識を向けると、世界のその部分が拡大していくのだということを実感しているからです。

人間は、意識を自分の内部に向けることもできれば、外部の世界に向けることもできます。

 

個人が社会の部品として組み込まれていくのではなく、個人と社会とが、お互いに活きを引き出すような関係になるためにはどうしたらよいかと、ずっと考えているのですが、最近は、個人の意識が、内部世界と外部世界とを循環することが大事なのではないかと思い始めました。

工業化社会の労働者を大量に作り出す教育は、テストによる序列化という仕組みを作り、アメとムチによって生徒の意識を外部世界に向けて来たのではないでしょうか?

大量生産、大量消費の社会は、人々の欲望にアクセスし、人々の意識を外部世界に没頭させてきたのではないでしょうか?

その結果、内部世界がしぼみ、同じような思考パターンを持った人が大量に生み出されるという状況が生まれているのではないかと思います。

そのような教育を受け、そのような社会で育ってきた自分にも、それは当てはまります。

意識を内部世界に向けること、つまり、「自分が、自分について考える」ということは、自己言及的な行為です。

自己言及のサイクルをぐるぐる回すと、差異が増幅されて拡大していきます。

つまり、意識を内部世界に向けていくと、個人が自然と多様化していくのです。

一方で、欲や怖れに対する反射的な反応には個人差はほとんどありません。外部から欲や怖れにアクセスされ、単純な反応を引き出されているうちに、同じインプットに対して、同じアウトプットを返していくような大量の人間が生まれてきます。

これは、人を外から操作するときに使われてきた方法であり、大量生産型の教育や、大衆操作にも利用されてきた方法です。

 

人間の欲望は、本来は、有限のものです。お腹がいっぱいになれば食欲が治まるように、普通は物理的な限界に達して減衰していきます。

しかし、テクノロジーの発展によって、欲望をバーチャルな世界へ移すことができるようになり、欲望を無限にかきたて、意識を常に外部に留めさせることができるようになってきました。

これは、とても大きな危険性を持っているのではないかと思います。

このような時代においては、人間の意識を内側に向けていくことを学ぶことが、かつてないほど重要になってきているのではないでしょうか。

生徒の意識を内部世界へ向け、自ら問いを持って学び、内部世界を拡大していくことを支援することが、現代の教師に求められている役割なのではないでしょうか。

動画を作成することで、教師が新たな役割の重要性に気づき、役割をシフトするのであれば、この連載のタイトルにあるように、「動画を作れば人生が変わる」のです。

教室の壁は、「檻」から「細胞膜」へと変化する

生徒を欲と怖れによって支配する仕組みが発動するためには、例えば、次のような条件が必要です。

1)外部と遮断し、文脈を固定する。

2)アメとムチによって、意識を常に外側に向け、疑問を持たずに競争させる。

教室が、支配の場であるときには、教室の壁は、生徒が逃げられないように閉じ込めておく檻の役割を果たします。

このような問題に気づいた教師たちは、生徒が自ら学ぶための場つくりを始めています。

そのような学びが起こるための条件は、以下のようなものになるかもしれません。

1)外部に開いていて、人も情報も行き交う。

2)問いを持つことが尊重され、お互いの自由な活動が認められる安心安全の場

このような場で、教師が、幅を持った文脈を作ると、生徒たちの活動が生まれてきます。

その活動に対して注意深く観察し、受容し、励ましていくと、活動量が上がっていき、相互の関係性の質も上がり、場を舞台としたドラマが展開するようになり、全体が一つの生き物のようになり、場に<いのち>が創発してきます。

場に<いのち>が生まれると、そこに展開するドラマが、生徒たちに多様な役割を与え、生徒たちの「活き」を引き出していきます。

単純ではない創造的な状況において、各自が何をやったらよいのかを考えることで、生徒の意識は内部と外部とを循環し、外部世界から刺激を受け取りながら、内部世界を拡大していきます。

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このとき、教室の壁は、外部と内部を緩やかに隔て、内部の化学反応の可能性を高める細胞膜のような役割をします。

細胞膜によって囲まれた空間の中で、場の<いのち>も、内部と外部との循環を起こしながら、<いのち>のドラマが展開していくのです。

まずは、私たちから体現していこう

反転授業の研究がスタートした2013年頃、頻繁に話題になっていたことがあります。

それは、

「自分たちが体現していないものは伝えられない」

ということです。

教室に愛を起点とした与贈循環を起こし、場の<いのち>を創発させたいのであれば、まずは、自分たちの学び場に、そのような循環を起こし、その体験から学んでいくことが大切なのではないかと思いました。

