反転授業のデメリット
今日は、反転授業のデメリットについて考えてみたいと思います。
反転授業のデメリットを論じるときに、予習をしてこない生徒の対応をどうするかという話が出ることが多いのですが、それは、反転授業に限ったことではないので、反転授業のデメリットとして捉えるべきではないと僕は考えています。
たとえば、達成度別に振り分けて授業をするのであれば、予習をしていない生徒は、達成度が低いグループに振り分けられてサポートされることになります。
学力が低くて予習をしてこなかった生徒であれば、通常の授業よりも時間をかけてサポートできますし、モチベーションが低くて予習をしてこなかったのであれば、達成度別に分けるということが予習のモチベーションにつながるかもしれません。
また、アクティブラーニング型のグループワークをやる場合でも、グループに貢献したり、グループワークを楽しんだりしたいという気持ちが、予習のモチベーションを高めることも十分にありえると思います。
また、予習という形にせず、最初の10-15分間で知識の導入をし、その後、グループワークを行うという授業形式をとり、グループワークの状況を見て、知識の導入部分を予習にしていくというように、段階的に導入するという方法も現実的ではないかと思います。
というわけで、僕は、予習をしてこないケースの対応というのは、反転授業のデメリットだとは思っていないのですが、先日紹介した「反転授業の効果は試験の点で5%アップ…それが“大きな成功”と言える理由」という記事の英語版を読んでいて、おもしろいコメントを見つけました。
引用しますね。
—- ここから引用 —-
—– 引用ここまで —-
これを理解するためは、背景を知る必要があります。
アメリカなどでは、グループワークやディスカッション、リサーチなどが教室で頻繁に行われます。
これは、学年が進むにつれて、よりその傾向が増してきます。
反転授業というのは、そういう土壌の中で生まれてきたやり方で、授業時間が減って、十分なグループワークの時間が取れないという状況で、知識の導入部分を予習にして、グループワークの時間を確保しようということで生まれてきたのです。
また、「本を自分で読んでこい」という形の予習を課すケースは、反転授業が生まれる以前から存在していたため、コメントのように、
「伝統的なやり方と反転授業の違いは、予習を読書にするか、動画にするかだけの違いで、たいした違いはない」
というような感想も出てくるのですね。
そして、「ビデオ講義は、本当に読書よりも優れているのか? 読書スキルはどうなるのか?」という疑問を呈して終わっています。
これは、とても面白い指摘だと思います。
ネットには膨大な情報があふれていますが、書籍からしか得られない情報もまだまだたくさんあり、また、書籍のほうが信頼できる情報が得られやすいという面もあります。
僕は、授業以外に読書スキルを上げる機会を作ればよいのではないかと思いますが、まだ、検討する余地がありそうなので、引き続き考えたいと思います。
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