こうして、反転授業の研究が主催するオンライン講座が始まったのです。

はじめてから3,4回目のときに、オンラインの場が安心安全の場になり、一体感が生まれました。

バラバラだった「私」が集まり、講座を通して「私たち」というグループが生まれたという実感がありました。

分からないことがあっても、場に助けを求めれば、誰かが助けてくれて進めるようになる互恵互助の関係が生まれ、幸福感が場に満ちるようになりました。

この体験を、次の講座、次の講座へと繋いでいくためにどうしたらよいかと考えた末、運営ボランティアという仕組みが生まれました。

オンライン講座を体験し、場の<いのち>の自己組織化を体験した人たちへ一括メールを送り、希望者は運営ボランティアとして参加できるようにしたのです。

怖れのサイクルが回ると、フリーライダーが大量に出たらどうしようという心配が生まれますが、愛を起点とした循環は、相手を信頼することから生まれるのです。

運営ボランティアという仕組みは、反転授業の研究のオンライン講座の大きな特徴となり、講座を提供する人と消費者という枠組みをぼやけさせ、役割を流動化させ、それぞれが自由に動き出しやすくなる状況を生み出しました。

今回の受講者は、未来の運営ボランティアであり、未来の運営者であり、未来の講師なのです。

そのような学びの循環に迎え入れていくというような気持ちで、オンライン講座の告知を行っています。

運営チームのメンバーは、毎回異なりますが、オンラインの場に生まれる<いのち>は、ずっと継続し続けているのです。

反転授業の森

すでに新しいドラマは始まっている

「iPad/iPhoneを使ったカンタン動画作成」の講座は、ICT教育を広める団体Sensei TIPSと、反転授業の研究とのコラボ講座ということで、プロジェクトがスタートしました。

コラボ講座は、3回目なのですが、運営チームの中にオンライン講座を体験していない人が含まれることや、運営チームの人間関係ができていないところからプロジェクトがスタートするので、非常に難しいところがあります。

しかし、異なる経験を持つ人が入ることで、新しい可能性が産み出されるというメリットもあります。

Zoomでミーティングを行い、運営チームのチームビルディングを進めていたときに、熊本震災が起こりました。

プロジェクトの活動に集中することが難しくなり、一度、活動を中断しました。

1カ月の中断の後、プロジェクトを再開したのですが、約20名の運営チーム自体も自己組織化的なプロセスで動いているので、動き出すまでに時間がかかります。

お互いに思いがうまくかみ合わず、各自が身動きが取れない状況になりました。

プロデューサー役の僕は、この身動きが取れない状況は、どこから生まれているのだろうかということを一晩寝ないで考えた末、場に対しての洞察を述べた15分ほどの動画を作成し、チームで共有しました。

それをきっかけに、各自が想っていることを外に出しはじめ、エネルギーが循環し始めました。

チーム内からいろんなアイディアが出てきて、それを次々に実行していきました。

運営チームの意図が明確になり、各メンバーが意図に沿って自由に動けるようになってきました。

そんな中で、1つのドラマが生まれました。

運営ボランティアとして参加していた川上政嗣さんが、資金面でも運営チームを支援したいという理由で、受講者に回ったのです。

運営チームで学ばせてもらいつつ、受講者として学べないかという提案でした。

川上さんに続いて、跡部弘美さんも、受講者の申し込みをしました。

同じような気持ちで、運営ボランティアに参加してくださっている人がたくさんいることを知りました。

2人の愛を起点とした行動が、運営チームの一体感を高め、講座に学びの渦を巻き起こしていくための核が生まれました。

この行動をきっかけに、運営ボランティアか受講者かの2択以外の選択肢を作ったほうがよいという議論が生まれました。

オンライン講座に受け継がれてきた場の<いのち>は、今回の場にも確かに受け継がれています。

 

未来は誰にも分かりません。

未来が不安定であることを怖れると、大きいものや強いものに頼り、安定を求めたくなります。

周りの行動を縛り、すべてを予定通りに進めたくなります。

しかし、生きているということは、常に不安定なのだということを認めて、不安定なまま、自分の<いのち>を創造の場に注ぎ込んでいくとドラマが生まれます。

このドラマは、参加者に生きがいを与え、予想を超えた素敵な未来をもたらしてくれます。

僕が、先の見えない状況の中でいつもつぶやいているのは、「結果を求めずに、ドラマを起こすことに集中せよ」ということです。

ドラマが起これば、未来がやってくるのです。

すでに、ドラマは始まっています。

あなたも、このドラマに加わりませんか?

申し込みの締め切りは、本日(6月3日)です。

「iPad/iPhoneで作るカンタン動画作成」

 

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